木組みの街に来訪したココアの姉、モカによりモフられたエリア、頑張ってつけていた耐性も本物姉オーラの前には簡単に剥がされ、モフモフされた結果、エリアはポンコツになった。(前回参照)
「いや、ポンコツってどういうことよ。」
「あの時はエリア君が成長したからリベンジを誓ってると思ってたのだけど違うみたいなの」
モフられてから時間が立って、既に翌日の朝である。
昨日のエリアの様子が気になったシャロは宇治松家に訪れたのだ。
そんな当の本人は・・・
「・・・」ポヤー
窓の外を見ながらボーッとしている。
「え、エリア?」
「なんかずっとポヤポヤしてるの、なにか考えてるみたいなんだけど・・・」
「どうしたのよエリア」
恐る恐る話しかけるシャロ
「・・・あぁシャロ、あのさ、昨日モカさんにモフモフされてさ、最初はよく分かんなくて色々言ってたんだよ。」
「え、えぇ、昨日のエリアはおかしかったわよ?」
特訓だーっ!と言って、秘伝の神業!勇気の力!神秘の光!アルトじゃーないと!と部屋で必死になにかを練習していた。
ぶっちゃけ怖かった。
「けど、一晩立って落ち着いてくるとなんていうか恥ずかしかったけど懐かしくて、それで思い出したらソワソワするっていうか。ポヤーッて感じがして・・・はぁ」
最後にはため息をついたエリア、どことなく瞳も少女漫画チックである。
「ど、どういうこと?あのエリアがこんなに露骨に感情を出してくるなんて・・・」
普通の男子だったりすれば喜び発狂する展開であったが、これが今までのエリアならひたすらに照れるだけだっただろう。
しかし今目の前にいるエリアはなにかに焦がれる思い詰めた感情を感じさせてくる。珍しいのだ。
「(そうかしら?最近は割りとはっきり出してる気がするけど)」
それは貴女が一番近くで見てるからですよ千夜さん。
「ってそれより、エリアそれって・・・」
慌てて、エリアと千夜に目を向けるシャロ
「それって?シャロはなにか知ってる?」
自分はまだちらりとしか見ていないが、モカはココアに似てとても美人だった。そしてそんな女性からのスキンシップで意識してしまうのは無理のない話ではないのか?
・・・もっと簡単に言えばエリアはモカのことを好きに・・・何て自分から言えるわけがない、しかもこのややこしい二人の前で
「っ!そ、それは・・・「きっと初めてのことでオーバーヒートしてよく分からなくなってるのよ。」千夜!?」
「オーバーヒート?」
「そう、モフモフによるキャパシティオーバーからのオーバーヒートよ。いかに攻撃を吸収できるといっても限界量があるのよ。」
「ブリッツブロック的な?」
「その通り」
「いや、なんなのよその例えは・・・」
シャロの呟きが溢れた時、千夜の携帯が鳴った。
「もしもし?あらココアちゃん♪え?2キロのパンができたからピクニックしようって?」
「「2キロ!?」」
「うんうん、そこにいけばいいのね。人数は多い方がいいのね・・・うん、今二人確保したわ。」
「「知らず知らずにカウントされた!?」」
「はーい、それじゃあ後でね。さ、二人とも準備しましょ。」
「「待て待て待て!?」」
「あら、一糸乱れぬナイスツッコミ、今度はこれを活かしていきましょうか。」
「そうじゃない!千夜はちょっと来て!エリアは準備してて!」
シャロは千夜を連れて部屋の隅へ
「いいの?今のエリアは・・・」
「・・・いいのよ、どんな感情であろうと経験したエリア君はきっと成長するわ。それに言ったでしょう。どんな結果になっても構わないって」
「っ!」
さっきまで笑っていた千夜の顔が真剣な顔つきに、覚悟をもった瞳をしている。
「最近本当にエリア君は変わってきてる。
今まで自分は一人ぼっちだって思ってたみたいだけど、皆に変えてもらったって言ってたわ
そして今のエリア君はもっと変わろうとしている。変化じゃなくて進化しようとしてるの。その邪魔はしちゃダメよ」
