GGOでパイロットを活躍させたかっただけの話 作:EDFからあげT
カァン! カキッ!
『おおよそ900m先からの狙撃です』
「命中位置と破損は!?」
『脚部装甲に命中。破損はありませんがシールドエネルギーは残り僅かです』
降伏の意を示した獲物を掻っ攫った強者を追い始めてはや3分。
なかなかのやり手のようで逃げながらも精確な射撃をしてくる。
追い始めた頃はまだ余裕のあったシールドエネルギーもかなり減らされ余裕の無い状況だ。
「クソッ!ノーススターロードアウトがあれば良かったのに…!」
ノーススターロードアウトとはタイタン兵装の中でも狙撃に優れるロードアウトで、主となる装備に一撃の火力が高いプラズマレールガンがあげられるものだ。
ノーススターロードアウトの特徴はプラズマレールガンだけでなくVTOLホバーと呼ばれるタイタン兵装の中でも特殊な飛行能力を持つ装備があることだ。
マルチプレイでは見ることはできないがタイタンフォール2でプレイできるキャンペーンモードではVTOLホバーを利用した長時間飛行を可能にしたバイパーというパイロットもいる。
それを参考にノーススターロードアウトを作成したのだが…
「2種類装備持っただけで重量制限になるとか勘弁してくれよ全く…」
GGOにおける全プレイヤーが課される重量制限を受け泣く泣く置いてくることとなったのだ。
流石に私が使うことになる武器を置いてくるわけにもいかずしょうがないと言えばしょうがないのだが…
「もう少しSTRを上げておけば…!」
後悔することに変わりはないのであった。
閑話休題。
『パイロット、このまま追い続けても今のままでは追い付けません。“ローニンロードアウト”への切り替えを推奨致します』
そう。
先程2種類持った、と言ったのを覚えているだろうか。
主に近距離戦闘と中距離戦闘になると推測し、今装備しているトーンロードアウトとローニンロードアウトを持ち込んでいたのだ。
「俺もそう思ってたところだ。切り替えてくれ」
『了解。ローニンロードアウトへ切り替えます』
ローニンロードアウトには他のタイタンロードアウトにはない大きな特徴がある。
まず第一に“ブロードソード”と呼ばれる大きな剣を装備していること。
第二に“フェーズダッシュ”という亜空間転移して短い距離ではあるが高速で移動することのできる特殊能力があることだ。
ちなみに亜空間転移している間はどんな攻撃も当たらないので実質無敵である。
「フェーズダッシュとスラスターダッシュを利用して敵に詰めてくれ」
『分かりました。シールドエネルギーが減っているのでフェーズ、スラスターダッシュの合間にソードブロックを挟むことで受けるダメージを減少させることを推奨します』
「分かった、やってくれ」
2種類のダッシュを連続使用することで大きく距離を詰める。
ソードブロックしている間、走ることはがお釣りが来る位の速度で移動できている。
いい調子だ。このままいけばあまり経たない内に追いつくことができるだろう。
……とても、楽しみだ。どのように殺そうか。
ブロードソードでミンチにするも良し。踏み潰して原型を留めない肉塊にするも良し。
TFから降りて直々に殺すのもいいなぁ…。
「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…!」
息を切らしながらも走り続ける男。
彼は得体のしれないロボットから逃げていた。
「ハァッ…!ハァッ…!あんなのがっ…!いるなんて聞いてねぇぞぉぉぉ!!」
彼の愛銃であるPSG-1から放たれる弾丸は全て弾かれ(しかし謎のライトエフェクトは発生していた)なんとか距離を保ちながら逃げ続けていたがなにやら装備が変わったのかいきなり距離を詰められ。
このままではいずれ追い付かれ殺されてしまうだろう。
「予選じゃあんな奴いなかったじゃないかぁぁぁ!!」
瓦礫の多いフィールドを駆けていく。
しかし…
「だっ!?」
不幸な事に瓦礫に足がかかり勢いよく転んでしまった。
「うおぁ…いってぇ…」
不幸に不幸が重なりなんとHPバーが2割も減ってしまっている。
AGLをメインにステータスを振ったせいであろうか、HPバーの減少は今尚止まらず3割に達しようとしていた。
「まだだぁぁぁ!こんなところで死んでられねぇぞ…!」
そんな絶望的な状況でも彼はまだ諦めてなかった。
なにがなんでも生き残ってやるぞ、という意志に満ち溢れていた。
「よう。さっきはよくも獲物を奪ってくれたな?」
今この時まで。
「なっ…!?」
しかし彼は冷静であった。自分の真後ろから声が聞こえたというのとはあのロボットはいないはず!
「喰らえぇぇぇぇ!」
咄嗟にPSG-1を構え引鉄に指を付けバレット・ラインを頭に合わせ…
ガッ!
「えぁっ!?」
気付けば身体は浮いていた。
足払いをかけられたのであろう。そこまで認識したころにはもう目の前には拳が迫っていた。
ガガガガガガッ!
AGLにステータスを振ったおかげで上がった動体視力でも捉えられぬ速度で何度も何度も拳を顔に打ち付けられ。
ズドンッ!
終いには浮いていた身体が地面に打ち付けられるほどの威力の拳を喰らったところでHPバーが全損したのであろうか。視界は真っ暗になった。
「逃げ足だけで呆気なかったなTF」
『逃げ足もそうですが逃げながら精確な狙撃をしてきていたのは素晴らしいと思いますが』
「それもそうだな。その点を含めれば充分に強者か」
…物足りない。
今のも評価だけ見れば充分に強者であるのだろう。強者で、あるのだろう…。
まだ序盤、序盤であるのだ。希望はまだある。
もっと強い奴も姑息なやつも色んな奴がいるだろう。
楽しみは終わっていない。これからだ。