木組みの街に戻ってきたエリア、久々に会った友達、しかしエリアの様子がおかしくて・・・
果たしてエリアは自分の傷と向き合えるのか?
その時、エリアの友達はどうするのか・・・それではどうぞ
朝早めに出た列車が木組みの街に着いた。
列車から降りると・・・
「みんなと過ごした日々は忘れないよぉぉぉ
今まで本当にありがとぉぉ!!」
見知った面子が感動のお別れを迎えていた。
・・・
「そうか、今度はココアが帰ったんだ。」
エリアと入れ替わりで今度はココアが帰省するそうで、駅でみんながないていたのは、お別れが寂しいから
「そうなの。でもエリア君たらひどいわ!出発の時間も教えてくれないんだから!」
「ごめん、都会だからさ、時間かかるから早めに出たんだ。」
帰ってきた甘兎庵、店主から今日は休みなと言われたので席に座って久しぶりの和菓子を楽しんでいた。
「はい、これ新作のココアぜんざいにココア団子、それからココア最中よ。」
「?、ココア多くない?」
「そうなの、実は新サービスを始めようと思って」
そういって千夜が見せてくれたチラシには、
『季節外れのココア祭り』
と書かれている。
「ち、千夜?この甘兎庵は抹茶を捨てるって・・・」
「ふふふ、ココアちゃんがいないならココアを作ればいいじゃない」
「千夜ぁ!?」
驚異のココアロス!千夜の瞳が真っ黒に染まっていた。
・・・
なんだかんだでおいしくココア和菓子をおいしくいただいた。
「けどこの調子じゃ皆ココアロスになってそうだね。」
「そうかもしれないわね、そういえばなんだけど」
「ん?」
「どうだったのエリア君は?メールもなにも返ってこなかったんだもの・・・心配してたのよ?」
ズキンッ、胸が痛む。
「・・・ごめん、色々あってさ」
言えなかった、言えるわけなかった、なにも覚えてないのだから
「そう、ならなにも聞かないわ・・・」
「・・・俺部屋に戻るね。ご飯の時はちゃんと戻るから」
・・・その日は一歩も外に出なかった。
翌日
「実はね昨日エリア君が部屋に戻ってからチノちゃんが来たの」
朝ごはんを食べながら話す。
「今リゼちゃんったら鬼軍曹になってるみたいでチマメちゃん達に厳しくしてるみたいで、よかったら一緒に見にいかない?」
「いや、さすがに今日はお店に「おばあちゃんから今日も休みなって連絡預かってるわ」で、でも」
「昨日一日外に出てないんだから、ちゃんと日の光浴びないと萎びちゃうわ。行きましょう?」
「いやだから俺は「それにシャロちゃんも来るのよ」千夜!」
思わず、大きな声が出た。
千夜がこちらのペースに乗せるために矢継ぎ早に声をかけることなんてよくあることなのに・・・何故か
「っ!?・・・」
「え、エリア君?ごめんなさい、そんな気分じゃなかったの?無理に誘っちゃったわ。今日は・・・」
「いや、こっちこそごめん。行こうかな、ラビットハウス・・・」
「うん・・・」
・・・
ラビットハウスに向かう途中、シャロと合流したがエリアと千夜の二人に会話はなく、ただただ歩いて、目的地に着いた。
「間違いが二つもあるぞ!」
店内では話に聞いた通り、リゼが鬼軍曹となり、ビシバシと中学生組を指導していた。
「エリアさん、どうぞ」
エリアの元に注文していたアイスココアが届いた・・・大量に
「ち、チノちゃん?こんなに頼んだっけ?」
「!、ごめんなさい!ココアさんロスで」
「本当にあったよココアロス」
やはり皆どこかしら調子が悪いらしい・・・そんな症状がないのはエリアだけだ、この夏一緒に過ごしていなかったエリアだけ。
「ほら、これこの間の山に遊びに行った時の写真よ。」
シャロから山に遊びに行った時の写真を渡された。
「へぇ・・・ん?これ誰だ?」
その写真にはとても素敵なお姉さんのような人が写っていた。
「ふふっ、エリア君もそういうのね・・・それココアちゃんよ。チノちゃんが撮ったのよ?」
「本当に奇跡の1枚よね。チノちゃん天才だわ」
「そ、そんなことはないです。そういえば、この間お店で撮った写真も現像できたんです。」
そういって今度はチノが写真を見せてくれる。
トリックアートの写真や、ティッピーがムキムキな写真など、どの写真もとても楽しそうだった。
「へぇ・・・お店で撮ったんだ。」
「はい、最近写真にハマってるんです。ぜひ今度エリアさんも」
「う、うん。俺でよければ」
机に広げられた写真の数々、どれもこれも楽しそうだ。
もしも自分が帰ってなかったら、この中に自分もいたのだろうか?
