緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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寮生活への移行

「それじゃあお母さん、行ってきます」

「行ってらっしゃい出久……偶には顔を出してね?」

「うんっ!!」

 

神野区での一件、神野の決戦とも呼ばれる事件から日も動いた事の頃。雄英高校は生徒の安全性の確保とより質の高い授業を行う為などを目的にした全寮制を導入する事を決定した。当然それについての了承は各家庭に問われた、雄英側としてはこれについては保護者から反対意見などが多数出ると思っていたのだがそれらはなく自分達の子供を信頼して託しつつ、夢を叶えて上げさせてくださいという言葉を送っていた。それについては神野での一件での雄英での真摯な態度などもあったからだろう、そして―――矢張りオールマイトが子供達を守ってくれるという確信もあった。

 

『しかし意外だったね、君のお母様は何方かと言えば気の弱い方だが君の為ならば強くなる人だと思っていた。故に全寮制へは反対し君のヒーローを目指す事にも難色を示すと踏んでいた』

「実は僕もです、でも……あんな風に思っててくれたのは嬉しかったです」

 

当然緑谷家にもその了承を得る為に先生がやってきた、A組の担任である相澤と共に各家庭を巡っていたオールマイトが今日中に回りきるために一人で訪れてきた。平和の象徴の登場に引子は驚愕し腰が抜けそうになっていたがまるでロボットのような動きで迎え入れつつ話を聞いた。そして引子は言った。

 

『私は、出久がヒーローを目指している時に慰めてあげる事しか出来ませんでした。本当なら応援してあげるべきなのに……それなのに出久は努力してたんです、本当になりたいから、目指したいから……親としては、本当に不安です……でも、でも出久がこんなに幸せそうにしてて、雄英で楽しい事とか話してくれるのは本当に嬉しくて……だから―――これからも出久の事をお願い、しても宜しいでしょうか……!?』

『―――お任せください。私の名に懸けて、お子さんをお守りし立派なヒーローに導いて見せます』

 

「僕……嬉しかったです」

『そうか……大切にしなさい、その気持ちを』

 

雄英へと到着すると既に友達が既にいた、そしてそこには爆豪の姿も……それに思わず胸を撫で下ろしつつもその輪の中へと入っていく。

 

「いやぁ爆豪、本当に無事で安心したぜ!!」

「るせぇ」

「なあなああの場でウルトラマン見たんだろ!!?」

「見たがなんだ」

『感想一言!!』

「……俺に聞く事じゃねえだろそれ」

 

呆れ果てた爆豪のその一言に思わず笑いの渦が出来た、確かに聞くべき事ではなかったと思う中で真面目な飯田はそれを聞いた峰田や上鳴へと注意をする。本当にあの日常が帰ってきたんだなという実感を感じつつもそこへ相澤が登場する。

 

「おはよう、無事にまた集まれて何よりだ。取り合えず俺から一言だ、本来あの場では俺達大人がお前たちを守るべきはずだった。そのせいで皆には迷惑を掛けたな……済まなかった」

「あ、相澤先生のせいじゃねえって!!」

「そうだよあの時先生俺達を守ってくれてたじゃねえか!!」

 

出久は知らなかったが、アークギャラクトロンが出現したあの現場で襲いかかってきたヴィラン連合。それらから皆を守りながら避難指示をしていたプッシーキャッツ、そして相澤やブラドキング。彼らは出来うる限りの事をしていた、だがそれでも守り切る事が出来なかったのはその場に脳無が出現した事だろう。寧ろ爆豪一人だけで済んだ事は不幸中の幸いのレベル。生徒達の言葉を受け取りながら相澤は顔を上げ、有難うと答えてから言葉を続ける。

 

「今回の寮制の導入は一方的だが皆を守る為に必要な物だった。皆、ご家族を説得するのは苦労したと思うが此処にいる事を感謝しておこう。だが今度は大人が君たちを守る、それを信じて欲しい。そして林間合宿に向けて精を出して欲しい。さて……長々と話したがこの位にしておこう、では中に入ろう、元気に行こう」

『はい先生!!』

 

