真・仮面ライダー-----終章-----『仮面ライダーワールド序章(プロローグ)』   作:狼と踊る男

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新訳版3話『4人目のヒーリングっど♡プリキュア』

 

 

ダルイゼン「こんな所を根城にしてる訳? 趣味悪……」

 

ネオ生命体「えぇ~? そうかなぁ~? 良い所だと思うよ? ダルイのお兄ちゃんも住んでみたら?」

 

ダルイゼン「願い下げ」

 

そこは、ネオ生命体が指定した『大きな船』の内部だった。

 

かつての激戦であちこちが損傷し、壁も床も傷だらけになっている。だが、ネオ生命体にとってはそれすら面白いのか、この場所を新しい住処のように扱っていた。

 

薄暗い通路の奥から、一体のコウモリ型怪人が飛んでくる。

 

先にグレース達を襲ったコウモリ男とは微妙に姿が違う。ゴルゴムの怪人、コウモリ怪人である。

 

コウモリ怪人は耳障りな声で何かを伝えた。

 

言葉ははっきりとは分からない。

 

だが、ネオ生命体には内容が伝わったらしい。

 

ネオ生命体は、にたりと笑った。

 

ネオ生命体「来たみたいだよ?」

 

ダルイゼン「ようやくか……」

 

一方、真達は荒れ果てた更地へたどり着いていた。

 

目の前には、巨大な船のような構造物が横たわっている。

 

それは船というには異様で、戦艦というにはどこか生物的だった。

 

外装はひどく損傷し、あちこちが剥がれ落ちている。長い間、地中か山中に打ち捨てられていたようにも見えた。

 

ひなた「これが、大きな船……?」

 

勝「随分と傷んでいるな」

 

ちゆ「でも、確かに船のようには見えるわね」

 

耕司とベリーだけは、他の者達とは違う反応を示していた。

 

耕司「ベリー。この船はもしかして……」

 

ベリー「間違いない。これはフォグの戦艦だ!!」

 

勝「フォグの?」

 

ひなた「確かこれだっけ?」

 

ひなたは、隣にいたのどかへぎゅっと抱きついた。

 

のどか「ひなたちゃん、それはハグ」

 

ちゆ「フォグとハグ……ぷっ……くくっ……」

 

ちゆは口元を押さえたが、笑いを隠し切れていない。

 

グレル「なぁ、これ面白いか?」

 

エンエン「ううん」

 

あゆみ「正直……全然……」

 

ベリー「笑っている場合じゃない。これは用心しないといけない」

 

耕司「フォグとは、一度戦っている。戦艦も完全に破壊したと思っていたんだが……」

 

内部へ入ると、そこは外から見る以上に荒れていた。

 

通路の壁は裂け、床には焼け焦げた跡が残っている。

 

だが、不思議なことに、ところどころ修復されたような形跡もあった。

 

ネオ生命体がここを住処にしていたためなのかもしれない。

 

一同は慎重に進みながら、耕司とベリーからフォグについて聞いていた。

 

そして、やがて最深部と思われる広い部屋へたどり着く。

 

そこは、かつて仮面ライダーJがコブラ男ガライと死闘を繰り広げた場所。

 

そして、ベリーが一度命を落とした場所でもあった。

 

空気が重い。

 

古い戦いの残り香が、まだそこに沈んでいるようだった。

 

その天井から、緑色の煙がゆらゆらと降りてくる。

 

煙の中心に、ネオ生命体が姿を現した。

 

真「ネオ生命体……」

 

ネオ生命体「おじちゃん。一人で来てって言ったよね?」

 

真「約束は破った。だが、新は返してもらうぞ!!」

 

ネオ生命体「まぁいいや。ちゃんとおじちゃん来てくれたし。いいよ、返してあげる」

 

のどか「割とあっさり返してくれるんだ……?」

 

ひなた「見た目通り子供だから、実は素直とか?」

 

勝「油断するな。相手はネオ生命体だ」

 

ネオ生命体「じゃあ、返してあげるから受け取って」

 

緑の煙が、部屋の中央へ流れる。

 

その上に、風祭新の小さな体が乗せられていた。

 

真の顔色が変わる。

 

真「新……」

 

真は一歩踏み出した。

 

新は眠っているように見える。

 

怪我をしている様子はない。

 

