緑茶風少年   作:アユムーン

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いつの間にかなってる場所

今日は休日、学校もバイトの休みの日

 

そんな休日を部屋に籠ってピアノの練習ではもったいないと、エリアは母のギターを背負って楽器屋へと向かいました

 

「うーん・・・どれがいいんだろ?」

 

ギターの練習をしていたのだがどうにもしっくりこない

 

本の通りに弾き、動画も見た、しかし同じ音が鳴らない

 

そして学校の先生に見せたところ、弦に限界が来ているとのこと

 

というわけで買いに来たのだが・・・

 

「うーん、さっぱり分からん」

 

いかんせん音楽素人のエリアには分からなかった

 

「でもまぁこういうのも勉強なのかな、よし!すみませーん!」

 

分からないことは聞く、色んなことの基本となることですが意外とできないこと

 

以前ならできなかったであろうそれを行い、店員さんに教えてもらいました

 

・・・

 

「店員さんいい人だった♪弦の張り替えのやり方も教えてもらえたし♪」

 

音楽を最近始めたばっかりだと伝えたところ、それならこれがいいですよ!弦だけじゃなくチューニング機器も・・・え?勘でやってる?え?しかも合ってる・・・なんてやり取りをしてたくさん教えてもらいました

 

「値段も割安だったしあのお店また行こう」

 

ついでにギターを見た店員さんが驚き、冷や汗をかいたと思いきや、またのご来店!お待ちしていますっ!!と元気な挨拶と共に送り出されました

 

「気分もいいし、ブラバ行っちゃお♪」

 

上機嫌でブラバに向かうエリアの背中にはとんでもない額のギターがあるのだが、今の彼はそれをまだ知らない

 

・・・

 

そんなこんなでブラバにやってきたのだが・・・

 

「あ、チノちゃんだ」

 

テラス席に座るチノを発見、声をかけようとしたが

 

「おーい・・・あれ?」

 

チノに近づくエルともう一人・・・確かエルの双子で名前はナツメ

 

「そういえばエルちゃんとナツメさんってチノちゃんのこと探してたんだっけ?」

 

もしかしたらようやく見つかったのかもしれない、それならお邪魔しない方がいいかな~などと考えていると・・・ガシッ

 

「ん?」

 

エルとナツメがチノの両腕を掴んだ・・・否、拘束したと思いきや

 

ダッッ!!

 

そのまま走り出した

 

「えっ!?ちょっ!?待てっっ!!?」

 

見てくれが明らかに誘拐で、更に悲鳴を上げて連れ去られていくチノ

 

それを見たエリアは

 

「待てぇぇぇ!!人拐いぃぃ!!!」

 

慌てて追いかけました

 

背中でガッシャンガッシャンと音を立てて揺れるギター

 

そのギターには普通の高校生が買えるわけがない額がついている

 

・・・

 

そうして追いかけ、たどり着いた先は

 

「ハァッ、え?、ゲッホ、ラビ、ット、ハ、ウス?」

 

エルとナツメが速い、ギターが重い、最近の運動不足が祟り、息絶え絶えになった

 

三人がここに入ったのは見えたので、とにかく行くしかないと入店した

 

「いらっしゃいませー!あ!エリア君!見てみてー私の新しい妹っ!ってエリア君!?なにがあったの!?」

 

お店にやってきたエリアを迎えたのはココア、エルとナツメの接客をしていたようだが汗だくでフラッフラのエリアを見て当然驚いた

 

「とり、あえず、みずぅ・・・」

 

「わ、分かった!?えーとジョッキ!?バケツ!?」

 

「コップゥ・・・」

 

・・・で

 

「んっ、んっ・・・ぷはっ・・・あー生き返る」

 

水を飲み干し、一息ついた

 

「エリアさん大丈夫ですか?おかわりどうぞ」

 

空になったコップに水を注いだエル

 

「ありがとエルちゃん・・・って人拐いーっ!?」

 

「えっ!?どこですか!?」

 

「俺の目の前ーっ!?」

 

「えぇー!?」

 

「落ち着きなよエル、それなら貴方はエリアさんですよね?」

 

慌てる二人の間に入ってきたのはエルの双子であるナツメ、エリアとはここが初対面ではない

 

「はい俺はエリアです。貴女はナツメさんですよね?エルちゃんとメグちゃんから聞いています」

 

「私もエルから聞きました。あ、あのエリアさんにお願いしたいことがあって・・・」

 

「?なんですか?」

 

「粗削りの寝癖寝巻きの飾らない姿のピアニストの演奏をもう一度聴かせてください!」

 

「だからなんなのそれ、もしかして俺の名称なの?」

 

「なら私は最高最善最大最強のお姉ちゃん!」シュクフクノトキッ!