男一人だから少し遠慮しつつも、山遊びを楽しんでいたかもしれない
奇跡の一枚を撮るために、色んなことをしていたのかもしれない
皆と笑いあえていたのだろうか。
けど、その輪の中に・・・自分はいなくたっていいんじゃないか?
現に自分がいなくても皆は楽しんでるじゃないか。
・・・帰る場所もない、自分なんていなくたって同じだ
「エリアくんっ!」
「!、千夜?どうしたの?」
「大丈夫?ずっと写真もって止まってたから心配したのよ。それと話聞いてた?」
「ご、ごめん聞いてなかった・・・どうしたの?」
「もう!このうさぎよ!」
「こ、これ?」
見せられたのはチノのうさぎのぬいぐるみ
眼帯を着けているが愛嬌たっぷりの可愛いうさぎだ。
「これね?リゼちゃんの手作りで、いまから皆でリゼちゃんにおしえてもらってお揃いのぬいぐるみを作ろうって話してたの。エリア君も一緒にしましょう?」
「・・・俺はいいや。不器用だし」
そうだ自分は不器用なんだ、器用になにかこなせたことはない。
「なんだそんなことか、安心しろ、できるまで付き合ってやるから」
「私たちも手伝うわよ。ね?チマメちゃん達?」
「もちろんです!」
「まかせろー!」
「がんばります!」
だからこの優しさにだって最初は上手く答えることができなかった。
「ごめん、やっぱり俺はいいや・・・」
それでも、ここに来て自分は少しは変われたんじゃないかって思ってた。
あの家に行ったって、なんてことなくなってて、伯父とももっと話すことができて、父さん母さんにも笑顔で沢山話せるようになってるんじゃないかって・・・思ってた。
「・・・まだ疲れてるみたいだから、帰るね。また」
けど、無理だった。
バタン、ドアが閉まる。
「どうしたんだ?あんなエリア始めて見たぞ」
「私もです。ねぇ千「ごめんね、皆!私行かなきゃ!」ちょっと千夜!?」
千夜がエリアの後を追い、駆け出す。
・・・
「待ってエリア君!」
もう遠くに行ってしまっていた背中に声をかける。そうしたら、ちゃんと止まって振り返ってくれた。
「!、千夜、どうしたの?ぬいぐるみ作るんじゃないの?」
「はぁ・・・はぁ・・・そんな顔のエリア君ほっておけないわ。」
「ごめんね、送るからラビットハウスに戻ろう?」
「そうしたらエリア君も一緒にいてくれる?」
「・・・ううん、俺は帰るよ。」
「それなら、私も一緒に帰るわ。」
「・・・なんで」
「だってエリア君がいないと楽しくないもの。もちろん皆と遊ぶのは楽しいわ、けどやっぱりエリア君もいないと。」
「俺がいなくたって、大丈夫だよ。」
「エリア君?」
こちらを伺う千夜、きっと本心から心配してくれているのだろうな。
ここを出る時だってきっと千夜にちゃんと言ってたら、見送りに来てくれただろう。
ここに帰る時間だって伝えていたら、迎えに来てくれてたのだろう。
彼女は優しいから、けど・・・
「俺は、自分の願いのために人の優しさを利用して、それが違うって分かったら捨てて・・・もういいんだ。」
その優しさは自分にはもったいない。
「前に皆のおかげで俺は変われたって言った。けど俺はまた元にもどってしまった。俺は変われないんだよ。」
自分を守ろうとしてくれた叔父を自分の私利私欲のために利用した
利用して掴んだものが自分が望んでいたものではなかったら捨てた
自己中心的で身勝手で愚かで・・・
「もう俺に関わらないでくれ、俺は皆に優しくしてもらえる価値のある人間じゃない。」
なんてなにもない人間なのだろうか。
「エリア君どうしたの?
