獅子の騎士が現代日本倫理をインストールしたようです   作:飴玉鉛

37 / 93
お待たせしました。


37,神話の戦、エリンの幕引き (中)

 

 

 

 三対の腕、雲を抜く背丈。眩い光輝を発する山脈が如き肉体。

 雄偉なる大自然の権化を見上げると、素直に白旗を上げたい気分に駆られてしまう。だが流石に瀑布のような殺気を叩きつけられていながら、この戦いを回避できると思うほど能天気にはなれなかった。

 十柱の複合神は、目測でフォーローザ城を二百ばかり積み上げたが如き体長を誇っている。呆れた大きさだ――ちらりとベルトに差した曲剣を見下ろすと頼りなさを覚えた。

 

 巨大(デカ)さとは、強さだ。巨大な物は単純(シンプル)に強い。

 

 巨人に匹敵する膂力を有する己とて、あれと力比べをしては容易く捻り潰される。何より有する面積差が隔絶していた。人間規格の刀剣など、複合神の目には矮小な玩具にしか映らぬであろう。

 有する質量の差は見ての通り。比較するのも鳥滸がましく、内包する魔力の格差もまた計測不能。どう足掻いても勝ちの目がまるで見えてこない。逃げて延命を図ろうにも逃げ切れると思えなかった。

 

「……すまんが前言を撤回する。手を貸せ、二人とも」

 

 間もなく夕暮れ。ユーウェインの力は三倍化していない。潔く単騎での討伐を諦める。

 神様はユーウェインのみをご所望であったようだが、そんな事は知らぬ。一騎打ちがしたいなら一人ずつ掛かって来たらよかろうに、十柱もの神々が融合するなど大人気ないにも程があろう。

 供の二人もまたユーウェインの力の一部だ、力を借りてもよもや卑怯とは言うまい。寧ろ複合神こそ卑怯だと指弾したいが、それを堪えただけ有り難いと思ってほしいものだ。

 

「いいよ。あれは流石の私も想定外だ。出し惜しんで殺られてしまうよりは、最初から力を合わせた方が賢明だろうね」

「同上。オレってばユーちゃんの護衛だし、元々手ぇ貸すつもりでいたしな。けどその前に一つ言わせて貰うぜ。……顧問魔術師殿、アンタだよアンタ。オレにもちゃんと援護してくれよ……?」

「………」

「無視しないでくれます!?」

 

 コミカルな雰囲気すら醸す二人に苦笑する。なんと緊張感のない奴らだ。

 だが頼もしくはある。あれはまさしく、デカさというものを突き詰めた窮極だ。ユーウェインは精神的負荷など何も感じないが、普通なら本能的な畏れを感じて恐懼するものだろう。

 だというのに、二人は呆れるほどいつも通りだった。ガニエダはユーウェインだけを視ているからか畏れなどなく。ニコールは単純に恐怖というものと無縁な性質なのかもしれない。

 束の間、戦場に立っている事を忘れてしまいそうになったが、ユーウェインは複合神に視線を戻す。光輝纏いし玉体は、いにしえのケルト戦士の如く筋肉質で、彫刻のように美しい。

 何よりデカい。これだけ巨大だと、遥か遠くにも――それこそブリテン島の外、大陸の方からでも視認できるだろう。今頃事情を知らぬ者は大騒ぎしているだろうなと、他人事のように思ってしまう。

 

アンブローズ(ガニエダ)。ニコール。来るぞ――応戦用意」

 

 抜剣――鋼をしゃらりと鞘より引き抜く。

 着装――呪力にて黒甲冑を精製。

 開門――巨人因子励起、全筋繊維強靭化。

 軽鎧を纏っているニコールが極槍と身体に魔力を漲らせたのを肌に感じる。ガニエダが物悲しい響きの高速神言を唱え、花弁がユーウェインとニコールを包み身体能力を大幅に強化する。

 戦闘態勢は整った。それを待っていたのか、巨いなる光神がゆったりと動き出す。秤を握る腕を振り、糾合されし神性が厳かに告げた。是より最終公演を執り行う――と。

 

 

 

 

 

 

 

 

  †  †  †  †  †  †  †  †

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――問うのは儀礼――

 

「最後に訊いておこう。貴公の名は?」

 

