ココアと千夜の文化祭当日
「これが文化祭・・・!」
チマメ隊とリゼとシャロの5名が文化祭に訪れていた。
自由性が高い高校なのか、出店や仮装をしている学生が多く見られた。楽しそうな雰囲気にワクワクしていた。
そんな五人、途中でティッピーの被り物を被ったココアと遭遇し、ココア達のクラスの出し物へと案内してもらった。
「すごい活気だよな、ウチとは全然違う」
「ここに来るまででもすごく楽しそうでした。」
「えへへー、でしょ?ほら、ここだよ!ラビットハウスのバータイムをモデルにしたビアホール!」
きらびやかな教室は活気づいていた。
「オーナーの千夜です。皆楽しんでるかしら?」
「あぁ正直想像以上だよ」
「ウチとは大分違ってて見所でいっぱいね。」
ココアは一同を席に案内した後、他のお客さんへの対応に戻った。
「あっちこっち気になるところがいっぱいだよ~!」
「そうだね~・・・あれ?そういえばエリアさんは?」
そこでマヤとメグがこの場にいるはずだったエリアがいないことに気付く、二人はてっきり先に来ているものなのだと思っていたのだが・・・
「あっ、エリアさんは・・・」
「そうだ、エリア大丈夫なのか?」
「・・・まだ熱下がってないの?」
チノ、リゼ、シャロは先日、千夜にかかってきた電話の内容を聞いていたので、心配していたようだ。
「・・・うん、ここ数日寝たきりみたいで」
・・・ここで時が少し戻る、千夜におばあちゃんからの連絡が来た時に・・・
「はぁっ、はぁっ」
「ちょっと千夜!落ち着きなさい!」
「だって!エリア君が!」
帰路を急ぐ千夜と追いかけるシャロ、他三人は店があるため来ていない。
おばあちゃんの電話では、学校から帰ってきて着替えて店にでてきたと同時に倒れたらしい
原因は明らかな過労である。
カラン!カラン!
「おばあちゃん!エリア君は!?」
「店には静かに入ってきな!奥で寝てるよ。行ってやりな。」
・・・エリアの部屋
「はぁ・・・はぁ・・・」
荒い息づかいで寝ているエリア、顔も真っ赤で汗もかいているようだ。
「エリア君・・・どうしよう・・・」
布団の近くに座る二人
「そんな顔しないの、さっきおばあちゃんが疲れから来る熱だから大したことないって言ってたでしょ?」
「だけど、エリア君が倒れたのは私の「ストップ」!」
「それ言ったらエリアはなんのために頑張ってたのよ。」
「!!、そうね・・・」
「それに今回は明らかに無理をしたエリアが悪いわよ。」
「シャロちゃんそんな言い方「あるわよ」シャロちゃん?」
「前にあった時は元気だったのに・・・こんなになる前になんで相談しなかったのよ。ほんとバカなんだから」
エリアに気をかけていなかったことを後悔している様子のシャロ
「シャロちゃん・・・」
「・・・私もだけど、エリアがこうなったことは皆後悔してる。けどなったのは仕方がないと思うわ。誰が悪いとかじゃない。」
千夜が文化祭で忙しくなり始めた頃にエリアに会っていたシャロ、その時は体調が悪そうではなかったといえど、それでも後悔が残る。
きっと今、エリアの状況を千夜から聞いて知っていたココアも同じ気持ちだろう。
そしてエリアも自分の身を省みずに働いた、周りの気持ちが少し見えなくなるほどに、けどそれは千夜の為にだ
その千夜もエリアが任せてほしいと言ったから、お店のことを任せきりにしてしまった。だけどその分、文化祭をより良いものにして、エリア達に楽しんでもらいたかった。
皆誰かを想い合っている、誰も悪くないのだ。
「だから千夜、あんただけは絶対に言葉にしちゃダメ。エリアの頑張りは誰のためか、分かるでしょ?」
「・・・そうね」
「今日は看病してあげましょう?」
「えぇ・・・じゃあネギとニンニク買ってくるわ」
「・・・だからそのおばあちゃんの民間療法はやめなさい」
・・・そして、数時間後
「ん・・・うぅ・・・」
「!、エリア君!」
エリアが目を覚まし・・・視線が二人の方を見る。