とにかく一度戻るか、帰るかして落ち着いて話しましょう?」
明らかにいつもと様子が違うエリア、とにかく落ち着かせなければならないと声をかけたが・・・
「・・・ごめん」
そのまま走り去る、その後ろ姿を千夜は再び追うことができなかった。
千夜とエリア、帰る場所は同じだが・・・今二人の想いが掛け違って、引き裂かれたような気がした。
・・・ラビットハウス
「あっ千夜、エリアはどうなったんだ?」
「・・・帰っちゃったわ」
「!、あんたなんで追いかけてないのよ!」
「今のエリア君に私の声は届かないわ」
「そんなのっ、あんたこの間ちゃんと向き合うって言ってたじゃない!」
「落ち着けシャロ!」
「・・・大丈夫よ、シャロちゃん。あの時の言葉に嘘はないわ。」
あの時とは違う、真っ直ぐにシャロを見て話す千夜
「!・・・ならなんで戻ってきたのよ。」
「今のエリア君には届かないわ、さっきエリア君かなり傷ついた顔をしてた。今やみくもに話しても、かえって傷つくだけよ私もエリア君も」
「・・・そこまで分かってて引いたのね。それでここまで戻ってきた理由はなんなの、今でこそエリアの近くにいてあげなさいよ。」
そう言われた千夜は・・・
「お願い、皆の力を貸してほしいの。」
頭を下げた。
「ちっ千夜さん!?」
「あんなエリア君初めて見たの。
自分に価値がないから関わるなって、なにがあったかはしらないけど心が傷だらけで痛いのを我慢してるの。
そこに更に新しい傷を作って今の痛みを忘れようとしてる。」
そんなの苦しいだけだ。
「今のエリア君を助けるには、それこそココアちゃんみたいに、人のことを応援して、励ますような力がいるわ・・・
でも、今ココアちゃんはいない。私がやらなきゃいけないけど、私だけじゃ今のエリア君を助けることはできないの・・・」
それがたまらなく悔しい、大切にしたい彼は今傷ついているのに。
なにもできないことが・・・悔しい
「それでも・・・私はエリアが信じてくれた自分になって向き合うって、あの時決めたの。
だから目を背けたくない、お願い!皆の力を貸してほしいの!」
シン・・・と店内に静かになる・・・そしてその沈黙を破るのは、
「この・・・おバカ!」ポコッ!
エリアと千夜、この二人のことをずっと見続けてきたシャロ
「ここまで散々巻き込んで振り回してたくせに今更力をかしてほしい!?」ポコポコッ!
かなり怒っている様子で、千夜を軽く叩いている。
「!、ごめんなさいシャロちゃん・・・でも「当たり前でしょ!」!!」
「本当に今更なのよ、頼まれなくたって最後まで付き合ってやるわよ。」
「シャロ・・・そうだな、私たちは振り回され隊だ。この際だし、とことん振り回されてやるよ。なぁチノ」
「はいっ!まだエリアさんにコーヒーを美味しいって言ってもらえてないんです。これで終わりにはさせませんっ!」
「えぇ!?チノもその振り回され隊なの!?ずるい!私も入りたい!」
「私とマヤちゃんも入隊希望するよっ!」
「いいだろう、ついてこい!そして今回の作戦の司令官は千夜だ!」
「私!?」
「当たり前よ、誰が一番エリアのことを助けたいのよ。」
「シャロちゃん・・・うん、私頑張るわ!」
「あ、あのさっきココアさんはいないからって言ってましたが、連絡してみませんか?」
おずおずとチノが手を上げる。
「なるほど、ココアに連絡して助言を求めるのか」
「ココアさんも今の状況を知ったら心配すると思います。
『私たち』の中には、エリアさんもココアさんもいなきゃダメです!」
「そうね。エリア君の憧れだもの。ココアちゃんへの連絡、お願いしてもいいかしら?」
「任せてください!」
「さて、じゃあ他のメンバーはどうするか考えようか。」
各々自分にできることを考え始める。
「(ねぇエリア君、今貴方のためにこんなに動いて、考えてくれる人がいるのよ?これで価値がないなんて言わせない、これで終わりなんて、絶対にさせない。)」
あの時決めた、向き合って、ぶつかって、甘やかすと!
「覚悟してねエリア君・・・ドロドロに甘やかしてあげるんだから!エリア君助け隊・・・結成よ!」
喫茶店こそこそ話
状況を知ったココアは戻ってくるのを早める!と言い出したそうですよ、皆で一生懸命止めました。