緑茶風少年   作:アユムーン

70 / 100
多くは語りません、ただ一言

ご一読ください!この物語を!


三年目
怪盗ラパンに続くベストセラーになりました


木組みの町に帰ってきて、また皆元の生活に戻りました・・・そう、またあのバタバタな毎日の始まりです。

 

イースターイベントではうさみみ着けて店番したり、エイプリルフールではその日限定で英国風の喫茶店をしてみたり・・・楽しく過ごしていました。(エイプリルフールでメグが見た不思議な夢で、エリアはアイドルをしていたそうです。)

 

そして遂に学校が始まります。

 

「いただきまーす」

 

新学期ということもあり、ちゃんと早起きして色々準備して、朝御飯を食べる。

 

「もぐもぐ「お邪魔するわよ!」あ、シャロ。おはよう」

 

そこに、やってきたのはシャロ、なにやら慌てています。

 

「なにかしらないけど大丈夫?朝御飯食べる?」

 

「もう食べたわ・・・ってそうじゃなくて、千夜は!?」

 

「まだ寝てる」

 

「起こしなさいよ!」

 

「そう思ったんだけど、あんまり気持ち良さそうに寝てるから起こせなくてさ」

 

「このバカップル!、千夜ー!」

 

「バカってなんだ、せめて筋肉つけろよ」

 

そう言って千夜の部屋に走っていたシャロですが・・・

 

ゴンッ!

「あいたーっ!」

「シャロっ!?」

 

大きな音と共になにかにぶつかったようです。

お箸とお茶碗をもって駆けつけました。

 

「大丈夫?」

「痛い、脛ぶつけたぁぁ・・・」

 

部屋に続く廊下には蹲っているシャロ、そしてシャロがぶつかったであろう大小様々な段ボールが置いてあります。

 

「もうっ!この間までこんなのなかったじゃない!」

 

「そりゃ昨日届いたばっかりだし」

 

「ちゃんと片付けなさいよ!」

 

「それはごもっとも、ごめんね」

 

「それにしてもなんなのこれ?誰の荷物?」

 

「俺のだよ。実家から送ってもらったの。それより時間大丈夫なの?」

 

「あっそうだった!千夜ー!」

 

今度こそ千夜の部屋に向かったシャロを見送り、再び居間でごはんの続きを食べます。

 

「ふぁー・・・おはようエリア君」

 

「おはよう、あれ?シャロは?」

 

そういいながら、千夜の分のご飯をお茶碗に盛り、手渡す。

 

「もう学校に行ったわ、特待生代表の挨拶があるんだって」

 

それを受け取り、食卓につく千夜

 

「へぇー、シャロも大変だね」

 

エリアが視線を少し横に向ける、それに気づいてなにも言わずその視線の先にある醤油を渡す千夜

 

「それにしてもあの荷物、やっぱり少し邪魔だわ」

 

醤油を受け取り、卵焼きに軽くかけて、頬張り、飲み込んでから・・・

 

「ごめんね、今日中に何とかするから待ってて」

 

「昨日も大変だったものね」

 

荷物をエリアの部屋の前までエリアと千夜の二人がかりで運んだのだ、それを手伝わせてしまったことを含めて謝りつつ、お茶をいれて、千夜の前に置く

 

「気にしないで、それにしてもお家からなにを送ってもらったの?」

 

「あれはね「話してる暇あるのかい!」!、店主さん!」

 

荷物の中身を話そうとしたのを遮って、店主がやって来た。

 

「ちゃんと朝御飯食べるのはいいことだけど、ちゃんと時間見な!」

 

「「へ?・・・大変!!」」

 

時計を見ると遅れはしないけど、そろそろ出ないとしんどい時間帯になっていた。

 

急いで朝御飯と歯磨きを済ませて・・・

 

「「いってきます!!」」

 

「いってらっしゃい」

 

二人仲良く、家を飛び出していきました。

 

