緑茶風少年   作:アユムーン

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クリスマスに間に合うのか、と心配になる今日この頃


雨に濡れて涙に濡れて

「あ、雨だ・・・」

 

ある日の甘兎庵、店番中のエリアは窓からの景色を見て、雨が降ってることに気づいた。

 

「千夜大丈夫かな、今日はココア達のところに行くって言ってたけど」

 

迎えに行くべきだろうか、と考えたが仕事終わりまでは時間がある。

 

それに雨はかなり激しく、風も強い、傘を持って迎えに行ったって意味ないのかもしれない。

 

せめて、雨足が遠のいてからのほうがいいかもしれない・・・だけど

 

「(そういえば、あの日も)あ、あの!店主さん!」

 

・・・

「はぁっ、はぁっ・・・」

 

結局、千夜のおばあちゃんにお願いして、早めに抜けて、迎えに行かせてもらった。

 

行き掛けに千夜はシャロと一緒だからね、と声をかけられたので2本の傘を抱えていた。

 

辺りも暗く、雨もさらに酷くなっていた

 

思わず足が早足になる。

 

きっと困ってる、もしかしたら助かったって言ってくれるかな

ありがとうって言ってくれるかな?

 

そんな考えを抱きながら、道を進んでいく。

 

・・・喫茶店、ラビットハウス

 

夜だがまだ開いているようだ、ドアに手を掛けた。

ガチャリ・・・

 

「いらっしゃい・・・おっと、ここに君が来るにはまだ早いと思うが?」

 

そこにいたのはバーテンダーの男性・・・あれ?

 

「こ、ここって喫茶店じゃないんですか?あっティッピー」

 

まだ一度もラビットハウスに訪れたことのなかったエリアだったが、チノが連れていた兎、ティッピーがカウンターにいるのでここで間違いではないはずだが・・・

 

「喫茶店?あぁ、昼は喫茶店で夜はバーをやっているんだ。今はバータイムだからね。もしかして娘に用事かい?」

 

「む、娘?えっと・・・」

 

「違うのかな?「そいつはココアの友人の友人じゃよ」あぁ宇治松さんかリゼ君の友人かな?」

 

言いよどむエリアにおじいさんのような声が助言してくれた。

 

「は、はい。私は宇治松千夜の家に下宿してる者です。ってあれ?今の声って?」

 

「んんっ!!彼女なら今日はウチに泊まると言っていたが、連絡はきていなかったのかい?」

 

「え?・・・あっ」

 

慌ててきたので携帯を忘れていた。

自分、もしくはおばあちゃんの元にはこちらに移動している間に連絡が来ていたのかもしれない。

 

「見たところ迎えに来たというところだね、君もこの雨で帰るのは危ないだろう。泊まっていきなさい。私の部屋でなら「あっあの!ごめんなさい!」あっ待ちなさい!」

 

思わず飛び出してしまった。2本の傘を置いて・・・

 

・・・

「はぁっ、はぁっ・・・」

 

ザァァァァ・・・

 

傘をさして、走っていたが、もう体中びしょびしょだった。

 

今回はタイミングが悪かっただけだ、

 

携帯を持っていたらもっと前から知っていたかもしれない、けど

 

なにが喜んでくれるかな、だ。

なにが助かった、だ。

 

当たり前じゃないか、彼女は自分とは違う。

彼女には友達がいる、困った時に頼りにできる友達が、

 

自分なんかが助けになれるわけがないだろう。

 

彼女達を助けたいと思い上がっていた自分に嫌気がさす。

 

「(っ!ダメだダメだ、これじゃあ、また同じだ・・・)」

 

嫌な思考は無理やり追い出して、大丈夫、大丈夫と呟きながら帰路を進む。

 

・・・

甘兎庵に戻ると、たくさんのタオルを持っておばあちゃんが待っていてくれた。

 

「あぁ、戻ってきたかい。千夜なら今日は泊まるって連絡が来たよ。まったく連絡が遅いよ・・・!・・・どうしたんだい?」

 

「え?俺どうかしましたか?あはは」

 

「・・・そんな泣きそうな顔して、なにもないことはないだろう」

 

「っ!」

 

「あんたが話したくないなら別さ、だから私からはなにがあったか聞かないよ、けどそのままじゃ風邪を引く。さっさと風呂入ってきな。」

 

「はい・・・ありがとうございます。」

 

風呂に入った。じんわり暖まる体、気分が少しすいたような気がした。それでも・・・

 

風呂から上がると、携帯を渡された。

 

「え、えっとなんで携帯?」

 

「さっきからずっと鳴ってるんだよ。うるさいったらありゃしない、とっとと連絡してやりな。」

 

「連絡って誰に・・・うわ、着信履歴がすごい」

 

そこには千夜の着信履歴がたくさんあった。

 

・・・とりあえずかけてみる。

「も、もしもし・・・」

 

「エリア君!!!?」キーーン!!!

