という冗談は置いておき・・・今回はエリア旅に出ます。
向かった先で母を知る人と出会ったエリアはその時・・・?
ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・
今日のエリアは列車に乗って旅に出ています。
冬休みでお店はお休み、年末に少し旅がしたくなったので、朝早くから列車に乗った、日帰りの気楽な旅のつもりです(もちろん千夜たちには報告済み、心配させたくないので)
そうして目的の駅に着き、向かう先は・・・
「・・・ここか」
地図を片手にたどり着いたのは一軒のパン屋『HotBakery』・・・しかしまだ開いていないようです。
「んーしょうがないか、待つか」
仕方がないのでお店の前で待つことにしました。
「ふぅー、寒いなぁ」
・・・数分後
「さぁ!今日も頑張るぞ!・・・ってエリア君!?」
「さ、さむ、寒い・・・」
凍えきったエリアがモカに発見されました。
そう、このお店はココアの実家のパン屋さんなのです。
・・・
「はい、ホットココア!もう!そんな薄着で来るなんて!」
「コートも帽子も手袋もマフラーも着けてるのに?」
「足りないわ、ここかなり田舎だもの」
「身に染みて分かりました」
凍えていたエリアは無事モカに保護され、現在は店内のストーブで暖をとっています。
「それにしてもどうしたの突然?なにか用事?」
「いえ、なんか旅したくなった時にこれを読んだんです」
エリアの手にはベーカリークイーンという題名の本、青山の本である。
「そしたらなんかモカさん元気かなって思って」
「そ、それだけ?ここまで遠くなかった?」
「遠かったですね。それで理由はそれだけです」
笑顔のエリア、そうエリアは普段こそココアや千夜の影に隠れているがかなりの自由人であり、フットワークの軽い男
思い付きで行動したり、綿密に考えているようで計画そのものがめちゃくちゃだったり・・・と、言う面がある。
こういった面は母似で今回の旅もそんな感じな訳なのだ・・・
「あらあら、元気のいい男の子なのね~想像と違うわ」
「あっお母さん」
「お、お母さんですか!?は、はじめまして!」
現れたココアの母に慌てて挨拶するエリア
「はじめまして、モカとココアの母です。普段はココアがお世話になってるみたいで」
「いえ、むしろ俺の方がお世話になってます」
「あら、そうなの?最近のココアのこととか教えてくれないかしら?」
「喜んで!まず最初は・・・」
そこからしばらくココアの話をし、気がつくと・・・
「ありがとうございましたーっ!・・・あれ?」
お店のお手伝いをしていました。
「ありがとー!おかげで助かっちゃった!」
「いえ、モカさんの仕事ぶりすごく参考になりました!俺もっと数学頑張ります!」
やはり努力の方向が少しおかしいが・・・少し客足も落ち着いたので、少し休憩
「はいこれ、パンとコーヒー、ウチ特製のモカブレンドよ!」
「ありがとうございます!」ボトボトボトッ
「!?砂糖の量!!?」
「・・・」ジーッ
「実はコーヒー飲めなくて」
「えぇ!?喫茶店の店員なのに!?」
「ウチ緑茶専門ですもん、じゃあ一口・・・まずっ!」
「ひどくないっ!?」
「・・・」ジーッ
「あ、甘さが暴力になるなんて思わなかった・・・」
「そんなに!?」
「そういえばモカさんの制服ラビットハウスみたいですね」
「気づいた?自作してみたの!」
「ココアのお母さんの頭にもティッピーもどきいますもんね・・・?どうかしましたか?」
先ほどからエリアのことをジッと見つめているココアのお母さん
「!、ごめんなさいっ、楽しそうに話してる姿が昔の友達に似てた気がしたの」
「へぇ、エリア君に似てるお母さんの友達ってどんな人?」
「姉妹みたいに仲良しの友達が二人いたの、一人は同級生でもう一人は後輩だったわ・・・エリア君が似てるのは後輩の方」
そう言うココアのお母さんがエリアの髪に触れる。
「こんな明るい髪色で、楽器が得意だったの。もう一人の友達は歌が上手だったから一緒に歌ったり踊ったりしてたわ」
「!」
優しく頭に触れる手・・・その姿が自分の母と重なった
・・・そういえば以前モカに撫でられモフられた時も母を思い出したような?
