真・仮面ライダー-----終章-----『仮面ライダーワールド序章(プロローグ)』   作:狼と踊る男

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新訳版2話『ドラス対シン&エコー』

 

 

コウモリ怪人A「ウゥッゥ~~!!」

 

エコー「ぅぅっ!? ……やぁっ!!」

 

キュアエコーは、コウモリ怪人に掴まれたまま空を飛ばされていた。

 

グレース達とは引き離されている。

 

このままでは、さらに遠くへ連れ去られる。

 

エコーは体をひねり、コウモリ怪人の足へ手刀を叩き込んだ。

 

コウモリ怪人A「ウゥッゥ~~!?」

 

痛みに耐えきれず、コウモリ怪人はエコーを放す。

 

エコー「うぅっ……!」

 

地面へ落ちる。

 

受け身は取った。

 

だが、綺麗な着地とは言えなかった。

 

膝をついたエコーの前へ、すかさずクモ怪人二体とスカル魔二体が現れる。

 

クモ怪人A「……」

 

クモ怪人B「……」

 

二体のクモ怪人が、口から糸を吐いた。

 

粘る糸が、エコーの右手首と首に絡みつく。

 

エコー「くっ……!」

 

立ち上がることはできる。

 

だが、自由に動けない。

 

クモ怪人達はエコーを中心に円を描くように動き、糸を引っ張って翻弄する。

 

クモ怪人A「ギュッォ!!」

 

片方のクモ怪人が跳び、反対側へ着地する。

 

糸に引かれ、エコーは地面へ転倒した。

 

エコー「うわっ!?」

 

スカル魔A「ウゥ!!」

 

好機と見たスカル魔が、鎌を振り下ろす。

 

エコーは首と体を必死に動かし、刃をかわした。

 

そのまま蹴りを伸ばし、スカル魔の腹部へ叩き込む。

 

スカル魔A「ウゥ!?」

 

怪人が後ろへ下がる。

 

エコーはその隙に立ち上がり、右手首に絡む糸を掴んだ。

 

エコー「ぅぅっ……」

 

背後から、別のスカル魔が迫る。

 

スカル魔B「ウゥ!!」

 

エコー「ぁっ!? ふっ!!」

 

鎌が振り下ろされる。

 

エコーは咄嗟に前転し、かわした。

 

さらに追撃の鎌。

 

今度は避けるだけではない。

 

エコーは絡みついた糸を引き、鎌の軌道へ持っていった。

 

刃が糸を切り裂く。

 

右手首と首の拘束が解けた。

 

エコー「ふっ!!」

 

自由になった拳を握り、スカル魔Bの腹部へ正拳突きを叩き込む。

 

スカル魔B「ウゥ!?」

 

怪人が後退する。

 

エコーは残った糸を乱暴に払い捨てた。

 

その時、正面から再びコウモリ怪人が飛んでくる。

 

コウモリ怪人A「ウゥッゥ~~!!」

 

エコー「ふっ!! ……うっ!?」

 

コウモリ怪人は何度も突進してくる。

 

エコーは地面を転がり、紙一重でかわす。

 

空を飛ぶ相手は戦いづらい。

 

動きを捉えるには、まず視界を奪うしかない。

 

エコーは胸元へ意識を集中する。

 

エコー「キングストーンフラァァッ~シュ!!」

 

胸の宝石から、まばゆい光が放たれた。

 

BLACKボトルをスマイルパクトにセットしている今、エコーは仮面ライダーBLACKの力を引き出せる。

 

これは、キュアエコー版のキングストーンフラッシュ。

 

コウモリ怪人A「ウゥッゥ~~!?」

 

光をまともに受けたコウモリ怪人は、一時的に視力を奪われた。

 

勢いのままエコーの頭上を通り過ぎる。

 

エコー「ふっ!! ……はぁ!! ライダァァーチョップ!!」

 

エコーは跳んだ。

 

右手にエネルギーを宿し、コウモリ怪人の頭部へ手刀を叩き込む。

 

コウモリ怪人は落下し、スカル魔Bを巻き込みながら地面へ激突した。

 

