さてさて、なぜ千夜とエリアが喧嘩しているのかというと・・・
フユの衝撃的な告白からてんやわんやしてからその日は解散しました
もちろん帰る家が同じ千夜とエリアは共に帰り、ご飯を食べて、順番にお風呂に入って・・・互いになにも言わず、エリアの部屋に来ました
そして話す内容はもちろん・・・
「フユちゃんの告白驚いたわね」
「そうだね、あんな風に思われてたなんて・・・」
「けどフユちゃんの気持ち、分かるわ」
「え?」
「エリア君とずっと一緒にいたい、隣にいたいって気持ちはよく分かるから」
「千夜・・・」
「それで、エリア君・・・どうするの?」
「やっぱりそうなるよね・・・断るよ」
「!、そう」
その言葉にどこか安心した様子の千夜・・・しかしその次のエリアの一言で
「だって、俺には千夜がいるから・・・千夜がいるから、フユちゃんの気持ちには答えられないよ」
「・・・」
千夜はなにも言わず、黙ってしまった
「千夜?」
それに疑問を感じ、千夜の顔を伺うエリアの瞳に映ったのは
「・・・なに、それ」
そう呟いて、冷たくエリアを睨み付ける千夜
いつかのホテルでの一時のような千夜の視線に思わず息を飲んで、身構えてから話す
「何言って「私がいるからフユちゃんを傷つけるの?」!」
しかしそれを遮るようにして千夜が続ける
「じゃあ私がいなかったらフユちゃんを選んでたの?」
「!、そんなの話が違う!」
「なら!私がいないほうがよかったの!?」
「さっきからなにを言って・・・流石にそれ以上は怒るよ」
次第に怒気が籠り始める二人の言葉
エリアにはまだ分かっていないが、エリアの言葉が千夜の逆鱗に触れたのだろう
だけど、千夜がいないほうがいいなどという話は昔もした話、けど関係が変わった今その話はエリアが激昂するには十分な話だ・・・それでも
「今私がエリア君を怒らせること言ってるのもすごくめんどくさいことを言ってるのは分かってる。だけど今のエリア君の言葉を私は受け入れられない!」
「!?、だったら俺のなにが間違ってるのかちゃんと言ってよ!ちゃんと言ってくれなかったら俺も謝れない!」
「そんな「そんな、なに!?」そんなの・・・自分で考えてよっ!!」
バンッ!!!
涙を溢しながら千夜はエリアの部屋を飛び出していった
・・・それからずっとこの調子なのだ
第一発見者はナツメとエルで、その後次々といつものメンバーにバレていった
しかし千夜とエリアを含めてフユの告白を知っている面々(ココア、チノ、リゼ、シャロ)が知らない面々(マヤ、メグ、ナツメ、エル)に事情を説明し、フユには感づかれないように手を回していた
だってフユの告白がきっかけでこんなことになってるなんてフユ本人が知ったら傷つくから
この喧嘩のきっかけがフユの告白だとしても、あの時のフユの言葉は間違いなく嘘ではなく本心で、それを曇らせることはしたくなかった
だからフユの前ではいつもの二人を演じて誤魔化し・・・そんなこんなで数日が経った
依然二人は冷戦状態、千夜のおばあちゃんも流石に見かねて口出ししようとしたが二人は聞く耳持たず、いつも仲良しの二人が険悪ムードということがお店にも若干影響を及ぼし始めていたある日
「まったく・・・なにかやらかさないと気が済まないの?アンタ達は」
バイトが休みのエリアはラパンを訪れていた
今日は千夜もお休み、いつもなら二人で過ごすのが日常だったというのに最近は家での会話もなく、互いに避けていた
そんな二人の様子を知っているからこそ、エリアの接客にあたるシャロはため息を溢しながら注文の品を運んだのだった
「・・・ごめん」
「そういうならとっとと仲直りしなさいよ。いつも通りごめんの一言で「そんな単純な話じゃないんだ!」っ!・・・私に当たらないでくれる?」
珍しく語尾を荒げたエリアに少し面くらったが、冷静に返す
「っ!!ごめん・・・」
「話、聞いてあげるから話しなさいよ」
関係のない自分にあたるくらいにエリアも追い詰められていることを察したシャロはそっと店長に目配せ、大体の事情を察したのか店長はオッケーサインを出した
それを見てエリアの隣に座ったシャロが聞く姿勢に入った
「約束だもの、ちゃんと聞くわ」
「・・・ありがとう」
そうしてエリアが今回のここまでの話を語る
この時、シャロもいつも通り話を聞いて落ち着かせて謝らせにいかせればこの話も終わると・・・どこか楽観視していた、だけど
「・・・というわけで、今千夜とちゃんと話せてない」
「アンタ、本当に分かってないの?」
「・・・シャロもか、だから俺が間違ってるなら教えてよ。そうじゃないと俺もなにもできない」
ふてくされたエリアの表情、以前からちょくちょく見ていた表情・・・それをみて初めてシャロは
「それを本気で言ってるなら、教えて上げるから顔上げなさい」
「?」スッ
顔を上げたエリアの視界には腕を振り上げたシャロの姿が・・・そして
パシィンッ!