 ――答えるのは作法――

 

我らに名は無い

 

 ――見果てぬ旅の結末を夢見――

 

故に愛する死よ

 汝の誉れが為に名を紡ごう

 

 ――此処に――落日を迎える――

 

汝、我らをダナンと称し給え

 

 ――待ち望んだ――『おやすみ』の時間だ――

 

 

 

 

 

 

 

 

  †  †  †  †  †  †  †  †

 

 

 

 

 

 

 

 

侵略の書 広汎開演

 

 初手から発揮されたのは恐るべき権能。

 三対の巨腕が一、秤を担いし神性が莫大な空想を染筆する。

 隈に覆われた目を見開き、「は――?」と、ガニエダは喘ぐように警鐘を鳴らした。

 

「あ……はは、原初の自然に立ち還って精霊化してるんだ。神霊としての格が極小だからこそ、彼らは今、神よりも星の触覚に近い。なら使えてもおかしくないね……! 面制圧が来る、迎撃お願い!」

 

 またフワッとした洞察だとは思うが、ユーウェインは首肯してニコールを見遣る。彼は細く呼気を吐き出し、極槍を担いで穂先を前方に向けた。金色の雷が赤毛の傭兵の肉体から漏電する。

 雷の性質を持った魔力放出――光の神の血を流す故に、太陽神ルーの魔力形質を持つニコールの戦闘能力。一点突破の攻撃力で、ニコールを上回るものをユーウェインは知らない。

 宝具開帳。魔力と魔女の強化で累積した豪力が唸る。鮭跳びの跳躍術により後方へ跳んだ傭兵が、助走を付けて高々と跳躍し、瞬間――

 

再演・空想具現化――対地漂白大洪水(ドーフィン・ファリガ)

 

 ――世界が改変される。

 自己の意志と世界を直結させ、思い描く通りの環境に変貌させる業、空想具現化。ダナンを中心に相応しき戦場へと地形が作り替えられる。自然、世界の触覚である存在にしか扱えない異能を、擬似的に再現した複合神――真作に等しい規模の異界常識を顕現させた。

 眩き燐光が一帯を呑み込み、具現化されたるは大自然。記憶は摩耗すれど、魂に焼き付いた原初の故郷。ケルトの神々が生きた懐かしの郷土――それは巨大樹の乱立した樹海の都だ。

 古き世を地上に現出させ、しかし、神々の都をも洗い流す大洪水が現れる。――瀑布、押し寄せる水の壁――この世を呑み込んで滅ぼすのではないかと思える奇跡。突如襲い掛かってきた大海嘯を前に、迎撃のために跳躍していた傭兵が、金色の稲妻を迸らせて気合を放つ。

 

斬り抉る不毀の槍(ドゥリンダナ・イヴァル)――ッ!」

 

 擲つは必中を約束された極槍。迸るは金色の極光。音速を超えて一条の流れ星となった極槍には、莫大な熱量が宿り。眼前まで迫っていた大洪水を真っ二つに引き裂きながら突き進んでいく。

 ユーウェインの傍に着地したニコールが険しい貌で顛末を見守った。太陽の光の槍を模した魔力は灼熱のそれ。熱された極槍に触れた大洪水は水蒸気爆発を起こしている。二つに割かれてなお、押し寄せる水流にユーウェインは嘆息し、練り上げた呪力を掌に集中。左から右に振った手から噴射し、呪力の結界を張って自身らの身を守った。

 大洪水により樹海の都は沈没した。半ばから圧し折れた巨木がそこかしこに漂流している。ユーウェインらは水上に漂う巨木の上に飛び移って、初手から地形変動を巻き起こした巨神を見遣った。

 

 ルーンでも刻んでいたのか、幾何学的な軌道を描いた極槍がニコールの許へ帰還する。それを横目にユーウェインは、敢えて言葉にして所見を口にした。

 

「ニコールの槍で相殺は出来たが、これが最大の手札ではあるまい。あくまで外界に脅威を及ぼさぬようにという、ダナンめの粋な図らいといったところだろう。挨拶代わりという奴だ」

 

 その挨拶代わりの規模が馬鹿げているが、戦場を区切ってくれたらしき行為には感謝だ。

 周りに気を遣いながら戦ったのでは骨が折れるというもの。

 ユーウェインは両翼の配下に命じた。

 

