緑茶風少年   作:アユムーン

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エリア留守番編


留守番デイ

「あー・・・ひーまー・・・」

 

本日もホテルロイヤルキャッツから物語は始まります・・・がどうやらエリアは暇を持て余してるようです。

 

「ラビットハウス組はパン屋巡り、後の四人も出掛けちゃったし暇だぁ・・・」

 

そう、本日のエリアはお留守番なのです・・・っていうか一人って珍しいね?

 

「寝坊したら置いてかれた・・・」

 

それなら今日は一人でお出掛けします?

 

「いや、単独で動くの禁止されてるからホテルから出られないんだよね」

 

お前さん律儀に守ってるのね・・・じゃあ今日は?

 

「ホテルに待機かな・・・折角の旅行なのにぃ・・・」

 

そんな風にベットの上でうだっていると

 

トコトコ・・・ストン

 

「!、猫ちゃん!」

 

ホテルの猫がエリアの近くにやって来た。

 

「!、そうだ、この間買ったあれを・・・ほーれ、ふりふり~」

 

職人エリアで見つけて衝動買いした猫じゃらしを振ってみるが

 

「・・・」ジーッ

 

「わぁ、驚くほど無表情・・・そういえばあんこ元気かなぁ」

 

猫は全くの無反応&無表情、その姿に家に留守番しているあんこを思い出したが・・・

 

「そんなことは置いといて、そっけない所も可愛い、猫は気まぐれさん・・・」メロメロ

 

おい、あんこ泣くぞ

 

・・・

 

「はぁ・・・」

 

ベットのシーツを変える時間でしょう、と初耳の情報と共に支配人に部屋を放り出されたエリア、あれ?私お客だよね?と疑問に思いつつも大広間に移動・・・すると猫もついてきた

 

「はぅあっ!」キューン

 

もう猫好きなのは分かったから!

 

・・・

 

なんとなく広間に座ってみる、見てくれは確かに寂れているが、中はよく清掃が行き届いており居心地がいい・・・寝巻きで寝癖のついた頭ではあるが気持ちがきちんとする気分であり、膝に猫も乗ってきてくれて有頂天である。

 

「あら、ずいぶんと遅いのですね。朝食はいかがいたしますか?」

 

「あっ、副支配人さん、お願いしてもいいですか?」

 

「かしこまりました、あら?ノワールが随分懐いているようで」

 

「この子ですか?へぇ、ノワールちゃんっていうんだ」

 

「当ホテルのビックボスなのですよ」

 

「び、ビックボス?偉いんですね」

 

「えぇ、さぁどうぞお召し上がりください」

 

「!?いつのまに!?」

 

会話の間に机の上には朝食が用意されており、いただく

 

「・・・」モグモグ

 

パンを食べながら、再び広間を見回す。

 

そういえば、チノと千夜が元々この部屋はカフェ&レストランを営んでいたと聞いたそうだ

 

そこにあるビリヤードやピアノはその名残なのだろうか

 

「ごちそうさまでした」

 

しっかりと挨拶して、膝上のノワールを優しく椅子の上に乗せてから、立ち上がりピアノに近づく

 

ピンっと鍵盤を叩くと音が鳴る、当然であるが、なんだか楽しくて

 

もしもこれが皆と一緒だったらビリヤードの方に行っていただろう・・・だが今日はなんだかピアノの気分

 

弾けたりはしないが、懐かしく感じる

 

「・・・♪~♪~♪~」

 

思わず口ずさむのはキラキラしてて、人の背中を押してくれる・・・応援してくれる、そんな曲

 

「あら、素敵な歌ですね」

 

「!?」

 

「申し訳ありません、食器を下げに戻ってきたら素敵な音楽が聞こえたので」

 

後ろから現れたのは副支配人、思わず驚いたが

 

「!、ごめんなさい、勝手に触って」

 

「いいんですよ、このピアノも久しぶりに弾いてもらえて嬉しかったでしょう」

 

「あはは、弾いてないですけどね・・・「よければ演奏しましょうか?」え?」

 