「ッ!!?」
エリアの頬を叩いた音が店内に響いた
この時初めてシャロはエリアに対して本気で怒りを覚えた
「・・・正直、ちゃんと言わない千夜にも怒ってる」
いつもの遊びの延長のような拳とは違って、手のひらがジンジン痛む
「だけど」ポロポロ
それ以上にシャロは心が痛かった、知らず知らずに涙がこぼれていく
「アンタの一言でどれだけ千夜が傷ついたかと思うと、私はアンタを許せないっ!!」
傷ついた千夜のことを思うと心が痛い
「っ!?千夜が、傷ついた?」
「それが分かってないアンタも許さない」
大切な家族であるエリアを傷付けた自分への後悔もまた・・・痛かった
「だったら・・・ちゃんと教えて「分かるくせして逃げてるんじゃないわよ!!」!!」
「アンタが鈍感じゃないことくらい皆知ってるのよ!!いつだっておバカみたいに私たちのこと考えて優しくするくせにッ!」
初めは常に距離をとりつつも、一方的に優しさを贈ってきていた。次第にその距離はなくなっていて、エリアはこちらの想いもちゃんと受け入れられるようになっていた
だから今だって分からないから困っているから自分に助けを求めていることは分かっている
でもこれがきっとココアやリゼでもきっと同じことをしていると思う
皆でエリアのことを助け続けると決めている。だけどこれだけはエリアが気づかなくてはならないことだ
自分がなぜ千夜を傷付けたのか
いつどこで傷付けたのか
なぜそれに気づけていないのか
これだけはエリア自身が気づかなくてはならないこと
だからシャロは痛む自分の気持ちを無視して・・・エリアを傷つける
「それに気付けないのなら今すぐ千夜から離れて
シャロの叫びにエリアはなにも答えられず・・・机にお金を置いて、そっと店を出た
机の上にはエリアが置いたお金と、一口も食べられていないエリアの好物の甘いものとリラックス効果のあるシャロの淹れたハーブティー
エリアがなにも飲まず食べず・・・笑顔でラパンを帰らなかったのはこれが初めてだった
「お金多いのよ・・・バカ」
クシャッと、そのお札を握りしめたシャロ・・・時を同じくして外は雨が降り出していた
・・・エリア帰宅中・・・
ザァァァァァァ・・・
小雨だった雨が強くなって、エリアの身体を濡らしていく
制服だって明日までに乾くか分からないくらいにビショビショだ
もしかしたら風邪を引くかもしれない
早く、家に帰らないと
「・・・出ていけって、言われたんだっけ」
彼女が二人で帰る家といってくれてあの場所も今は帰るための足が進まなくなる程に帰りにくい場所になっていた
遂に立ち止まり、空を見る
こうすれば流れる涙が分からなくなって丁度いい
「(千夜もシャロも傷付けた)」
ずっと一緒にいたいと思える家族を、愛しい人を傷付けたことが自分に突き刺さる
シャロは自分が傷付くのを恐れず、千夜とエリアのために無茶をしてくれたのだろう
それが分からないほど半端な付き合いではない
そして・・・千夜には・・・
「(逃げてるんじゃない・・・か、そっか・・・俺は・・・)」
シャロのくれたヒントから答えを見つけ出したその時・・・透明なビニールがエリアの視界を遮った
「!「エリア君みーつけた」!、ココア」
そう言ってエリアに傘を差し出してくれたのはココア
「どうしたの?」
「千夜ちゃんからの連絡!大雨になってきたのにエリア君が帰ってこないって皆に拡散してたよ。それをシャロちゃんが私のせいだー!って大慌てしてて・・・今他の皆も探してる。早速発見したって送信しておくね」
「・・・そっか、フユちゃんも?」
「ううん、仲間はずれにするつもりはないけど・・・今会うのは気まずいかなって、連絡はいってないよ」
「・・・ありがとう」
「どういたしまして!・・・その顔、もう答えは見つかった?」
「!、うん」
「うんうん!エリア君なら大丈夫だって思ってた!」
「けど、シャロのことも傷付けちゃった」
「そうだね・・・けどそれでエリア君は答えを見つけ出せた。だとしたら次にすることは?エリア君なら分かるでしょ?」
「!、うん!」