「?千夜にシャロ?・・・っう!?」
口を抑えて、嘔吐くエリア
「わわっ、これ使いなさい!」
シャロがあわてて洗面器を差し出す。
「おぇっ・・・うぅごめん・・・」
「仕方ないわ、他に苦しいところはない?」
エリアの背中を優しくさする千夜、体調を気遣うが・・・
「それは大丈夫・・・って!千夜!?ここにいちゃダメだ!風邪うつっちゃ!・・いつつっ」
エリアは千夜がいることをちゃんと理解したようで、慌てて離れるように声をかけたが・・・途中で頭を抑えた、大声を出して、頭に響いたようだ。
「落ち着きなさい、そんな大声だしたら悪化するわよ。」
「け、けど、今千夜が風邪引いたらダメでしょ?昨日だって遅くまで文化祭の出し物のこと考えてたじゃないか・・・って俺が風邪引いたら明日の店番・・・」
「それなら大丈夫よ、明日は私が出るから」
「っ!それじゃあダメだ!・・・っつ!!?」
また頭を抑える、頭痛がかなり酷いようだ・・・でも落ち着く様子はないので・・・
「落ち着いてエリアく「あーもう!とにかく今は寝て!!話があるなら治してからにしなさい!!」シャロちゃ「後!そんなに言うなら千夜のことはウチで預かってやるわよ!」シャロちゃん!?」
シャロが千夜の手をとり、部屋を出ていく・・・前に
「そこの枕元にある飲み物と薬!汗かいた分水分とって、薬は頭痛にも効くから今すぐ飲むこと!!」
そう伝えてから、部屋を出ていく。
「・・・飲み物と薬って・・・どれのこと?」
エリアの枕元には飲料と薬が大量にあったので、どれか分からなかった。
・・・シャロの家
「ごめん千夜・・・」
「い、いいのよシャロちゃん!」
シャロが千夜に謝っていた・・・いくらエリアを落ち着かせるためとはいえ、心配している千夜をエリアから引き剥がすのはやりすぎたと感じたのだ。
「けど・・・」
「いいのよ、こうしないとエリア君落ち着かなかったと思う。それから今家に戻ったらまた慌てると思うから、本当にしばらくお世話になってもいいかしら?」
「!、いいわよ!ボロくて狭いけど、最高のおもてなしを約束するから!」
「お、お構い無く」
・・・場所戻ってエリアの部屋
「・・・ましになってきたな」
薬の山から頭痛に効くのを探して、飲んで、少し横になっていると落ち着いてきた・・・
「あー・・・やってしまった」
落ち着いてきたら、今度は自分のやらかしたことが分かってきた。
まず、店主が止めるのを効かず働いたこと
「これは説教だろうな・・・」
二つ目、その結果倒れてしまったこと
「皆に心配かけた」
そして三つ目、千夜に対する態度だ
「さっきのはなかった、やってしまった」
いくら千夜の身を案じていたから・・・とはいえ、追い出そうとしたのは間違っていた。
だが、こうして自分がやったことと、それに対しての周りの反応を冷静に振り替えることができているのは成長である。
心配されている自覚がないとできないことだ。
「謝らないと「エリア君、起きてる?」!?千夜?」
出ていったはずの千夜、部屋の外から話しかけているようだ。
「シャロちゃんの家に暫くお世話になるから着替えを取りに来たの。」
「そっか。・・・さっきはごめん。」
「いいのよ、エリア君がなんであぁ言ったのか、分かってるから・・・大丈夫よ。」
「・・・」
「・・・そろそろ行くわね」
少しの沈黙、そして千夜はシャロの家へ
どっちも悪くないのに、少しの罪悪感が残った。
結局文化祭当日までエリアの熱は下がらなかった。薬を飲んだら熱は下がるが、すぐにぶり返えす、それを繰り返していて、エリアはかなりしんどいそうだ。
千夜もその様子を見ていないから、分からない。
おばあちゃんから聞いただけの話。
千夜もエリアの思いを汲んで、甘兎庵へは仕事以外では寄らず、シャロの家で過ごした。エリアのために用意した招待状は、渡せていない。
・・・そして舞台は文化祭、千夜とココアの店に戻る。
「そっか、あの時からずっと体調崩してたのか・・・」