・・・

 

通学中、ココアとチノと会いました。

 

「千夜ちゃんにエリア君おはよーっ!」

「おはようございます」

 

「おはよう二人とも」

「おはよう・・・お?チノちゃん制服似合ってるね」

「!、本当ですか?ありがとうございます」

 

ココアとチノの二人の登校はよくみていたが、今日からは二人とも同じ制服、髪型もいつもと違う

 

「でしょでしょ!今日の髪型は私がやったんだよ!」

 

「うん、ココアのパワーがよく込められてるね」

「えぇ!?」

 

二つくくりの髪からココアが込めた想いを感じたエリア

 

「さしずめ姉力パワーかしら?」

 

「そう!それだよ千夜ちゃん!」

「それよく知られてるものなんですか!?」

 

「あ!いけない、忘れてたわ!我らスクールメイツ三人衆♪」

 

「!、う~~・・・」

 

千夜の号令に合わせて、ココアと千夜は何かを貯めるように軽く蹲り・・・

 

「??」

「!、チノちゃんハイタッチの準備、両手で」

「え?え!?」

 

それに困惑するチノに向かってアドバイス

 

「「いえーい!!」」

 

パーン!×3

 

アドバイス通り慌てて両手を挙げたチノ、ココアと千夜と無事にハイタッチが出来ました。

 

「こ、これは?」

 

挨拶代わりのハイタッチ、エリアはなんとなく分かったのでチノに指示が出せました。

 

「アドバイスありきとはいえ、いきなり上手くいくなんて・・・チノちゃんやるわね!」

「掛け声ももっと元気にして明日も成功させようね!」

「多分毎日やると思うから練習しとこうねチノちゃん」

 

「えぇ!?」

 

「それから私たち17歳組も!」

「「「いえーい!!」」」

 

パーン!×3

 

「・・・シャロ忘れてない?」

「あっ!?」

 

・・・

そうこうしているうちに、三人と別れるまで来た。

 

「んじゃ俺はこっち、またね」

 

「うん!またね!」

「またお店で」

「エリア君・・・いってらっしゃい!」

「!・・・うん、千夜もいってらっしゃい」

 

挨拶を交わしてから、学校に向かって進む。

 

・・・といっても、今日は入学式と始業式だったので、すぐに学校は終わりました。

 

いつもならそのまま家に帰るのですが・・・今日はいつもと違い、少し寄り道

 

「えーっと・・・あった」

 

来た場所は本屋さん、本を一冊取って、手に持っていた数冊と共にカウンターへ

 

袋に入れてもらった本達をもって、少し浮き足立ちながら帰りました。

 

・・・その日の甘兎庵では

 

「へー、ココアとクラス分かれちゃったんだ」

 

「えぇ、少し寂しかったわ」

 

いつもの甘兎の制服に着替えて、お仕事・・・しながら今日の報告会

 

「けど、新しいクラスも楽しそうだし、今からクラス対抗行事が楽しみだわ!」

 

「逞しいね、前なら少しショック受けてそうなものだったけど」

 

「私だって成長してるのよ!」

 

「知ってるよ。ずっと近くにいたんだから」

 

「!、え、エリア君は?新学期どうなりそう?」

 

「俺?俺のところは特になにもないよ・・・あ、でも選択授業の内容は少し変えたかな?」

 

「選択授業?」

 

「うん、ウチの学校自分で授業組み立てるタイプの学校だからさ。それの内容は今日決めたんだ」

 

「へぇ、どこ変えたの?」

 

「基本の5科目に前までは美術とってたんだけど、それを変更した。今年はね?「すみません、注文いいですか?」あっはい!ごめん!後でね!」

 

「あっエリア君・・・もう」

 

結局その日は話せず、聞けずじまいに終わってしまった。

 

・・・そんな感じの新学期が始まり、一週間ほど経ちました。

 

そんなある日、ココアから連絡が・・・

 