「兎に角近づかねば始まらん。ニコール、俺の後ろに付いて面制圧の類いを相殺しろ」

「応ッ!」

「アンブローズはその後ろに付き、思うように援護してくれ。出来れば()()()()()()()

「合点承知っ!」

「行くぞ――ッ!」

 

 ガニエダが杖を回す。透徹とした呪文詠唱は瞬時に完成し、純白の光弾が三十余りも出現して螺旋回転する。徹甲弾に等しい光弾の他にも花弁の嵐が疾走するユーウェインらの足許を包み込む。

 風となって走るユーウェインのすぐ後ろにはニコール。跳躍するなり足場に違和の感覚を察知し、それを蹴ると()()()()()()()()。ユーウェインの注文通りに空を走れるようにしてくれたのだろう。

 ほんの一瞬で行使したとは思えない、神域の展開速度だ。魔術師としてならモルガン以上である――以前母がそのように称していたのを思い出しつつ、黒太子は光の巨神目掛けて駆けた。

 

 この巨体。普通に斬ったのでは薄皮1枚を傷つけるのが関の山。ならば、体内に飛び込んで内部から破壊し尽くす――そのように企図するユーウェインの狙いなど見透かしているように、ダナンが動く。

 炎を握る腕。地球上では有り得ない、摂氏400万度に近い灼熱の炎が柱として振り下ろされてくる。余波の魔力熱だけで肉体が蒸発し、建設された異界ごと焼却する絶死の一撃――面積の差ゆえに回避もままならぬそれを前に、ガニエダが額に汗を浮かばせながら無害化させる。

 余波の熱から魔力を強引に吸い上げ、花に置換。キレイなだけの花がひらひらと虚空に現れ落下していく。幻想的な美しさの中、ユーウェインは迫りくる獄炎の柱に突撃した。

 

 ――さあ魅せてみよ。この程度も躱せずして何が英雄か。

 

 弾む期待。泡立つ高揚。複合神(トゥアハ・デ・)ダナンは爛々と燃える双眸で結末を見んとする。炎の窮極たる権能も、零落間近の今となっては打開も叶うと彼/彼女は確信していた。

 どう躱す。横に躱すか、空間を跳ぶか。後ろの魔女に命運を託す? それともどこか懐かしい魔力を持つ偉丈夫に任せるか? 或いは自力で突破してのけるのか? ダナンの期待を前に――ユーウェインは想像を超えた。

 

「起きろ――幻想制圧の轍(モルデュール・クリーオウ)――」

 

 目を凝らす。眼で、視る。

 研ぎ澄ました眼力は魔眼に非ず。されどその眼が視るのは剣聖の景色。一瞥のみで脆弱な結界など切り裂いてしまえる視線の斬撃。ユーウェインの呼気に呼応して目覚めた曲剣が振るわれた。

 しゃらり、と。優美な一閃。魔力熱の余波を吸い上げる花弁が舞う中、地上百メートルの位置を馳せる黒太子の斬撃が、炎の柱に接触――両断する。半ばから二つに別れた権能の一撃が無惨に散った。

 選択は回避ではなく迎撃。正面から切り裂かれた己の力に複合神は瞠目し、接近する英雄に歓喜を爆発させた。自身の常識と想像を超えられる――これぞ快哉! ダナンは盾を握る腕を振るい、横薙ぎに黒太子と傭兵の両名を振り払わんとするも、傭兵の投じた『斬り抉る不毀の槍』に阻まれ、虚空で鬩ぎ合う槍にて盾を止められた。なおも空を駆け上がり接近するユーウェインを見下ろすダナン。人の文明を司る神々――人の最初の発明、火――炎権を司る腕が炎を捨て、拳を握りしめた。一つの都市にも比する巨大な鉄拳を見舞わんと闘争心を剥き出しにしたのだ。

 天地を劈く巨神の雄叫び。

 颶風を巻き、大気を引き裂きながら飛来する剛拳を斬っても意味がない。面積の差から斬っても傷にもならぬ。故にユーウェインは納刀し、拳を象る五指の一つ、小指に己の手刀を突き込んだ。

 肉を抉って掴み、そして、

 