真は煙の上の新を抱きかかえようと、両腕を伸ばした。

 

その瞬間、ネオ生命体の口元が歪む。

 

勝「真!!」

 

勝の叫びは、わずかに遅かった。

 

緑の煙が爆ぜるように広がり、真の全身を包み込んだ。

 

真「ぐあぁっ!?」

 

あゆみ「真さん!?」

 

苦しみながらも、真は咄嗟に新を抱えた。

 

そして、煙に飲まれながらも、あゆみへ向けて新を投げる。

 

強くではない。

 

ふわりと弧を描くように。

 

あゆみ「っ……!」

 

あゆみは両腕を伸ばし、なんとか新を受け止めた。

 

だが、真は煙の中でもがいている。

 

体があちこちへ跳ねるように動き、姿が変わっていく。

 

それは、かつて真が初めて怪人となった時と同じ変身の仕方だった。

 

人の形が歪む。

 

骨格が変わる。

 

皮膚が変わる。

 

やがて、そこに立っていたのは、仮面ライダーシンの姿だった。

 

だが、色が違う。

 

本来の緑ではない。

 

血のような赤。

 

オレンジにも近い、禍々しい赤。

 

かつてZOがドラスに取り込まれた時の、赤いドラスと同じ色だった。

 

その意味するところは、一つしかない。

 

赤いシン「……」

 

あゆみ「真……さん……?」

 

のどか「真さんが……赤い……?」

 

勝「まずい!!」

 

赤いシン「ヴァァぁぁァッぁっ~~!!」

 

赤いシンが咆哮した。

 

直後、獣のような速度で突進する。

 

耕司「真!?」

 

勝「うぅっ!?」

 

赤いシンのかぎ爪が、耕司と勝を左右へ吹き飛ばす。

 

さらに、後ろにいたちゆとひなたの肩に手をかけ、そのまま力任せに地面へ転がした。

 

ちゆ「うっ!?」

 

ひなた「うわぁっ!?」

 

あゆみ「のどかちゃん!!」

 

あゆみは咄嗟に新をのどかへ預けた。

 

のどか「うわっ!?」

 

次の瞬間、赤いシンの手があゆみの首を掴む。

 

あゆみ「うっ……ぐぅっ……!」

 

体が宙に浮く。

 

グレル「 あゆみ!?」

 

エンエン「やめて!!」

 

赤いシンの口から、声が響いた。

 

それは真の声ではない。

 

ネオ生命体「この体すごいね? お兄ちゃんに負けない位(ぐらい)すごく力が湧いてくるよ!!」

 

あゆみ「ネオ……生命体……!?」

 

のどか「そんな……真さんはどうしたの!?」

 

ネオ生命体「おじちゃんなら眠ってるよ。っていうか、この体はもう僕の物だ!! お友達も返してもらうよ!!」

 

あゆみ「のどかちゃん……逃げ……て……」

 

のどかは動けなかった。

 

目の前で起きていることが恐ろしく、足がすくんでしまっている。

 

赤いシンの左腕が、のどかの抱える新へ伸びる。

 

その時、新の体が光を放った。

 

赤いシン「っ!?」

 

眩い光に、赤いシンは思わずあゆみを放す。

 

あゆみは床に落ち、咳き込んだ。

 

あゆみ「ごほっ!! げほっ!! ……何が起こったの?」

 

のどか「新君……?」

 

新から溢れる光は、まだ収まらない。

 

やがて光は緑色の粒子となり、部屋全体へ広がっていった。

 

同じ頃。

 

地空人の世界。

 

新のテレパシーに反応した地空人達が、両腕を天へ伸ばしていた。

 

彼らは地球の力を呼び覚まし、Jパワーを放出している。

 

新は、助けを呼んでいたのだ。

 

再び、フォグ戦艦内部。

 

Jパワーの光が赤いシンを包み込む。

 

赤いシン「ガァァァッ……!?」

 

赤いシンは苦しみ、頭を抱えてもがいた。

 

その様子を見ていたあゆみのポケットが光る。

 

石になり、二つに割れていたエコーデコル。

 

そして、グレルとエンエンまでもが光に包まれる。

 

グレル「何だ!?」

 

エンエン「僕達、光ってる!?」

 

グレルとエンエンの体は、それぞれ小さな紫と赤の光の球となった。

 

