大人と子供の狭間・・・思春期の苦悩
宣戦布告した千夜の思惑
千夜を支える家族とエリアを見守る大人
様々な人の想いが重なり、物語の終わりが始まります
千夜がエリアに宣戦布告した後、高校生組とチマメ隊が一つの部屋に集まり、作戦会議をしていました。
「やはり、ここはストレートに伝えたほうがいいと思う。流石にエリアもここまで来たら逃げられないだろうし」
「そうだね、けどエリア君なら逃げないと思うけどなぁ」
「エリアが逃げないのは分かるけど、逃げ道がないっていうのはかなり相手を追い詰めるんだよ」
「リゼさんはエリアさんをどうしたいんですか・・・」
「けどリゼの意見に賛成だよ!ここは攻める一択!」
「私もさんせーい!それにもう勝負は決まったも同然だもん♪もう後はなにもしなくても「だめよ」シャロさん?」
「今までのエリアならもう勝ちは見えてるって断言できた、けど今のエリアは危ないわ、なにか逆転の一手を揃えてきそうで・・・」
そう、今までのエリアならもう仕留めたと言っても過言ではなかっただろう・・・だが今のエリアは違う
「そうね、こちらが伝えたとしても渾身のカウンターが飛んできそうだわ」
「そう、だから万全の対策でこちらも挑まないと・・・」
神妙な顔つきの千夜とシャロにココアが問います。
「そもそもなんで勝ち負けがあるの?それにどうやったら勝ちなの?」
「「・・・さぁ?」」
作戦を展開していたがそもそもの論点が迷子なのである!!
・・・その頃の広間では
「はぁ・・・」
「十数回目のため息・・・、エリアさんかなりお悩みのようですね」
「そりゃそうですよ、まさかあんな宣戦布告をもらうとは・・・」
すこし行儀が悪いがソファに寝っ転がり、また一つため息を溢す。
青山は向かいのソファに座り、そんなエリアの様子を見ていた。
「でも満更でもないのでしょう?」
「そりゃまぁ・・・ってそうじゃなくて」
「もういっそのこと素直になってしまってはいかがでしょう?エリアさんの圧倒的敗北でゲームセットです。」
「圧倒的敗北って・・・けどそうなるのかなぁ」
「なにか不満な点が?」
「なんか色んな感情がごっちゃ混ぜになってて」
「感情の制御ができないのは未熟者です」
「し◯ぶさん!?」
そう言ってから体を起こす。そうしてから見る青山の表情はいつになく真剣な表情だった。
「恋愛は担当外ですが、これは恋愛以前の問題ですね仕方ありません・・・お互いにもう誤魔化さずにいきましょう。千夜さんのことをどう思っていますか?」
『誤魔化さずに』
それは言葉通りの意味だった。
青山は今から遠回りな質問ではなく直接的に聞くこと
それと同時にエリアが自身を誤魔化さずに話せということを意味していた
「!・・・大切な友達です」
いつかチノに言ったように、嘘偽りないはずの気持ちを話す。
「そうですか、しかし千夜さんはとても素敵な女の子、きっとこれから素敵な女性へと成長していくでしょう。貴方はそれをただ近くで友達として見守るのですか?」
「そ、それは「その千夜さんの近くに貴方以外の男性がいても落ち着いていられますか?」!!、そんなの・・・嫌だ・・・」
自分が彼女を一番想っているのにと、気づかぬうちに胸に生まれた独占欲がそんなの許せないと叫んでいた
「なら、どうするんですか?」
「・・・」
何も言い返せない、こんな気持ちは初めてのことだからどうしたらいいのか分からないから
「エリアさんはその気持ちに気づかないふりをしているように見えました。
それは千夜さんも同じで、お二人の関係は本当に不思議です。近いようで重ならない、遠いようで繋がっている、まさに付かず離れず・・・
だけど、千夜さんは一歩踏み出したのですよ?今の関係を捨ててでもエリアさんと歩むために」
「・・・」
分かっている、千夜がなんで宣戦布告という形で自分に気持ちを伝えたのか、その気持ちも分かってる
でも、千夜はあの場で本当の言葉を伝えることもできた
自分が全てを乗り越えたあの時でも、今朝でもできた
なのにそれをせずに、宣戦布告したのはエリアに時間を作るため
