緑茶風少年   作:アユムーン

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今日はハロウィーン、あの世の人たちがこちらに来る日でもあります。

様々な霊がいらっしゃいますが・・・中には残してしまった家族に会いに来たり、迎えにきたりしてる霊もいたり?

今回のお話は少し不思議なお話、ご一読ください。


ハロウィーン本番と彼の後悔

ハロウィーン本番、皆仮装して街でお祭りです。

 

子ども達はいく先々で「トリック・オア・トリート!」とお菓子を貰い、とても楽しそう。

 

大人達もそんな様子を見て嬉しそうな顔をしながら、お祭りを楽しんでいます

 

・・・街はいつもの町並みとは違ってまるで異世界に来たかのような雰囲気、そんな中で我らがエリアは・・・

 

「ここ、どこだ?」

 

迷っていました。

 

・・・

 

皆で仮装してお祭りに行こう、そう約束した一同は待ち合わせをしましたが、エリアはそこに向かう途中道に迷ってしまいました。

 

ちなみにエリアの仮装はうさみみにトレンチコートと帽子で怪盗ラパンのキャラクター警部の仮装、ラパンに扮した千夜とペアになっています。

 

「んー・・・街は結構知ってたつもりだったけど、こんなところ来たことないぞ?」 

 

辺りを見回してみますが・・・やっぱり知らない場所

 

実はさっきまでココアと一緒にいたのですがティッピーによく似たうさぎを連れた女性に手品の弟子入りをして、どこかに行ってしまいました。

 

「しょうがない、連絡するか。」

 

携帯を開くと・・・

「?圏外になってる・・・時間は分かるけどこれじゃあ時計と変わらないな」

 

そう言って携帯をポケットにしまおうとした時・・・ツンツンっ!

 

「!誰!?」

 

背中をつつかれた、慌てて後ろを振り返ると・・・

 

「!!!」ピョンピョン!

 

赤ずきんに兎の耳をつけたような仮装の女性がいました。頭巾が大きく、目元は隠れていますが見える髪はエリアと同じ色をしています。

 

エリアより身長は小さいですが、感覚的に年上だ、と感じたエリア。

 

喜んでいるのかなんなのか、ピョンピョン跳び跳ねています。

 

「・・・!、って人だ!!あの!道を聞いてもいいてますか?・・・ってとこなんですけど」

 

その女性にどことなく見覚えがある感覚がしましたが、ようやく会えた人、帰り道を聞いてみるが・

 

「???」

 

「えっ?分からない?」

 

何故か喋ってくれない女性、ジェスチャーでなんとなく伝わってきたので翻訳していく。

 

「・・・!!」ガシッ

 

「?、なにを・・・!!」

 

女性は少しなにかを考えから閃いたのか、エリアの手を握って走り出す。

 

その頃ココアと千夜を待つ千夜達は・・・

 

「ダメね、二人とも携帯圏外で繋がらないわ」

 

千夜が二人に連絡しようとするも、どちらにも繋がらない

 

「ココアさんは寄り道かもしれませんが、エリアさんがそんなことするとは思えません・・・なにかあったんでしょうか?」

 

合流したチノも心配そうだ。

 

「探しにいくか、まるで二人がお宝みたいだな」

 

この三人はラパンの仮装中で気分は怪盗、三人はエリアたちを探しにいくことになった

 

「ちょっと私も行くわよー!!」

 

おっと失礼、警官の仮装をリゼと交換したシャロも探す。

 

・・・再び戻って、エリアと女性は暫く走って、橋の上につきました。

 

辺りが暗く、明かりが少ないせいか、橋の下はよく分かりません。

 

「はぁ、はぁ・・・あの!一体なにを!、!?」

 

たくさん走らされたので疲れて、流石に頭に来た様子のエリア、文句をいおうとしましたが、口を塞がれました。

 

「・・・」シーッ

 

空いた片手で口許に人差し指を立てて、静かにするように伝えます。

 

そのままエリアから少し離れて・・・

 

「!!」ジャーン!

 

どこから取り出したのか、フルートを見せてくれました。

そのフルートはどこか見覚えがありました。

 

「そのフルートって・・・!?」

 

「・・・」ニコリ

 

口元が笑った女性、そのまま口にフルートを近づけて・・・

 

『♪~♪~♪~』

 

演奏を始めました。そしてその曲は・・・

 

「俺が好きな曲」

 

何度も聞かせてもらった曲・・・自分と似た髪色、そしてそれを聞かせてくれたのは

 

「もしかして「!!」うわっ」

 

口に出そうとすると、女性は怒って近づいてきました。

人差し指を立ててひたすら静かにしろっと言っているようだ。

 

「もしかして静かに聞かなきゃいけないの?」

 

「!」コクコク

 

エリアが好きな曲を演奏するのが楽しみの様子の女性・・・まずは静かに聞くことにしました。

 

『♪~♪~♪~』

 

懐かしい音に心を落ち着かせる。

 

『エリアは母さんのフルート好きだったよな。それ聞いたら泣き止むくらいに』

 

