先日フユからお弁当を貰ったエリア、お礼がしたいと思ったので自分の料理の中でも自信のある唐揚げでお弁当を作ることにした
そして今鶏肉に下味をつけるために袋に入れて揉んでいる
もみもみもみ
そして明日はエリアがお弁当当番なのでそのまま千夜のお弁当のおかずにもなる予定だ
もみもみ…もみ?
そういえばこのまま千夜とフユだけに唐揚げを渡したらどうなる?
「千夜ちゃんとフユちゃんだけズルい!私のも作って!」というココアが来て、
「落ち着いてくださいココアさん、とはいえいくら恋人と妹分とはいえ特別扱いはいかがなものかと?」窘めにきたのかプレッシャーをかけたのか分からないチノが来るだろう
あぁみえてチノもそういうところは欲張りなところは知っている…なので
もみもみもみ…
「…多めにつけとくか」
追加で鶏肉を漬け込むエリア
しかし時間は既に11時過ぎ、明日の朝に揚げたいので早起きしなくてはいけないわけで…
「ふわ、はい千夜…お弁と…ぐぅ…」
「あら今日はたくさんね」
千夜の分のお弁当箱一つとココア、チノ、フユが食べる分の唐揚げだけを詰めたタッパーを渡す
「エリア君の中で私はこんなに大食いなのね。失礼しちゃうわ」
「それ、ココアとチノちゃんとフユちゃんの分もあるから…Zzz」
「あらそうだったのね、それじゃあ行きましょうか」
睡眠不足でボーっとしてるエリアの手を千夜が引いて自宅を出発
ココア達とハイタッチすると共に覚醒、そのまま学校に着いて授業を受けて…昼食の時間になった
「んむ、うん美味い」
今日の唐揚げも納得の出来…そこに
「お前の弁当っていつも美味そうだよな」
「?、そう?」
一緒にご飯を食べているクラスメイトがお弁当を覗き込んで言いました
「唐揚げ弁当か、今日はお前の手作り?」
「そうだけど…なんで分かったの?」
「なんか男っぽいなと思ったんだよ。でもこの間の和食弁当は手が込んでたよな?」
「あれは下宿先の娘さんが作ってくれたからね~」
それはもちろん千夜
ちなみにたまにおばあちゃんや、千夜のお父さんも作ってくれたりする
エリアは三人が作ってくれるお弁当が大好き
「…」
「ん?」
急に黙りこくったクラスメイト(男)
「お前の下宿先ってあれだろ?よく変なイベントしてる和風喫茶」
よくも悪くも知られているらしい
「そうそう、知ってくれてるんだ。今後ともご贔屓「そこの娘さんだろ!?」!?う、うん」
「黒髪で!清楚で!着物の似合うあの娘さんだろ!?」
「見てくれはそうだね」
黒髪と着物が似合うは同意する、清楚かと言われると難しいが
「クッソー!いいなー!!」
「??」モグモグ
なぜか突然羨ましがるクラスメイト(少しの違い、寂しい二人で出てきた男子生徒)に首をかしげながら付け合わせのおかずをつつくエリア
「お前もうちょい恵まれてるって自覚持てよ!」
「それに関しては大いに」
「いいなー俺も美少女に作ってもらいたい…」
「全男子の願いだね…ん?」
エリアの携帯に通知が入ったので見てみると
「!…ふふ」
千夜からの連絡で空になったお弁当箱とタッパーの写真が送られてきた
「?どしたの?」
「内緒!唐揚げ1個食べる?」
「!もらうもらう!…んん!うめぇ!」
「ありがと♪」
ニコッと見せた笑顔を見たクラスメイトは…
「(料理も音楽もできてこんなに可愛いのに…)お前生まれてくる性別間違ってるな」
「いきなりなに!?」
遠い空の上でエリア母が頷いていたりした
そして放課後
「今日練習する気が起きなかったから来ちゃった」
「了解!いつでも来ちゃっていいよ!」
「お弁当ありがとうございました。美味しかったです」
ラビットハウスにやってきた、今日の店番はココアとチノ
「そういえばエリアさんにお尋ねしたいことがあるのですが」
「俺に?」
「はい、今日フユさんがエリアさんの唐揚げを食べた時に気になることを言っていたんです」
「気になること?」
「この味久しぶり、と言っていました」
「?、久しぶり?」
「はい、その時はあまり気にしなかったのですが…今考えるとおかしいなと」
幼少の頃からの思い出を振り替えるがフユに自分の料理を食べさせた記憶はない、今日が初めてのはずだ
なのに久しぶり?