「雄ォォォオオオオオ――――ッッッ!」

 

 虚空を踏みしめる。その時――盾と鬩ぎ合っていたニコールの槍が弾かれ、横殴りにされた青年が吹き飛び――砕かれた全身の骨をキレイな花に修復され――ニコールが巨神の脚に極槍を投げつける。ガニエダの杖が虚空を叩き、地面から伸びた蔦が巨神の脚を掬い上げ、槍の一撃でダナンの体勢を崩した。阿吽の連携はユーウェインの所業を完璧にアシストし――

 

 巨神のそれを掻き消さんばかりのユーウェインの雄叫び。全身の筋肉が隆起し、魔女の強化、自前の膂力、原始の呪力により超抜化した筋力と達人の業が合致して。

 

 ()()()()()()

 

 天をも衝かんばかりの巨体が――比較して豆粒に等しい人間に投げ飛ばされる。一本背負いに投げられた巨神の身体が宙を舞い、背中から地面に叩きつけられる光景のなんたる滑稽さ。荒唐無稽な現実。

 局所的な地震が起こる。樹海の都に満ちていた水が弾け、巨大な水柱を起こし、小さな津波をも発生させた。堪らず目を白黒させたダナンだったが、損傷はない。起き上がろうとする巨神の小指から手を離していたユーウェインが叫ぶ。

 

「ニコールッ! ガニエダァッ! 盾が邪魔だ、退けろ――!」

「無茶言いやがるッ、だがやぁってやるぜェッ!」

「真名を叫ぶのはマナー違反……ブリテンジョークさっ、さあ笑い給え!」

 

 拳に呪力を貯め、一気に解き放つ魔力砲撃。巨神が動かしかけた、巨槍を握る腕を、ユーウェインの漆黒の魔力が叩きつけて抑止。その隙に巨体故か動作の鈍い巨神へ、傭兵が帰還した極槍を掴み突撃する。

 柄が縮小する。槍から剣へ。振りかぶった極剣が金色の雷を纏い、渾身の一撃が巨神の腕へ見舞われる。――その時、巨神の反撃、防衛行動が鈍った。放たれたまま周囲を遊泳していた光弾。徹甲弾の如き純白の魔力弾が殺到してダナンの顔面を殴打したのだ。

 

斬り抉る不毀の剣(ドゥリンダナ・モラルタ)ァッ!」

 

 盾を持っていた腕が、根本から切断される。炎権に続き至硬の盾が担い手から離れ、霧散して消えた。これで炎と盾を剥いだ、後は――と、その瞬間。ケルトの戦士としてこの場に在るダナンの眼が見開かれる。直前に彼/彼女は腕の一つを捨てる覚悟を固めていたのだ。

 六本の腕の一つぐらいくれてやる――代わりに汝の片翼をもぎ取ろう。ダナンは地面を二つの拳で叩き、反動で一気に立ち上がる、地面を叩いた衝撃で巨大な水柱が上がり、ユーウェインの行動を阻害。同時にガニエダの視界をも塞いで、鮮血を吹き出す巨神が炯と燃やした眼力でニコールを睨んだ。

 

「げっ――」

 

 ()()()()()()()()()()と見せ掛けていたのはブラフ。敵の戦力を削ぐ為の戦術。炎権を断たれたのは予想外だった、投げられたのも予想外、だが()()()()()()()()()()()()()()()のは既定路線だ。

 なにせ複合神ダナンはこれが最期の戦いだと定めている。いまさら部位をどれだけ失おうとも構うものかと思っていたのである。故に、ダナンはこの瞬間を待っていた――

 

対運命・加筆編纂(アンダストラ・ゲアラハ) 逆行因果・宿運帰結(スケッルス・ブリオングロード)

 

 秤が光る。それこそは因果を操り意のままにする権能。

 俊敏な動作で捻られた胴体、退避行動に入ったニコールに狙いを定める槍。ドーバー海峡を再現したかのような巨槍の穂先が光速で迫る。なんとか直撃軌道から逸れられたのは、ニコールの敏捷性の高さと速さが英雄のそれであったからだ。だが――()()()()()()()()()()()()()