「うん、看病はおばあちゃんとお父さんに任せきりだから私も今朝知ったの。だから連絡できなくてごめんなさい」
「気にするなよ。こっちからも連絡すればよかったな」
「私もです・・・今度お見舞いに行ってもいいですか?」
「えぇ、来てあげて、喜ぶわ」
「千夜は?大丈夫なの?」
マヤからの質問に少し驚く。
「!」
「そうだね、マヤちゃんの言う通りだよ。千夜さんも大丈夫?エリアさんのこと心配ですよね?」
「千夜・・・」
マヤとメグからの質問にシャロまで気まずくなってしまう。
だってそれはシャロが一番心配していたことだったから。
だけどそれを聞くことはできなかった、なぜなら
「・・・うん、本当はすごく心配なの。」
それを聞いたら、抑えていた気持ちが溢れるから
「エリア君が苦しんでるのに近くにいれなくて・・・辛いの」
気持ちが溢れてしまったら、エリアの気持ちを裏切ってしまいそうだから
本当ならずっと自分が看病してあげたい、近くにいてあげたい。
今日だってここに来てほしかった。エリアにも楽しんでもらいたかった。
「けど、なにもできないの。エリア君の気持ちを裏切るのが怖い」
以前と違い、エリアの気持ちに踏み込むのが怖いのではない。
エリアと向き合い続けた結果、エリアから向けられるようになった気持ち、優しさ、想い、それを裏切るのが怖い。
今までは千夜が向けていて、エリアが受けていた形が逆転し、生まれた気持ち
「エリア君が私の為に頑張ってくれてたのは分かってるのに、本当に私はなにもできなかったのかなって、なにかできたんじゃないのかって後悔ばっかりで・・・でも私が今離れるわけにはいかないから、なにもできなかったの・・・」
賑やかな店内、それに反して千夜の瞳から涙が溢れていく。
今までずっとずっと耐えていた気持ちが溢れてしまった。
「千夜・・・ごめんなさい!」
「私もごめんなさい!」
思わずマヤとメグが涙ながらに謝る。
そんなつもりじゃなかった、ただ心配だったから
「さ、三人とも落ち着いてください!・・・うぅ」
「そうよ!そんな泣かれたら、私も・・・うわぁぁん!!」
「チノ!?シャロ!?お前達にまで泣かれたら私はどうすれば!?」
しまいには全員泣く始末
「!?みんなどうしたの!?」
そこに、接客していたココアが戻ってきた。
「ココアー!!/ちゃん!!」ダキッ!
耐えきれず全員ココアに抱きついた。
「わわっ、ご、ごめん皆!一旦外回って行ってくるね!」
クラスメイトもその状況を見て、異常を感じたのか一同を送ってくれた。
・・・文化祭、和風喫茶の出店
「そっか、皆エリア君のことで泣いてたんだね。」
お団子を注文し、泣いていたメンツに配るココア
「でも心配だよね。あっそうだこの後皆でお見舞いに「それはさっき私が言いました。」そうなんだ。」
折角の提案もチノによってバッサリカットされた。
「んー・・・なにかできないかな、頑張ってくれたんだからご褒美あげないとね!」
「ご褒美?なんでご褒美なんだ?」
「え?だってエリア君は千夜ちゃんの為に頑張ったんでしょ?それで千夜ちゃんは文化祭のことに集中できたから、出し物も上手くいったんでしょ?だからお礼がしたいし、頑張ったご褒美をあげたいの!」
本当だったら今日ここでしたかったんだけどねー、とお団子を頬張りながら、なにをするのかを考えているココア
そうだ、その通りだ
「私、今のエリア君をどうするのかしか考えてなかった。」
ただ今のエリアの気持ちを裏切りたくない、けどなにもできないのは辛い・・・としか考えれていなかった。
お祭りの時に、エリアはこれからを望んでくれていた。
だったら、自分もそうすればいいじゃないか。
自分がここでエリアにやってあげたかったことを今ではなく・・・
「あのっココアちゃん!それに皆も!」
エリアを喜ばせたい皆で・・・これからすれば!
喫茶店こそこそ話
千夜の提案したことには皆大賛成、クラスの皆にも事情を話したら喜んで協力してくれたそうですよ。