GGOでパイロットを活躍させたかっただけの話   作:EDFからあげT

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架空と現実

 いきなりだが私はSAOサバイバーである。

 

 本来であれば今年で高校3年生、しかしSAOのせいで2年間もまともな授業を受けておらず私の学力は良くて高校1年生、悪ければ中学3年生程度だろう。

 

 もちろんそんな状態でまともな学校生活が送れるハズもなく。似たような境遇のサバイバーたちも多く、国はある対策を取ることにしていた。

 

 主に高校生以下を対象にした教育施設『高等専修学校』だ。当時高校生に成り立てだった私ももちろんその対象だった。

 

 通うか通わないかは個人の意見を尊重するとのことだったので私は通ってない。

 

 そのため詳しいことは知らないが『高等専修学校』にはSAOでもっとも有名な『黒の剣士』も通っているらしい。

 

 あの貫禄と実力、才能を持ち合わせていながら未だに学生であったことに驚きを隠せなかった。

 

 

 それはさておき。先程『高等専修学校』に通っていないと言ったがどう生活しているか気になる人も居るだろう。

 

 実はSAOサバイバーには『特殊生活支援金』なるものが配給されており、月々必要になる額を申請し不審点や多すぎない額であれば申請額そのまま貰うことができる。

 

 私の場合は幼い頃より親がおらず母方の叔父母の支援を受けながら一人暮らしを続けており、あまり祖父母に頼りきるのはと思い、支援金で生活費を賄うことにした。

 

 GGOを始めてからは支援金だけでは余裕の無かった生活もリアルマネートレーディングのお陰もありかなり楽な生活を送れている。

 

 なんならあと少し稼ぎが増えるだけで支援金を受け取らずとも生活費を賄える程度には稼げている。

 

 GGO様様だ。

 

 それとあの日、ナーヴギアを回収し、かわりにアミュスフィアとGGOを置いていってくれたあの仮想課の職員にも感謝しなければならないな。

 

 

 はて、特殊生活支援金の前には何を話していたか。

 ああ、そうだ。『高等専修学校』のことだ。

 

 先に通っていないと言ったがあれは半分ほど本当で半分は嘘だ。

 

 学校そのものには通っていないが在宅学習は受けている。

 

 流石に元学生の身教育を受けないのは高校に入るときも制服だったり教材だったりを買ってくれた祖父母に申し訳が立たない。

 

 幸いにしろ教材自体は祖父母が買ってくれたものと同じで、現在は高校1年の範囲を学習している。

 

 在宅という環境はなかなかに良いもので登校下校という概念がなく、時間が終わればすぐにダイブできる。

 

 まぁそれもここ最近やたらと心配してくるお隣さんのせいで変わりつつあるが。

 

 あの事件から生還しもう1ヶ月も経つと言うのに彼女は未だに心配をかけてくる。

 

 その心配というのは具体的に言えば…。

 

 ピンポーン

 

 無機質に響くインターホンの音。

 

 そろそろ来る時間だとは思っていたが。

 

 ベッドに腰掛けていた体を起こし玄関に向かう。早く行かないと彼女からお小言をいただくことになるかもしれないと少しだけ急ぎながら。

 

 玄関の扉の鍵を開けて外を見れば。

 ああ、やはりか。

 

「良かった…。今日もちゃんといるのね。」

 

 姓を朝田、名を詩乃という前に言った特殊な事情を抱えた一人の少女の姿がそこにあった。

 

「今日も来たのか。冷蔵庫は好きに漁っていいぞ。」

 

「それじゃあ、おじゃまします。」

 

 そんないつも通りのやり取りをしながら彼女を家に招き入れる。

 

 彼女との関係はそれなりに長く続いており、良好だと思っている。

 

 この関係が始まったのは…。

 

 あれはいつの日のことだっただろうか。

 

 隣の部屋から聞こえてくる耳障りな声。

 

