緑茶風少年   作:アユムーン

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モカ姉さん編終了!

計画変更、申し訳ありませんでした・・・


彼のなりたい彼女の姿

ピクニックから翌日、甘兎庵

 

「本当にもう戻ったの?」

 

昨日の帰り際にはいつもの調子に戻っていたエリア、またまた気になったシャロは甘兎庵に訪れていた。

 

「うん、完全復活、ご迷惑おかけしました。私からのサービスです。」

 

瞳の感じはいつも通りだが、ポヤーっとした感じはなくなったエリア、シャロに特製のデザートをだす。

 

「昨日のお詫びの間違いでしょう?」

 

「はい、すみません・・・」

 

確かに、昨日のは軽いセクハラだからね・・・

 

「でも本当に元に戻って良かったわ、けどなんで戻ったの?」  

 

シャロの元にお茶を持ってきた千夜

 

「んー・・・気づいたからかな?」

 

「なにに気づいた「助けてくれー!!」いらっしゃーい」

 

なにかを聞こうとしたところで慌てた様子のリゼが来た。

 

「先輩!?どうしたんですか?」

 

「命までモフられる!」

 

シャロの後ろに隠れるリゼ、そこに来店してきたのは・・・

 

「逃げると追い詰めたくなっちゃうぞー」

 

「あら、モカさんもいらっしゃいませ~」

 

「いらっしゃいませ」

 

「あ!千夜ちゃんにエリア君!その制服イケてる!」

 

「本当ですか!?」

「ありがとうございます」

 

モカとハイタッチする両者

 

違和感なくタッチができているエリアに、少し驚く一同だった。

 

・・・

「明日帰っちゃうんですね」

 

「妹に避けられているのがちょっと気がかりだけど」

 

「ココアに避けられているんですか?」

 

席に座り話の内容は明日帰ってしまうモカの話に

 

どうやら、昨日の帰りからどうにもココアに避けられているらしい

 

「なにか心当たりとかは?」

 

「それがさっぱり、甘えん坊のかわいい妹はもう写真のなかだけなのかな・・・」

 

少し寂しそうに見えるモカ、その様子を見て

 

「上手く言えないんですけど・・・ココアは絶対にモカさんのこと大好きだと思います。」

 

「え?」

 

思わず言葉が溢れた、そしてどんどん溢れて、止まらない。

瞳に光が宿り、声が上がっていく。

 

「ココアが初めて会った時に言ってたんです。将来はパン屋か弁護士かお姉ちゃんになりたいって。」

 

あの日笑顔を分けてくれた少女の姿を知っている。

キラキラした瞳で語りかけてくれたあの子は輝いていた。

 

「あの子ったら・・・」

 

「それって絶対にモカさんに憧れてたから言ってるんだと思います。

 

俺ココアに何度も勇気とか笑顔とか貰ってたから、そんな風に人を励ます天才のココアのこと尊敬してるんです。

 

それでそのココアが尊敬してるモカさんのことも尊敬してます。

俺もそんな風になりたいって思えたから」

 

「エリア君・・・」

 

敬語で話す時の私、がとれるほどに熱弁するエリアから今までは聞けなかったこうなりたいという願いが語られた。

 

千夜はその様子をジッと見て、エリアは今誰のために話しているのだろうか・・・と考えてしまう。

 

彼の進化のドアを叩くのはいつだって・・・

 

「明日帰っちゃうんですよね、また会えないんですよね。なにかは分からないけどすれちがいしたまま帰ったら絶対後悔するから!だから!・・・だから俺っ「はい、ストップ落ち着いて」!」

 

モカにストップをかけられる。

はぁっはぁっと、息が荒くなっていた。

 

「エリア君の気持ちよく分かったわ。ありがとう、あの子のことをそんな風に言ってくれて、しかもまだ会ったばっかりの私のことまで尊敬してるなんて、ちょっとびっくりしちゃった。