『フフフッ合理主義者の割に真摯な態度だね、なんだかんだで合理的では進められない事も分かっているらしい』

 

そして入寮する事になる学生寮ハイツアライアンス。地上5階地下1階建、2階から左右に分かれており向かって右が女子用、左が男子用となっている。1階は共同エリアになっていて食堂も完備されていて此処で調理して食事を用意する事も出来る。

 

「凄いこんな所で生活するんだ……」

「豪邸やないか!?」

「わ"っ~麗日さん大丈夫!!?」

 

余りの豪華さに卒倒しそうになる麗日を咄嗟に支える出久、彼女的にはこんな所で生活できる事自体がもう驚きでもうキャパシティ管理が出来なくなってしまうのかもしれない。そして今日の所は部屋を作るように言われたので送っておいた荷物を開けて自分だけの部屋を作る事にした。

 

「私も手伝うとしよう、その方が早く済むだろう」

「あっすいませんマグナさん」

 

ウルトラ・フォー・オールへとなってからだがマグナはちょくちょく人間態の姿で現れるようになった、アウローラを倒した事で一種の区切りをつける事が出来たからだろうか、それともまたほかの理由があるのか分からないが兎に角手伝って貰える事は助かる。

 

「しかし豪勢だね、一人一部屋なだけじゃなくてエアコン、トイレ、冷蔵庫にクローゼット付き。間取りは8畳と言った所かな?」

「ベランダもありますもんね、寮というよりちょっとしたホテルみたいな感じがします」

 

ダンボールを開封しながら配置する、出久としてももう数年一緒にいる相手なので信頼して任せる事が出来る上に配置などもすべて把握しているので置いて欲しいなぁと思った所に全て置かれていくので心配する事もない。

 

「仮免に向けて……僕もコスモススタイルを完成させなきゃ……」

 

先日の手合わせではグラントリノ、そしてナイトアイからは及第点という評価を貰う事が出来たがそれではまだまだ満足していない。まだ上を目指す事は出来る、その為にももっと繊細なコントロールをしなければならない。ドライバーが特に意識する事も無く視界内の情報を処理しながらハンドルやブレーキなどを行えるような域にまで持って行かなければならない―――何より

 

「ウルトラ・フォー・オールになってから出力が段違いに上がってる……」

 

今までのワン・フォー・オールの限界出力を100にするならば限界が300以上にも跳ね上がっている、まるでワン・フォー・オールを受け継いだばかりの頃のようなコントロールの不出来さが目立ち、グラントリノからも確りと見極めておけと厳しく言われた。もっともっと頑張らないと……と思っている内に部屋が完成していた、矢張り二人だとあっという間だと思っていると窓がノックされる。

 

「あれっ」

「誰かな、一応戻るよ」

 

カーテンは閉めていたが、開けるに当たってマグナは出久へと戻って行く。立ち上がりながらカーテンを開けてみるとそこには発目の発明品であるウルトラアーム改め発目式多目的アームが窓を叩いていた。窓を開けてみると外から発目が手を振っていた。

 

「緑谷さんお部屋完成したみたいですねそれじゃあ早速本題なんですがいろいろと試して欲しい物がありますので一緒に来て頂けませんかね神野の一件で私の感性が大爆発しちゃいまして本当に色んな物を作り上げたんですよ私なりにウルトラマンの力を再現した物とかありますからいやぁ本当に有難う御座いますそして流石私の大親友ですね言う前から私の言う事を熟知して皆まで言うな分かってるという顔をするとは流石ですね乙女心分かっていらっしゃる私の好感度爆上がりですよやりましたね緑谷さん私の攻略が一気に大進行ですよ」

「何も言ってないのにもう色々と決められちゃったよっという僕どんな顔してたのマジでどんな顔してたのああもう分かった分かりましたお相手しますからちょっと待ってて!!」

「畏まっ!!」

 

「おう緑谷その……うん……」

「いやなら行かない方が……ああいやその……」

「が、頑張れよ……?」

「……気張れやデク」

「気ぃ付けてな」

「……うん行ってきます」

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