GGOでパイロットを活躍させたかっただけの話 作:EDFからあげT
「それで?話ってのは」
プレイヤーたちを狩り終え、拠点に戻ったら自分に話があって待っていたというプレイヤーを拠点の中の居住域に案内しながら問いかける。
「…どうしたらあなたみたいに強くなれるのか、聞きに来たの。」
そう答えた彼女の顔は暗いもので、明らかに何か悩みを抱えていそうな雰囲気を纏っていた。
その姿はあの少女に初めて会った時のような庇護欲を煽るものだった。
しおらしく頭を俯けながら私の後ろを着いてくる様子も更に庇護欲を増大させる。
そんな彼女を見て、私は…
「強さ、な。一体どういう事情を抱えてるかは知らないけれども…。俺の場合だったら、愛と意地。だな。」
私の強さがどういったものか、答えていた。
「愛と、意地?」
そう問いかけてくる彼女はまるで親を失った小動物のような声色で、隣の部屋の少女のようで。
酷く、可愛らしいもので。
「そうだな。愛っていう概念は様々な捉え方があるけれども俺みたいに憧憬が愛になるパターンもある。この姿…『パイロット』っていうのは元々俺じゃあ無いんだ。あくまで再現に過ぎない。でもな、同時に俺でもある。長い時間共に過ごした体でもあるからな。あの頃を再現したい。俺もパイロットのような存在になりたい。っていう想いと愛の詰まったものだ。意地は…そうだな。パイロットなら斯くあるべし、っていう憧れたパイロットなら当たり前のように出来てたことが成せないからな。パイロットなら、パイロットならって意地になってでも強く在らねば、っていう一種の強迫観念みたいなものだ。」
「…何を言ってるかよくわからなかったけれど…。少なくともあなたが私の求める強さに近い物を持っているのは分かったわ。」
そう言い切り私を見つめる彼女の瞳はとても澄んでいて汚れきった私にはとても眩しい物だった。
「はいポカリ。汗かいてるでしょ」
「ああ。ありがとう」
日課のランニングを終わらせて部屋に戻れば当たり前のように居る隣人。
さらに机を見れば私が昼飯を食べていないのを見越してか用意されている健康的な食事。
「わざわざありがとう」
「いいのよ。気にしないで」
渡されたポカリを一口分口に含み、改めて机に並べられた食事を見る。
ご飯、焼き鮭、味噌汁に沢庵。
今なお湯気を上げておりその香りは食欲を湧き立たせる。
「詩乃はいいのか?」
「私は先に食べたわ」
そうか、と返事を返し手を合わせいただきます。
と日本人として当たり前の行為を何気もなく行い、焼き鮭に箸を入れる。
「いつもありがとな」
「なによ急に」
訝しげな表情でこちらを見る隣人。
「なんとなく」
「…そう」
なんとなく呆れたような表情で早く食べなさいよと急かす彼女は今日も綺麗だった。
後半のやっつけ感は気にしないで。