緑茶風少年   作:アユムーン

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翌日目の下に隈のあるエリアとツヤツヤした千夜がいました

今日の物語は下校中のエリアから始まります

 

「フンフンフーン~♪」シャカシャカ♪

 

実家から送ってもらった物の中にあった母が使っていたヘッドホン、年季ものではあるがまだ使えたので、それを着けて下校する

 

それは今日は今年度に入って追加した音楽の授業で言われたこと

 

当初は母譲りの絶対音感や父に教えてもらった歌唱など他にはない技能や経験を持っていたエリアですが音楽に関しては全くの素人

 

毎日必死に練習して少しずつ周りに追い付こうと頑張っています

 

そんな時に音楽の先生に言われたことは沢山の音楽を聴くことでした

 

エリアの場合、自身のベースとなる音楽が両親の音楽

 

そのベースの幅を大きくするためにより沢山の音楽を聴くことを義務づけられました

 

エリアの場合は一つ一つの音を集中して聴くことでより多くの技能の獲得に繋がる・・・とのこと

 

なのでここ最近は自分の好きな曲も含めて色々と聴いています

 

そうこうしているうちに甘兎庵に着いたので、ヘッドホンを取り帰宅

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさいエリア君」

 

出迎えてくれた千夜はすでにバイトの制服

 

「あれ?時間まだだよね?」

 

そうら二人の今日のシフトはもう少し時間があるのだが・・・

 

「今日はバイトの前にイベントがあるから早めに準備してるのよ。エリア君も早く着替えてきて?」

 

「?また新作の試食?」

 

「違うわ。ふふっ・・・とにかく早く早く!」

 

「?」

 

どこか嬉しそうな千夜に急かされて、更衣室へと向かい、着替えて戻ってくると

 

「さぁエリア君!面接を始めるわよ!」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「め、メグちゃん?」

 

テーブル席の一つを貸し切って、千夜とメグが向かい合うように座っていました

 

・・・

 

「はいお茶、それで面接っていうのは?」

 

一息つくために三人分のお茶をいれて席につきました

 

「クリスマスの時に言ってたじゃない、メグちゃん甘兎でバイトしてみたいって」

 

「!、そっか!それで今日から?」

 

「はい、そうしたら千夜さんがまず面接をしましょうって言われてきたんです」

 

「なるほど、それで面接か・・・ってそれは店主さんがやることでは?」

 

「あら、ここにいるじゃない」

 

「え?」

 

くるりと厨房を振り向くと、和菓子を作っている店主がいるのだが

 

「ここにいるわ・・・未来の甘兎庵の店主がね!」キラーン☆

 

どや顔する千夜、それに冷ややかな視線を送りながらメグに聞きます

 

「メグちゃん、店主さんはなんて?」

「いつでも来なって言われましたー」

「なるほど、面接ごっこがしたいのね」

「ボケの放置はひどいっ!」

 

今日の趣旨が分かったところで千夜の面接ごっこを始めました

 

「これ給料でるの?」

「面接の内容次第って言ってたわ」

「えぇー・・・」

 

・・・で

 

「まずお名前と学年をお願いします」

「はいっ!奈津恵っ!高校一年生ですっ」

「若人のフレッシュさがあっていいわね」

 

まずはエリアからの質問に元気よく答えるメグ

 

「我が社を希望した理由は?」

「ここで働いているお二人がとっても素敵で私も一緒に働きたいと思いました!」

「うーんそれ前も言われたけど照れる」

 

次に千夜・・・と交互に質問していくらしい

 

エリアからの質問

「えっとじゃあ、特技は?」

「バレエやダンスです!」

「シャロちゃんから聞いてるわ、とっても素敵ね。ウチのイベントにも新しい風が吹きそう・・・」

 

千夜からの質問

「ここで働くにあたっての意気込みをどうぞ」

「エリアさんがここで自分の夢を見つけたみたいに私もここでやりたいことを見つけたいと思ってます!」

「はい合格」グシッ

 

等々暫く質問をしました・・・そして最後に

 

「質問はこのくらいかしら・・・エリア君的にはどう?」

「合格」←10点の札をあげてる

「満点ね・・・でもメグちゃん、最後にどうしても避けては通れない問題があるの」

「も、問題?」

 

最後の問題に対してゴクリ、と息を飲むメグ・・・

 