 

エリア君ってそんなに話せる子だったんだ。」

 

「お、俺も今びっくりしてます。」

 

まだ心臓がドキドキしている。

 

「ふふっ、限界越えるくらいにたくさん話してくれたんだね。ありがとう」

 

エリアの頭を撫でるモカ、一昨日とは違いエリアはそれを受け入れている。

 

「今日は撫でさせてくれるの?」

 

「えっと、これで少しでも癒されてくれるなら・・・」

 

「じゃあもふもふもしちゃおうかしら?」

 

「っ!ど、どうぞ」

 

「ふふっ、冗談よ。さて!それじゃあココアと仲直りしてくるわ!」

 

「!!」

 

「なんだか分からないけど、避けられてるの結構キツかったの・・・けどエリア君が勇気見せてくれたんだから、今度は私の番!

 

大丈夫!お姉ちゃんに任せなさい!!」

 

腕を組むそのポーズはよく知ってる、あの少女と同じ頼もしさを感じていた。

 

その時、カラン♪カラン♪、店のドアが開いた。

入ってきたのは・・・

 

「うぇるかむかもーん」

 

「「何」」

 

「ようこそ木組みの街へ」

 

狂気を感じる兎の被り物をした謎の人物の挨拶からの

 

「サプライズパーティーの!」

「始まりだよー!」

 

パァン!!

 

チマメ隊によるクラッカーが発射された。

 

・・・

「はぁ~千夜知ってたの?」

 

「えぇ、朝ココアちゃんが連絡があったもの」 

 

千夜の言うココアからの連絡・・・それは元気のないモカを励ますサプライズパーティーを行うということだった。

 

モカの元気のない理由はココアではあるが、ココアが避けてた理由も自分のモカに甘える姿はチノの姉としては恥ずかしい、と思ったからなのだからおあいこではないだろうか・・・

 

他のお客さんもいないので、カウンター席に二人座ってパーティーの様子を見ている。

 

「言ってよ・・・そしたらあんな熱弁しなかったよ・・・」

 

「いいじゃない、かっこよかったわよ?」

 

「そんなことでしょ・・・」

 

「それにしてもエリア君がココアちゃんみたいになりたいなんて・・・知らなかったわ、今度から一緒に学校いきましょうね?」

 

「そうじゃないよ、ただいつだってココアからは笑顔と勇気を貰ってるからさ、そういったところは尊敬してる。俺もそうなりたいって思ってる。

 

それで俺がそう思うみたいにココアもモカさんに対してそう思ってるんじゃないかなって」

 

「だからあんなに話したの?」

 

「うん、その気持ちがすれ違ってたりしたら、嫌だから。そう思ったら必死だった。」

 

「そう・・・」

 

少し、シュンとする千夜、それに気づいて

 

「どうしたの?」

 

「!、えっと!そういえばなんで昨日から今日でエリア君いつもの調子に戻れたのかなって!さっきなにかに気づいたからって言ってたじゃない?」

 

慌てて取り直して、聞く。

 

「あー・・・それか」

 

少し気まずそうなエリア

 

「話しづらかったら話さなくてもいいのよ?」

 

「・・・いや、話すよ。そのためにはまずここから話さないとね・・・」

 

覚悟を決めて、一息ついてから・・・

 

 

 

 

「俺の母親、俺が小学生の時に病気で亡くなったんだ」

 

 

 

 

「・・・え?」

 

「必死に治療して、なんとか生きようとしてた。けどダメだった」

 

ジッと手を見る。

 

あの日・・・母親が死ぬ前日、入院する母の手を握った時まだ暖かったのを覚えている。

 

そして・・・動かなくなった母の手は恐ろしく冷たかった。

 

それ以来、誰かと触れ合うのが怖くなっていた。

その暖かさを知ったら、失った時のことを思い出すから

 