「このホテルにあるのですから、演奏できますよ。よければいかがでしょうか?」

 

なんだか久々に聴きたくなったので・・・

 

「お願いしてもいいですか?」

 

「かしこまりました、曲は先ほどの曲でもよろしいですか?」

 

「はい・・・って分かるんですか?」

 

「ロックバンドも嗜んでおりますので」

 

「副支配人ってすごいなぁ・・・」

 

「しかし、不安な箇所もありますので、ぜひ歌唱をお願いします」

 

「えぇ!?」

 

「あぁ、ピアノだけでは寂しいですね、少々お待ちを・・・」

 

そういった副支配人が連れてきたのは・・・

 

「本来音楽のサービスは行っていませんが、いいでしょう」

 

「ギター!?」

 

ギターを構えた支配人だった

 

・・・そうして始まった音楽会

 

ピアノとギター、そしてエリアの歌がホテルに響く

 

あぁそうだ、確か昔はこうやって・・・

 

 

・・・数年前、エリア幼少期

 

「おかーさん、♪~♪~♪~であってる?」

 

「そうそう、上手よエリア」

 

キーボードで弾き語りする母とその真似をしていたエリア

 

「エリアは本当にこの曲が好きねぇ」

 

「うさぎさんの曲、かっこいい」

 

「あら?うさぎさんなの?」

 

「おとーさんがうさぎの曲って言ってた」

 

「清正ったら適当なことを・・・けど、お母さんも好きよ。この曲は」

 

あの時母がこの曲のことを教えてくれた

 

・・・

 

「(夢がない俺だって、だれかの夢を応援できる)」

 

この曲は誰かの夢を応援する曲だと、教えてもらった

 

「(けど、夢を叶えるのは他の誰かじゃなくて・・・)」

 

結局は自分自身で頑張らないと行けない、それはすごく不安だ

 

・・・だけど

 

「(どんな夢だって追うことができるんだよ、父さんもそう言ってた)」

 

父さんは夢を一度諦めたけど、夢を追いかけるのは自由なんだって、叶うかは分からない、けどそれでも夢に夢中になる時間は誰にだってあるんだって言っていた・・・だったら

 

「(俺にまだ夢はない、だったら今は夢を見つけることに夢中になればいいんだ、今みたいにとびきり自由に!)」

 

楽しげな歌声は響き続けた・・・

 

・・・そうして歌い終わると、パチパチパチ!

 

「!」

 

「素晴らしい歌声でしたよ」

「ぜひ、ご家族に聞かせては?」

 

支配人と副支配人が拍手を贈ってくれた

 

「あっ・・でも俺の両親は・・・「今のご家族にですよ」今?」

 

「だから今のご家族にですよ、ご一緒にいらした母、親父、姉と妹達の皆さんにですよ、弟様」

 

「え、もしかして千夜達のことですか?」

 

「その方がお嫁さんの方がよろしかったでしょうか」

 

「なっ違っ・・・けど、そっか」

 

この旅行中は家族なんだった、そしてそれはこれからも!

 

「はぁ~・・・」

 

思わずしゃがみこむ

 

「なんだか皆に会いたくなっちゃったな」

 

「ご連絡をとられては?きっとあちらも待っているでしょう」

 

「そうですね、けど・・・」

 

ピアノが目に入る、どうせなら

 

「あの、副支配人さんお願いがあるんです」

 

副支配人にお願いしたことは・・・

 

・・・一方その頃、エリアを除いたメンバーは・・・

 

「そういえば今日はエリア一人にしてたけどいいの?」

 

マヤが今日エリアを起こしにいったシャロと千夜に訊ねます。

 

「朝何回起こしても起きなかったんだから自業自得よ」

 

「でも、朝から連絡いれてたけど返信がないの・・・まだ寝てるのかしら?」

 

それは携帯を部屋に置きっぱなしにしているからです。

 

「もう夕方だからそれはないだろ?それよりホテルでエリア拾ったら夕飯何にする?」

 