 

スピーカー越しに聞こえる大きな千夜の声

 

「ち、千夜、声おとして、耳つぶれる。」

 

「それより!ラビットハウスまで来てたの!!?」キーン!!!

 

「ー!!うっうん「ちょっと落ち着きなさい!ほら!携帯貸して!」「あぁシャロちゃんひどい!」「あっ、私もエリア君と電話したい!電話番号教えて!」「今はそういう話じゃないだろ!」「ココアさんは静かにしていてください!」ぐぁぁぁ・・・」

 

千夜だけでなくシャロ、ココア、リゼ、チノと全員の声が一気に聞こえてきた。

 

思わず携帯を離す。

 

「もしもしエリア?私、シャロよ。」

 

どうやら落ち着いたようだ、シャロからの声が聞こえる。

 

「しゃ、シャロさん?」

 

「ちゃんと家ついたの?」

 

「は、はい。お風呂入ってました。」

 

「そう、なら良かったわ。こっちはチノちゃんの家に泊まることになったの、ここまでは聞いてるかしら?」

 

「聞きました。」

 

「そしたらチノちゃんのお父さんが、千夜のところの下宿生が来たって傘持ってきてくれたのよ。そんなのエリアしかいないじゃない」

 

「そうですよね」

 

「傘はあるのに肝心のエリアがいない、しかも外は大雨、走って帰っていったなんて聞いたら心配するでしょ!」

 

「え、えぇ!?でも帰らないといけなかったから・・・」

 

「そうだとしても、せめて服が少し乾くまで待つとか、雨足が遠のいてから帰るとか、色々あったでしょ?」

 

「っ!ご、ごめんなさい」

 

「皆心配して千夜なんか探しに行こうとしてたのよ?迷子でもなんでもないのに、止めるの大変だったわ。」

 

「本当にごめんなさい・・・」

 

あぁ情けない、なんの役にもたたなかったのに、心配をかけて、迷惑をかけて・・・

 

「・・・けどありがとう」

 

「え?」

 

「傘よ、千夜と私のこと迎えに来てたんでしょ?タイミングが悪かったけど、感謝してるのよ。大雨の中、迎えに来てくれたんだから。」

 

「そんな、結局なんの役にも立たなかったし・・・」

 

気分が落ち込み始める。

 

「?なに言って「シャロちゃん、代わって」え?ちょっと千夜!?「いいから」」

 

「千夜?」

 

「そうよ、エリアくん。」

 

「・・・ごめんね、結局役に立てなくて」

 

「気にしてないわ、ただ心配をかけたことはしっかりと分かってほしい」

 

「はい・・・」

 

「けど、さっきシャロちゃんも言ってたけど雨の中迎えに来てくれてありがとう。それに、おばあちゃんから聞いたわ、お仕事早退して行ったって。」

 

「うん・・・」

 

「心配かけてごめんね」

 

「!、そんな、心配するのは当たり前なんだから」

 

「そうね、それは私たちも同じなのよ、エリア君」

 

「!」

 

「心配だから助けようとする。お互いにね」

 

「・・・」

 

「それからお互い感謝しあう、きっとそれが友だち」

 

「・・・ごめんね、心配かけて。それからありがとう」

 

「ううん、こちらこそ。それじゃあ明日の朝には帰るわ。おやすみなさい」

 

「うん、おやすみ」

 

ピッ!・・・ ・・・

 

「互いを思いあう・・・か」

 

シャロと千夜と話して、少し心が軽くなった。

自分がしたことは決して無駄なことじゃないと、そして

 

「お互いを想い合う、それが友達」

 

久しぶりにできた友達、それがとても嬉しかった。

 

そんな嬉しい気持ちのまま布団に入る。今日は眠れそうになかった。

 

安堵なのか嬉しさからくるものなのか、瞳から流れている涙に、エリアはまだ気づいていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




喫茶店こそこそ噂話

ある雨の日に起きた「あること」、それは現在のエリアを形成、作り上げたといってもいいほどの出来事だそうですよ。
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