緑茶風少年   作:アユムーン

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重大発表です・・・作者は千夜推しでございます。

え?バレバレ?



割れた時は暫く泣きました

ザッザッザッ

 

箒で店前の掃除をするエリア、といっても常々千夜が掃除しているので落ちているのは落ち葉程度である。

 

そして頭上にはもちろんあんこが乗っている。

 

「・・・そういえば」

 

甘兎庵の隣に蔦が生えて所々ボロボロな家がある。

 

「これお隣さんなのかな、それとも倉庫?」

 

倉庫だったら掃除した方がいい気がするのだが・・・と思っていると

 

「ひぃー!ちょっとそこの貴方!」

 

「?、はい?」

 

「な、なんてもの引き連れて家の前にいるのよー!!」

 

「なんてもの?」

 

声をかけられ振り向くと、金髪の少女が泣きそうになりながらこちらを向いている。

 

「その制服って甘兎庵の店員?だったら尚更なんでここにいるのよ!」

 

「いや、それはお隣ですし」

 

ほぼ店前である。

 

「それよりさっきからなんてものって一体なんのことですか?」

 

「頭のそれよ!」

 

「え?あんこですか?」

 

「それから足元!」

 

「足?・・・おぉ」

 

気づけば野良兎がめちゃくちゃ集まっている。しかし

 

「兎が集まってるのは俺だけじゃないですよ。」

 

「嘘っ?ひぃぃ!!」

 

「こんなに集まるのはじめてだ」

 

よくいる野良兎にも懐かれるエリア、そしてどうやら目前の少女も同じようだ

 

「もしかして兎苦手ですか?」

 

「そ、そうよ!なにか悪い!?」

 

「いや別に悪いとかじゃないんですけど。よし、あんこ頼んだ」

 

頭上のあんこに声をかけると、あんこは、ぴょんっと頭から飛び降り、

 

「・・・」ジィー・・・

辺りの兎を見つめる。すると、

 

ピューッッ!!!

 

たくさんいた兎は一瞬で逃げだしていった。

 

「お疲れ様、後で羊羹あげる。」

 

しゃがんで頭を向けると、再び頭上に戻るあんこ

 

「い、意志疎通してるの・・・?」

 

「意志疎通っていうか、あんこのことならなんとなく分かって、あんこもなんとなく分かってるみたいで。」

 

「・・・とにかくありがとう。貴方甘兎庵の新人さんなの?」

 

「はい、下宿生の和田上凛彩です。」

 

「私はここに住んでる桐間紗路よ。貴方が千夜が言ってたエリアね」

 

「宇治・・・千夜の知り合いですか?」

 

「えぇ、幼なじみなの。」

 

「そうなんですか、それでここに住んでるって・・・ここですか?」

 

「・・・そうよ」

 

視線の先には先ほどのボロボロな家

 

「なにか問題でもあるかしら?」

 

「いや、慎ましやかでいい家だなと」

 

「千夜と同じこと言わないでくれる!?」

 

そこに

「エリア君ただいま~ってあら?シャロちゃん」

 

「宇治松さ「エリア君?」千夜、おかえり」

 

「よろしい。ただいまエリア君。もしかしてシャロちゃんと仲良くなってたの?」

 

目を輝かせながら問いかける千夜、なにかを期待しているようだ。

 

「兎に絡まれてたのを助けてくれたのよ。それだけ」

 

「そうなの・・・!、そうだ!」

 

「?」

 

「エリア君、買い出しに行ってきてくれない?」

 

「買い出し?」

 

「そう、買い出しよ。それと陶器のお店でエリア君のカップも買ってきてね。実家に忘れてきたんでしょう?」

 

「けど、まだこの辺の地理分からないから時間がかかるかもしれませ「また敬語」・・・時間かかるかもしれないけどいいの?」

 

「その点は大丈夫よ、ね?シャロちゃん」

 

「へ?」

 

突然名前をあげられたシャロ

 

「案内、よろしくね?」

 

「な!?なんで私が!」

 