 物理的に有り得ない軌道で、折れ曲がったかのように迫った巨槍の先端が、驚愕する傭兵の土手っ腹に風穴を空け――そのまま貫かれたら五体が四散する未来を悟ったニコールは、死に物狂いで巨槍の穂先を両腕で抱きかかえた。

 

 振り払われた巨槍。その反動でニコールの身体が抜け、彼方へと吹き飛ぶ。沈没した樹海の都に着水し、水面に赤い血を流して沈んでいく。

 

「ニコール――ッ! 後で返せ――!」

 

 ユーウェインは予想以上の素早さを魅せたダナンに歯噛みしつつも、自身の首に提げていたネックレスを外し、ニコール目掛けて投げつける。不死に近い再生力を与える宝具だ。とりあえず即死していないならこれで助かるはずだと思う。だがこの戦闘ではもう復帰できまい。

 歯を食いしばり、ユーウェインはダナンを睨みつけた。あそこでユーウェインではなく赤毛の傭兵を狙ったのは――あくまでユーウェインとの対決を味わいたいと望む、神の傲慢であろう。

 あの力を初見で見せられたら、ユーウェインも抗えずに倒されていたはず。なのに黒太子に対して手札を切らなかった傲慢さに、堕ちかけている神の片鱗を見た。

 

「貴様……舐めたな、俺を」

 

 自身の武勇だとか、騎士の誇りだとか、尋常なる勝負だとか。そんなものに拘りはない、とは言わない。対等の立場で、対等の敵と競い合う喜びは、人間である以上持ち合わせている。

 だが、だからこそユーウェインの心の炉に火が灯った。

 尋常に戦うのなら――初手で己を狙えば良い。それをしなかった。即ち己を対等の敵として見ていない証。心のどこかでまだ見下しているか、試そうとしている。そんな事、対等の敵にする事ではない。

 神と対等ぶるほど傲慢ではない。しかし最初に尋常なる戦いだと含ませてきたのはそちらであろう。何より――身勝手極まりないのは百も承知だが――ニコールという■に手を出され、怒りを覚えぬような薄情な気質ではなかった。

 

「ならばいいさ――殺し尽くしてやる。――あの邪神のように」

 

 身体が熱くなる。意識が白熱していく。白い蒸気と化す吐息が熱い。

 殺気を漲らせるユーウェインに、神々は満面の笑みと共に闘争心を露わにした。さあ戦おう、闘いを楽しもう。出し惜しまぬぞ、全霊を振り絞るぞ、英雄を彩る轍となるか、神の暴虐を記す骸となるか。

 

 二つに一つだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【フォーウ】

 

 

 

 

 




◊斬り抉る不毀の槍(ドゥリンダナ・イヴァル)
 斬り抉る不毀の剣(ドゥリンダナ・モラルタ)
 ランク:A+
  種別:対人宝具
 レンジ:1〜50
最大捕捉:50人
 ・トロイア戦争の大英雄ヘクトールの剣槍。
 現在の担い手ニコールは太陽神ルーの亡骸から血を。フィオナ騎士団の一番槍ディルムッド・オディナの遺伝子を掛け合わせて鋳造されたホムンクルスである。故にニコールがルーの血に由来する魔力放出を行い、ケルト秘伝の投擲術により全力で擲った場合、その威力は権能による大洪水をも二つに割る事ができる。性質上決して毀れる事なき刃は、神造英雄ニコールの全力を余さず受け止め最大限に力を発揮させられる。剣形態での真名開放「ドゥリンダナ・モラルタ」は、彼の肉体を構成する因子にディルムッドのものがある為に名が変形しているだけ。モラルタそのものの力はないのにその名があるのは、ディルムッドの遺伝子が頼りとした宝具を覚えていた為と思われる。

◊幻想制圧の轍(モルデュール・クリーオウ)
 ランク:B+
  種別:対魔・対概念宝具
 レンジ:1
最大捕捉:1人
 ・神秘殺しの曲剣、その真名開放。クリーオウとはゲール語で『剣』を意味する。単純に魔力、呪力、因業など、物質ではないにも関わらず現実に干渉するモノへ逆干渉し、先んじて判定を行う。Aランク以下の非現実の幻想に対し特攻が入り、触れた幻想を著しく減衰させる神秘殺し。担い手がユーウェインである為おかしな戦果を挙げている。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。