緑茶風少年   作:アユムーン

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投稿遅れて申し訳ありません。ちょっとリアルが忙しく、時間がとれませんでした。

コメントとか感想をいただけたら元気とやる気が出るのでよろしくお願いします。


甘兎組の一存(三人と一匹)

ハロウィーンを終えて数日

 

なんだか慌ただしかった様な気がする数週間・・・一同はなんだか静かに感じながら学校とアルバイトと日常に戻っていました。

 

静かに感じるのも無理はありません・・・

 

「うーん・・・」ピピピッ

 

「測れたわね、どれどれ?・・・んーやっぱり下がらないわね」

 

体温計にはかなりの高熱、割りといつも騒動の中心にいるエリアがまた熱で倒れているからです。

 

「千夜、ごめんね」

 

「大丈夫よ。そうだ、なにか必要なものない?」

 

「んー、大体あるからいいかな」

 

枕元には以前と変わらず大量の薬と飲み物の山がある

 

「そう・・・ならあんこ置いておくわ」

 

横になっているエリアの腹にあんこを置いておく

 

「おおう、重い・・・ってあれ?あんこになんか違和感が「!、大変!もうこんな時間!いってきます!」え?あぁ、いってらっしゃい」  

 

腹に置かれたあんこにジーっと見つめられながら、エリアは千夜を見送った

 

「んー?なにかが足りないような・・・」

 

・・・

 

その日の放課後の甘兎庵

 

「チノちゃんが千夜ちゃんが推薦状のアイデアを書いてみたって」

 

「「「おぉー」」」

 

ココア、チノ、リゼのラビットハウス組と千夜、シャロの甘兎組が集まっていました。

 

推薦状というのは生徒会長選挙の推薦人のためのものです。

 

そして今回、生徒会長に立候補することになったのは・・・

 

「やぁぁ!誉められ過ぎて爆発しそう!」

 

考えてきた推薦状を読み上げるチノを真っ赤な顔で照れて止める千夜です。

 

「そういえば、エリアは?また熱出したんだろ?」

 

「そうなの、今回は前より酷いみたいで・・・」

 

ハロウィーンから数日後、エリアが熱を出した。

 

体を起こせないほどの熱だったので、医者を呼んで診てもらった、診断結果は精神的疲労による心因性発熱とのこと

 

言わずもがなハロウィーンのことが引き金になったのだろう

 

何があったのかは聞いていない、千夜はもちろん皆も聞いていない。

 

お祭りの日、千夜に連れられて皆と合流してエリアの顔はスッキリしたものだったので安心していたのだが・・・

 

エリア自室

 

「まさか数日で高熱出すとは思わなかったわよ」

 

「うん、お見舞いのパンもってきたから元気になったら食べてね。」

 

「うん、ありがとうココア、おいしく食べるね」

 

「いや、パンって・・・」

 

「エリアさん、ちゃんと普通のお見舞いの品もありますからね?」

 

甘兎庵からエリア自室へ皆でお見舞いに来ており、たくさんのパンとフルーツを受け取った。

 

「起きて大丈夫なのか?かなりしんどいって聞いたけど」

 

「さっき薬飲んで、今は楽なんです。またすぐにしんどくなると思うから、今のうちにお話ししたくて」

 

「マヤさんとメグさんも心配していました」

 

「そうなんだ、心配かけてごめんね」

 

「そう思うなら、早く元気になりなさい。ほら、横になって」

 

上体を起こして話していたエリアを優しく押して、横に寝かせるシャロ

 

「わっ・・・心配し過ぎだよシャロ」

 

「エリアが熱出すのは私たちのトラウマなのよ」

 

「トラウマ!?」

 

「そうだな、あの時は皆泣いたし・・・」

 

「ココアちゃんがいなければまずかったかもしれないわね」

 

「え?私なにかしたっけ?あの時頑張ったのはエリア君と千夜ちゃんでしょ?」

 

「本当になにがあったのさ・・・それより千夜、生徒会長になるって本当?」

 

「・・・えぇ、将来の甘兎庵の社長として経験を積もうと思うの。」

 

どこか少し悩んでいる感じがしたが、ひとまず、応援することにした。

 

「・・・そっか、なら応援するよ。なにかあったら言ってね?」

 

「うん、その時はお願いね?」

 

「それで無理はするなよ?・・・さて、あまり長居してもあれだし、私達はそろそろ帰るか?」

 

「そうだね、またね!千夜ちゃん、エリア君!」

 

「マヤさん達には私から伝えておきます。お大事にしてください」

 

「うん、お見舞いありがとう!」

 

「それじゃあちょっと見送ってくるわね?」

 

「うん、お願い」

 