どういうことかと首をかしげていると『バンッ!!』
「!?」ビクッ!?
「!?いらっしゃいませっ!?」
大きな音を立ててラビットハウスのドアが開かれたそこにいたのは
「あ!マヤちゃんにメグちゃん!いらっしゃい!」
入店しなにやら黙っているマヤとメグ、そしてそのままエリアがいる座席まで近づき、遂に口を開いた
「?、どうしたの?」
「「…ねぇエリア/さん?」」
「は、はい」
二人のご指名はエリア
「千夜さんに作ったのは分かるよ。同じ家だもんね?」
「え?「フユに作ったのも分かるよ。作ってもらったらしいじゃん」えぇ?」
作った、作ってもらった、このことから推論するに
「もしかして今日のお弁当の話ですか?」
「そうだよ」
チノの問いの答えたメグ、どうやらお弁当のことでなにやら文句がある様子
「マヤちゃんとメグちゃんなんで知ってるの?」
「これだよ!」
携帯にはエリアに送られたのと同じ空になったお弁当とタッパーが写った写真
「ってことは千夜から送られたの?」
「そうだよ」
「えっと、鶏肉は気持ち大きめにきって醤油と生姜に漬け込ん「レシピを聞いてるんじゃあないよ」ならどうしたの?」
「…の分」
「え?なんて?」
「…の分は」
「??だから何「「私達の分は!?」」えぇぇぇ!!?」
どうやら自分達の分がないことにご立腹の二人
エリアをポカポカ叩きながら責める
「なんでココアとチノにはあるのにアタシにはないんだよー!」
「二人だけズルい!えこひいきだー!」
「んな無茶な」
ポカポカ叩かれているがノーダメのエリアがため息をついていると
「まぁ無理ないよね。すごく美味しかったもん」
「冷めていても美味しく、思わず白米にお箸が進みましたね」
「最後の1個はじゃんけんだったね~」
「勝ちました」
「「むぅ~~!!」」ボカボカ
「ちょっ!、痛くなってきた、やめて!分かったから!やめて!」
ココアとチノによる飯テロにより攻撃力の上がった打撃に屈したエリア
「じゃあ作ってくれる?」
「分かったよ…作るよ…」
「わーい!エリアさんのお弁当ー!」
「二人ともよかったね!」
「エリアさん的には微妙なのでは?」
…で、帰り道で材料を買って次の日にまたまた早起きしてお弁当を作り、通学途中で待ち合わせたマヤとメグにお弁当を渡して…その放課後
「今日はちょっと練習してから来たよ」
「練習お疲れ様です」
「お弁当もありがとねー!」
「これはお礼です!」
二人からお弁当箱を回収するためにラビットハウスにやってきた
今日の店番はチマメ隊でお礼のコーヒーが置かれた
「ありがとう、どう?美味しかった?」
「美味しかった!ナツメとエルにも分けてあげたらシェフとして来て!だってさ」
「あの二人も満足させるなんてやっぱりエリアさんは揚げ物の天才だよ~」
「いやぁそれほどでも」
「でも本当に上手だと思いますよ」
唐揚げに始まり、かぼちゃのコロッケ、そしてホテルではたくさんの天ぷらを揚げて皆に振る舞ったこともある
「揚げ物系は昔唐揚げ作るついでに結構練習したからかな」
「エリアさんのお父さんの好物でしたね」
「そうそう、試作して父さんに食べてもらって感想聞いてって何回もやってたんだ」
それだけは上手に作りたくて、忖度なしに父に感想を聞きまくり、その上でできたレシピで作った一品なのだ
「それを聞くと納得の出来だよね」
「お父さん喜んでた?」
「うん、やっと満足できるのが作れた日は父さん泣いててさ~」
などと話していると…バンッ!!
「!?」ビクッ!?