 隣には物静かな同年代位の少女しかいないハズだったが、と思いながら隣を訪ねてみれば。

 

 普段見ないキャピキャピした女学生とヤリサーにでも入ってるんですかと思わんばかりの男学生がよろしくやってた姿が目に入り。

 

 隣の少女はこんな奴等とつるむような性格はしていないだろうと勝手に警察を呼び、不純異性交遊云々で連行してもらい。

 

 少女は帰っておらず、かといって噎せかえるような性臭を放つ部屋を放置できるハズもなく。

 

 現場は抑えてたし大丈夫!と言う親切な警察の方にも手伝ってもらいつつ掃除をすすめていたら。

 

 帰ってきた彼女は部屋を見て唖然とし、私と警察に何があったか尋ねてくる。

 

 隠す必要はないだろうと全て話した。

 

 あいつらを止めてくれてありがとうと礼を言われ。別にその礼すら必要としていなかったが彼女はそれだけじゃ気がすまないと。

 

 なにかできることはないかと私に問い詰めてきて。押せ押せで来る彼女に押されついうっかり漏らしてしまった一言は「飯作ってほしいかな」で。

 

 それからと言うもの、朝食も昼に食べる弁当も晩飯もすべて受け持ってくれて。

 

 流石にそこまでしてくれるとは思っておらず申し訳なさが私の中に生まれてきた頃にアレだ。

 

 現実に帰ってきたあとも結局「そこまでしなくても」とは言えずにずるずるとこの関係が続いている。

 

 話が逸れたがつまるところ彼女との関係は私が漏らした一言から始まっている。

 

「そこまでしなくても」これがさらっと言えるほど簡単な考え方が出来れば苦労はない。

 

 今更になってこの関係が壊れるのが怖いのだ。

 

 静かだけれど確かに心が安らぐあの時間、不意に見せる彼女の可愛らしい笑みが見られなくなるかもしれないと思うとどうしても言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はこの辺にして拠点に戻るぞTF。」

 

『了解。目的地を郊外拠点へ変更します。』

 

 フィールドに訪れるプレイヤーを狩り続け数時間。そろそろ良いかと拠点に向かう。

 

 私の拠点はフィールドにあるかなり巨大な宇宙船…例えるならTITANFALL2の序盤に出てきた戦艦の様な物の中にある。

 

 他のプレイヤーが訪れてくることはまずめったに無い。

 

 もし訪れてきたとしても拠点の周囲にポップする高レベルエネミーに倒されることだろう。

 

 万が一、私が不在の際に拠点が襲われでもしたら洒落にならない損害を受けることは間違いない。

 

 現在製作を進めているタイタンロードアウトやその他武器素材コルなどが特に警備もなく放置されているからだ。

 

 そんなに考えても流石に杞憂だろうと思いながらも拠点に戻れば。

 

「あなたがパイロットね?」

 

「ッ!?」

 

『プレイヤーを確認。ソナーパルスでロックします』

 

 一番危惧していた事態に陥っていた。

 

 水色の髪になによりも隣の部屋に住む少女に似た顔立ち、大型のおそらくアンチマテリアルライフルを携えた見るからに強いプレイヤーの姿があった。

 

「待って!戦いに来た訳じゃないの!話があってきたの」

 

「…TF。これは“どっち”だ?」

 

『声紋認識。およそ96%の確率で真実でしょう』

 

 TFによればおおよそ真実。4%の確率で嘘。万が一拠点が荒らされていれば…。

 

 考えられることは多かった。しかし、彼女の“顔”を見て本当の事なのだろうなと思った。

 

「…はぁ。全く…。こんなところまで来て話したいことがあるなんてな。…聞くだけだぞ。」

 

「…! ありがとう」

 

 眼前の彼女が見せた笑顔はまるで隣の部屋の少女が見せる笑顔のようで。

 

 どうしようもなく見惚れてしまった。




書けそうな時に書かないと全く書けない苦しさ。

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