・・・甘兎庵前にて、ココア、チノ、リゼを見送った千夜とシャロ

 

「ねぇシャロちゃんお粥作ろうと思うから手伝ってくれる?」

 

「分かったわ、味は普通に分かるのよね?」

 

「えぇ、できれば卵入りがいいって言ってたわ」

 

「熱だしてもそんなリクエストが言えるようになったのね」

 

「そうね、今も普通に看病させてくれるし・・・甘えてくれてるのかしら?」

 

「千夜限定だけどね。ねぇハロウィーンの時何があったの?」

 

「!」

 

「明らかに今回のエリアの熱の原因はあの日のことでしょ?私は聞きづらいからエリアに聞けてないけど・・・千夜はなにか知ってるんじゃないの?」

 

「そうね・・・知ってるわ」

 

「!だったら「けど」?」

 

「話せないの。それに私も分かってないことが多すぎて言葉にできなくて」

 

あの日会った・・・エリアの両親と思われる二人は、エリアの母親が言葉を最後まで言うと同時に消えた。

 

それからすぐそこにエリアが戻ってくるのかと思ったらそんなことはなく、再び探し始めて、自分が用意したコスチュームを着ていたエリアを見つけ、駆けつけたのだ。

 

「あの日、エリア君はまた迷子になってたの。でも今度は一人でちゃんと帰ってこれた、私はそれで十分」

 

「エリアとちゃんと向き合ってぶつかるんじゃなかったの?」

 

「えぇ、その気持ちは変わってないわ

 

 けど知る必要はないと思うのよ」

 

あの日抱き締めたエリアは冷たくて、震えていた。

 

なにかに激しく後悔していて、自分達に謝っていた。

 

それでもエリアは自分達と進む『これから』を選んだのだ。

 

「さっきも言ったけど、まだ分からないこともあるの。」

 

あの時会ったのは本当のエリアの両親なのか?

 

もし会ったと言うのなら・・・なぜエリアは泣いていたのか?

 

エリアが手に入れたいと思っていたものはなんなのか?

 

「エリア君はそのことを話そうとしてくれないわ

 

 けどそれは、秘密にしたいとか、私達に心配をかけたくないからとかじゃないの・・・もう振り返らないって決めたからなんだと思う。」

 

悲しみも後悔も全て引っくるめて背負い、飲み込み、抱き上げて前を向こうとしている。

 

何一つとして捨てず、前でなく・・・上を見て

 

「私も負けてられないわ」

 

彼はまた一つ一歩進み、進化しようとしている。

 

千夜もまた、それに負けないように進み、エリアの近くにいたいと思っている。

 

「だから生徒会長の推薦受けたの?」

 

「そうね、私自身のステップアップにもなると思ったの」

 

「なら、止めないわ。さ、お粥作りましょ・・・?これって」

 

店内に戻ろうとしたシャロがなにかが落ちていることに気付き、拾いあげる。それは見覚えある小さな王冠

 

「あーっ!!」

 

「!、なによ!?」

 

「あんこの王冠!ここにあったのね!」

 

「これ探してたの?」

 

「昔シャロちゃんから貰ったものだもの、あんこが落としたみたいで探してたの!本当に良かったわ」

 

その王冠は幼い頃シャロが千夜に贈ったものなのだ

 

その王冠に込められた意味は・・・

 

「早速あんこに返してあげましょ」

 

千夜がドアを開ける、その時目に映ったのは・・・

 

「落としたなら店内・・・いや、カラスに拐われた時とか?そうなってくると外かなぁ・・・」

 

あんこを頭にのせて、寝巻き姿でなにかを探すエリアの姿

 

「「えっ!?エリア!?/君!?」」

 

「あ、千夜。朝の違和感分かったんだよ。あんこの王冠がなくてさー「そうじゃなくて!」今は熱もないし大丈夫だよ。」

 

「それでも寝てないとダメでしょ!」

 

「でも、あんこの王冠が・・・」

 

「それならさっきシャロちゃんが見つけてくれたわ。」

 

カポッとエリアの頭上にいるあんこに王冠を装着

 

あんこも心なしか嬉しそうである。

 

「うん、やっぱりしっくりくるね」

 

「全く、病気なのに無理して。王冠探すのなんていつでもいいじゃない」

 

「だって、これあんこが気に入ってるんだよ?」

 

「なんで分かるのよ・・・」

 

「それに千夜が言ってたよ。この王冠はシャロに将来甘兎庵で世界征服するためにもらったって」

 

「そうそう、シャロちゃんとの約束だもの「違うわよ」あら?」

 

「あの時した約束はそうじゃないでしょ。はぁ・・・もう今日は帰るわ」

 