「「「い、いらっしゃいませ!」」」
また誰かがドアを乱暴に開けた
「ってなーんだシャロじゃん」
「びっくりしたー」
その音の主はシャロ
「…既視感があるね」
「奇遇ですね私もです」
そうしてエリアとチノの予想通りシャロはエリアの元に近づき、口を開く
「エリア」
「…なに?」
「別にアンタが誰にお弁当作ろうと勝手よ」
「うん、マヤちゃんかメグちゃんに聞いた?」
チラッと二人の方を見るが、二人は全力で首を横に振っている
「ハズレ、エルちゃんからよ」
「そっちかー…」
まさかの情報漏洩に頭を抱えるエリア
「話を戻すわよ、恋人と妹達に作って姉に作らないのはどうなの?」
もう本題を話すまでもなく、シャロも怒っているのだろう
「いやココアも一応姉「で?どうなの?」どうなのと言われても」
「さっさと答える」スッ←拳を上げる
「早急に作らせていただきます」ペコッ←起立し深く深く頭を下げる
「エリアが拳に屈した!」
「もう軽くトラウマになってませんか?」
…で、その日も帰りに材料を買いに行き(シャロ主導の元、お得に買えた)、またまた早起きしてお弁当を作り、登校途中でシャロに渡して…放課後
「ってことで3日連続でお弁当当番になって、唐揚げ弁当食べ続けてるエリアです」
流石に少し胃もたれしてきたエリアが今日も今日とてラビットハウスにやってきた
今日の店番はココアとチノとリゼ、いつもの三人だ
「けどちゃんと千夜ちゃんには別メニュー用意してるのえらいよ!」
「エリアさんサンドイッチも作れるんですね。少し分けてもらいましたが美味しかったです」
「食パンじゃなくてバケットなところが得点高いね!」
「へぇ、ココアの影響だな」
「ですかね~、けどそれも今日でおしま「誰か忘れてないか?」へ?」
ガチャッ
とりあえず今日はバイト前に甘いものを食べようと来たわけだが…リゼから額になにかを押し付けられた
「…ん?」
「恋人と妹と姉に渡したんだよな?」
押し付けられているもの、それは拳銃
「はい、皆美味しかったって言ってくれたんですよ~」
とはいえいつものモデルガンだろうと高を括っていたエリアが軽く返す
リゼの言いたいことはもう分かっている…だが夜に鶏肉仕込むのめんどくさいし、早起きしんどいし、朝から揚げ物するの疲れるしで流石にもう作りたくないのだ
きっとリゼなら分かってくれ「…もう一度聞くぞ?」る…はず…
ガキンッ、撃鉄を倒した音がした
「誰か…忘れてないか?」
「…」
「ん?」
カチャッ、次に引き金に指が置かれる
モデルガンとかそういう問題じゃない、リゼからのプレッシャーが半端じゃない
「り、りぜしゃんにもつくります」ガクブル
静かに両手を上げて降服した
「よし」
「り、リゼちゃん?それモデルガンだよね?」ブルブル
「こ、ココアさん実弾なわけないじゃないですか」ブルブル
「…さぁな」
素人目にはなにやら特殊に見える行程で撃鉄を起こすリゼ
これくらいするほどエリアの料理を食べたかったらしい
「流石リゼグラトニー」ボソッ
「なにか言ったか?」カチャッ
「いえ!なにも!!」
そうしてまたまたまた帰りに材料を買いに行き(流石にリゼが払ってくれた)、お弁当を作り、朝に甘兎庵まで取りに来てもらった日の放課後
「流石にもうないよね?」
これまでの反省からラビットハウスに寄らずに真っ直ぐ甘兎庵に帰ってきた
「んー、順番的に次は青山さんかしら?」
今日メグはお休みなので店番は千夜と二人きり…ではなくエリアの頭にはあんこが乗っている
「ありそうだからやめて…うぅ胃が痛い」
「それは胃もたれ?それともストレス?」
「両方…」
「なら今日はお粥にしましょうね~」
「そうしようかな」
「今日の晩御飯は決まりね…そういえばシャロちゃんが言ってたけどエリア君唐揚げの味付け変えたの?」
「へ?変えてないよ」
レシピは頭に入っているので間違えてはいないはずだが?
