「太刀川先生おはようございます。あの〜、少し質問よろしいでしょうか?」
「珍しいですね渡月さんが質問だなて、何か授業でわからないことでもあるですか?」
「いえ、そう言うのじゃないですけど、あの先生って掃き溜めスターズの知り合いだったりします?」
「…何ですか急に?」
「いえ、この前のライブの時に、妙に親しそうに見えたので…」
「うわ〜!す、すみません!ちょっと聞く相手間違えました!」
「聞く相手間違えたってどう言うこと?」
朝に突然、渡月さんが職員室に大輝を訪ねに来た。大輝は珍しいなと思いつつ何かと聞くと、先日ライブに来てくださった掃き溜めスターズの知り合いかと、突拍子もないことを聞いてきた。大輝はあまりにも突拍子もない質問に呆けていると、横から明石さんが急いでやって来て、渡月さんを連れて行ってしまった。
「ちょっと!レイ!質問がストレートすぎ!あんなの答えるわけもないし。怪しまりちゃうよ!」
「す、すみません」
「たくしょうがないわね。次はこのムニちゃんに任せなさい!」
「先生〜!あのムニお願いがあるんです」
「どうしました?」
「ムニ。今度のライブのためにお歌の練習してるんです。ちょっとお歌の練習に付き合ってくれませんか?」
「あぁ、そう言うことでしたら音楽教師の江藤先生をお呼びしますよ」
「あ、はい。ですよね〜」
「先生!」
「どうしましたか?リンクさん」
「一緒に踊らない?」
「踊りません。それよりもリンクさん。もう少しでテストなんですからちゃんと勉強してくださいね」
「うっ!」
「赤点なんて取ったらライブ休止してもらいますからね」
「…はい」
「先生あの〜」
「あぁ、明石さん。ちょうどよかった。これ次の授業で使う教材なんですけど、持って行ってくれません?」
「えっ?あの…」
「お願いしますね。いや、明石さんみたいに優しい生徒がいて、先生嬉しいです」
「あ、はい…」
「ふぎゃ〜…」
あの手この手で、何とか先生の尻尾を掴もうとするが、どれもこれも失敗に終わり。皆んなでテラスに項垂れている。
「やっぽ〜、リンクちゃん。上手く…行かなかったみたいだね」
「うぅ、響子ちゃん」
そこにピキピキの響子が様子を見にきたようだ。
「うん。何か綺麗にあしらわれちゃって…」
「普段気にもしなかったのに、こうして実際に接触しようとすると、全く掴みどころがないわね。あの先生」
「私もライブの場所を押さえたりする時に話したりするけど、それ以外はあまり話さないしね」
「やはり、この前みたいなライブの状況を作り出さないと難しいと思いますね」
「だけど、それも仕事で忙しいって断れちゃったし…」
最終手段で電話してみたが、仕事が忙しいと断れてしまったらしい。大輝も仕事が忙しいのは本当だが、リンク達が自分の事を嗅ぎまわっていたのに気づいていた。やたら朝から絡んでくると思い、草むらに聞き耳を立てていた。
「…リンクちゃん。もう一回ペーパーさんに電話してくれない?」
そう言われたリンクはもう一度だけ電話をして、事情を説明して響子に変わった。
「もしもし、はじめまして、私peaky p-keyの山手響子っていいます。今日は折り入ってお願いがありまして、電話させていただきました」
『頼み?』
「はい。私達とライブバトルをしてくれませんか?」
『ライブバトル?』
「はい。ルールは、お互いに5分と言う制限時間の中で、自分達で決めたメドレーライブを披露して、それをランド3まで行います。それでより盛り上がった方が、勝ちというルールです」
『へぇ〜、バトルDJみたいなルールだね。でも悪いね。面白そうだけど…』
「お願いします。私は一刻も早く貴方と勝負がしたいです。ずっとあきらめてた目標が帰って来たんですから、8年前の貴方の歌を聞いてから」
『…はぁ〜、わかったよ。ただし!日程は俺が決める!』
「わかりました。ありがとうございます」
皆んなが見守る中で響子が電話を切って、笑顔で言った。
「何とかライブにはこじつけられたよ」
「やったー!またペーパーさんのライブを生で見られる!」
「ちょっと、そこじゃないでしょ!1番の目的はペーパーの正体が太刀川先生か調べる事でしょう!」
数日が経ちライブ当日。
「む〜!」
「どうしたのムニちゃん?」
「納得いかない。何で太刀川先生がいないのよ!」
「しょうがないだろ。先生は校外研修で出張してるんだから。まあ、これでムニの勘違いだったて証明されたな」
「そうですね。非常に残念ですが、今頃は大学で研修を受けてる頃でしょう」
「む〜!」
そう、今日待ちに待ったライブの日だが、肝心の太刀川先生は研修のため大学で研修を受けていた。ならこの学校にいるペーパーは、この前のように英雄の弟かと言うと、違う。彼は正真正銘の太刀川大輝だ。なら大学はどうしてるかと言うと…。
「え〜、ですので生徒とは…」
大学でもちゃんと太刀川大輝は出席していた。ただし…。
「くそ〜!兄貴達、バレたら一生恨むからな!」
受けていたのは英雄の弟勇気だ。
前日の夜。
「へぇ〜、メイクだけでこんなに似せる事ができるだな」
「見様見真似でモノマネメイクしてみたけど、案外できるものね」
「みゆき。才能あるでござるな」
「いやいや!やっぱり無理だって!兄貴達!」
「大丈夫でござるよ。マスクつければ誰もわからないでござるよ」
「頼む!俺を助けると思ってさ!」
響子からの電話のあと英雄達に相談して、逆にそれを利用しようと考えて、一時期テレビでモノマネメイクと言うものが流行っていた。そのモノマネメイクで勇気を大輝の顔になるようにメイクして、代わりに研修を行かせようと言う作戦だ。
コレは犯罪ですので絶対にやめましょう。コレはあくままでフィクションの話です。
「本当に次から次へと、面倒ごとを受けるでござるか?おかげでこっちもいい迷惑でござるよ」
「だから、悪いって言ってるじゃん。コレ終わったら皆んなに焼肉奢るからさ」
「ちゃんと牛角でごがるよな?」
「ござる。ござる」
「…はぁ〜、もう学園は避けるって話であったでござろう」
「いや、だって8年前から目標にされてたんだぜ。俺らより全然長いじゃん」
5年前に俺らが衰退し始めて、プロDJとして活躍するLynx Eyesや他のDJユニット達の人気に埋もれる中で、俺達も打倒Lynx Eyesを目指して、練習をした。朝から晩まで、他のことは忘れて永遠と音楽に向き合ってた。でもそんなある日にLynx Eyesの解散と引退が発表された。この時からだった。俺らが目標を無くして、だんだんと音楽から離れていった。それからは勉強やら仕事やらを言い訳に音楽をしなくなった。でも彼女は俺らみたいになる事なく。ずっと音楽を続けていた。
「そんな素敵な口説き文句言われたらやるしかねぇじゃん」
「8年でござるか、大したもんでござるな。拙者達なんか秒で諦めて、今の今まで掃き溜めのゴミのように腐ってたでござるからな」
「そうだな。しかも俺らが復活したのも彼女達ライブを見たおかげだしな」
「至れり尽くせりの感謝でござるな。果たして、今の今まで輝く彼女達に、拙者らは勝てるのでござろうか?」
「勝つさ。それが恩返しと言うわけじゃないが、彼女達に見せてやろうぜ。大人の本気を」