「案内できるでしょ?それに買い出しもカップ選びもシャロちゃんが適任じゃない。」

 

「そんなの迷惑だよ。地図もあるし、俺一人で行くよ。「はぁ・・・まぁいいわよ」えっ?」

 

「さっき助けてもらったのもあるし、今日はバイトもないし、いいわよ」

 

「決まりね?これが買い出しのメモだから、早速制服から着替えて買い出しよろしくね」

 

「わわっ、千夜!?」

 

エリアの背中を押して、店内に進ませる。

 

「ありがとうシャロちゃん」

 

「さっきも言ったけど助けてもらったお礼よ。それにしても随分強引じゃないの?あの子困ってたじゃない」

 

「エリア君にはあのくらいの荒療治の方がいいと思うの」

 

「荒療治って・・・なにか目的でもあるの?」

 

「友達よ」

 

「友達?」

 

「エリア君に友達を作りたいの!このままじゃできそうにないから!」

 

「それって千夜がやることなの?っていうかさらっと酷いこと言ってるわよ?」

 

「とにかくシャロちゃんなら安心してエリア君のこと任せられるから、お願いね?もちろん後でお礼もするわ、とりあえず今日の夕食はウチで食べていって?」

 

「うぐっ、食費が浮くのは正直ありがたいわね・・・友達どうとかはともかく、分かったわ」

 

「その点は大丈夫よ、だって「お待たせしました。」!、じゃあ二人ともよろしくね?」

 

「うん、いってきます。」

 

・・・進む二人の背中を見送る千夜

 

「大丈夫よ、だってエリア君はとっても優しいもの」

 

ボソッ・・・と呟いた一言は二人には聞こえなかった。

 

・・・

 

「そっちじゃないわよ」

 

「?スーパーはこっちじゃ?」

 

「そっちにもあるけど今日はこっちよ、白玉粉ならこっちが安いわ。それから洗剤はもう1つ先のドラッグストアよ。」

 

「詳しいですね、桐間さん」

 

「シャロでいいわよ、同い年でしょ」

 

「ありがとうございます。シャロさん」

 

名前呼びにはなったが、敬語は抜けない、もしかしたらこちらが素なのでは?と思ったシャロ

 

「千夜にため口使うのしんどいのなら私から言うわよ?」

 

「え?」

 

「ため口で話すの苦手なんじゃないの?何回か間違えてたし。」

 

「そう、かもですね。」

 

思い出してみる、そういえば暫く敬語でしか話していなかった、

だから癖付いてしまったのかもしれない。

 

「だったら「けど」?」

 

だけど

 

「千夜さん・・・千夜が俺と仲良くしてくれようとしてるのが分かるんです。だから、それに答えたいんです。」

 

久しぶりだった、誰かに仲良くなりたいと言われたのは。

 

そして、誰かと仲良くなりたいと思うのも。

 

「それなら余計なお世話だったわね。ごめんなさい」

 

「いえ、いいんです。お気遣いありがとうございます。」

 

「そう、ならよかったわ」

 

大切な幼なじみの気持ちを無下にすることなく受け止めようとするエリアの優しさに気づいたシャロは、少し嬉しかった。

 

・・・陶器のお店

 

「さて、ここで最後ね。どんなカップがいいとかあるのかしら?」

 

「なるべく割れないのを」

 

「カップに求める要望じゃないでしょ、それ」

 

「よく分からなくて」

 

「ならそう言いなさいよ。そうねぇ、これなんていいかも・・・!」

 

そう言ってカップに手を伸ばしたシャロ、それと同時に隣からも手が伸びて触れそうな位近づく2つの手

 

「「こんなシチュエーション、漫画で見たことあります。・・・え?」」

 

思わずエリアが溢した一言が誰かとハモった。声の方を見てみると

 

「香風さん、天々座さん、保登さん」

「えっ!?天々座先輩!?」

 

「和田さん」

「なんだエリアか、それにシャロじゃん」

「あ、エリア君だ」

 