『ってことで、進級記念パーティーだよ!ビストロ☆ココア開店するから来て!』

 

今度の休日に進級記念のパーティーを行おうと計画したココアからのお誘いでしたが・・・

 

「あー、ごめん。今度の休みは俺ちょっとやりたいことあって」

 

『えぇっ!?』

 

「あ、後千夜も用事あるって」

 

『えぇ!?、そんなぁ・・・』

 

「本当にごめん・・・」

 

『ううん、大丈夫だよ・・・またね』

 

そんな感じ通話が切れた。

 

「うーん、かなりショック受けてたな、でも思ったより大変なんだよなこれ・・・」

 

いつもは整頓しているエリアの部屋は今少し散らかっている。

 

学校とバイトの合間に実家から届いた荷物を少しずつ荷解きしているのだが・・・

 

「説明書とかがないんだよなぁ・・・多分母さん捨てたな」

 

そう呟きながら、また作業に取りかかりました。

 

・・・後日

 

『・・・というわけで、次の4月10日に集まれませんか?その日ならラビットハウスもお休みなので、ウチでビストロ☆ココアが開催できるかと』

 

今度はチノから連絡が来ました。

 

結局前回のココアのお誘いには皆予定が合わなくて開催できなかったそうですが、チノがスケジュール調整を行い、次の4月10日に集まれることになったそうです。

 

「うん、その日なら大丈夫だよ!」

 

『けど、最近エリアさん忙しそうと千夜さんから聞きましたが・・・』

 

「あ、それは大丈夫だよ。もう色々終わったから今は自分のペースで出来てるし」

 

『それならよかったです。そ、それからなんですが「ビストロ☆ココア開催の日のこと?」!、エリアさんにはお見通しですか?』

 

「うん。飛びっきりのプレゼントもっていくよ。だからチノちゃんも手伝ってね?」

 

『!?私ですか?一体なにを?』

 

「それは内緒、当日楽しみにしててね!」

 

そう言ってから通話を終わりました。

 

「それにしても、千夜に気づかれてるのか。もうちょい上手くなってから話したいんだけどなぁ・・・けど、もう目標は決まった、お披露目は4月10日だ!」

 

そうガッツポーズをとってから、早速またなにかに取りかかりました。

 

・・・さてさて、4月10日になりました。

 

「千夜!俺色々準備あるから先に行ってるね!」

 

「分かったわ。ねぇエリア君その荷物はなんなの?」

 

エリアの手にはケースに入った細長いなにかが持たれています。

 

「これ?これわねー・・・内緒!」

 

ニコニコの笑顔でそう返すエリア、なにかをすごく楽しみにしている様子で、思わず千夜も釣られて笑みが溢れます。

 

「ふふっ内緒なの?」

 

「うん、内緒!楽しみにしててね!」

 

そう言ってから弾むような足取りでラビットハウスに向かいます。

 

・・・そうして始まったビストロ☆ココア

 

次々に訪れる皆の手にはなにかしらのプレゼントがあります。

 

ココアは本日の料理への賄賂だと思っているようですが・・・

 

「いいから始めましょ?」

 

「そうだな、ってあれ?エリアは?」

 

「そういえば、千夜なにか知ってる?」

 

「いないわね・・・私より先に出てきてたのに」

 

最初にリゼが気付き、シャロが千夜に聞きますが、千夜も知りません。

 

「もうエリア君ったらどこを寄り道してるの!」

 

「いや、寄り道常習犯のココアさんが言わないでください。そ、それでエリアさんからは先程連絡があって、さ、先に始めておいてほ、ほしいとのことです。」

 

なにやらしどろもどろな様子のチノに、皆なにかを隠してるな・・・と気づいていましたが、今はそれに乗ってあげようということで

 

「じゃあ皆準備はいいか?」

 

「!、そのコップ!」

 