二つの光が空中で混ざり合う。

 

さらに、割れたエコーデコルもその光へ引き寄せられた。

 

あゆみは両手を差し出す。

 

ふわりと光が手の中へ降りる。

 

やがて光が晴れると、そこにはスマイルパクトと、元通りになったエコーデコルがあった。

 

あゆみ「スマイルパクト……?」

 

ひとりでにスマイルパクトが開く。

 

右下の赤い宝石から、グレルの声。

 

左下の紫の宝石から、エンエンの声が響いた。

 

グレル「何だ!? 俺達どうなったんだ!?」

 

エンエン「僕とグレルが一つになっちゃった!?」

 

どうやら二人は、ラビリン達のように変身アイテムへ宿る存在となったらしい。

 

あゆみはスマイルパクトを見る。

 

そして、Jパワーの光に苦しむ赤いシンを見る。

 

迷いは消えた。

 

あゆみ「グレル!! エンエン!! 変身よ!!」

 

グレル「おうっ!!」

 

エンエン「うんっ!!」

 

――レディ~!?

 

あゆみ「プリキュア!! スマイルチャージ!!」

 

――GO!! レッツGO!! エコー!!

 

光があゆみを包み込む。

 

白く、柔らかく、それでいて強い光。

 

その中から現れたのは、再び変身を果たした坂上あゆみ。

 

キュアエコーだった。

 

エコー「想いよ届け!! キュアエコー!!」

 

その後ろ姿を見て、のどかは息をのんだ。

 

同じプリキュアであるはずなのに、どこか神秘的なものを感じる。

 

のどか「キュア……エコー……」

 

ちゆ「あれが、キュアエコー……」

 

ひなた「あれが、あゆみっちのプリキュア……」

 

ベリー「エコー!!」

 

エコー「ベリー」

 

ベリー「Jパワーがシンの体に集まったことで、ネオ生命体の力が弱まっている。今、シンの意思が奴を抑え込んでいるんだ!! 今なら君の力で、奴とシンを引きはがせるはずだ!!」

 

エコー「分かった!! 少し離れてて!!」

 

ベリー「あぁ!!」

 

エコーは赤いシンへ向き直った。

 

苦しみ続けるその姿の奥に、真がいる。

 

エコー「真さん……今、助けます!!」

 

エコーは両手を前へ掲げる。

 

エコー「世界に届け!! みんなの想い!!」

 

光が集まる。

 

エコー「プリキュア!! ハートフルエコォォーー!!」

 

白い光が、赤いシンの頭上から降り注いだ。

 

赤いシンはさらに苦しみ、体を震わせる。

 

その姿は、鬼塚が最後に苦しんだ時のようでもあった。

 

やがて、赤いシンの体が大きく揺れる。

 

そして、二つに分かれた。

 

一つは、人間の姿へ戻った風祭真。

 

もう一つは、精神体となったネオ生命体。

 

真は床へ倒れた。

 

エコーはすぐに駆け寄り、真の体を起こす。

 

エコー「真さん!! 真さん!!」

 

真「……う……」

 

真の目が、ゆっくり開く。

 

エコー「よかったぁ……」

 

安堵が溢れ、エコーの目尻から涙が落ちた。

 

その涙が、真の頬に当たる。

 

だが、その光景を憎らしげに睨んでいる存在がいた。

 

ネオ生命体だった。

 

ネオ生命体は標的を変える。

 

のどかを見た。

 

ネオ生命体「こうなったら、お姉ちゃんの体をいただくよ!!」

 

のどか「何!?」

 

ネオ生命体は液状の体となり、一気にのどかへ迫る。

 

のどか「きゃあっ!?」

 

ちゆ「のどか!!」

 

ひなた「のどかっち!!」

 

のどかは新を守ろうと、背中を向けて抱え込んだ。

 

だが、次の瞬間。

 

新の体がふわりと宙に浮いた。

 

のどか「新君……?」

 

新は、のどかを庇うようにネオ生命体へ飛び込んだ。

 

のどかが新を守ろうとしたように。

 

今度は、新がのどかを守ったのだ。

 

のどか「新君!?」

 

真「新!!」

 

二人の叫びも虚しく、新の体はネオ生命体に取り込まれていく。

 