以前会ったココア達一行と出会った。

 

・・・

 

「保登さん達はカップ選びですか?」

 

「うん♪ラビットハウスで使うのを探しに来たんだ。」

 

「そっちこそシャロと二人で何を買いにきてたんだ?それに二人って知り合いだったんだな。」

 

「今日知り合って、ここら辺の案内がてら買い出しに来てるんです。今は俺が普段使いするカップ選びに。天々座さんもシャロさんとお知り合いなんですか?」

 

「同じ高校の後輩なんだ。な?シャロ」

 

「は、はい!あの時はありがとうございました!」

 

どこか興奮気味のシャロ、その様子を見たエリアは疑問に思う。

 

「あの時?」

 

「えぇ、天々座先輩には危ないところを助けてもらったの」

 

「危ないところって野良兎追い払っただけじゃん。それからリゼでいいよ、シャロもエリアも」

 

「いいんですか?年上なのに」

 

「別にいいし、エリアもシャロもその辺はちゃんとしてくれるだろ?まぁ例外はいるけどさ」

 

視線の先には・・・やっぱりココア

 

「リゼちゃんって年上だったの?」

 

「今更だな・・・な?気にしなくていいよ。」

 

「なら遠慮なく、リゼさん」

「はい!お願いします!リゼ先輩!」

 

「あっリゼちゃんずるい!その調子で私のことも名前でお願い!」

 

ココアも便乗して名前呼びを所望している。

前回も同じお願いをしていたが、頑なに呼ばなかったエリアにリベンジの気持ちもあるのだろう。

 

「分かりました、ココアさん」

 

「んー・・・さん付けも取ってみて?」

 

「!ちょっ「ココア・・・これでいい?」「うん、ばっちり♪」!エリア?大丈夫なの?」

 

慌てるシャロだったが、意に反してエリアは平然としていた、それどころか敬語もとれていた。

 

「千夜でだいぶ耐性ついたっぽくて、大丈夫ですよ。」

 

「けど・・・」

 

「ありがとうございますシャロさん、本当に大丈夫ですから。」

 

笑顔で返すエリア、自覚はしてないけど、自然な笑顔をしていた。

 

「・・・ならいいわ、カップ選びましょう。」

 

「はい、お願いします。」

 

「はい!はい!私もお手伝いするよ!」

 

「ココアさんはお店のカップを選んでください!」

 

・・・

 

カップを購入、ココア達と別れて帰宅。

 

シャロを含めた夕食を終え、机の上にカップを置いて見ていた。

 

「ずっと見てるけどお気に入りみたいね」

 

「ココアとリゼさん、香風さんとシャロさんも選ぶの手伝ってくれたんだ。」

 

「いいのが見つかってよかったわ。それにシャロちゃんだけじゃなくてココアちゃん達とも仲良くなったみたいだし」

 

「うん、皆本当に優しいね。」

 

こちらを気遣って少しずつ少しずつ近づいてきてくれている気がしていた。

 

ココアや千夜の様にグッと駆け足で近づいてくるのは少し驚くけど、不思議とそれが辛いとは思わなかった。

 

その時感じた想いは、暖かい、その一言に尽きる。

 

だから不思議だ

 

なんでこんなに優しくしてくれるの?

なんでこんな自分に手を差し伸べてくれるの?

 

理由なんてないのかもしれない、けど、それでも

 

「なんでだろうね」

 

溢した一言、それに・・・

 

「なにが?」

 

千夜が反応したが、

 

「・・・なんでもない」

 

なんとなく言いづらくて、ごまかした

 

今、疑問に思うことの答えは何一つ分からないけど、

 

もらった優しさを少しでも返したい・・・そう思っていた。

 

皆が本当の自分を知ったら・・・そんな恐怖は見ないフリをして。




喫茶店こそこそ話

今日買ったカップはエリアの宝物になったそうで、使い始めるのにはかなりの時間を要しました。

割れちゃった時には1時間くらい泣き、見かねた千夜達が新しいものを選んでくれたそうですよ。
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