「わぁ〜!本当に来てくれたんですね!」
ただ今この作戦で最難関の場面に出くわしております。現在、本日の会場を案内した後に控え室で休んでいたら、愛本さん達が訪ねてきた。本来なら生徒は立ち入る事はできないが、愛本さんが俺を呼んだと言う事で、特別にお友達を連れて来てもいいと許しを得たので来たようだ。
「あ、自己紹介しますね。右らマホちゃんにムニちゃん。そしてレイちゃんです!」
「あ、あの!初めまして!明石マホです!本日はお日柄もよく!」
「ちょっとあんた。緊張しすぎじゃない?」
「だ、だって〜!掃き溜めスターズって言ったら!世界一有名なボカロ作曲者だよ!しかも、本人の実力も、どの歌も人が歌うには難しいすぎる早口や高音の曲も完璧に歌える。すごい人なんだよ!」
「あんた詳しいわね」
「うん。あの動画以来好きになってめちゃくちゃ調べたからね!ネットのニコニコ勢なら誰もが知ってる伝説の人なんだよ!まあ私はその時代は生で見てないし。最近知ったはわかりだけどね…」
「はい。確かにアレはどれも凄かったです。マホさんが舞い上がるのもわかります!」
「だよね!」
うわ〜、ものすごい盛り上がってる。めちゃくちゃ質問攻めされるじゃん。普段の授業もこのくらい真剣に聞いて質問してくれると嬉しいだけどね。
「……」
「どうしたんだリンク?」
「何かペーパーさんいつもと雰囲気が違うなって思って」
「そうなのか?私は初めましてだからわからないけど…」
「うん。何かおとなしいって言うか、もっと凄いお喋りな人だったと思うだけど…、あ、いや別にペーパーさんが悪いってわけじゃないですよ!気を悪くしたらすみません」
おっと!不味いじゃないか!リンクちゃんが違和感を感じ始めて来た。ヤバイな何か喋らないと、てか喋って!俺と英雄は必死こいて勇気に目線を送ってる。
「う、うぅん!そ、その緊張してしまって…」
「…声なんか変じゃないですか?もしかして喉痛めてます?」
「…い、いやその…
「うぅん!こんなにも女の子に言い寄られる事がなかったから緊張してしまってな!ハハハハ!」
…」
「あ、やっぱりいつもの声でした。すみません私の勘違いみたいでした」
あぶね〜!それはそうだろう。いくら勇気が声をにせても、やっぱり違和感はバリバリあるだろう。とっさに勇気の後ろに隠れてお声を当てたが、本当にバレないのが奇跡だぜ。
「先生。後ろで何してるんですか?」
「うぇ!?な、何でもないよ!?」
「…ねぇ、リンク」
「何ムニちゃん?」
「先生の声とペーパーさんの声って似てない?」
「言われてみれば、何か似てるような…」
「あ〜!」
「ど、どうしたんですか先生!?急に大声を出して」
「そ、そろそろ時間じゃないかな!」
「まあ、ちょっと早いかもしれないけど、そろそろ行った方がいいかな?」
「それじゃあ、私達が体育館まで案内しますよ。皆んな首を長くして待ってますから」
「そうなんですよ!中等部から高等部の生徒が集まってて、人がドァ〜!ってたくさんいるの!」
「あれは凄い光景ですよね。私あんなに人が集まったの初めて見ました」
「もう渋谷のハロウィンって感じだね」
「それは言い過ぎじゃない?」
そして、俺は体育館裏のステージまで連行された。俺達はどうすると耳打ちでパニクっていた。
(おい〜!どうするんだよ!?)
(知りませんよ!それより早く何とかしてください!僕歌えませんよ!)
(何とかして入れ替わるでござるよ!)
(しょうがない!勇気。ここで投げ!)
(え〜!ば、バレますよ!?)
(大丈夫だ。英雄の身体に隠れながら着替えれば)
(無理無理無理!絶対に無理!)