リゼの号令に合わせて皆が旅行でお揃いで作った「We are Family」のマグカップを手に持ち・・・

 

「「「「「「誕生日おめでとう!」」」」」」

 

上に掲げて、お祝いの言葉を伝えました。

 

「・・・へ?」

「はいこれココアさんのです。それから始まりますよ。」

 

呆然とするココアにチノがココアのマグカップを手渡します。そして・・・

 

チャンッ♪チャチャッ♪チャン、チャンチャン♪

 

「!?何処からともなくピアノの音が!?」

 

流れてくるピアノの音はよく聞く誕生日の曲

 

「ピアノって・・・もしかして!」

 

マヤが音の鳴る方を向き、皆もそっちを向きます。そこには

 

「エリア君!?「千夜せいかーい!さ、チノちゃんよろしく!皆もよろしくね!」え!?」

 

いつの間にかカウンターに潜んでいたエリアが持ってきたキーボードを演奏しています、そしてチノに声をかけて・・・

 

「は、はい!皆さんも一緒に!」

 

そうして、エリアが演奏し、チノが先導して皆が歌い、ココアに歌のプレゼントを送りました。

 

・・・演奏後

 

「どうかな?結構練習したんだけど」

 

「普段聞いてるのと全然違う!エリアさんのアレンジですか!?」

 

「ありがとうメグちゃん。これはアレンジ・・・なのかな?母さんが昔俺の誕生日に弾いてくれてたの思い出してさ、音程は覚えてたからそれで」

 

「びっくりした、いつの間にこんなの買ったんだよ」

 

「これ実は母さんのなんです。けどかなり年期が入ってて動くか心配してたんですけどちゃんと出来てよかった。」

 

「ここのところエリア君が忙しそうだったのって、もしかして」

 

「うん、これ以外にも沢山楽器あったから色々とね・・・そしたら誕生日会するから、お披露目はここだ!と思ったんだ・・・それで、どうだったココア?」

 

少し緊張しながらココアに視線を向けるが・・・

 

「あ、あり・・・ありがと・・・」

「あはは、ココアがこんなに呆然としてるなんて珍しいなぁ」

 

そう言ってから、これプレゼントね、と「姉の全て」と書かれた本を渡しました。始業式後に買いに言った本の内の一冊です。

 

「それから、ココアとエリアがこの街に来て2周年記念にも乾杯」

 

「「「「かんぱーい☆」」」」

 

「「!?」」

 

エリアにも思わぬサプライズ、今度はエリアもココアと同じように呆然としてから・・・

 

「ごんなごっぶまで用意じて~」ぶわっ

「おれがザブライズじたかったのに~」ぶわっ

 

嬉しくて嬉しくて、涙が溢れて・・・

 

「「マジ泣き!?」」

 

「「みんなサプライズ上手くなりすぎだよ!」」

 

「さっきからプレゼント渡したのに、気付かなかった事にこっちがびっくりよ!」

 

「エリア君のは完全に不意打ちだったわね、よしよし」

「うぅー千夜ー」

 

それから皆の近況報告を行ったりしながら、皆で記念写真を撮り、とても楽しいビストロ☆ココアとなりました。

 

・・・

 

その帰り、シャロはスーパーに寄るからと途中で分かれて、エリアと千夜は二人きり

 

「最近なにかごそごそやってると思ったら、ココアちゃんのために練習してたのね?」

 

「うん、うるさかった?」

 

「それは大丈夫、ただなにしてるのかなって気になって」

 

「うん、けどこれからは気をつけ練習するね。キーボードはヘッドホンつけれるけど、他のやつはどうしようかな?」

 

「他の?」

 

「うん、後バイオリンでしょ?フルートと・・・後マラカス」

 

「マラカス!?」

 

「この間届いた荷物、実家に置いてた母さんの楽器を全部送ってもらったんだ。」

 

「お義母さんの?」

 

「ん?なんか文字おかしくなかった?」

 