「人を楽しませられる私に憧れてるだなんて言って、よく後ろをついてきてたっけ、本当に妹みたいだったわ」
「そうなんだ、ますますエリア君そっくりね?」
「あら?そうなの?」
「うん、私に向かってココアと私が憧れ!って言ってくれたのよ?」
「そうなの?考え直した方がいいと思うけど・・・」
「お母さん!?」
ココアの母の話を聞いたいたら、母との話で思い出したことがあった。
『お母さんにはね、2人のお姉ちゃんがいたのよ?』
『?母さん一人っ子でしょ?』
『ふっふっふっ、エリアが知らないだけなのよ』
『・・・そっか、俺はお母さんのお姉さんの子どもなんだね』
『!?なんでそうなるの!?』
『だってこの間昼ドラでそんなの観たもん』
『あんなのフィクションだもん!エリアは私の子ー!!』
さっきからの話と母との共通点も多い・・・もしかしたらこの人が母の・・・
「あ、あの!その人って!」
「?どうかしたのかしら?」
「っ!、その人って今どうしてますか?」
「・・・もうしばらく会えてないの、学生の間に素敵な人に出会ったのってはしゃいでたから、結婚したのかしら・・・」
そういうココアのお母さんの顔は悲しそうだった、この人は母が亡くなったことを知らないだろうか、知ったらきっと哀しむだろう
そもそも、自分の母がそうだと決まったわけでもないのに、言うべきではない
だけど、せめて確認だけでもできたら・・・と思ったが
「エリア君?」
「・・・そう、なんですか」
両親への思いを引きずってでも前に進むと決めたのに、後ろを振り向こうとしている・・・そう思うと何も言えなかった。
「?あら、私なにかいけないこと言っちゃったかしら?」
落ち込んでしまったエリアの様子をみて、心配するココアの母、その優しさが・・・今は少し痛くて
「い、いえなんでもないです!あ、あの俺、帰ります・・・」
「えぇ?もう帰っちゃうの?」
「ごめんなさい。元々ほんの少しの旅行のつもりだったので、早めに帰らないと列車なくなっちゃうんです。」
「弾丸旅行だったのね、それならお姉ちゃんにまかせなさい!速攻で駅まで送ってあげる!!ほらいくよ!」
「あっ、あの!お邪魔しました!」
バタンっ!慌ただしくドアが閉まった。
「・・・」
慌てて去って行ったエリアの様子が気がかりなのか、ドアの方を見つめるココアのお母さん・・・
・・・駅に移動中
「バイク乗れたんですね」
「ふふっ、お姉ちゃんに限界はないのよ!」
モカのバイクの後ろに乗って駅に向かう。
「送ってくれてありがとうございます」
「気にしないで、あのね?もしかしてだけど・・・」
「はい?」
「・・・私のお母さんが言ってた後輩ってエリア君のお母さんなの?」
「!!」
「その反応、そうなのね?」
「・・・確信はないのでなんとも言えません」
「けど、確認をとるとかできたでしょう?なんで言ってくれなかったの?」
「もしもモカさんのお母さんの後輩が俺のお母さんだったとしたら・・・もう会えないんです」
キキーッ!!バイクが止まった
「っ!」
「ご、ごめんなさい・・・私なにも知らなくて、そんなつもりじゃなかったの・・・」
先程の言葉で全て察したのだろうか、エリアに謝るモカ
「気にしないでください
ただ俺にとって母さんのこと知ってる人って父さんとおじいちゃんおばあちゃんしかいなかったんです。でも皆ずっと昔に亡くなっちゃったんです・・・だから、もしかしたらって思うと嬉しかったんです。」
もう母を覚えている人が自分一人しかいないから、もしかしたら覚えてる人なんじゃないかと思うと、すごく嬉しかったのだ
もしも母の言っていた二人の姉の内の一人がこの人だったら・・・
自分の母はこの人に憧れてたのだ
自分がココアとモカに憧れたみたいに
モカとココアの母の撫でる手に覚えがあったのはエリアの母がきっと憧れから学んだから
きっと何度も撫でられたり、抱き締められたり、したのだろうか?