液状の体が一気に膨れ上がり、巨大な肉体を形作った。

 

宙に浮いていた足が、ゆっくりと床へつく。

 

そこに現れたのは、ネオ生命体の真の姿。

 

ドラスだった。

 

真「新んんっ~~!!」

 

エコー「そんな……」

 

耕司「新君を取り込んだ……」

 

勝「あれはドラス……!」

 

ドラス「へぇ~……おじちゃんほどじゃないけど、力が湧いてくるね」

 

ドラスは自分の体を見下ろし、楽しげに笑った。

 

そして、両腕を一気に広げる。

 

ドラス「ふんっ!!」

 

無数のビームが部屋中へ放たれた。

 

赤い光が壁を裂き、床を砕き、天井をえぐる。

 

一同は爆風に飲み込まれた。

 

次の瞬間、彼らはいつの間にかフォグ戦艦の外へ吹き飛ばされていた。

 

地面を転がる者。

 

膝をつく者。

 

うつ伏せに倒れる者。

 

キュアエコーも大きなダメージを受け、変身が強制的に解ける。

 

坂上あゆみの姿へ戻り、グレルとエンエンも元の姿に戻ってしまった。

 

ドラスは、ゆっくりと外へ出てくる。

 

ドラス「もう皆いらないや。殺しちゃっていいよね?」

 

真「……」

 

真がよろけながら立ち上がった。

 

一歩。

 

また一歩。

 

ドラスへ近づいていく。

 

あゆみ「真さん!?」

 

あゆみは慌てて真の右腕を掴んだ。

 

真はそれを振り払う。

 

そして、足を止めた。

 

真「俺は……新を取り返す」

 

真は振り返らなかった。

 

それでも、背後にいる者達へはっきりと告げる。

 

真「力を貸してくれるか?」

 

あゆみ「はい!!」

 

あゆみの答えに、真は静かに頷いた。

 

そして、正面を向く。

 

意識を集中する。

 

真の周囲が、夜よりも濃い影に包まれた。

 

服が裂ける。

 

程よく鍛えられた人間の体が、苦しみに震える。

 

骨格が変わる。

 

筋肉が変わる。

 

細胞が戦闘の姿を思い出す。

 

やがて真は、レベル3のサイボーグソルジャー――仮面ライダーシンへと変身した。

 

シンはドラスを睨み続ける。

 

その左側に、のどか、ちゆ、ひなた。

 

右側に、あゆみ、耕司、勝。

 

シンの覚悟に応えるように、六人もそれぞれ変身を始めた。

 

のどか・ちゆ・ひなた「プリキュア!! オペレーション!!」

 

耕司「変身!!」

 

勝(変~身!!)

 

あゆみ「プリキュア!! スマイルチャージ!!」

 

グレース・ラビリン「重なる二つの花!!」

 

グレース「キュアグレース!!」

 

ラビリン「ラビィィ!!」

 

フォンテーヌ・ペギタン「交わる二つの流れ!!」

 

フォンテーヌ「キュアフォンテーヌ!!」

 

ペギタン「ペェ!!」

 

スパークル・ニャトラン「融け合う二つの光!!」

 

スパークル「キュアスパークル!!」

 

ニャトラン「ニャッー!!」

 

ZO「仮面ライダーZO!!」

 

J「仮面ライダーJ!!」

 

エコー「想いよ届け!! キュアエコー!!」

 

妖精達「地球をお手当!!」

 

グレース・フォンテーヌ・スパークル・エコー「ヒーリングっど♡プリキュア!!」

 

グレース「……あれ? エコー?」

 

エコー「あはは、混ざってみたくって……」

 

グレース達三人がチーム名を名乗るポーズを取った時、エコーもそっと加わっていた。

 

いつも一人で名乗っていたから。

 

せっかくの機会に、少しだけ混ざってみたかったのだ。

 

ZOは構える。

 

Jは右手で『J』の形を作る。

 

グレース、フォンテーヌ、スパークル、エコーが並び立つ。

 

その中央に、シン。

 

七人の戦士が、ドラスと向かい合う。

 

この瞬間から、ネオ生命体との最終決戦が始まろうとしていた。

 

 




~新訳版4章~『7大ヒーロー対怪人大軍団』

新訳版1話『決戦! 怪人軍団!!』へ続く
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