「安いのがいいです」

「落ち着けるとこ」

「地元の味が恋しくなってきたな~」

「じゃあココアちゃんお手製のパンは?」

「自炊いいわね」

 

そんな風に話していると、ホテルに着きました。

 

「あれ?なんか知ってる香り・・・これって」

 

ホテルの中には美味しそうな匂いが広がっています・・・そしてパチパチと聞こえてくる音は・・・

 

「揚げ物か?久々だな」

 

「揚げ物・・・もしかして!」

 

広間に皆急ぎます、そこでは

 

「あ、皆おかえり~」

 

三角巾を着けて揚げ物をしているエリアがいました。

 

「今日は天ぷらだよ~」

 

ほら、見てえび天と、揚げたてのえびの天ぷらを見せるエリア

 

「エリア君?なんで揚げ物を?」

 

「折角留守番してたし、ご飯作ろうかなって思ってさ、支配人さん達にも手伝ってもらったんだ。」

 

今日は沢山揚げるよ~と、張り切っているエリア

 

「・・・心配して損したかしら」

「だから言ったじゃない、たまにはエリアにも息抜きさせなきとって」

 

千夜とシャロは今朝、確かにエリアを起こしたが中々起きなかった

予定の時間もあるので泣く泣く置いていくことになったのだ

 

その途中、よくよく考えてみれば、エリアはこの旅行に来てからあまりゆっくりできていなかったのではないかという話になったのだ

 

なにせ初日からビックイベントをこなし、千夜に叩かれ、プールに連れていかれ、シャロに泣かされてとイベント盛りだくさん

 

本当なら途中から合流しようと思ったのだが、休ませてあげなければ・・・ということになったのだ

 

「私えび!」

「私はかき揚げ!」

「パンも揚げれるかな?」

「揚げパンですね、蜂蜜かけましょう」

「それいいね、さぁなんでも揚げちゃうよー!」

 

正直どこかに出掛けるだろうと思っていたが、見た感じどこにもいっていない様子のエリア、なにをしていたかは知らないがなんだかとっても楽しそう

 

「ねぇ、シャロと千夜はなににする?おすすめは山菜だよ~」

 

「!、そうね、ならそのおすすめ頂こうかしら?」

「私はとり天がいいわ、お願いねエリア君」

 

楽しそうならそれでいいか、と考えているのはそれだけエリアに絆されているからなわけだが・・・そんなことは些細なこと、今はただこの美味そうな夕食にありつこうと思った二人だった。

 

「この後は演奏会となりますので、ぜひお席に座ったままでよろしくお願いします」

 

「演奏会?副支配人さんが演奏するの?」

 

「えぇ、このドラムセットで」

 

「どこから出てきたの!?」

 

「しかし、メインは私ではございません、エリア様?」

 

「はい、練習付き合ってくれてありがとうございました」

 

「!!、エリアが演奏するの!?」

「あれ?でもこの間楽器はしたことないって言ってたような?」

 

「今日一日で一曲覚えきったのですよ」

 

支配人が告げた言葉に皆びっくり、だけどエリアは

 

「いやぁ付け焼き刃で申し訳ないんですけど」

 

逆に申し訳ないという表情です。

 

「いいえ付け焼き刃ではありません、筋がいいです。特に一度聞いた音をピタリと的中させたあれは」

 

「!、絶対音感か!」 

 

リゼがエリアの特技を思い出します。

 

「そうなのですか、それに知ってる歌なのでテンポはバッチリでございました。それでは参りましょう」

 

エリアがピアノの前に座る

 

ひどく緊張しているが、それ以上に

 

「(母さんもこんな気持ちだったのかな?)」

 

大好きな人に音楽を贈るのがとても楽しみなのだ。

天国まで届け、と願いながら・・・

 

カン、カン、カンカンカン♪

 

副支配人がバチでリズムを取ってくれている、さぁいよいよ楽しい時間の始まりです

 

 

 




喫茶店こそこそ話

その日の演奏会はとても楽しくて、五回程アンコールが入ったそうですよ♪
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