エリアの覚悟と千夜の決心、そしてそれを見守る友達・・・それぞれの思いを乗せて旅が始まる
旅立ちの日に
いよいよ出発の日、甘兎庵では
「それじゃあおばあちゃん、いってきます!」
「しばらくのお休みありがとうございます」
千夜、エリア、シャロが店主に挨拶をしていました
「土産なんて買ってくるんじゃないよ!全部自分のために使いなかったら容赦しないからね!」
「(言葉はきついけど優しい)」
店主からのありがい激励を受ける三人
「えぇー、お土産リスト作ったのに!?」
「気が早いでしょ!」
付箋だらけの雑誌を見せる、そこには名物土産が沢山載せられていた
「気持ちだけもらっとくよ、アンタはそれより覚悟を決めな」
エリアはなにも話していない・・・が事情を察しているのか、エリアに覚悟を決めるように伝える店主
「!!、はい」
グッと拳を握りしめて、返事をするエリア
「(覚悟?)」
店主とエリアのいう覚悟、という言葉に首をかしげるシャロだった、その時
「旅先の全てを吸収して帰ってくるから!甘兎庵の更なる進化と繁栄のために!・・・エリア君と!」
そういってエリアの手を握り、上に掲げる千夜
「っ?千夜!?」
「だからおばあちゃん、エリア君のことは任せて!私たち皆でしっかり見てるから!」
その行動と言葉はエリアは一人じゃないと、伝えるためのものだ
「俺は子どもか・・・けどありがとう」
その気持ちはしっかりとエリアに伝わった
「よく言った!いいかい?若かりし頃の私のように・・・」
二人の姿を見て安心したのか、そしてそこから更に始まる激励の言葉・・・全部を聞いてはいられないので出発することに
「ほらシャロちゃん、ワイルドギース達にも行ってきますって」
「すでに縄張り争いが始まってるんだけど・・・」
旅行の間はワイルドギースは甘兎庵に預けることとなった、今はあんこと縄張り争いをしている
「いい子にしててね、あんこのごはんとっちゃダメよ?」
ワイルドギースに挨拶をしたシャロだったが、ワイルドギースにははたかれ、あんこには噛まれるシャロ
「こいつらに誰が食物連鎖の頂点か教えてやるの!」
「まぁまぁ、ほら2匹とも離れて」
ワイルドギースとあんこをシャロから引き離すエリア、そしてあんこを抱っこして、
「あんこ、俺たちがいない間の甘兎をよろしくね?」
「・・・」ダッ!
エリアの手を抜け出して、エリアの顔に飛び付き、顔を擦り付けるあんこ
まるで、安心して?と言っているようだ
「くすぐったい!・・・ありがとうあんこ」
「本当に仲良しね、あの一人と一匹」
「エリア君がこの街で一番最初に友達になったのはあんこかもしれないわね」
「いや、それは千夜でしょ?」
「人間部門ではそうかも」
「部門分けとかあるの!?」
「よし、それじゃあ行こうか!」
三人揃って玄関から出る、そして
「「「行ってきます!」」」
また帰ってくるために、出かける挨拶を響かせた。
・・・そして駅に向かう道中で
「おはよう、三人とも」
「!リゼさん」
「先輩!おはようございます!」
リゼと合流、三人で向かうことに
「ふわぁぁ・・・」
「なんだ、眠そうだな?」
「そういえば、昨日遅くまでなにかしてたわね」
「うん、お土産リスト作ってた」
「それで遅くなってたの!?」
「それにしてもそんなに楽しみだったのか?」
「はい!色々調べたりしてたらワクワクして!」
手には先ほど甘兎庵で見せた旅行雑誌
エリアが知っているところも多いが、暫く離れていて新しく出来たところや、行ったことのない場所、沢山の情報があり、気になるところにはとにかく付箋やチェックをつけたりしている
「へぇ、私もある程度調べたけどエリアもめちゃくちゃ調べてるんだな」
「はい!昔ココアに教わって・・・あれ?でもなにも知らない方がワクワクするとも言ってたっけ?」
「どっちなのよ、けど本当に大丈夫?旅行中に倒れるとか勘弁してよ?」
「そうなったら強制帰還ね?」
「えぇ!?」
「それにしても本当によく調べてるな・・・ん?なぁこの付箋、また行きたいって書いて「えぇ!?あっ書き間違えですよ!?」?」
高校入学以前に行った場所の付箋を見られて大慌て
「エリア君?」
「な、なんでもないよ!?あっ、俺ワクワクしてきたから走っていくね!」
「おっ、競争か!?それなら負けないぞ!」
そう言って走り出すエリアとリゼ
「ちょっと!二人とも待ってぇぇ!!」
二人を追いかけるシャロと千夜だった・・・
・・・そして駅へ
駅に着くとそこにはもうマヤとメグがいた
「おはよう、二人とも早いね」
「おはよーっ!」
「おはようございます!」
「早起きえらいぞ中学生」
「「もうとっくに卒業したよ」」
「そうね、マメちゃんたちもいよいよ高「高学年だものね?小学生の」「戻ってる!?」」
「いや、高校生でしょ?」
「うっかり寝ぼけてて」
「千夜も?わくわくして寝付けなかったのよね、旅先には、老舗喫茶店から話題の人気店までなんでも揃うもの、都会は吸収することだらけよ」
シャロの説明に目をキラキラさせる千夜とエリア、しかし
「井の中の蛙だったことに落ち込まなきゃいいけど」
「上げて落とさないでよ「ありえるーっ!都会こわい!」千夜ぁ!?」
「さっきまでの自信は!?」
「不安を隠していたか」
都会への不安があった千夜に、今度はエリアが