「俺の母さん、なんていうかスキンシップ多い人だったんだ。テストで100点とったらハグしてきて、出掛ける時とかずっと手つないでたんだ。ちょっと恥ずかしかったけどね。」

 

そして、いつだって言っていた

 

『いい?いつだって上を見て凛と立つのよ。そしたらきっと彩りある人生になるんだから!』

 

自分の名前の由来をいつだって楽しそうに。

 

「母さん、俺が生まれる時男か女か聞かなくて・・・母さんは女の子だって思っててさ上凛(えり)ってつけようとしたんだって。

 

それで実際生まれたら男だったから慌てて彩をつけて、上凛彩(えりあ)なったんだ。」

 

笑えるでしょ?と話す彼は普段では見ない・・・悲しい笑顔だった。

 

「それで、話は戻るんだけどさ、母さんとモカさんは似てないし、歳だって全然違う・・・けどさ、なんかモカさんに撫でられたりもふもふ~って言われて抱き締められたりしてたら、なんか思い出したんだ。母さんのこと」

 

触れられた時、抱き締められた時、感じる暖かさを思い出した。

思い出すまで、忘れていた。

 

「なんで・・・なんで忘れてたんだろう。」

 

あんなに大好きだったのに

 

「前にチノちゃんに忘れる方も悲しいって言ってたの、こういうことなんだよなぁ・・・ふとしたときに思い出しても、もういないんだもん。」

 

だから忘れられない努力をしないといけないとあの時伝えた。

 

けど、母が忘れられない努力なんてできるわけないじゃないか、だってもういないんだから

 

「だからそれに気づいて、もう忘れたくないって思ったんだ。

 

恥ずかしいけど、もう二度と離したくないって思ったんだ。」

 

スキンシップを受け入れるようになったのはこれが理由

 

前を向くエリア、視線の先にはケンカしてからハグして仲直りをするモカとココア

 

「だからエリアくんはモカさんとココアちゃんのために?」

 

「・・・うん、自分とダブらせてたのはちょっとあったかも」

 

この話題の前に話していた気持ちは本当、そして今のも本当

 

これがきっかけで二人が離れてしまったら・・・なんてあるわけないのに考えてしまった。だから離れないように繋げようとした。

 

「どんなものだって一瞬で壊れる、

 

 壊れないものなんてない、

 

 明日には失くなっててもおかしくない。

 

 けど、本当に怖いのは失ったことを忘れることなんだ」

 

自分はそれが痛いほど分かってしまったから・・・

 

「もう忘れたくない。

 

 これまでも、ここで過ごす毎日も、今この瞬間も、これからも

 

 何一つ」

 

嘆きにも聞こえるそれはひどく悲しかった。

 

「ごめんね千夜、こんな話して・・・千夜?」

 

ギュッ!

 

痛いくらいにエリアの手を握る千夜、その瞳には溢れんばかりの涙が

 

「・・・なんで千夜が泣くのさ」

 

「泣いて、ないわ」

 

「はい」

 

ハンカチを手渡す。

そのハンカチを受け取り、涙を拭うがまた溢れてくる。

 

「私、なにも知らないのに、簡単にエリア君にずっと一緒っていってた。エリア君がどう思うなんて・・・考えもしなかった。」

 

「それは俺が話さなかったからだよ。それに、そう言って貰えたときすっごく嬉しかったんだよ?」

 

この先どうなるのかなんて分からない、

 

後2年もすればエリアはここを離れる、

 

ずっと、なんて無理かもしれない・・・だけど

 

「言葉にして千夜が伝えてくれたから、俺に直接届いた。

 

 ずっと一緒にいたいって思えたんだ。」

 

そう思えたから・・・君から言葉を交わすのに壁を感じなくなった。

 

君のためになにかをするのに、恐怖はなくなった。

 

君から貰った優しさを受け取れるようになった。

 

そして君から皆に広がって、こうなりたい自分を見つけられた。

 