「え?じゃあ俺は黄金の最強超無敵の音楽家になる」ハイパームテキ!

「わ、私はどうしたらいいかな?なにになればいいのナツメちゃん!?か、完全無欠のとか!?」ジーニアス!

「なににもならなくてもいいでしょ!?」

 

「なんなんですかこの状況は・・・」

 

ラビットハウスの制服に着替えたチノがこの状況に困惑しないわけがなかった

 

ナツメのリクエストであるピアノの演奏を・・・とは言っても今はピアノがないので

 

ジャン♪ジャジャーン♪

「♪~♪~」

 

仕方ないのでギターを弾きました

 

何百万するギターを、まだまだ素人の男が、仕方なく、で弾いた

 

「エリア君ギターも弾けるようになったんだね」

「心なしかカッコよく見えますね・・・歌ってるのはアニメソングですが」

 

エリアの成長に驚くココアとチノ

 

「ねぇエル・・・やっぱり懐かしいね」

「うん、そうだね・・・それにあのギターもやっぱり・・・」

 

チノのいれてくれたコーヒーに舌鼓を打ちながらエリアの音楽に耳を傾けるエルとナツメ

 

「っと、こんな感じでいい?エルちゃんにナツメさん?」

 

最後まで歌いきり、本日のお客さんである二人に伺うが

 

「「・・・」」ポヤー

 

聞き惚れたのかうっとりしている二人

 

「あ、あれ?おーい聞こえてる?次はうさぎの歌いっとく?」

 

「「!!ば、バッチリです!?」」

 

「そっか、それよりごめんね?二人はチノちゃん拐ったわけじゃなくて、ここに来たかっただけなんだよね?」

 

チノが連れ去られていくのを見て慌てて追いかけてきたが、実際はチノの働くここ、ラビットハウスに来たかっただけということを先ほど聞いたので誤解していたことを謝った

 

「!?私たち人拐いと思われてたんですか?」

 

「でもまぁ気持ちは分かるよ、チノちゃんのコーヒーは飲みたくなるよねぇ」

 

そう言いながら自分の注文したコーヒーを飲むエリア

 

「ふふっ、そんなエリア君だけど初めてここにきてコーヒー飲んだ時は・・・あははっ!」

 

「それは言わないで!?」

 

「あれは傑作でした」

 

「チノちゃん!?」

 

「やっぱり仲いいんですね」

「まぁね、なんせ私とエリア君は運命で結ばれてるんだよ!」

 

「え?運命ですか?」

「そうだよナツメちゃん!私たちが出会うのは私たちが生まれる前から決まっていたことなんだよ!」

 

「へぇー、すごい!」

 

まぁ嘘は言っていないココアの言葉に感心するナツメ・・・それに対してエルは

 

「そ、そんな・・・だったら千夜さんは?ま、まさか二股「待って!違うから!?」だったらふり「なんでそっちにいくのさ!」」

 

またあらぬ誤解が生まれそうだったので慌てて止めました

 

「・・・そういえばエリアさん、ココアさんの裸見たことありますよね」ボソッ

 

「「えぇーー!!?」」

 

「チノちゃん!!?お願いだから本気でやめて!!?」

 

「あれは事故だったけどねー・・・あーうん・・・流石に恥ずかしい!!」

 

詳しくは「たまには大胆に待ってみた」参照

 

・・・で色々落ち着いたところで

 

「それでちょっと相談があるんだけど・・・」

 

ナツメがおずおずと切り出した相談の内容は・・・

 

・・・

 

ナツメの相談を聞いて、エルとナツメはチノと共に裏に入っていった

 

待っているココアとエリア、話題はギターの話になった

 

「そういえばエリア君のギターって古そうに見えるけどお母さんの?」

「うん、確か俺のひいおじいちゃんからもらったんだって」

「へぇー!年代物なんだね」

「うん、結構古いやつ・・・なのかな?」

「もしかしたらすっごくレア物がだったりして!!」

「あははっ、そんな漫画みたいなことないでしょ」

 

そんなことあるんですよ、エリアさん

 

・・・

 

などと談笑していると・・・バンッ!