「えぇ・・・エリア君もお願いね・・・では第一問『兵どもが夢の跡』このスイーツはなんでしょうか?」

「!、白玉あんみつ!」

 

一瞬慌てたが、問題の趣旨が分かったので答える

 

「正解っ!じゃあ『クリムゾン大福セット』はなーんだ?」

「お茶とおかきとチョコとあんこの大福!」

 

「バレンタイン限定メニューを答えるとは・・・中々やるわね『翡翠スノーマウンテン』は?」

「かき氷!」

 

「『夕日を掲げる絹糸』」

「それはラビットハウスのナポリタンです!」

 

「流石!これが最後よ!ウチで飼ってる兎の名前は!?」

「あんこですっ!」

「正か、モガッ??」ゴスッ

 

最後の問題も無事正解すると同時に呼んだ?と言わんばかりにエリアに突進してきた看板兎のあんこ

 

「大正解!これからよろしくおねがいするわ」

「はいっ!頑張りますっ!」

 

顔面をモフモフされているエリアを置いて、千夜とメグは握手を交わしました

 

New!メグが仲間になった!!

 

・・・

 

「とはいってもラビットハウスのバイトにも入ってるんだよね」

 

合格したメグの制服の着付けを終えて、お店のことを色々と説明し終わったところでメグとマヤはラビットハウスのバイトにも入ると言っていたことを思い出した

 

「はい、掛け持ちになっちゃうんですけどいいですか?」

 

「いいんじゃないかしら、人手は十分だし、割りと私たちも色んなバイトしてるものね?」

 

「って言ってもラビットハウス位しかいったことないけどね」

 

「シャロちゃんもリゼちゃんもココアちゃんも副業はしてるものね」

 

「とにかく旅行やテスト前の時も可能な限りシフトの調整するし、多少の副業もOKな職場です」

 

「わぁ!福利厚生しっかりしてる~!」

 

「それにしても良かったね千夜、念願の年の近い同性の同僚だよ」

 

「えぇ!これから楽しみだわー!」

 

時々ココア達が手伝ってくれている時も大喜びしているほどに同性の同僚を欲していた千夜

 

エリアもそのことを知っていたので嬉しそうな千夜を見て、釣られて笑顔・・・ですが

 

「けど、本当に大丈夫?」

 

「メグちゃん?」

 

メグがなにかを心配しています

 

「私がいちゃったら二人意識しちゃってイチャイチャできなくじゃなくなっちゃうんじゃ」

 

「「!?」」

 

「あっ、でも私は影で働きながら二人がラブラブな所を見守ってるから二人は気にしないでね!」

 

「「いやいや、仕事中はしないから!?」」

 

「仕事中・・・は?」

 

「「あっ・・・」」

 

二人同時に墓穴を掘ったところで、その日のバイトは終わった

 

・・・さてさてそれから数日が経ちました

 

「お待たせしましたー!」

 

何度か手伝いをしていたこともあり、すっかり慣れた様子のメグ、そのメグを厨房から見守るエリアと千夜

 

「うんうん、すっかり甘兎の一員だね」

 

「エリア君が来た頃を思い出すわね~」

 

エリアにとっては初めての後輩ということもあり、メグのことをそれはもう可愛がっていた

 

メグも憧れのエリアと一緒に働けることが楽しく、とても生き生きとしていた

 

「こうなってくるとメグちゃんの頑張ってる姿を俺たちだけで独占するのが申し訳ないね。マヤちゃんとかチノちゃんとか来ないかなぁ・・・呼んじゃう?」

 

「もうエリア君ったら浮かれすぎよ?でもチノちゃん達に来てもらってどうするの?メグちゃんのこと見てもらうつもり?」

 

「いや、ワシが育てたってやりたい」

「監督!?」

 

などと盛り上がっていると・・・

 

「「あ゛~!!?」」

 

メグとつい先ほど来店したお客さんの驚きの声が上がる

 

「何事!?」

「あら、あの時の」

 

それに驚くエリアに対して千夜には見覚えのあるお客さんのようですが・・・?