いきなり気持ちを伝えたらエリアは混乱する、取り乱し、どうなるのか分からなかったから
そうなる理由は・・・
「自分を認められないからですか?」
「!!」
「失礼しました。エリアさんは自分のことを認めつつあります、それは昨日のお話を伺った時から感じていました。
だけど、千夜さんに見合うほどに自分を認めることはでかていない、彼女に自分なんてもったいない・・・違いますか?」
淡々と告げられる青山の言葉、それは・・・
「その、通りです・・・俺は千夜のことを大切に想ってます・・・友だち以上に」
「なら「だけど!」!」
「俺は千夜を大切にしたいけど、俺じゃダメなんじゃないかと思うんです。」
彼女を大切に思うからこその考え、だけど
「でも、もしも望んでいいなら、今よりもっと俺自身が成長して千夜に見合うような人になれた時には、この気持ちを伝えようって思ってたんです・・・」
あの日勇気を出したと言ったあの日決めたこと、いつか彼女に見合う人になれたその時に告げたいと思ったのだ
「そうだったんですか・・・だけど先ほど千夜さんから宣戦布告受けて」
それはあまりに突然すぎて・・・
「・・・俺はまだまだなのに、その気持ちを受け入れてしまおうって思ってしまいました。
でも俺はまだまだ未熟だから、今気持ちを受け入れちゃだめだって思ってるのに、さっき他の誰かの隣に立つ千夜を想像したら、たまらなく悔しくて悲しくてっ」
嬉しい、でも悲しい、けど悔しくて、やっぱり悲しい
様々な感情がごちゃごちゃする
「こんな気持ち知らなくて、よく分からないんです。
こんな気持ちのままじゃ、俺は千夜と向き合えない」
胸に渦巻く初めての感情、それがひどく気持ち悪くて醜くく思えてしまった。
きっと千夜は時間をくれたのだ、考える時間を
「青山さん、教えてください。
この気持ちはなんですか?どうしたら晴れますか?
俺はどうしたらいいんですか?」
しかし、時間を貰ったからといってもどうしていいか分からない
「皆とはもちろんだけど、俺は千夜と未来を歩きたい。約束した『これから』もまだ分からない『これから』も全部全部千夜と歩きたいんです。」
重たい感情なのは分かってるけど、自分が望んでる本心はきっとそれで
それが綺麗なものなのかどうなのか、分からなくて苦しくて、助けを求めた・・・しかし
「今エリアさんが一番ほしいのはその気持ちの答えですか?もしくは彼女に見合う自分ですか?、どれも欲しがったって貰えません」
望むなら、欲しいのなら
「エリアさん自身で掴まないとダメです。
こうして私に助けを求めることは間違ってはいません、それができるのは成長した点です。そうした成長を重ねたエリアさんは少年から大人になりつつあります。
それでも今のままでは欲しいものは何一つ手に入りません
ならどうしましょう」
「大人になる・・・ですか?」
「正解です。今よりすこし一歩前に前進し、大人に近づきましょう。そのために・・・」
青山はすっと立ち上がり、エリアの手を取り、歩き出す。
「えっ?青山さん一体どこに!?」
「今夜は夜遊びしてしまいましょう♪私がエリアさんを大人にしてみせます!!」
そうしてホテルからでて夜の街へと繰り出した
・・・エリアが青山に連れられた頃、千夜達はまだあーでもないこーでもないと、作戦を考えていました。その途中で
「それにしても、宣戦布告とは考えたな千夜」
「エリア、ポカーンって顔してたしね」
「でもなんであの時に言わなかったんですか?逃げ場を与えないならその方が良かったと思いますが・・・」
チノの疑問にココアとシャロと千夜が答えます
「チノちゃんの言う通りだけど、エリア君相手にはそれは悪手だと思う」
「そうね、万が一取り乱したりなんてしたら大変なの目に見えてるもの」
「だから、エリア君が整理する時間がいるの。」
逃がすつもりはない、だから逃げ道を断たせるように仕向けはした。
「エリア君が気持ちを整理して、考える時間あげたかったの。それから幸せになる準備をしてもらわないと」
「幸せになる準備ですか・・・」