「あっシャロちゃん・・・」

 

バタン・・・シャロが出ていき、ドアが閉まる。

 

・・・エリア自室

 

「はい、エリア君お粥」

 

「ありがとう!・・・ってあれ?」

 

「!、ごめんなさい!卵入れ忘れちゃったわ!」

 

「いや、全然いいよ。けどなんか悩んでる?」

 

いただきまーす、と早速食べ始めながら、千夜に質問する。

 

「・・・うん、さっきのシャロちゃんのことで」

 

「なるほど、千夜とシャロがした本当の約束ってなんなの?」

 

「えっと確か・・・『甘兎できらきらしてる千夜が見たい』って」

 

「なんだ、覚えてるんだ」

 

「うん、でも少し忘れてたかも」

 

「けど、思い出したんだからいいじゃない。それで?」

 

「シャロちゃん忘れたことを怒ってたのかしら?」

 

「んー、怒ってるっていうより・・・なんかモヤモヤしてる感じだったね。さっきのシャロ」

 

「モヤモヤ?」

 

「そう、何か言いたいって感じ」

 

あちっ、とお粥を冷ましながら食べ進める。

 

「そういえば千夜、本当に生徒会長になるの?」

 

「うん、皆に推薦もされたから期待に応えたいの。それにこれからのためにもいい経験になると思うの」

 

「・・・そっか」

 

少し落ち込むエリア

 

「?エリア君?」

 

「いや、その生徒会長になったらさ忙しくなるから甘兎で千夜といれる時間減るんだろうなーって思ったんだ。前は応援するって言ったのに・・・なんかごめんね?」

 

「!」

 

「千夜とここで働く時間っていうのは俺にとって当たり前で俺にとっては変わらないでいてほしいことだったんだよ」

 

「!、そう言ってくれると嬉しいわ」

 

以前千夜がエリアに送った言葉だった。もしかしたらシャロは・・・

 

「けど、千夜がそうやって将来のために頑張ろうとしてるのはすごいと思うからさ!ちょっと寂しいけど応援するよ」

 

「ありがとう、エリア君・・・あのね?」

 

 

 

・・・

 

その日の夜、シャロ宅

 

「・・・はぁ」

 

ベットの上でシャロは思わずため息、近くではワイルドギースがうつらうつらしている

 

理由は千夜のことだ

 

千夜が生徒会長を目指すのを応援していないわけではない、将来に向けて頑張る姿は偉いと思う。

 

けど、幼き日の約束ともしかしたらこれから千夜と過ごせる時間が減るかもしれないと考えると・・・

 

「あーもうっ!」

 

思わず頭を抱えたその時

 

『ピリリリッ!!』

 

「!?・・・え?エリア?」

 

携帯に着信、かけてきたのはエリアだ

 

「・・・もしもし?」

 

「あ、夜遅くにごめんね?今大丈夫?」

 

「えぇ、大丈夫よ。って今はエリアの方が大丈夫じゃないでしょ?」

 

「あはは、その通りだね。それでさ、今日のシャロが気になって電話したんだけど、話してもいい?」

 

「・・・大丈夫よ、ごめんね?あんな風に帰ったのは悪かったわ」

 

「ううん、気にしてないよ。それでさ、もしかしたらシャロと俺今同じ悩み持ってるかもって思ったんだ。千夜のことじゃない?」

 

「!、えぇちょっとモヤモヤしちゃってるの」

 

「そっか、正直俺も。寂しいよね」

 

「・・・そうね、それに心配なの」

 

「うん、千夜ってプレッシャーとかに弱いのに」

 

「そうそう、それで無理でもするんじゃないかって思ったの」

 

「無理はよくないよね」

 

「あんたが言うな!けどとにかく色々心配なのよ。」

 

「俺も心配」

 

大切な恩人、幼なじみを心配する二人の気持ちは同じだった。

 

「けど、応援したいよね?」

 

「うん、その気持ちもあるわ」

 

「良かった。それでお願いがあるんだけどさ」

 

「??なによ?」

 

「もしもこれから千夜が忙しかったり、しんどかったりするときはさ、俺と一緒に千夜を助けてほしい」

 

「!?」

 

「俺一人じゃまた心配かけちゃうから、シャロに頼みたいんだ」

 

「なんで私に」

 

「一番に千夜のことを考えて助けてくれるのってシャロだと思うんだ。だからシャロにお願いしたい」

 

「!、エリア」

 

「俺もシャロとならいける気がするからさ」

 

「はぁ・・・そんなこと言ったら千夜に怒られるわよ?」

 

「え?なんで?」

 

電話越しに聞こえてくるため息・・・だけどシャロの気持ちはなんだか少し晴れた

 

