「と言うわけで!お願いします先生!」
翌日の朝早くから愛本さんが訪ねて来て、予想通りこの前の話で、俺達をライブハウスに招待したいと言う事だ。
「話はわかりましたけど、部外者を入れるのは難しいと思いますし。その方達本当に来てくださるんですか?」
「はい!呼べば…」
「…どうしたんですか?急に固まって?」
「連絡先聞くの忘れてた!」
はい。コレも予想どりですね。まあ、とりあえずコレで来れないわけですし。ほっとけばほとぼりが冷めるでしょう。
「ちょっと!リンク!いつまでも落ち込んでないで、元気出しなさいよ!」
「そうです!きっとまたすぐに会えますよ!」
「……」ポケー
すでに何日も日が経っているのに、未だに連絡先を聞いてなかったことを後悔している愛本さん。メンバー達が何日も慰めている。
「そんなに落ち込むことないでしょ?」
「だ、だって〜!皆んなにも見て聞いて欲しかっただもん!本当に凄かっただよ!もうね!高音がキーン!って頭に響いて!脳にいつまでもドカドカ残って!本当に凄っただよ…。それにもったいないよ。あれで終わっちゃうなんて、ステージに立てばきっと考え直してくれるはずなのに…」
「リンク…」
そう言って本当に物凄く残念な表情をしていた。普段ムードメイカーの愛本さんが、あんなに落ち込んでると必然的に周りに暗い表情になってしまってるな。
「……はぁ〜、しょうがねえか…」
「これ檻の中に入れられる動物ってこんなこんな感じなんだろうか?」
現在俺達は陽葉学園の校門前をライブ衣装を着て立っていた。まあ、衣装といっても紙袋だけなんだけどね。その奇抜な被り物のせいで、周りからめちゃくちゃ写真を撮られてTwitterにもあげられてる。もう公開処刑だ。
でもしょうがなくない。いつまでも愛本さんがしょげてるんだもん。何も悪いことしてないけど、何だか見てると罪悪感がわいてくるだもん。
そんな恥ずかしい思いを我慢してると、学園の階段を物凄い勢いで駆け降りてくる1人の少女、そう愛本リンクだ。物凄い笑顔でこちらに向かって来てる。
「かーみーぶーくーろーさーん!」
「ちょっ、お前そんな走ったら危ないだろ!」
「えへへ、すみません。つい嬉しって紙袋さん…
「ペーパーだ」
…えっ?」
「ニコニコ時代はペーパーとバケッツって呼ばれてた。改めて久しぶりだなリンクちゃん」
「…今私の名前」
「一緒に歌った仲だろ?もう友達って言うことで、コレ」
そう言って俺はスマホを取り出した。
「この前ライブハウスを用意してくれるって言ってくれたけど、連絡手段がないだろ?だからもし嫌じゃなかったら連絡先交換してくれ」
「はい!」
そして、連絡先を交換した。まさかこのゲームアプリを詰め込んだプライベート用のスマホを使うことになるとは、思いもしなかった。
「うあ〜!ありがとうございます!」
「いいよ。気にしなくって、それじゃあね。ライブハウス取れたら連絡ちょうだい」
「はい!必ず連絡します!」
別れを連れて、俺は帰って行った。ある程度離れて誰もいないことを確認して公園のトイレに急いで入って、私服からスーツに急いで着替えて学園に戻った。実はまだ勤務時間中なんです。こっそりと抜け出してあんな事をしました。今回は何とか誰もバレずにすみました。
「あれ?太刀川先生。そんなに息を切らしてどうしたんですか?」
「いえ、ちょっと軽い運動をしまして…」
全力疾走で帰ってきたわけなので、息を切らしていた。その様子を見て心配する同僚の繊細に何でもないですと言って誤魔化す。そんな事をしていたら職員室に愛本さんが訪ねて来た。
「リン…じゃなくて愛本さんどうかしましたか?」
やばい、呼び方を変えた方がバレないかなと思って、名前と苗字で呼んでいるが、ごちゃごちゃになって、少しでも気を抜くと間違えそうになる。
「先生!この前の話なんですけど!連絡取れるようになりました!なので再びお願いしに参りました!」
「そうですか、それは良かったですね。わかりました。一応学園長には駆け寄ってみますけど、あまり期待しないでくださいね。素性もしれない部外者を入れるのは難しいと思いますので」
「いいですよ」
「そうですよね。ダメですよ…えっ?」
「ですからいいですよ」
無理だと見越していい言ったが、まさかの一発OKだった。いやいや、待てなさいよ。素性もしれない男を普通学園に招くか?ちょっとこれ以上ややこしくなるのは勘弁してくれ!