「きっとエリア君は当たり前に過ごせる今が幸せなんだって知ってる。でも私はもっともっと幸せになってほしい、だから私がエリア君のこれからを幸せにするの。」
優しさや友愛はこれからも変わらず家族が与え続け、エリアもそれを返し続けるだろう
だけど千夜はそれだけじゃ満足しない、家族を越えた愛を届けたい
「満足することはないわ、ずっともっとエリア君を幸せにする。それと同時に私も幸せにしてもらうの」
愛、それを千夜はエリアに与えたいのだ
「それはエリアが爆発しそうだな、愛の過剰摂取で」
エリアの身を案ずるリゼだが・・・
「?足りないくらいでしょ?」
「その通り、先輩これでもまだまだな位ですよ?」
「!?シャロまで!?」
ココアとシャロはそれに疑問で返した、だって足りないのだから、この二人は千エリガチ勢なのだ
「依存とか執着とかそういうつもりはないわ・・・ただエリア君にはこれだけ私を夢中にさせたんだもの、責任とってもらわないと♪」
今朝エリアに言われた、責任取るからと
この時点で千夜は気持ちを告げるなら今だと思った
だけど、いきなりだとエリアは混乱するから
優しい彼が思い悩むようなことはさせたくなかった
だから、時間を与えた
奇しくもその思惑はエリアをまた別の混乱に送り込んだが・・・
「青山さんにそのへんのケアはお願いしたの。私でよければって言ってくれたのよ。」
「今回ばっかりは私もエリアの相談にのれないもの。青山さんには申し訳ないけどね」
「大丈夫だよ。青山さんエリア君のこと大好きだもん。きっと今頃夜の街にくり出してると思うよ。」
「いや、もう10時過ぎるしそれやばくないか?」
「いざとなったら兄弟で誤魔化すって言ってたかしら・・・」
「心配だ!!」
「とにかく青山さんにならエリア君を任せられるから、後は私が頑張らないとって思ってたけど皆がこうして助けてくれてすごく嬉しいわ」
「親友達の応援だもん!喜んでやるよ!」
「前にも言ったけど今更なのよ。むしろここで仲間はずれなんて許さないわよ」
「うん、皆本当にありがとう!」
千夜の心からの感謝、それに皆も笑顔で応えます。
「じゃあそろそろ隊の名前決めないとな」
「はいはい!エリア倒し隊!」
「倒すんですか!?」
「じゃあエリアさん落とし隊!」
「落とし穴!?」
「そうね、エリア追い詰め隊かしら」
「エリア君を逃がさない隊!」
「もうめちゃくちゃです!」
・・・
「盲点でした、まさかカジノで年齢制限があるとは・・・」
「そりゃそうでしょう・・・」
青山とエリアは夜の街に繰り出し、カジノへと向かったが、明らかに未成年のエリアがいたため門前払いされました。
「困りました、これではエリアさんを大人にできません」
「大人ってギャンブルでなるものなんですか・・・」
現在は夜景がよく見える橋で休憩中です。
「仕方ありません、カジノへは後程凛ちゃんと向かいましょう。」
「カジノいきたいだけじゃないですか」
「ドッカーンする快感は何事にも変えがたい大人の特権だと思うのですが・・・」
「それは当たってドッカーン?それとも財布が?」
「でも、ここからの景色はいかがでしょうか?こんな景色が見れるのも夜遊びができる大人の特権ですよ。」
「そう、ですね・・・」
人々の営みが魅せる輝き、この街は眠らない、常に輝いている
「あ、でもエリアさんはこの街の出身ならこんな景色は何度も見たのでは?」
「はい、けど子どもの頃より違った景色に見えます」
昔は両親に連れられて見た、ただキラキラしただけの景色、けど今は違う
「あの光の一つ一つに人の生活があるんですね」
お日さまや月の輝きとは違う、人が作り出した光
「そう、いわば人の光です」
「人の光ですか・・・」
「エリアさんもあの一つなんですよ。一つの光、それはちっぽけでも・・・たくさん集まればこんなに輝く」
「・・・」
自分も輝きの一つ、小さい小さい灯だった自分・・・それだけの光では真っ暗なこれからを見ることはできなかった
だからいつも不安だった
けど、皆が集まって灯を集めて、どんどん明るくなったんだ
だから、これからを望むことができたんだ
けど、今は?