「ありがとうね、エリア」

 

「??ますますなんで?」

 

「分からないならそれでいいわ、それよりそろそろ寝なさい?ちゃんと休んで、元気になって」

 

「うん、おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

ピッ・・・電話を切る

 

「まさか、エリアから頼られる日がくるなんてね」

 

今まで相談は確かに受けてきた、けどそれはどれもどうすればいいかを相談したもので、エリアはいつだってなにかあれば最後には一人でなんとかしようとしていた。最後には誰の手も借りようとしなかった。

 

そのエリアが一緒に、と言ったのだ。

 

頼りにされて少し嬉しい反面、そのきっかけになった千夜のことを考えると複雑だ。

 

「千夜とエリア、二人とも思いあってるのに・・・めんどくさい」

 

ポツリと溢した一言、それを聞いていたのはワイルドギースだけだった

 

・・・数日後

 

「千夜ーお醤油貸して・・・ほ?」

 

甘兎庵にお醤油を借りに来たシャロだったが、店内はバタバタと忙しそうで、バタバタしているのは・・・

 

「あっシャロちゃん!」

 

「おっ、来たのかシャロ」

 

「ココアに先輩?どうして働いて?」

 

「今から千夜達のクラスメイトが来るから手伝ってる」

 

「生徒会長就任パーティーなの♪」

 

着物姿で準備をする二人、チノはこれからクラスメイトに会うのが恥ずかしくて隠れているが・・・

 

「生徒会長就任・・・」

 

シャロは少しショックだった、分かっていたことだけど、少し寂しかった。

 

「あ、シャロちゃん!今呼ぼうと思ってたの~」

 

「久しぶり、熱引いたから今日から現場復帰だよ~」

 

そうこうしていると、奥からケーキを運んできた千夜とエリア

 

「!、エリア」

 

「ごめんね、心配かけて。もう大丈夫」

 

そういうエリアはあのハロウィーンの時と同じスッキリした顔をしていた。

 

エリアだってきっと寂しいのに、こんなに笑顔でいる。

 

なら、自分も・・・

 

「千夜、生徒会長当選・・・お、おめでと「皆の者ー!今日は私のためにありがとーっ!」!?」

 

勇気を出して、お祝いの言葉を言おうとしたらドアからバーンっ!とメガネの少女が入ってきた、肩にかけている襷には祝当選の文字

 

「おぉ、びっくりした。あの人が今回就任した人?」

 

「そう!うちのクラスの委員長なのよ」

 

突然現れた委員長に驚いてはいるが、事態を飲み込んでいる様子のエリア

 

「え?え?」

 

 

 

・・・

 

そのままどんどんと、千夜とココアのクラスメイトが甘兎に集まってきた。

 

本日の甘兎は貸し切り、生徒会長就任パーティーである。

 

ただし、生徒会長に就任したのは千夜ではなく、先程の委員長である。千夜は辞退したのだ。

 

「エリアはいつから知ってたの?」

 

「辞退のこと聞いたのは昨日だよ。けど、俺がシャロに電話した日にさ、やっぱりどうしようか考え始めてたみたい」

 

「・・・それって私があんなこと言ったからかしら」

 

「それは違うと思うよ・・・ね?千夜?」

 

「えぇ」

 

「!、千夜」

 

さっきまで厨房の方にいた千夜が現れた

 

「シャロちゃんとエリア君と話して、本当の自分を見失ってたことに気づいたの。やっぱり私は、来年もここでみんなの居場所を作っていきたい

 

 この方法が私にとって一番キラキラできる気がするの」

 

そういう千夜の顔もスッキリとした笑顔で、シャロもなにも言わず、微笑み返したのだった。

 

「さぁ!今日は千夜のクラスメイトのために頑張るよ!」

 

「張り切りすぎちゃダメよ?病み上がりなんだし」

 

「その通りよ、あんまり無理しないで?」

 

「あーそっか・・・!」

 

二人に心配させるのは忍びない・・・と考えていたがなにかを閃いた

 

「ならシャロ!手伝って!」

 

「え?」

 

「約束したでしょ?一緒に助けてってさ?」

 

「あら?そんな約束してたの?」

 

「!?こ、これはそういうあれじゃないのよ!?・・・けど分かったわ」

 

 

不器用な彼と幼なじみの彼女がキラキラ輝けるこの場所

 

その中の一員として、一緒に頑張れるのが嬉しくて、笑顔で手伝いに入るシャロもまた・・・キラキラ輝いていた。

 

 




喫茶店こそこそ話

本日行われたパーティーにて、千夜とエリアの様子を見たクラスメイト達はエリアのことを密かに宇治松家の婿と呼ばれていたそうですよ?
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