(ごちゃごちゃ言ってないで、さっさとぬげ!リンク達が振り向く前に!英雄!みゆき!壁になってくれ!)
そして、俺達は急いで着替えた。
「皆さん。何を話しているんですか?」
「レイちゃんどうしたの?」
「いえ、何だかペーパーさん達が揉めてらっしゃったので、何か合ったのかと思いまして」
「あはは!大丈夫!大丈夫!何にもないよ!」
(ちょっ!俺はどうしたらいいですか!?パン1ですよ!コレ見られたら確実に捕まりますよ!)
(大丈夫だ!取り敢えずそこのダンボールに入ってろ!)
(どこのスネーク何ですか!)
そして、俺は半ば強引に勇気をダンボールに押し込めた。何とかバレずに入れ替えられた。
「ムニちゃん。そんな顔をしかめてどうしたの?」
「怪しい…」
「皆んな出番だよ!」
そして、とうとうライブが始まった。ステージから出てきた俺達を数千人の生徒達が、出迎えてくれた。既に会場は盛り上がっており。その熱気は凄まじく、その熱気で雲ができるじゃないかってくらい盛り上がっていた。
「それじゃあ、さっそく一緒にライブをする…」
「待ってください!ペーパーさんには歌う前に見てもらいたいものがあります」
「見てもらいたいもの?」
「はい。少しの間だけ私達の後ろから、ライブ見ててください」
「えっ…?まあ、いいが…」
なにそれ?ここまで来といて放置プレイですか?本当にこの子は何がしたいだ?
「皆んな〜!今日は来てくれてありがとう!私普段の何十倍の人が集まっててビックリ!皆んな掃き溜めスターズのパフォーマンスが見たくて来たと思うだけど、少しだけ!私達にパフォーマンスさせて!」
リンクがそう言うと、皆んな心よく了承してくれた。リンクはそれを確認すると、メンバー達に目を合わせて合図をした。そして、音楽が鳴り響く。
「〜♪〜〜」
(相変わらず楽しそうに歌うな…。リンクの楽しそうに歌う声に、何だか観客のみんなも楽しそうだな…。そう言えば、こうして観客の反応を直接見るのは初めてだな…。そんな事ないか、皆んなコメントとかたくさん書いてくれてたしな…。あれ?そう言えばどんなこと書いてあったかな?)
「ペーパーさん。どうですか皆の笑顔」
「楽しそうでいいと思うよ」
「はい。とても楽しいです。でも楽しいだけじゃないです。私が届けた笑顔は、私達の原動力なんです」
「…原動力」
「はい。私はライブパフォーマンスを始めたきっかけは、ピキピキのライブを見て、楽しそうだからやってみたい。そんな単純な理由でした。でも、ライブを続ける中でライブを続ける理由はただやりたいと言うだけじゃなくなりました。皆んなが楽しんでくれる。だから私はライブを続けてます」
「……」
「ペーパーさんにも何かきっかけがあって、音楽をして、そこから皆んなに原動力をもらって、それが嬉しいから動画を続けたじゃないですか?」
「……」
「思い出してください。その時の気持ちを」
最初は初音ミクだった。何となく見ていた初音ミクの動画に魅了されて、自分も曲を作ったりした。最初は単純にそれが面白くって、やっていただけだが、いつの日から皆んなから見られるようになって、褒めてくれた。それが嬉しくってたくさん曲を作るようになった。でもいつの日からか見てくれる人が少なくなって、この歌は何人見てくれたって、数字しか見なくなった。
「はぁ〜、俺って本当に馬鹿だな」
「いや、俺達の間違いでござるよ」
「…そうだな。まさか子供にわからせられるとはな」
「いや、むしろ子供だからこそ気付かされたじゃないでござるか」
「それは確かに言えてるな…。リンクちゃん。ありがとうな。俺達頑張れそうだ」
「…はい!」
「リンクちゃん。マイク貸してくれ」
そして、俺はリンクちゃんからマイクを受け取った。そして、本当の意味でステージに立つ。