「さぁ?それより、なんで急に送ってもらったの?」

 

「・・・あのね千夜」

 

足を止めて、まっすぐに千夜を見つめます。

 

「エリア君?」

 

「俺・・・将来音楽に関係する仕事に就きたいんだ」

 

「!!」

 

「母さん家系って音楽家の家系でさ、それで音楽家を目指してた父さんと出会って結ばれた。」

 

詳しい話は父からは聞けていなかった。

 

だけど、父は一度その夢を諦めた。

 

それでも音楽の道は捨てられず、音楽大学を卒業して、在学中にとった教員免許で音楽の先生になることに・・・そしてその研修の一貫で訪れた高校に母はいたのだ。

 

「それからなんやかんやあって俺が生まれたらしいんだけど・・・詳しいことは知らない。」

 

「し、知らないの?」

 

「うん。けど楽しそうに音を奏でる母さんのことが気になって、反対に寂しそうに歌うお父さんがほっとけなかったって」

 

「なんだか、私とエリア君に似てるわね?」

 

「そうだよね、俺も思った」

 

「それで、二人のために音楽をするの?」

 

もちろんそれだって立派な理由になる、だけど

 

「違うよって言ったら嘘になるかな」

 

あの旅行で行った演奏会、あの時誰かのために音楽を奏でる楽しさを知った。

 

母はこんな気持ちだったのかと、知った。

 

それから今日、楽しそうに歌う皆を見て、いつも母と一緒に歌っている姿を微笑ましく見てくれていた父を思い出した。

 

「けど、それだけじゃない。

 

これは俺の夢、俺が選んだ夢なんだ。」

 

きっかけは両親・・・だけど、この道を進むと決めたのは間違いなく自分自身

 

「両親の影響もある、けど誰に言われたってこれは俺が望んだ俺だけの夢だって胸を張って言える。」

 

「エリア君・・・」

 

今まで、将来の・・・これからの道が見えなくなっていて不安だった少年はもういない

 

「どれだけ大変かなんて想像もつかないけどさ、今から音楽の勉強してみようと思う。学校の授業も音楽の授業選択したんだ。それから母さんがやってた楽器も母さんみたいに・・・ううん母さん以上にやってやる」

 

目前にある目標は高い、だけど、越えてみたい

 

「とにかく今はがむしゃらにやってみたいって、それだけ思ってる。まだ俺夢がどんな形になるのかは、分からないけど・・・やってみたくて仕方ないって感じかな」

 

「うん、素敵な夢!私、応援する!」

 

ギュッとエリアの手を握る千夜・・・その二人の手にはあの日の指輪がつけられている

 

「これからもずっと近くで応援する!エリア君がもういいって言ったって、何処かに行っちゃったってもう離せないんだからね?こうやって繋がっちゃったんだから!」

 

「それは俺もだよ。もう皆と・・・千夜と離れるなんてありえないんだから、ずっと一緒にいてくれないと困る。」

 

二人を繋ぐ鎖の絆、それはきっとこれからも離れない。

だけど、その鎖を引っ張って外に連れ出してくれる家族がいるから、安心できる。

 

「このこと皆には?」

 

「まだ言ってない」

 

「ふふふ、なら私が最初なのね?」

 

「?、そうなるけど」

 

「なんだか嬉しい!」

 

エリアと腕を組む千夜

 

「ちょっ千夜、あたって「あててるの!」えぇ!?」

 

「けど、これから大学とかどうするの?」

 

「とりあえず、この辺から行けそうなところ探そうかとそれから高校卒業したら独り暮らしする部屋探さないと」

 

「?ウチにいれば?」

 

「え?それはありがたいけど、高校までの下宿の契約だからさ・・・残念だけど」

 

「それなら今日早速おばあちゃん達に相談しましょ!それでダメなら二人の愛の巣を探しに行きましょう!」

 

「えぇ!?」

 