「全部が全部とは言えないけど、俺が変われたのに千夜の存在はすっごい大きいんだ。千夜が俺の心に寄り添ってくれてたから」

 

それが真実なんだ。

 

だからきっと暖かいこの街に、この店に、この家に、皆の元に

 

「ずっとここにいたいって、思えるんだ」

 

だから泣かないでよ千夜、と告げたが・・・千夜が更に泣き出すのは当たり前だった。

 

・・・翌日、ラビットハウス前

 

「もう帰ってしまうんですね」

 

「まぁ、またフラっと来るから」

 

ココアとチノ、そしてエリアがモカのお見送りをしていた。

 

水を差すようで悪いのでは?と思ったが、ココアからどうしても来てほしいと言われたので来た。

 

「ココアもたまには帰ってくるのよ。」

 

「でもチノちゃんとエリア君が寂しがるからなぁ・・・」

 

「私を引き合いにださないでください!」

「んー、俺は寂しいかも」

 

否定するチノと肯定するエリア

 

「!、エリア君がデレた!」

 

「ただの本心だよ。チノちゃんも素直にならなきゃ」

 

「そ、そんなことありません!」

 

「そうだよー、チノちゃんったらー」

 

「もうココアさんなんて知りません!」

 

そういって仲良くケンカする二人を見て微笑むモカ

 

「どうしたんですか?」

 

「ふふっ、もう私の真似をしたお姉ちゃんじゃなくて、本当のお姉ちゃんになったんだなって思ったの」

 

「・・・そうですね」

 

「エリア君は、お兄ちゃんにはなりきれないけど、末っ子でもない、真ん中の子よね。」

 

「そうなんですか?これでも成長した方なんですけど?」

 

「そうだよ。それに女の子泣かしてるようじゃまだまだ」

 

「あはは、昨日のことは反省してます・・・」

 

あの後あの場にいた全員に攻められたのだ、めちゃくちゃ反省している。

 

「だからね?」

 

ナデナデ・・・エリアの頭が撫でられる。

 

「もっと大きくなりなさい!

 

ココアはともかく私を越えるのは難しいわよ!」

 

尊敬してるとは言ったが、まさか越えなければならないとは、思わず笑みが溢れる。

 

「ふふっ・・・はい!頑張ります!」

 

「それに、自分の近くにいてくれる子を大切にすること!」

 

「それは言われなくても、しっかりします。」

 

「よろしい!」

 

そうしてモカは帰っていった。

 

・・・ラビットハウス

「そういえばモカさん、最後にラテアートをしていたみたいです。」

 

「初めてなのに一生懸命作ってくれたんだろうなぁ・・・って私より上手い!」

 

ココアの手にあるラテにはきれいな花が描かれている。

 

「?、これはエリアさんにでしょうか?」

 

「俺にもあるの?」

 

エリアに手渡されたラテには・・・

 

「あっはっはっ・・・これはすごいな」

 

嬉しそうにカップを眺めるエリアに、

 

「あ!そうだ!昨日千夜ちゃんに聞いたけどエリア君の憧れって私なの?それが聞きたかったんだよー」

 

「!?えっちょっそれは・・・」

 

「!?エリアさん大丈夫ですか?もしかして体調が優れないとか」

 

「チノちゃんひどい!それでエリア君、本当に私が憧れなの?お姉ちゃんって呼んでもいいんだよ!」

 

「それは違うって・・・ってそうだ!誰が弟だ!モカさんに誤解されてたじゃないか!」

 

騒がしくなる店内、崩れないようにそっとエリアが机の上に置いたカップには手を繋ぐ千夜とエリアが・・・笑顔で描かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




喫茶店こそこそ話!

モカのラテアートは写真を撮って、千夜に送ったそうですよ。
しばらくお互いそれを待受にしていてそれに気づいたとき二人ともめちゃくちゃ恥ずかしかったとか・・・
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