クモ怪人A・B「ギュォッ!?」

 

怪人達が一歩下がる。

 

だが、エコーはもう動いていた。

 

エコー「ライダァァーパンチ!!」

 

エネルギーをまとった拳が、クモ怪人Aの顔面へ突き刺さる。

 

エコー「やぁ!!」

 

続けて、クモ怪人Bにも拳を叩き込む。

 

二体が転倒する。

 

残るスカル魔Aは、倒れた怪人達を見て警戒するように鎌を構えた。

 

エコーは空へ跳ぶ。

 

右足に光が宿る。

 

エコー「ライダァァーキィィッーク!!」

 

スカル魔A「ウゥ!?」

 

スカル魔は鎌を盾のように構えた。

 

だが、エコーのキックは止まらない。

 

鎌の柄が折れ、そのまま衝撃がスカル魔の胸を貫く。

 

スカル魔は後方へ吹き飛び、背中を強打した。

 

一度は立ち上がろうとする。

 

だが、すぐに前のめりに倒れ、爆発した。

 

エコー「……んっ?」

 

爆炎の向こうに、かすかな人影が見えた。

 

銀色の体。

 

エメラルドグリーンのように輝く眼。

 

煙と熱気に揺らめくその姿は、明らかに普通の怪人とは違っていた。

 

エコーが目を凝らす。

 

すると、その存在はエコーの視線に気づいたように背を向けた。

 

ガチャン。

 

ガチャン。

 

独特の重い足音を立てながら、その銀色の影は去っていく。

 

エコー「あれは……うっ!?」

 

突如、エコーの周囲に緑色の雷が落ちた。

 

雷は二、三発で止む。

 

だが、代わりに重い足音が近づいてくる。

 

エコーが振り向いた先にいたのは、ネオ生命体の真の姿。

 

ドラスだった。

 

エコー「ネオ生命体……」

 

ドラス「今度は僕が遊んであげるよ!!」

 

ドラスはゆっくりとエコーへ近づく。

 

エコーは構えた。

 

だが、ドラスはあざ笑うように言う。

 

ドラス「戦えるの?」

 

エコー「……」

 

ドラス「この体は新君の物だよ? 僕を傷つけるってことは、新君を傷つけるってことだよ?」

 

その言葉に、エコーの体が固まった。

 

確かにそうだ。

 

今、目の前にいるドラスの中には、新がいる。

 

攻撃すれば、ネオ生命体だけでなく、新まで傷つけてしまうかもしれない。

 

ドラスが近づくたび、エコーは自然と後ろへ下がっていた。

 

ドラス「ヴァッ!!」

 

ドラスがビンタに似た攻撃を振るう。

 

エコーはしゃがんでかわす。

 

次は前転。

 

さらに腕で受け止める。

 

防御と回避だけで精一杯だった。

 

ドラスが左腕を振るう。

 

エコーは右腕で受け止めた。

 

反射的に、左拳が動いてしまう。

 

エコー「はぁ!!」

 

左正拳突きがドラスの腹部へ命中した。

 

ドラス「ヴゥ!?」

 

エコー「あっ!? しまった!?」

 

ドラスは二、三歩後ろへ下がり、膝をつく。

 

苦しむような声を漏らした。

 

エコー「新君、大丈夫!?」

 

エコーは思わず駆け寄る。

 

それが罠だった。

 

ドラス「ヴァ!!」

 

ドラスの手が、エコーの首を掴む。

 

エコー「うっ……!?」

 

足が宙に浮く。

 

息ができない。

 

その時、横から影が飛び込んだ。

 

シン「!!」

 

シンがドラスへ体当たりする。

 

ドラスはエコーを放し、エコーは地面へ落ちた。

 

シンはエコーを庇うように前へ立つ。

 

ドラスは、二人を睨むように低く唸った。

 

エコー「真さん!! 待ってください!! ネオ生命体を傷つけたら、新君も傷つけることになります!!」

 

エコーはシンの肩を掴み、止めようとした。

 

シンはゆっくり首を後ろへ向ける。

 

じっと、エコーを見る。

 