 

・・・

 

驚きの声を上げたお客さん・・・ブロンドのロングヘアの女の子はメグと同じ学校の制服だった

 

「メグさんここでバイトしてたの!?」

「えへへ、見つかっちゃった」

 

「そういえばメグちゃんと同じ制服・・・友だちかな?」

 

「ゴーストホテルの千夜さんも!?」

「エルちゃんね!この街で再会したって聞いてたわ♪」

 

「千夜も知り合い?ゴーストホテルってロイヤルキャッツのこと?ってことは旅行中に知り合ったの?」

「あらエリア君も会ったわよ?」

「え?「あっ!あの時の!?」えっ!?」

 

エルと呼ばれた女の子はメグ、千夜と着て最後はエリアのことを思い出したようだった。

 

しかしエリアは知り合った記憶がないのだが・・・

 

「粗削りの寝癖寝巻きの飾らない姿のピアニストさんっ!!」

「待って待って、情報が完結しないから」

 

説明からでは誰のことを言っているのかさっぱり分からなかった

 

とにかくエルを席に案内して、改めて自己紹介

 

「えっと、和田上凛彩(わだえりあ)です」

 

「神沙映月(じんじゃえる)です。この間は名乗らずごめんなさい」

 

「じゃあ神沙さん・・・でいいかな?気にしないで!それで申し訳ないんだけど俺とはどこで会ったことがあるのかな?」

 

「ゴーストホテルに宿泊させてもらった時にピアノの演奏をしていただきました」

 

「・・・あっ、あの時の」

 

卒業&進級旅行にいった際に宿泊したホテルロイヤルキャッツ、旅行中にそのホテルの手伝いをした時があった

 

その際に来たお客さんにエリアはピアノを演奏したことがあった

 

そのお客さんがエルだったのだ

 

「そっかそっか、あの時の・・・あれ?あの時ってもう一人誰かいなかったっけ?」

 

「それはナツメちゃんです。私達双子なんです」

 

「へぇー、それで今日はメグちゃんのバイト姿を見に来たの?メグちゃんは俺が育てた「あ、違います」そうなんだ・・・あっご注文をどうぞ!」シューン

 

がっかりではあるが相手はお客さん、早速注文を聞きました

 

「そうだ!お宅のチノちゃんください。後エリアさんの演奏お願いしますっ」

 

そういって手渡してきたものは小切手

 

「えぇ!?」

「どこからつっこめばいいのか分からないけど・・・エリア君の演奏なら一回500円になりまーす」

「ワンコイン!?」

 

「それなら私がお願いしまーす」

「メグさんここは私が払うよ。カードでお願いします」

「カードで!?」

 

・・・で

 

「♪~♪~♪~」

 

以前ロイヤルキャッツで習った曲を自分の部屋からキーボードを持ってきて演奏、おまけで歌も歌っておきました(店主には許可を得ています)

 

「前より上手になってる・・・ついこの間なのに」

 

兵どもが夢の跡を食べながら、エリアの演奏に耳を傾けるエル

 

「そうなんだ。エリアさんってやっぱり音楽の天才だね」

 

「そう!それもきちんと努力のともなった天才なのよ!」

 

「努力?」

 

「えぇ、毎日少しずつでもピアノとか触るようにしてるみたい。学校の先生に教えてもらったことも全部守っているみたいよ?」

 

「千夜さんエリアさんのことよく知ってるんですね?」

「それはそうだよー、二人は同じ家に住んでるんだし」

「え?、それって・・・同棲?」

 

「「!?」」ジャンッ!?

 

エルの一言に驚き赤面する二人、演奏する手も止まりました

 

同棲・・・そう言われれば確かにそうなのだが・・・

 

「ち、違うわ!エリア君はウチに下宿してるの!だから知ってるだけ!」

「そ、そうそう!お世話になってるだけから!それに家には千夜のおばあちゃんとお父さんもいるし!」

 

そう言われるといかがわしいので誤解が起きないように取り直す

 

「そうなんですか」

「だけど二人は恋人同士だから実質同棲ですよね」

 

「「んなっ!?」」

 

落ち着きそうだったところにもう一度爆弾を放り込むメグ

 

「えぇっ!?本当に!?」

「うん!出会った時からずっと仲良しで旅行中に遂に・・・」

「待ってメグちゃん!?」

「それ以上はいけない!!」

 

その後も続くエリアと千夜のあれそれを慌てて二人で止めた

 

・・・そんなこんなでエルは帰り、シフトも終了した

 

「はぁはぁ、お疲れ千夜・・・」

「えぇ、お疲れ様エリア君・・・」

 

あの後も隙あらば自分達のことを喋りそうなメグを慌てて止めた

 

エルが帰った後にはその様子を見ていた常連さんも千夜とエリアをからかってくるので今日は一日中顔が熱かった二人

 