そんな楽しそうな話をつづけながら、二人は帰路を進む。

 

そんな二人の後には幸せな足跡が続いていく。

 

それは少年と少女が、大人になっても、愉快な家族達と共に進む限り・・・ずっと

 

 

・・・数年後、百の橋と輝きの街のある家で

 

「あ、ここで終わりなんだ」

 

楽器に囲まれた部屋で、ある男性がひとつの本を閉じる。

 

本を置いた机の上には男性の家族の写真が沢山飾られており、ついこの間会ったときの写真も飾っている。

 

あれからそれぞれの道に進んでも、気付けば集まっていたり、連絡をとったりすることを誰一人として忘れたりすることはなかった。

 

「まぁ、青山さんに話したのこの辺りまでだったからな。早速感想送らないと」

 

そういってパソコン向かうが・・・「パパーっ!」

 

「!千那(せんな)!?」

 

明るい茶色の髪色の少女が男性の背中に飛び付く。

 

「パパのお部屋にはあんまりはいっちゃだめだって・・・」

 

「だってパパのお部屋、色々あって楽しいんだもん・・・なに読んでたの?」

 

「あぁ、これ?これは・・・まだ内緒かな」

 

「えぇ!?どうして!?」

 

「まだ千那には難しいからだよ。大きくなったら教えてあげる」

 

「えぇー、私もうお姉ちゃんだよ!」

 

「そう言ってるうちはまだ早い、っていうかココアにも似てきたよね。」

 

「ほんと!?ココアお姉ちゃんと!?・・・あ、そういえばママが呼んでたよ。お店の方に来てだって」

 

「?、なにかあったの?」

 

「清夜(せいや)が新しい和菓子つくったって」

 

「!、それはいかないと。それにしてももうすぐ甘兎百の橋支店も10年か・・・」

 

「私が産まれた時からだもんね!」

 

「そう、さて・・・それじゃあそろそろいこうか」

 

千那と呼ばれる愛娘と共に、愛する妻と愛息子の元へ

 

そして、机の上に置かれた本の題名は・・・

 

『緑茶風少年と抹茶少女』

 

~Fin~




最後の喫茶店こそこそ話!

ビストロ☆ココア翌日

「今日休みだったから来ちゃったよ」

バイトが休みなので、ラビットハウスに来たエリアでしたが・・・

「なんか、騒がしいな・・・」

外まで聞こえる声、ドアの向こうでなにやら騒いでいるようです。

「とりあえず、入るか」

ガチャ、いつもと同じように店内に進みます。
そこには・・・

「そんなー!もうひとつのプレゼントってなんだったのチノちゃーん!」
「知りません!あっ、エリアさん!いらっしゃいませ」

いつものココアとチノ・・・そして間にもう一人誰かいます。

「もしかしてなにか取り込み中?それならまた来るけど「エリア?」?・・・!」

ココアとチノの間にいた女の子がくるりとエリアの方を振り向き、その女の子とエリア、二人の視線が重なり・・・

「エリア・・・兄(にい)?」
「!、もしかしてフユちゃん?」

「あれ?二人とも知り合い?この子はチノちゃんと同じクラスの「エリア兄!!」えっ!?」

ギュッ!!

エリアの胸に飛び込んだフユと呼ばれる少女、エリアは倒れることなく、それを受け止めた。

「え?・・・えぇ!?」

「エリア兄!、よかった、生きてた・・・」
「いや、生きてるけど・・・なんで?」

「それより、これはよろしくないのでは?」
「そうだね、千夜ちゃんに報告しなきゃ!」
「待って!?」

撮影しようするココアとチノを慌てて止めようとしますが、フユが離れないのでてんやわんわするエリア

どったんばったんな日々はまだまだ続くそうですよ?







おまけ、エリアの出身地とフユの出身地は同じ、二人は昔会ったことがあるそうですよ?

・・・To Be Continued?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。