「そう?でも美味しかったって言ってたから気にしなくていいわね」
「だね…あ、そっか」
納得したと共にあることにエリアが気付く
「?、どうしたの?」
「シャロが味付け変えた?って言ったのって前に食べた唐揚げと違うからじゃない?」
「シャロちゃんが前に食べたのはハロウィンの時かしら?」
「そうそう、その時は宇治松家の味つけだったけど今回は俺の味つけだったから、シャロは変わった?って言ったんじゃない?」
「なるほど、私はそれから何度か食べてたから気付かなかったのね」
「そういうことだね~」
謎が解決しすっきりしたと同時にもう一つ思い出す
「あ、そういえば俺はチノちゃんから聞いたけどフユちゃんが唐揚げ食べて久しぶりって言ったってほんと?」
「言ってたわ。昔エリア君が作ってあげたんじゃないの?」
「んー…作った覚えはないんだよなぁ
そもそも都会に住んでた頃は料理したことないし、毎日のご飯は母さんが作ってたし」
もちろん食事の準備は手伝っていたが、料理の手伝いをしたことはなかった
「でもフユちゃんとご飯食べたりはしてたのよね?」
「たくさんあったよ。遊んでて遅くなったからどっちかの家でご飯食べたりとかね」
「!、もしかして唐揚げも?」
「?、食べたと思うよ。父さん好きだし割りと頻繁に作ってたから」
その話を聞いて、今度は千夜が気付いた
「エリア君言ってたわよね、お父さんのために唐揚げ作るのたくさん練習したって」
「う、うん…」
「それってエリア君のお母さんも一緒だったじゃないかしら?」
「え?」
「エリア君が生まれる前にエリア君のお母さんもお父さんのためにたくさん練習して好みのレシピを作ったんじゃない?」
「!…そう、なのかな」
「きっとそうよ!」
「仮にそうだとしてフユちゃんのこととそれは関係ないよ」
「ううん、あるわ。同じ大切な人のために作ったレシピだから一緒なんだもの」
「?」
「フユちゃんが食べたエリア君のお母さんの唐揚げは大切な旦那さんの為のレシピ
それでこの間エリア君が作った唐揚げも同じ大切なお父さんの為に作ったレシピ
その二つは同じ味なんじゃないかしら?」
「!」
エリアと母、どちらも父の好みに合わせたレシピだというのなら味が同じでもおかしくない
もしかして初めて満足できる唐揚げを食べた時の父が泣いていたのは母が作った味を思い出したから
そしてフユが久しぶりと言ったことにも説明がつく
「…そう、かも」
自分は気付かなかったが、もしもそうだとしたら
「(あ、やばい)」ポロッ
涙が溢れてきた
「え、エリア君っ!?」
「ご、ごめん…なんか、嬉しくて…」
いくら拭っても止まらない
自分の耳の時と同じで気付かないうちに母から受け継いでいたものがまだあった
それがたまらなく嬉しい
「エリア君こっち」
幸い今はお客さんも少なく、こちらも見てる人もいないのでお客さんから見えない厨房の入り口の方へとエリアの手を引く
あんこも気を遣ってくれたのかエリアから降りてくれた
ここならお客さんに呼ばれたらすぐに行けるし、厨房にいる千夜のお婆ちゃんと父も気付かないし、気付いてもなにも言わないでくれるだろう
「はい、ハンカチ」
「ありがと」
「あまり擦っちゃだめよ。赤くなっちゃう、後で冷やさないと」
「…うん」
「相変わらず泣き虫ね」
「こんなのが恋人でごめん」
「そんなエリア君だからいいのよ」
まだ仕事中だから抱き締めたりキスしたりはできない、だけど少し位ならいいだろう
エリアの頭に手を伸ばして撫でる
「悲しい涙じゃないならいいのよ」
「うん…ありがとう」
キュッと最後にもう一度目元を拭って離す
「本当にありがとう千夜…けどなんで分かったの?」
「それはそうね…ちょっと待っててくれる?」
「?、うん」
そうして厨房に向かってすぐに戻ってきた
「はい、あーん」
「?あーん」
言われた通りに口を開き、口内に広がる甘味の正体は
「栗羊羹…甘い」
甘兎庵に来て初めて食べた和菓子である栗羊羹
「私の手作りよ。美味しい?」
「うん美味しいよ」
「この栗羊羹も何度も試作を重ねてより美味しくなってるのよ…つまりこういうこと」
「え?」
こういうことらしいがさっぱり検討がつかないエリアに千夜が微笑みながら教える
「大好きな人には美味しいものを食べさせてあげたいでしょ?」
「!…そうだね」
嫌々言いながらも毎日早起きできたのも大切な人に美味しいと言ってもらいたかったから
「だから、明日のお弁当もお願いね?」
「任せてっ!…あれ?明日は千夜が当番…「さ!お仕事お仕事!お客さんが待ってるわ~!」ちょっと!?」
そうして二人は慌ただしくホールに戻るのだった
喫茶店こそこそ話
エリアの人生のフルコース
前菜 野菜嫌いだからなし
スープ ○ノールのコーンポタージュ
魚料理 未定
肉料理 母さんの唐揚げ
メイン 千夜の料理ならなんでも
デザート 甘兎庵の栗羊羹
ドリンク ラビットハウスのコーヒー
エリア「後は魚か」
千夜「今度釣りに行ってみましょうか」
リゼ「いやそうじゃな…いこともないか、私も行きたい」
三人で行きました