父から言われた言葉を思い出す。

そう、この音だ

 

耳が、頭が、心が覚えている。

 

 

 

母が聞かせてくれたこの曲を

 

 

 

曲が進むと共に涙が溢れてくる。

どんどん終わりに近づいていく・・・

 

あぁだめだ、終わらないでくれ

 

『♪~♪~♪~』

 

きっとこれが終わったら・・・

 

「・・・めて」

 

『♪~♪~♪~』

 

「やめてよ・・・母さん!!!」

 

『♪~!・・・』

 

演奏が止まった、それと同時に母の体がうっすら光りだす。

 

「なんでなにも言ってくれないの!?演奏なんかじゃなくて俺は!!」

 

・・・

 

母が死んだあの日を思い出す。

 

母が危ないと聞いて、小学校の先生が車を出して病院に連れていってくれた。

 

着いた時に母は既に苦しそうだった。

初めて母の辛そうな顔を見た。

 

今思えばきっと薬の副作用だってあったのだろう。

 

エリアが父と選んだ帽子を渡した時、喜んでいたけど本当は辛かったのだろう、エリアと揃いの髪を母は喜んでいたのに、父にお日様によく照らされた素敵な髪だと言われていたのに

 

それでも母は、エリアに辛そうな姿は見せなかった。

お見舞いに行ったときはいつだって笑顔で迎えてくれた。

 

だからエリアはいつか母は帰ってくるのだと信じていた。

また家族三人で楽しく暮らせるんだと、どこか楽観視していた。

 

母が苦しんでるなんて・・・考えもしなかった

 

苦しむ母に声をかけなきゃいけないのに怖くて声が出ない

 

手を握ってあげたいのに、体が動かない

 

母が好きだと言ってくれた笑顔もできない

 

なにもできなかった

 

・・・

 

「俺謝りたかったんだ!あの時手を握って頑張れって言えなくて!怖くてなにもできなくて・・・・母さんを一人にして・・・」

 

もしもあの時なにか言えていても、なにかできてたとしても、なにも変わっていなかったかもしれない

 

それでもなにもしなかったから母を一人にしてしまった。

 

・・・なのに

 

「なんで俺の顔見て笑ったの!?それよりも前から本当は痛かったんでしょ!?辛かったんでしょ!?」

 

苦しむ母が自分を見つけた時、母は笑っていた。

 

まるで、心配しないで、と伝えてくれているかのように

 

「なにも知らなかったから、母さんはいつか元気になるなんて馬鹿なこと考えてた、また皆で、いれるって!」

 

言葉と涙がつまる、違う違う違う、本当はこんなこと言いたいんじゃない

 

涙を拭う、目の前にいる母を包む光は更に強まり、今にもきえそうだ

 

「・・・っ!」

 

言わなきゃ

 

友だちがたくさんできたんだ

 

少し下を向いて歩いちゃうことはあったけど、今は上を向いて歩けているんだ

 

今自分は・・・幸せなんだ

 

言わなくちゃ、安心させなくちゃ

 

あの時みたいに後悔したくない!

 

「母さん俺っ・・・!」

 

なんとか言葉を捻り出そうとした時、胸に母の頭が、そして背中に腕が回された。その暖かさをよく知っている。

 

昔は自分が包まれるように抱き締められていたのに

苦しいくらい力一杯抱き締めてもらったのに

 

今はもう・・・

 

「母さん・・・母さんっ!!」

 

今はもう自分の方が大きくなってしまった、力だってきっと自分の方が強くなっただろう。だけど堪えられなかった、エリアも母の背に腕を回し、抱き締める。

 

背中に回された腕の力も全然苦しくないのに・・・平気なのに

 

「苦しいよ・・・母さん」

 

胸が張り裂けそうなくらいに苦しかった

 

どんどん母の暖かさが消えていく。

 

「やだっ!嫌だ!一緒にいて!!」

 

どんなに嘆いたって、母は答えない。

あと少し、あと少しと抱き締める力を強めてくれている。

 

「まだ話せてないんだ!俺話したいことがまだたくさんっ!」

 

あるんだ、と言いきる前に・・・スカッ!

 

母を抱き締めていた腕が空を切る。

 

消えてしまった、またなにも伝えられなかった・・・

 

膝まずいて、顔を伏せたその時・・・

 

『母の愛を苦しいとはなにごとかー!なんてね』

 

「!!」

 

懐かしい声がした。きっとこれが最後の言葉

 

母だって伝えたい言葉があっただろうに、エリアを落ち着かせるためだけの言葉を選んだのだ。

 

母を包んでいた光は、母を連れて・・・エリアと通った道を進んでいく

 

「あ、あぁ・・・うぁぁぁぁ!!!」

 

どれだけ手を伸ばしても、追いかけても・・・もう届かなかった




喫茶店こそこそ話

エリアのお母さんはエリアがお見舞いに来たときには痛み止めを飲んで、迎えていたそうですよ。

ほんの少しも心配させたくなかったのでしょうね。

エリアも成長するまで、その事には気づきませんでした。
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