数瞬の沈黙。

 

その後、エコーの頭の中に声が響いた。

 

エコー「……『一緒に戦ってくれ』?」

 

シンは頷いた。

 

テレパシーだった。

 

エコーは戸惑う。

 

だが、シンはさらに言葉を送ってくる。

 

エコー「戦うこと……それが新君を救うことになるんですか?」

 

シンはまた頷いた。

 

真だって、新を傷つけたいはずがない。

 

それでも、ネオ生命体を弱らせなければ、新を救い出す機会さえ作れない。

 

これは父親である真が下した、苦渋の決断だった。

 

エコーの心に、別の声も届く。

 

真が新へ向けた謝罪の言葉だった。

 

――少しだけ我慢してくれ。

 

一番つらいはずの真が、覚悟を決めている。

 

それなら、自分がためらっている場合ではない。

 

エコーはシンの横へ並び立った。

 

エコー「行きましょう、真さん……いいえ、シン!!」

 

あえて、真ではなく仮面ライダーとしての名を呼ぶ。

 

シンは頷いた。

 

二人は同時に駆け出した。

 

ドラス「ヴァ!!」

 

ドラスの胸部からレーザーが放たれる。

 

シンとエコーの周囲に着弾し、爆発が連続する。

 

それでも二人は止まらない。

 

爆煙を裂き、距離を詰める。

 

エコー「はぁ!!」

 

エコーが走りながら右フックを放つ。

 

だが、ドラスはあっさりかわした。

 

その後ろから、シンが右のひっかき攻撃を繰り出す。

 

ドラスは左腕で受け止め、カウンターの右張り手をシンの腹部へ叩き込んだ。

 

シン「!?」

 

シンは前のめりに倒れる。

 

ドラス「ッ!! ッ!!」

 

ドラスは倒れたシンの背中を何度も踏みつけた。

 

三度目の踏みつけ。

 

シンは横へ転がり、何とか脱出する。

 

次の瞬間、シンの姿が視界から消えた。

 

ドラスがシンを探す。

 

だが、その隙を与えまいと、エコーが跳んでいた。

 

エコー「ふんっ!!」

 

エコーの拳がドラスへ命中する。

 

だが、ドラスは表情一つ変えない。

 

ドラスは左腕でエコーを薙ぎ払った。

 

エコー「つっ!?」

 

続けてエコーが飛びつく。

 

しかし、ドラスはその体を掴み、放り投げた。

 

エコーは地面へ転倒する。

 

倒れたまま、近づいてくるドラスを睨む。

 

距離が縮まった瞬間、エコーは足を伸ばし、脇腹へ蹴りを入れた。

 

だが、ドラスは反撃としてエコーの腹部を蹴る。

 

エコーは地面を転がった。

 

シン「!!」

 

シンがエコーを助けるため、ドラスへ跳ぶ。

 

ドラスはすぐに気づき、胸部からレーザーを放った。

 

空中では避けられない。

 

レーザーがシンへ直撃する。

 

シンは宙で反転しながら坂へ叩きつけられ、転がり落ちていった。

 

ドラス「……ヴ!!」

 

ドラスはさらにレーザーを放つ。

 

シンは痛みをこらえて起き上がり、低空飛行のような跳躍で次々と避けた。

 

着地。

 

そして、再びジャンプ。

 

そのままドラスへ突進する。

 

ドラス「ヴ!!」

 

ドラスの手が、飛びかかったシンの首を掴んだ。

 

シン「!?」

 

シンは苦しみながら、ドラスの腕を掴み返す。

 

背後から気配。

 

ドラスの首が、ぎぎっと九十度ほど後ろへ向く。

 

エコーが走り込み、拳を突き出していた。

 

ドラスはシンを掴んだまま体を一回転させる。

 

エコーの拳は空を切った。

 

戻る勢いのまま、ドラスの手がエコーの頭部を打つ。

 

エコー「うぅっ!?」

 

エコーが吹き飛び、地面を転がる。

 

さらにドラスは、掴んでいたシンをエコーへ投げつけた。

 

二人の体がぶつかり、倒れ込む。

 