そしてそれを自分にしてくれて、愛を注いでくれていたのだろうな
もしもそうだったら、母は貴女のことをずっと誇らしく語ってたって、自慢していたって話したかった・・・だけど
「だから、もう亡くなってるなんて伝えたくなくて・・・ごめんなさい!」
自分が受けた身を裂かれるような辛さを味わせるわけにはいかないから
「・・・先に謝っとくねエリア君」
「?」
「そんな話聞いたら、帰すわけにいかなくなったわ」
「えっ?」
「絶対にお母さんと話させる!口閉じとかないと舌噛むわ!」
グルッとUターンし、来た道を戻る。
「えぇ!?」
「今言わないと絶対後悔するわよ!」
「っ!!」
「前に私に言ってくれたでしょ?すれちがったままだったら後悔するって。エリア君のお母さんのことで今、私のお母さんとエリア君はすれちがった、でも今振り返ればまだ届くの!」
「でも、俺の母さんはもうっ「私のお母さんなら大丈夫!」!!」
「確かに悲しむかもしれないけど、知らないままでいるのはよくないって私は思う。けどお母さんなら受け入れてくれる!
エリア君がなにを抱えているのかは知らない、それでもこのままお別れなんて私が嫌!きちんと話し合ってほしい!」
「モカさん・・・」
「それに、そんな顔でエリア君のこと帰したら、皆に怒られちゃうわ?だから、お願い」
「・・・」
・・・Hot Bakeryに戻ってきた
カランカラン♪
「ただいまっ!ちょっと探し物してくる!」
店内に入るや否や、奥のスペースに走るモカ、取り残されるエリア
「あら?モカ早かったのね・・・エリア君?」
「お、お邪魔します・・・」
「忘れ物かしら?」
「そ、そうじゃなくて・・・」
言わなくちゃ
「あっあの!」
俺の母のこと知ってますか?って
「えっと・・・」
母はどんな人でしたか?
どんな学生生活をおくってたんですか?
俺が知らない母さんのこと教えてくれませんか?
言いたいことはいっぱいあるのに
「っ!・・・」
言葉がでない
本当に話していいのかな?
母の言っていた人とは違うかもしれない、それならいいけどもしもそうだったらやっぱり悲しませるんじゃないか?・・・でも
なにも言えなくて、下を向いてしまう、さっきまで寒かったのに汗が出てくる、動機が落ち着かない・・・そんなエリアを見て
「エリア君」スッ
「!!」
エリアの頭を撫でた。
「まず落ち着いて、ゆっくりでいいから話してみて?」
その手つきにはやっぱり覚えがあった。
その覚えはモカであり、ココアであり・・・そして母だ
心が叫んでいるこの人に違いないと、
だったら話したい、母のことを
「あっあの!「あったーー!!」!?」
「お母さんのアルバム見つけたー!!」
モカがアルバムを持って帰ってきた。
「あっこら!」
「これにならきっとあるはず・・・あっ!」
「返しなさーい!」
モカとココアの母がアルバムを引っ張りあう
「あっ、あの!落ち着いてください!」
今度はエリアが落ち着かせる番・・・と思ったら
「うっ!?」ドシャッゴロンゴロン・・・ゴンッ
そのまま後ろに転がっていくココアの母、そして
「あいたた・・・」
「だ、大丈夫ですか?・・・!」
手放されて床に落ちて開かれたアルバム、そこにあった写真を見て、エリアは驚く、そこに写っているのは
「エリア君に似てるって言ってたのはこの子なの」
エリアが見つめている写真を指差す、そこには仲良さそうなココアの母と自分の母の写真がある
「笑顔がとっても素敵で、スキンシップがちょっと多かったかしら?・・・でもいつだって誰かのことを応援してたわ」
写真のエリアの母は、ココアの母に抱きついていて、頭を撫でられている。二人ともとても楽しそうだ
「芹彩ですよね?」
もう間違いないと、母の名前を言った。
「!、どうしてそれを?」
・・・今なら言える
「改めて初めまして、和田上凛彩です。
和田芹彩(せりな)・・・旧姓、丹治芹彩の息子です。」
まずは自己紹介、それから・・・
「母のこと、教えてくれませんか?自分が大好きだった母のこともお話します。」
貴女の知ってる母と私が知ってる母についてたくさんお話がしたいです、と気持ちを伝えた。
喫茶店こそこそ話
エリア父とエリア母は少し年齢が離れています。
エリア父が大学卒業したくらいでエリア母が高校入学したので・・・7歳差くらい?
エリア母が在学中に出会ったので、年の差婚だったそうですよ?
それでも壁を感じさせない仲の良さだったそうです・・・