これが半年くらいたったころかしら?
・・・ここは木組みと石畳の街
とある少年、エリアは学校が終わると今日も下宿先である甘兎庵に向かう。
その途中・・・
「あ!エリアだ!」
「ん?」
白い制服に学生帽、エリアより小柄な三人の少女がエリアに声をかける。
「あぁ、チノちゃん、マヤちゃん、メグちゃん、こんにちは」
「こ、こんにちは!」
「こんにちはー」
「おーすっ!」
それぞれと挨拶を交わす。
「エリアは今から甘兎なの?」
紺色髪に八重歯の少女、マヤが尋ねる。
「うん、今日も早めに帰れたからね。」
「すごーい!いつも早めに帰って準備してるんですか?」
「あはは、別にそんなことないよ。」
少しクセっ毛な髪をお下げにした少女メグは感心した様子ではあるが、エリアにとってはいつもこなしていること、大したことではない
「っと、そろそろ行かないと、またね「あ、あの!」?どうしたのチノちゃん?」
足を進めようとしたエリアを三人目の少女、チノに声をかけられる。
「またうちに来てください!飲みやすいコーヒー考えてみたんです!」
「でたー!チノの挑戦状だー!」
「何回目だろうねー」
コーヒーが苦手なエリア(砂糖、ミルクをいれても無理)にコーヒーの美味しさを伝えたいチノ、このやり取りは何度も行われていた。
「!、今度のは自信作なんです、ココアさんも「よく分からないけど美味しいよ!」と言ってくれました!」
「そ、それ大丈夫なの?・・・けど、うん、また行かせてもらうよ」
優しく微笑み、言葉を返した。
・・・三人と分かれ、しばらく進んで・・・
「あ、リゼさん」
「ん?あぁエリアか、これから甘兎庵か?」
「はい、ってこの道にいるってことは、リゼさんも?」
「今日休みだからさ、甘兎庵に行こうと思って」
「ご贔屓にありがとうございます」
「ははっ、それなら一緒に行かないか?」
「是非」
エリアより年上の少女はリゼ、先程の少女チノと同じ喫茶店ラビットハウスで働いている。
「最近はどうだ?」
「特になにも変わりなくですかね」
「うちは最近親父が五月蝿くてさ・・・」
「大変ですね」
そんな世間話をしながら進むと、
「あらエリアと・・・リゼしぇんぱい!?なんで一緒に!?」
「「シャロさん/シャロ」」
金髪にリボンのようなカチューシャをつけた少女、シャロと出会う。
「そこで会ってさ、シャロは?」
「そ、そうなんですね、よかったぁ・・・あ、今日はバイトもないので、真っ直ぐ帰ろうと思ってて」
「そうなのか、なら甘兎庵に一緒に行かないか?」
「えぇ!?」
「そうですね、この間勉強教えてもらいましたし、そのお礼にどうですか?」
エリアは以前お嬢様高校のトップの成績のシャロに勉強を教えてもらっていた。今回はそのお礼がしたいようだ。
「あれはあの時のお裾分けしてくれたお礼って言ったじゃない・・・けど折角の先輩からのお誘いだし、行こうかしら」
「じゃあ一緒に行きましょう!」
両手に花の状態で更に進んでいく。
「ただいま戻りました。って今日は俺が最初か」
「そうだったのか?だったら暫く表で待ってるな」
「いえ、すぐ準備するので中で待っててください。もうすぐ千夜も帰ってきますし。」
「そう?なら待たせてもらうわね」
リゼとシャロをテーブルに案内し、裏で急いで着替える。
作務衣の制服に身を包み、厨房に立って、開店準備を始める。
静かな店内に、自分の作業の音が響く。
いつもと違うが、この時間は店の看板娘の彼女より早く帰るエリアの少し好きな時間であった。
湯飲みを拭き終わり、次は机を拭いている時だった。
ガチャッ!「ただいまー」
店内のドアが開き、彼女が帰ってくる。
「おかえり、千夜」
少年は視線を上げて、彼女・・・千夜の方を見る。
「うん、ただいま。!もう開店準備終わらせちゃったの!?それにリゼちゃんにシャロちゃんまで」
「エリアが通したのよ」
「すまない、お邪魔してるぞ」
「外で待たせるのどうかなと思ってさ、後まだテーブル拭いてないよ。」
「それじゃあもうほぼ終わりね・・・いつも、ごめんなさい」
「いいんだよ、今学校忙しいんでしょ?」
「そうだけど・・・」
「それに、こうやって千夜のこと待ってるの俺好きだから」
恋人のような会話ではあるが、二人はもちろんそんな関係ではない。
「もう、またそういうこと言ってごまかして・・・」
頬を膨らませる千夜、しかし少し頬は赤い
「・・・なぁ、あの二人まだなのか?」ヒソヒソ
「ずっとあんな感じですね」ヒソヒソ
リゼとシャロのこそこそ話は二人には聞こえていない。
「えぇ・・・別にごまかしてないんだけどなぁ・・・それより早く着替えないと、お客さん来ちゃうよ。それにリゼさんとシャロさんも待ってるし」
「!、そうね。じゃあエリア君!今日もよろしくね!」
「うん、頑張ろう!」
さぁ、今日も騒がしく楽しいお仕事の時間が始まる。
こそこそ喫茶店話
エリアの名前は漢字で書くと和田上凛彩(わだえりあ)
紅茶のヌワラエリアが元で、名前だけを見ると女の子によく間違えられて、千夜も初めは女の子だと思っていたそうですよ。