今のエリアの状態を異常としてとるのではなく経験からの進化の兆しととっている千夜、その可能性を否定したくないのだ。
「・・・分かったわよ。」
「ありがとうシャロちゃん。それじゃあ行きましょう。」
「そうね、ごめんエリアお待たせ・・・ってその青いのは置いていきなさい。」
「へ?」ウルトラマンゼェットデルタライズクロー
・・・
かくして公園に集まった一同
美味しいパンとコーヒー(エリアは持参したココア)で楽しく過ごした。
「エリア君、口許にパンくずついてるわよ?」
「!!、す、すみません」
「そっちじゃないわ、ほらここ」
モカの手がエリアの頬に触れる。
「!!!」
「あらあら、ごめんね」
顔が真っ赤になるエリアを見て微笑みながら謝るモカ
「全くだらしない顔して・・・」
千夜の覚悟を知っている分、モヤモヤするシャロ
「あれ?シャロはもう食べないのか?」
「!、すみません、食べすぎるとすぐお肉が付く体質なので・・・」
リゼに聞かれて慌てて答える、その様子を見ていたモカは
・・・がしっ
「ふぇっ!?」
「うん、もっともふもふしててもいいと思うよ」
「なんですかその判断基準!?・・・でももっと食べていいなら・・・」
年頃の娘なので気になることではあるが、励まされると絆されてしまう。パンを食べ進めるシャロはモカを見て・・・
「(美人で年上で優しくて・・・これはエリアの気持ちも分かるかも)」
今も頭を撫でてくるモカはとても優しい
「(けど・・・やっぱり)ってエリア?」
こちらを見ているエリアに気づいた。
「(ま、まさかエリア・・・)あっそのこれは!?」
まさかとは思うがジェラシーだろうか?でももしリゼが誰かと仲良くしすぎてたら自分ならしてしまう・・・慌てて弁明しようとしたが
「そうか、そういうことか・・・」
なにかをボソッと呟いたエリア、上手く聞き取れなかった
「?、なにか言った?」
「えっいや・・・えっと、確かにもう少しつけた方がいいかもね」
「?・・・!、どこを見て言ったのかしら!?」
「あ、ごめんなさい、ほんの、気の迷いで・・・」
エリアの視線に気づいたシャロはエリアを締め上げた。
しかし、その時エリアの瞳がいつもと違い、光を灯していることには、誰も気づいていなかった。
・・・
その後、ボートで競争し、見事一位になった千夜がモカにもふもふしてもらっていた。
ココアは友人をまるごととられたーっ!と敗北の涙を流していた。
そんなココアにエリアは、
「けどさ、俺何となくだけど、ココアのパンの方が好きだよ。食べなれてるからなのかな?落ち着く味なんだよ。」
「!、エリア君!!」
「そうよ、私だけもふもふされてなかったからさっきはお願いしたけど、私の親友はココアちゃんだけよ!!」
「千夜ちゃーん!!」
ガバッ!っと二人に抱きつくココア
「おっと」
「きゃっ、ココアちゃんったら」
「?珍しいな、エリアがハグ断らないなんて・・・」
「ココアさんがあまりにもかわいそうだからではないですか?」
「辛辣ねチノちゃん・・・、エリアはまたひとつ進化したんだと思います。」
「進化?エリア君って面白いわね。けど、あの三人っていつもあんなに仲良しなの?」
「そうですね、波長が合ってる者同士なんです。」
「それぞれがそれぞれの足りないところを補ってるんだよ。」
「それでいて、周りを色々な意味で巻き込む天才ですね。」
「うん、千夜ちゃんは親友として・・・エリア君になら安心してココアを任せられるかな?」
「「「え?」」」
モカの突然の発言に驚く一同
「だって、写真でいつも私の弟って言ってたけどココアが男の子を紹介するのなんて珍しいもの!きっと気になる男子なのよ!」
「違うと思います・・・ココアさんは完全に弟としてみてると思います・・・」
「私ですらたまに同い年なの忘れますし・・・」
「エリア、頼りないところ多いもんな・・・」
一同のひどい評価を知らずして、日は沈む・・・
喫茶店こそこそ話
ボートレース、エリアは男子なので一人で参加、もちろんぶっちぎりの最下位でしたよ。