「皆さん。初めまして、掃き溜めスターズのペーパーです。申し訳ないけど、ちょっと変な話をするよ。実はついさっきまてまてユニット解散して、辞めたいって思ってたんだよね」
突然の辞めたい宣言に、あんなにも盛り上がっていた会場が静まり返ってしまった。本来なら終わりまで決して音楽が鳴り止むことがないDJパフォーマー。わざわざ語るために音楽も止めている。本来ならこんなシラけること決してやってはいけないのだが、俺達は好意的にやった。
「実は言うとね。今日一日だけでもね。ここのステージ立つためにいろいろと苦労があって、これから先もこんなにも苦労することが多いだろうなって、辛いなめんどくさいな。たいへんだな。楽したいなって考えると、全部すっぽかして逃げたいって思う。現に俺らは一度逃げだしてな。高校を卒業して大学生になって、勉強とかバイトで動画投稿する時間がなくて、時々あげた動画も当時から人気があったDJパフォーマンスに埋もれちまって、思うように見てくれる人が増えなくて…いや、むしろ減る一方だったな…。
それなら俺達もDJパフォーマンスをやろうと考えてただけどさ。いつのまにか情熱が消えてて社会人になったら完全にやらなくなった。社会人になると会社のルールとか責任とか色々やること覚えることや、教えることが増えて、全く音楽とかやる時間がなくなった。音楽で食って行くプロでもないと、到底無理な話だ。仕事しながらこうやって音楽活動する二足の草鞋を履いて歩くようなもんだ。体力が持たない。だから俺達は音楽を捨てた。今は昔よりも仕事も上手くできて時間が作れるようになったけど、やっぱり疲れて一日中寝てるだけになっちまう。だからもう一生音楽とかやる事はないだろうなって思ってたんだけどさ…。
実際大人になって忘れてたけど、こうして歌って踊ってると思い出すよ。教室の隅っこで、掃き溜めのように縮こまって、ゴミだとバカにされてたけど、その掃き溜めの中にも輝けるスターがあると証明したって、掃き溜めスターズと名乗って、見返してやろうと燃え上がっていた情熱を、決して消えることのない情熱を持ってたはずなのに、いつのまにか消えちまった…。
でも、お前らに出会った。今の輝いてるお前らを見てると、純粋でただ真っ直ぐに好きな事をしていた。あの頃の自分を思い出しちまった。再びあの情熱が、消えちまったあの情熱を、お前らが再び火をつけた。ガキだった頃の情熱は消えちまったが、大人になってついたこの情熱は厄介だぞ。ボットでの老人新人ユニットだが、お前らをあっと驚かせるから覚悟しとけ。大人の本気、見せてやるよ…」
本当に馬鹿だな。こんな当たり前なことを忘れるなんてな…。
「リンクちゃん。悪いだけど、ステージちょっと独占していい?」
「はい!」
「ありがとう…。バケッツ。あの時の没にした曲残ってる?」
「いいのでござるか?決めたセトリの曲じゃなくて?」
「いいだよ。あんな再生数を狙いにいった歌なんかより。むちゃくちゃに尖ったあの曲の方が俺ららしい」
「了解でござる!」
そして、俺たちはここから再び始める。掃き溜めに捨てたこの曲達と!
コメント欄
〜はるちる〜
うぉ〜!新曲だぁああああ!?
〜ななころぎ〜
いったい何曲の新曲があるんだよ!?
〜なーへみん〜
どの曲もやべ〜!
〜雷神〜
掃き溜めスターズ!完全復活だ!
あんなにも静まり返っていた会場のボルテージが最高長に高まっていた。そして、元から生徒達のSNSの口コミのおかげで、ネットの同時視聴も同時接続数も50万人を超えてまだまだ凄い勢いで伸び続けている。そしてその日、俺達の歌はネットを中心に日本中に広がり。震撼させた。
数日後には元の位置に話数を、直しておきます。大変ご迷惑おかけしました。