 

お店のドアが乱暴に開かれた、その音の主は

 

「ココアちゃん助けてー!」

「チノがラチられて専属バリスタで監禁されるー!!」

「後を追いかけたエリアさんは専属音楽係にー!!」

 

慌てて入ってきたのはマヤとメグ

 

連れ去れたチノの追いかけたエリアのことを店内にいたフユから聞き、ココアに応援を要請しにきたようです

 

しかし、当のチノとエリアは

 

「お二人ともいらっしゃいませ」

「二人も来たんだ」

 

「「あれ!?」」

 

普通にラビットハウスにいます

 

そして今日のラビットハウスにはココアとチノだけでなくもう二人の店員がいます

 

「いらっしゃいませぇ、会員証のご提示お願い致します」

「エルちゃん!?」

 

「よよようこそいらっしゃいやがりました、ラビットハウスです」

「ナツメ!?」

 

バータイムの制服を着たエルとナツメがマヤとメグを迎えます

 

「二人とも挨拶がおかしいです!なんか色々おかしいです!」

「まぁまぁ最初はそんなもんだって」

「そうそうチノちゃん!リラックスリラックス!」

 

エル、ナツメの可笑しな挨拶を叱るチノと宥めるエリアとココアの姿を見て

 

「「私たちが想定した状況と違う」」

 

マヤとメグは肩を落とすのだった

 

・・・

 

ナツメからの相談というのはラビットハウスで職場体験させてほしい、ということ

 

どうやらロイヤルキャッツでココア達におもてなしをしてもらったことが忘れられなくて、自分達もやってみたくなったとのこと

 

「それなら今の二人の姿他の皆にも見てもらいたいな~」

「いや、それはやめてあげようよ・・・いじり倒される未来しか見えないよ」

 

はしゃぐココアに諌めるエリア、そこにチマメも混ざって和気あいあいとしている様子を見たナツメが

 

「その事なんだけど・・・なんで学年や学校バイト先もバラバラなのに仲いいの?なんでメンバーで旅行行ったの?」

 

と、問いかけました

 

「言われてみれば・・・」

「改めて考えると・・・」

「えっと、それは・・・」

 

考えるチマメ隊、それに対してココアとエリアは

 

「バラバラだから集まるだけで嬉しいし楽しいからいつの間にか集まっちゃうんだよ」

 

「それで気がついたらなにかあってもなにもなくても会いたくなって、皆のいる場所が帰りたい場所になっていく。後はそれの積み重ね」

 

「「そうして重ねた時間が私/俺達を繋いでる」」

 

「「!」」

 

ココアとエリアの言葉が重なる・・・その時

 

バン!

 

「言われた通り最強装備で来たわ!さぁチノちゃん奪還よ!それからエリアの装備も持ってきたわよ!」ブートアップ!ゼペリオン!

「レベル1の最強装備だ!後光の戦士になっちゃった!!?」

 

お鍋を被り、フライパンを構えたシャロが

 

「ごめんなさい武器が重くて・・・けどエリア君が危ないなら!私前線でやってやるわ!」

「力尽きてるけど気合い十分だよ!」

 

兜を被り、薙刀の装備が重いのか既にフラフラの千夜が

 

「よーしまずは作戦会議だ!全員分の武器とエリア用の武器も用意したぞ!」ギアートリンガー!

「「話が大きくなりすぎた!」」

 

たくさんの武装を携えたリゼがやってきた

 

「ほら!いつの間にか集まっちゃった~」

「んんー?なんか想定と違うけど・・・まぁいっか」ウルトマントリガー!マルチタイプ!ヨンジュウゴ!バーン!