「景色を見るということは気持ちのリセットに繋がると思います。私も執筆が行き詰まった時には色々な場所に足を運び、気持ちを切り替えています。今のエリアさんにはぴったりではないでしょうか」
千夜の灯りは遥か前にある、自分より前にいる
けど、自分を置いていくようなことはしない
進む道はこっちよ・・・と、待っててくれている。
これからも楽しいことばかりだから、ずっと一緒にいようと、呼んでくれている。
「・・・」
青山の言う通り、この景色を見て気持ちが落ち着いて、リセットされたようだ・・・リセットできたから今度は自分の気持ちと想いを振り返り、どうしたいのかを考える。
「・・・まずは」
見合ってないとか、自分じゃダメだとか、なにをつまらないことを考えていたんだろう
いつか彼女に見合う自分になれたら・・・なんて甘えてた
そのくせ、彼女が他の人にとられるのが悔しいなんて・・・惨めたらしくて仕方がない
情けなくて、泣いてばかりで、彼女の勇気から目を背けようとしていた
それではだめだ、自分も自分で前に進まないといけない
なにより彼女は自分を選んでくれたのだ
待たせるわけにはいかない、彼女に見合うのはいつかじゃない・・・今だ
それになにより女の子に先に言わせるなんてカッコ悪すぎる・・・だから
「青山さん・・・「その目なら安心です」!はい!」
もう一度覚悟を決める
家族と向き合う覚悟とは違う・・・男としての覚悟を
「女性に先に言わせるなんて、男性としてのプライドが許さないでしょう?」
「はい、けど・・・もう言わせちゃいました」
「落ち着いてください、あれはただの宣戦布告・・・本番はここからです。」
「!」
「カジノは失敗でしたが、職人エリアに向かいましょう。まだ空いてるお店や今の時間なら露店の類いもあるでしょう」
「?職人エリア?」
「女性に想いを告げるのにプレゼントの一つもないのはよくないでしょう」
「!!、青山さん本当に恋愛は担当外なんですか?」
「ふふっ、私はエリアさんより大人だから、色々経験しているだけですよ」
そうして二人はもう一度夜の街を進んでいった。
・・・翌朝
「ふわぁー・・・おはよシャロ」
寝癖のついた頭と寝巻きのままでてきたエリア
ホテルの制服を着て休んでいるシャロに挨拶をしました。
「おはよう、ってもう昼じゃない、もうすぐ昼御飯だから紅茶でも飲む?」
「うん・・・皆は?」
「チマメちゃんは出掛けて、青山さんと凛さんはカジノでどっかんした罰でホテルの手伝い、私たちもホテルの手伝いよ」
「そういえばシャロもホテルのせいふ・・・ふわぁぁ・・・」
言いきる前に欠伸を溢しました、
「えらく眠そうね、まさか昨日青山さんのカジノに付き合ったんじゃ・・・」
「ううん、ちょっと欲しいもの見つけてからホテルに帰ってきて、カジノに行く青山さんと凛さん見送ったよ・・・けどちょっと寝付けなくてさぁ」
「なんで寝付けなかったのよ」
「そんなこと聞くなんて、シャロのエッチ」
「!!?ばっ、アンタなにを!?」
「冗談だよ。ちょっと色々あったの・・・けどもう大丈夫、もう覚悟決めたからさ」
「!!」
なんの覚悟と聞くまでもないだろう、今のエリアの瞳はは今までにないくらい輝いている
「そう、ならよかったわ・・・こっちの作戦がスゴすぎるから腑抜けたエリアだと拍子抜けかもと思ってたんだから」
「言ってくれるね、男子三日会わざるば刮目して見よってね。もう昨日までの俺とは違うよ」
「そっちこそ言うじゃない」
バチバチと、何故か二人が火花を散らす
「負けさせないわよ、いい加減
「負けないよ、
千夜を置いて交わされる約束・・・旅行は遂に最終日へ!
喫茶店こそこそ話
この後なんとホテルにお客さんが来て大慌てするエリア
エリアは皆からピアノの演奏を頼まれて弾きました・・・寝癖と寝巻き姿で
そのお客さんからは
「まだまだ粗削りな可能性を感じる・・・」
「あの格好は飾らない自分を意味してるのかな・・・」
・・・と、好評?でした