「なら、今は一旦帰ろっか!ほらいっくよー!!」
エリアに傘を投げ渡して、その手を取って走り出すココア
「か、帰るって、家の方向と違うんだけど!?」
「ふふふっ!帰る先は甘兎じゃないよ!一旦冷えた身体を暖められるところに行こー!」
・・・
そうして訪れたのはもちろんラビットハウス・・・の移住区間
喫茶店の時間は終わっているのか、バータイムの準備をしている店内を抜けて、リビングに通され、なんか着れそうなもの探してくるから拭いててね~とココアからタオルを投げ渡された
それをありがたく受け取り、濡れた体を拭く・・・そうしていると
「ほら腹減ってるだろ?賄いで悪いけど食えよ」
「いつものコーヒーもどうぞ、身体が暖まりますよ」
テーブルの上にパスタとコーヒーが置かれた、持ってきてくれたのはリゼとチノ
「!、二人とも」
「私たちはお前とココアより少し前に戻ってきててな。ココアから発見の連絡を受けてからこれ用意してたんだ」
「マヤさんとメグさん、ナツメさんとエルさんはもう帰路に着いたとのことです。また会えたときにお礼を言ってください
それではあったかいものどうぞ」
「あったかいものどうも」
そう言ってパスタを一口・・・で
「ッ!!?辛ッ!!」
「作戦成功!」
とんでもなく辛かったパスタ、逃げるようにコーヒーを一口・・・で
「苦ッッ!!!」
「作戦成功です」
ブラックコーヒーをおみまいされてから・・・水を手渡されたので急いで飲む
「ゲホッ、ゲホッ・・・これは一体」
「私たちからの罰だよ」
「どんな理由があろうと千夜さんとシャロさんを傷付けた罰は受けてもらおうかと」
「そ、そういうことか・・・ならちゃんと平らげます・・・」
「・・・なんてな、タバスコかけまくったのはさっき食べた部分だけだよ。不安なら少し混ぜて食べるといい。全体にいい具合に辛みが移ってうまいぞ」
「コーヒーもこちらの砂糖とミルクをどうぞ、いつものエリアさんがいれるくらいの量を用意しています」
「あ、ありがとう・・・おいしい」
そうこうしていると・・・
「おまたせー♪着替えあったよ~、向こうで着替えてきて!」
ココアが戻ってきて、紙袋に入った服を手渡してきた
・・・エリア着替え中・・・
「で?これは一体どういうこと?」←ラパンの制服を着用したエリア
「ぷっ、くふふ・・・いつか、エリア君に着せようと思ってて・・・んふっ」
「に、似合ってますよ・・・っ!」
「ぴ、ぴったりみたいでよかったよ。サイズはユラに調整してもらってたんだ」
「ココア実は怒ってる?」
「怒ってるに決まってるよ。大切な親友を傷つけられたんだもん」
「ッ!・・・ごめん」
「けど、それを理由にエリア君を蔑ろにするわけにはいかないから、探したんだ。エリア君は家族でもう一人の親友だもん!」
「!、ココア・・・」
「だから、これで勘弁してあげる」ピロリーン♪
そういって携帯で撮影したココア
「んなっ!?」
「早速千夜ちゃんに送ろー♪」
「ココアさん、私にもください」
「私にもくれ、ユラとの約束なんだ」
「ちょっ!やめっ、ヤメロォー!」
そんな風にどったんばったんしていると・・・「取り込み中にすまないね」
タカヒロがやってきた
「あ、タカヒロさん」
「エリア君にお客さんだよ」
「お客さん?」
「あぁ・・・傘を持ったお客さんだよ。ちゃんと着替えて出迎えてあげるんだ」
そういって手渡されたちゃんとした服に着替えて下に降りた
・・・そこにいたのは
「千夜・・・」
「エリア君」
自分とエリアの傘を持っている千夜
千夜は傘を指してきたのかもしれないけれど、走ってきたのか服の所々が濡れている
「あの日と逆ね」
「そうだね」
あんなに話せなかったのが嘘みたいに言葉が出てきた
さぁ、後は答え合わせをするだけだ
「・・・帰ろっか
「うん、一緒に帰りましょう」
喫茶店こそこそ話
その他の罰
メグ&マヤ→飯とスイーツ奢り
エル&ナツメ→三時間のコンサート
青山さん→ラパンコスで接客
おばあちゃん→肩たたき一時間
千夜のお父さん→今のままでは娘はやらん