「この集まり方はおかしいです!後エリアさんおもちゃで遊んでないで落ち着かせてください!」

 

・・・誤解は無事に解け、皆でお茶会が始まった

 

話題は当然エルとナツメのこと

 

皆をもてなしてあげたいという二人に感激の高校生組が褒めまくり

 

嬉しそうなエルとナツメを見ているエリア

 

「なんだか感慨深そうだねぇエリア君」

「?、そうかな?」

 

そんなエリアに話しかけるのはココア

 

「なんか、俺がこの街に最初に来た日のこと思い出してね」

「それってつまり私との出会いのことだね」

「まぁその日千夜とも出会ったんだけど・・・けどココアと出会って始まったんだ。この日常が」

 

同じ日に同じ時に同じ列車でこの木組みの待ちに待ったやってきた二人

 

「今のこの状況をエリア君のお母さんが見たら何て言うかな?」

「うーん、楽しそうで素敵!混ぜて!・・・かな?」

「ウチのお母さんもそう言うかな?けど照れ屋なところもあるから言わないかも・・・けどお姉ちゃんは間違いなく言う!」

 

自分達はあまり知らないが、親世代からの繋がりがある二人

 

「あの二人にも積み重ねていく大切な時間ができるかな?」

「きっとできるよ!私達の妹、それから私達がいるんだもん!」

「・・・それでいつか夢を見つけるんだね」

「うん・・・そうだね」

 

そうしていつしか自分の夢を見つけた二人

 

少年の憧れの対象だった少女は自らの理想を超えて、更なる成長のために進み出す

 

少女に憧れていた少年は夢を見つけ・・・なにも分からぬ未来へと進むため進化する

 

「少しかもしれないけど、あの二人・・・それからフユちゃんにもそんな時間いっぱい作ってあげたいね」

「そんなの考えてなくたっていつの間にかできるてるよ!・・・ね?」

「・・・うん、きっと・・・ううん絶対に!」

 

そうして二人もまた皆の輪の中へと戻る

 

そこは二人が帰りたいと思う場所

 

・・・その後の帰り道で

 

「やっぱり私たちがバイトするならブライト・バニーかなぁ」

 

「でもブラバはマヤ達にライバル視されてるし嫌われたくない」

 

夕暮れの帰り道、自分達のバイト先を考えるエルとナツメ

 

とにかく入ってみようと、二人はフユのいるブラバに入りました

 

「すみません、二人いいですか?」

 

「あ、お客さん・・・」

 

ちょうどテラスの机拭きを行っていたフユ、その脳内にはチノとエリアと共に行った笑顔の練習の時間が駆け巡ります

 

チノとエリア限定で引き出される笑顔をお客さんにも向けるためにした練習の成果とマヤとメグからもらったアドバイスの成果を、今!

 

「どうぞ中へ・・・早く・・・ね?」にこぉ

 

発揮・・・されなかった

 

笑顔は笑顔でもそれは冷笑である

 

「「やっぱいいです!」」

 

怖がり逃げていくエルとナツメ

 

「(マヤとメグのアドバイス・・・難しい)「けど前よりいいと思うよ。一部のファン受けしそう」!、エリア兄いつの間に」

 

逃げていく二人の背を見るフユの背後に立っていたのはエリア

 

「エリア兄・・・なに飲んでるの?」

 

「抹茶フラペチーノクリームマシマシ」

 

「それはもうクリームの塊だよ」

 

「それはもう言われ慣れたよ。ここ座っていい?」

 

「あ、うん」

 

よいしょ、と席に座るエリア

その脇にはギターが置かれています

 

「エリア兄のギター?」

 

「うん、正確には俺のひいおじいちゃんからお母さんに渡って、俺のものになったギター」

 

「結論は?」

 

「俺のギターです・・・聴く?」

 

「うん、久しぶりにうさぎの歌聴きたいな」

 

「了解、んじゃここの店主さんに許可とろっか」

 

「うん」

 

珍しく乗り気なエリアとその後をついていくフユ

 

美味しい飲み物に大切な友だち、そして楽しい音楽

 

これが揃えばそこはもう大切な帰りたい場所に早変わりするのだった

 




喫茶店こそこそ話!

この日以降フユの働くブラバでは謎のギタリストが現れるという噂が流れ、お客さんが増えたそうですよ?そのせいでチノと千夜から怒られました

おまけ
その後ギターの値段を知ったエリア、暫く持つ手と弾く手が震えたそうですよ?
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