「で、でも部外者を学園に入れるのはどうかと思いますけど…」
「なら学園から正式に呼んだと言う形にしましょう。よく文化祭とかに芸人とかを呼ぶでしょう。あれと同じようなものとしましょう」
「で、でも彼らは芸能人ではありませんし…」
「芸能人じゃなくても有名人です。DJ活動が活発な我が校で、彼らのパフォーマンスは生徒達にいい刺激になるでしょう」
「で、ですが…」
「ですがもかしこもありません。そんなに心配なら貴方が彼らを見張ってればいいでしょう」
「はい?」
「ですからそんなに心配するなら貴方が見張ってればいいでしょう。なので彼らの学園での案内は太刀川先生。貴方に任せます。掃き溜めスターズのお世話をお願いしますよ」
「…はい!?」
「自分をお世話するってどう言う事やねん!無理だろ!?俺の体は二つもないだぞ!」
その日の夜に俺は英雄を連れて居酒屋で荒れていた。
「いや、その前に巻き込んだ事を謝罪を謝罪しろよ。どうするだよ。せっかくチャネル終了お知らせ動画作ったのに…」
「語尾にござるが抜けてるぞ」
「いや、今わりかし真面目な話、てか本当にどうするでござるか?」
「悩んでるからこうやって相談してるんだろ?どうしょう英雄〜」
「たく、しょうがないでござるな。拙者にいい考えがあるでござる」
「いい考えって?」
英雄はニヤと笑ってスマホで誰かに電話をした。
「兄貴どうしたのよ急に呼び出して?」
「弟くんじゃんどうしたの?」
彼は英雄の弟で、名前が勇気。今は確か大学生だったかな。突然と現れたビックリしたが、どうやら英雄が電話で呼んだのは弟らしい。
「お久しぶりです大輝さん。それで話って何?」
「実は勇気にお願いがあるでござる」
「お願い?」
数日後。
「本日は我が校に来てくださりありがとうございます」
「いえ、こちらこそお招きありがとうございます」
とうとう掃き溜めスターズ。プラスに身元保証人として英雄の奥さんみゆきに来てもらっている。この御三方をお招きする日が決まってしまった。何だかとんとん拍子で日程が決まってしまい。リンクちゃんから電話があった時は心臓が飛び出るかと思った。まさかこんな事が実現してしまうなんて思いもしなかった。教師一同で彼らを出迎える。さながらVIP客でももてなす勢いだ。しかし本当に大丈夫なのか不安だ。勇気の奴は大丈夫かな?いや、まさか俺の影武者を用意するなて考えもしなかったぜ。
この前の居酒屋の夜。
「俺を影武者に!?そんなの無理に決まってるだろ!」
「大丈夫でござる。紙袋かぶってれば顔はバレないし。基本的には拙者が喋るでござるから、勇気はただ立ってるだけでいいでござる」
「で、でも…」
「頼む!弟くん!俺を助けると思って!」
「…はぁ〜、どうなっても知りませんよ?」
「よし!ライブ直前まで勇気には大輝を演じてもらい。ライブが終わったら再び変わってもらう。この作戦で行くでござるよ!」
「上手く行くかな?」
「行くも何もやるしかないでござる。教師があんな壁に絵を描いて、廃墟で爆音で音楽を鳴らして、動画配信。お金はもらっていないけど、こんな好き勝手やってたら確実に処分を食らうでござるよ」
「だよな〜。普通に退職させらる」
「…なあ、もしバレても俺は大学を退学にならないよな?」
「……ならないよ」
「何今の間は!?なんか怖い!俺やっぱり辞める!」
「待つでござる!頼むでござるよ!拙者はもうゆうきにしか頼れないでござるよ」
「ちょっ!こんな所で抱きつくな!暑苦し!わ、わかったから!協力するから!離れろ!」
と言うわけで影武者作戦開始だ。
数日後には元の位置に話数を、直しておきます。大変ご迷惑おかけしました。