「大丈夫だって千夜、俺たちがいるでしょ?」
「!、エリア君!!」
「皆とならなんとかなるよ!」
自分がそう思えたように、千夜にも安心して欲しかった。
「そうね!都会なんかに負けないわ!」
「甘兎魂みせてやるぞ!」
オーっ!と鼓舞する二人、その二人を見て・・・
「先輩、ホテルの部屋割り決めときましょうか」
「よし、お前ら同室!」
「「それは待って!?」」
・・・
「ココアとチノは?」
「もうすぐ着くって連絡きた」
まだ来ていないメンバーももうすぐ来るようだ、そのメンバーの中には
「青山さんも来てくれるんだっけ?」
「大人がいてくれると安心だね!」
「引率の先生みたい」
「青山先生ね」
その時
「はい、どうし・・・えっ?」
「?どうしたんですか?」
電話に出たリゼから驚きの声が上がった、その内容は
「原稿の締め切り破ってしばらく合流出来ないって」
「ダメな先生だ!!」
「後から来れるんですか?」
「うん、そのつもりみたいだけど・・・」
「それならそれまではリゼさんが先生ですね!」
「そうね?最年長だし」
「それに将来遠足とか修学旅行の引率するかもしれないし!」
「どこまでも着いていきます!」
「え、えぇ!?」
「あ、不安なら俺変わりましょうか?」
「なっ!!分かった!私がしっかり引率してやる!、そろそろ列車に乗っておく!全速前進だっ!」
「「「「「ラジャー!!」」」」」
・・・列車に乗って暫くして
「二人とも間に合ってよかったー!」
発車するギリギリでココアとチノも合流した。
「チノちゃんが街を離れるのが寂しくなっちゃって」
「それは私じゃなくてココアさんでしょ!?」
「寂しい・・・か」
地元からこの街に来る時は不安だった
この街から地元に帰る時はなにかを感じる余裕なんてなかった
そして今は・・・
「俺も寂しい・・・かも」
ここで過ごしてきた時間、自ら掴みとった帰る場所から離れるのがなんだが寂しかった
「エリアもか?しょうがない、メンタルケアしてやるからこの旅行に不安を抱えてる者は手を上げろ」
リゼの号令に全員が手を上げた
「全員かよ!」
・・・
座席に座り、窓の外を見ていると
「エリア、ちょっといいか?」
「!、リゼさん?」
リゼに呼び出されて、列車の連結場へ
「・・・さっきの青山さんからの電話で聞いた」
「?なにをですか?」
「旅先、お前の故郷なんだろ?」
「!!」
「青山さん責めるなよ?自分は暫く行けないからなにかあったら私にお願いしますって言ってくれたんだ。多分、私が最年長だから・・・青山さんはエリアのこと守ろうとしてたんだろうな」
「・・・責めるなんてしませんよ、けどこのこと他の皆には」
「言ってない、それも青山さんに頼まれたからな」
「ありがとうございます」
「キツくなったらいえよ?す叔父さんのこともあるけど、家族との思い出とかあるだろうし・・・」
「・・・実は両親がなくなってから、思い出のある場所って無意識に避けてて」
両親と遊びに行った場所や、買い物に行った場所、全部避けていた
「だけど今回は皆がいる、だから大丈夫だと思うんです」
けど、今は違う、自分も成長してる、それになにより一人じゃない
「・・・そうか、なら安心したよ」
「ありがとうございます」
「いいよ、それじゃあ戻ろうか」
座席に戻ると・・・
「あっ先輩」
「エリア君も一緒だったのね?」
「う、うん」
「なにかお話ししてたんですか?」
「そ、それは「ただこれからの予定の確認だよ。今回俺は副担だからね、リゼさん主担任と会議だよ」エリア!?」
「あら、なら私たちは生徒ね?」
「頼むよ千夜委員長」
「なら、メガネが必要かしら?」
「なんでメガネ?」
「なら私はお姉ちゃんね!」
「どんな役職ですか!?」
楽しそうに話す千夜とエリア、そこにチノやココアも加わる
「・・・それで、なに話してたんですか?」
「うっ、誤魔化されないか」
「当然です、大方エリアのことだと思いますけど」
「実はそうなんだ、けど杞憂だったよ」
「それならよかったです・・・千夜もなんとなく気づいてるんだと思います、エリアって割りとあからさまなところあるから」
「そうなんだよなぁ、隠す気あるのかって思う」
「本当ですよ、全く」
楽しそうに話すエリア、その顔に不安の色はない
「今回は皆がいるから大丈夫って、勝手に戦力に数えられてたよ」
「千夜も私たちがついてるからエリアは任せてって言ってました」
一年前では二人からは出なかったであろう言葉
「普段は振り回すくせに、大事な時は関わらせようとせず一人でなんとかしようとしてたのに・・・成長してるんだな」
千夜とエリアは本当に似ている、考えや波長・・・そして性格も
どちらかがくじけそうな時は支えあってきた二人
そのうち自分の力だけでなく、周りの皆と協力することを覚えた
そうしてできた繋がりが今の二人を作っている
そして、それは自分達も同じ
「今回の旅できっとまたあの二人は色々吸収してまたひとつ進化すると思います」
「私たちも負けてられないな」
「はいっ!」
そう言って二人も皆の輪に入っていく。
この旅行が楽しいことだらけだと信じて・・・
喫茶店こそこそ話
事前リサーチをしっかりと行ったエリア、雑誌に貼られた付箋には「ココアが好きそう!」、「マヤちゃんとゲーム!」、「千夜と行きたい!」など、皆のことばかりかいているそうですよ