結論、いつもより疲れた(メグは少し前に帰りました)

 

「そういえばエルちゃんはなんでここに来たんだっけ?」

 

エルから神沙ではなく、名前で呼ぶように言われた(エルの双子のナツメと分からなくなるから)ので、下の名前で呼ぶ

 

「チノちゃんを探してるって言ってたわ。エルちゃんにナツメちゃんはチノちゃんのコーヒー気に入ってたみたいだから」

 

「それならラビットハウスでしょ?メグちゃんに聞けばいいのに」

 

「メグちゃんもマヤちゃんも、神沙姉妹にチノちゃんがとられるかもしれないからって教えなかったみたい」

 

「なるほどね、そういえばチノちゃんくださいって言ってたよね。」

 

「それはエリア君もね?」

 

エリアも、というのも一通りの演奏を終えたところでエルから『ウチで練習環境から指導員まで着けてなんなら三食昼寝デザート付で面倒みるので専属ピアニストになって!』と小切手を添えて言われました

 

「いやー・・・あれは冗談でしょ」

「本気だと思うわよ?」

 

その時は冗談だと思って誤魔化していたが、エルはエリアの演奏を聞いて懐かしい感じがすると言っていたし、エリア自身も好意的にとらえられているようだ・・・そう考えると

 

「けど悪くないのかなぁ・・・エルちゃんのお家お金持ちっぽいし」

 

今日も支払いがカードだったり、好きな額を書いて!と小切手を渡されたことからお家がお金持ちなのだろうと察せた

 

「え?」

 

「俺はたまたま母さんの楽器を譲ってもらったけど、音楽ってやっぱり楽器に周辺道具に消耗品とかでお金かかるんだよね。場所も取るし、多少の物は学校のやつとか買ってもらえたりするとはいえそれでも確実にかかってるんだよね・・・」

 

「そ、そうだったの?」

 

まだ音楽の授業は始まったばかりだが、周りの同級生も色々と節約しているようだった

 

「うん、それに正直夜も練習したいから将来的には防音のある部屋とかに住みたいし、今の楽器以外にも色々やってみたいんだ」

 

「それで、エルちゃんのところに行くの?」

 

「そうだね、条件としてはいいのかもしれないかなと思っ・・・って千夜!?」

 

なーんて冗談と言葉を繋げようとしたところで千夜の瞳からボロボロと涙が零れていることに気づく

 

「どこにも行かないって約束したのに~!!」ブワッ

 

「いやいや!冗談!冗談だから!」

 

「でも、エリア君の夢を応援するならエルちゃんのところに行った方がいいんでしょ!?」

 

「だとしても行かないから!いくら環境が良くても俺の家はここだから!!」

 

「でもだってぇー!!」エーン!

 

ほんの冗談のつもりではあったが今回は確実にエリアの失言である

 

故意に言った訳ではないけれど、この二人において、約束を違えるようなことは最も言ってはいけない冗談だった

 

尚も涙を流す千夜に申し訳なさが募ったエリアは・・・

 

「本当にごめん、もう二度と言わない」

 

心から反省して謝罪した

 

「グスッ、分かったわ。けどもう絶対に言わないでね?」

 

「うん、本当にごめ「それとさっきなんでもするって言ったわよね?」え?そんなの言ってない「言ったわよね?」いやだからちが「言ったでしょ?」はい、言いました」

 

「それなら今日は同じ部屋で寝てね」

 

「へ!?」

 

「も!もちろんちゃんと責任とれるまではその・・・そういったのは無しだけど・・・けど、寝るまでおはなしとか手を繋いで寝たりしたい・・・だめ?」

 

ダメな訳がない、訳はないのだが・・・それはエリアの理性が試されるわけだが

 

拒否権なんてなかった、それにエリアも泣かせてしまった分喜ばせたいと思った・・・そしてエリアもそれがしたいと思ったので・・・

 

「あー・・・その、えっと・・・よ、よろしくお願いします」

 

エリアの寝付けない夜が始まったのだった

 




喫茶店こそこそ話

後日エリアは改めてエルの誘いは断りました。
しかしまだ諦めていないようで双子は虎視眈々とエリアのことを狙っているらしいですよ?

追加でもう一話

今回の演奏を聞いた店主から度胸つけるのにちょうどいいだろうと、時々お店で演奏をさせてもらえるようになったそうですよ?
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