緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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前へと進む二人

戦いは終わった、ヴィラン連合の黒幕とも言える存在―――日本を支配してた巨悪、オール・フォー・ワンはオールマイトによって倒された。彼は間もなく刑務所へと収監され24時間体制の厳しい監視下に置かれる事になる。遂に撃ち滅ぼされた巨悪にオールマイトも胸を撫で下ろし、大きな安心感と漸く一つの終わりを迎える事が出来たのか……と空を見上げてしまった―――その視線の先にあるのは空へと飛び立って行ったウルトラマン達の軌跡もあった。

 

『保須の巨人、木椰の巨人、その名はウルトラマン!!』

『ウルトラマンマグナ、ウルトラマンオーブ!!』

 

様々なメディアで騒がれている、謎だらけであって巨人の名前が明らかになっただけでも大騒ぎも必須なのに彼らが絶対的な人間の味方であるという事が明白になったからか余計に皆その話題が気になってしょうがないらしい。特にマグナは倒れてしまった、だが人々の声を受けて立ち上がりながら新たな姿で強大な敵をオーブと共に討ち果たす、その姿はオールマイトと同じように人々の心に新たな希望の光を作り上げていた。

 

 

「しかし今回はまた派手にやったな……我ながらよくもまあ勝てたと思ってるよ」

「僕もですよ」

「それは同じく、いやぁカラータイマーが撃ち抜かれた時は本気で目の前が真っ暗になったからね。本気でやばいと思ったよ」

 

海浜公園の砂浜に腰を落ち着けながら大海原から顔を覗かせてきている朝日を見ながら出久とガイはラムネを飲み、それらを見ながら横になりながら空を見上げるマグナは今回の戦いによる事を互いに称賛していた。同時にマグナはその手にしている物を空に浮かべるようにしながら見つめる。ライトニングマグナキラーを倒した後にあったそれ、ゼットライザーが今彼の手の中にあった。

 

「これがゼットライザーか……」

「光の国のアイテム……こうしてみるとなんだか迫力ありますね」

「そこにスロットあるだろ、そこにウルトラメダルを入れて使うんだよ」

 

光の国で概要などを聞いているガイは興味津々と言いたげな出久に解説を入れる、前世でも全く情報を仕入れていないので流石にマグナもそれに関しては全く知らないので殆ど出久と同じような立場。だが彼自身も酷く興味深そうに見つめている―――マグナの場合はウルトラマンZではこれがどんな風に活躍するんだろうなぁと行った方向での興味で。そんなマグナへとガイは笑みを浮かべながら語り掛ける。

 

「でもやりましたねマグナさん」

「長年胸に燻ぶり続けていた禍根を晴らせた気分だよ、アサリナの仇を本当の意味で討てた……」

 

ゼットライザーを見つめながら身体を起こし、太陽へと目を向けている彼の表情は非常に晴れやかだった。

 

「でもアサリナさんがずっとマグナさんと一緒にいたなんて驚きました……魂は一緒だって話はよく聞きますけど、比喩的じゃなくて本当に一緒だったんですもんね」

「そうだね、私も驚いたよ」

 

胸に手を当てる、アサリナの光は既に無くそこにあるのはそれとワン・フォー・オールが一つになった末に生まれた新たな力であるウルトラ・フォー・オール。もう自分の中に彼女を感じられる事はなかった、それでも不思議と彼女と共にあり続けられているという不思議な感覚があった。あの日ほど自分を恨んだ日も無かったのに、ずっと一緒にいた……それも不思議な感じがする。

 

「マグナさん、アサリナさんとはどんな関係だったんですか」

「大が付く親友だったよ、家が隣同士だったのもあったし何をするにもずっと一緒な幼馴染さ」

「僕とカッちゃんとは大違いですね……」

 

一緒に平和を守るんだと約束して、共に宇宙警備隊を目指した。自分は文明監視員への道へと進んだが途中から同じ部署の仲間として働けて本当に楽しかった……運命の日が……自分の記憶が戻る切っ掛けとなるあの任務が訪れるまで。だがその運命にもケジメを付ける事が出来たのだからもう言う事はない。それを感じたのかガイはそれ以上何も聞かずに一気にラムネを飲み干すと帽子を被り直し荷物を肩に担いだ。

 

「それじゃあ、俺はそろそろ行きます。流石に長居し続けました」

「えっガイさんまた旅に出るんですか?」

「まあな、いい加減光の国に行って次元刀の事とかも報告しないといけないしゼロさんにデビルスプリンターの事も手伝って欲しいって言われてるんだ」

 

そろそろお暇させて貰うと言葉を作りながらもガイはマグナへと握手をした。

 

「マグナさん、短い間でしたがご一緒出来て本当に光栄でした。有難う御座いました」

「此方こそ君には色々と助けられちゃったね、お礼と言っては何だけど―――君ならきっと有意義に使ってくれると思ってるよ」

「―――っ有難う御座います!!」

 

そう言いながらガイの元へと一枚のカードが飛来した。そこにはマグナの姿が映り込んでいるウルトラフュージョンカードがあった、餞別と今までのお礼を踏まえての事だろう。それに大きく頭を下げながらも今度は出久と強い握手を結んだ。

 

「出久、これからも頑張れよ。お前ならきっと立派なヒーローになれると信じてるぞ、俺との特訓を無駄にするんじゃないぞ」

「合宿から今日まで、本当にお世話になりました!!僕、ガイさんの指導に恥じないように頑張ります!!」

「ああっまた何時か逢おう。その時を楽しみにしてる」

 

朝日を背負いながらガイはオーブリングを使用して海に佇むオーブへとなった、そしてゆっくりと振り向き空を見上げながら……

 

 

―――シュゥワッチ!!!

 

 

大きな水柱を立てて、自ら作った大きな虹を潜るようにしながら大空へと飛び立ちあっという間に姿が見えなくなっていった。黄昏の風来坊、クレナイ・ガイ。短い間ではあったが出久はこの出会いを忘れる事はないだろう、彼が教えてきた技術、スタイル、精神、未来、そしてラムネの味を。偉大な先人に助けられたと思いながら、それに恥じない男にならなきゃと思う。

 

「さてと、出久君私達も行くとしようか。多分だけどオールマイトやナイトアイ辺りが事情を聴きたがっているんじゃないかな」

「そうかもしれな―――〈電話が来たぁっ!!電話が来たぁっ!!〉あっ噂をすれば何とやら、オールマイトからですよマグナさん」

「毎回思うけどその着信音、凄いセンスだよね」

 

そんな事を思いながら繋げてみるとオールマイトから様々な事を聞きたいという言葉が飛んできた、それも当然な筈だろう。自分達も語っておきたいことは山ほどあるのだから。

 

「じゃあ行こうか出久君、やれやれ休めるのはまだ先かな」

「ヒーリングパルス、お願いします」

「「アハハハッ!!!」」

 

そこにあったのは紛れもなく人間とウルトラマンの相棒同士の姿だった。互いの肩を叩き、歩幅を揃えて、愉快そうに笑いながら前へと進む。きっとその道は平和へと繋がっている事だろう。




初期設定ではアサリナはマグナの奥さんでした。そして失ったのはマグナとアサリナの息子にする筈でしたがネクサスとは別の意味で重くなりすぎると判断したので変更しました。

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