ドラス「ゥゥゥ……ヴ!!」

 

倒れる二人へ、レーザーが放たれる。

 

シン「!?」

 

シンは咄嗟にエコーを庇った。

 

レーザーはシンの背中へ直撃する。

 

シンはそのまま倒れた。

 

エコー「シン!!」

 

ドラスは、ゆっくり二人へ歩き出す。

 

エコーはシンを寝かせ、単身でドラスへ向かった。

 

三メートルほどの距離で立ち止まる。

 

ドラスも足を止めた。

 

エコー「プリキュア!! ハートフル!! エコォォーー!!」

 

白い光がドラスへ降り注ぐ。

 

ドラス「ヴゥゥッ~!?」

 

ドラスが苦しみ出す。

 

体から、わずかに煙のようなものが上がる。

 

エコー「イケる!! このまま弱らせれば……」

 

だが、技を放ち続けるだけでは決定打にならない。

 

エコーはハートフルエコーを止め、両腕を広げる。

 

その場で跳躍。

 

右手にBLACKの力を宿す。

 

エコー「ライダァァ~チョォォップ!!」

 

しかし、ハートフルエコーが途切れた瞬間、ドラスは動けるようになっていた。

 

一、二歩後ろへ跳び退く。

 

エコーのチョップは空を切った。

 

ドラス「ヴッ!!」

 

反撃の蹴りがエコーへ入る。

 

エコー「ぐぅっ!?」

 

エコーは転倒した。

 

その時、再びシンが飛び出す。

 

シン「!!」

 

シンはドラスへ飛びかかり、エコーから引き離すように押し込んだ。

 

次にドラスが体勢を立て直した時、景色は森の中へ変わっていた。

 

ドラス「……」

 

シンの姿はない。

 

気配を消している。

 

太い枝の上。

 

そこにシンはいた。

 

木から木へ、音もなく飛び移る。

 

ドラスが気配を感じて振り向いた時には、もうそこにいない。

 

それが何度か繰り返された。

 

獣のように森を使うシン。

 

人工的な戦闘ではなく、生物としての狩り。

 

そして、ついにシンが動いた。

 

シン「……!!」

 

高い枝から一直線に突撃する。

 

ドラスが気づいた時には遅い。

 

シンの体当たりが命中し、二人は地面を転がった。

 

ドラス「ヴッ!!」

 

片膝をついたまま、ドラスがレーザーを放つ。

 

シンは三、四メートル後ろへ跳んでかわす。

 

だが、ドラスもすぐに宙へ浮くように跳び、シンの目前へ着地した。

 

ドラス「ッ!!」

 

ビンタに似た拳が、シンの頭部へ叩き込まれる。

 

シンは二、三歩後退した。

 

ドラス「ゥゥッ……ゥッ!!」

 

腹部からレーザー。

 

シンは即座に跳び退き、木々を盾にしてやり過ごす。

 

何発ものレーザーが幹を削り、火花と木片を散らした。

 

一瞬、攻撃が止む。

 

その隙に、シンはドラスへ向かって右足を突き出して跳んだ。

 

シンのライダーキック。

 

ドラス「……ヴッ!!」

 

だが、ドラスはその足を掴んだ。

 

そのまま何度も回転する。

 

十分に遠心力をつけたところで、シンを投げ飛ばした。

 

シンは大きく吹き飛び、谷へ叩き戻される。

 

そこは、先ほどエコーと共闘していた場所だった。

 

シンはダメージのため、すぐには立ち上がれない。

 

ドラスはゆっくり近づく。

 

エコー「ライダァァ~パンチ!!」

 

エコーが右拳にピンクのエネルギーを灯し、BLACKのライダーパンチを放つ。

 

だが、ドラスのレーザーが先に撃たれた。

 

エコー「うぅっ!?」

 

エコーは地面へ倒れる。

 

それでもすぐに立ち上がり、構え直した。

 

すると、ドラスが右手を突き出す。

 

その腕が、ロケットのように射出された。

 

エコー「えっ!?」

 

予想外の攻撃だった。

 

反応が遅れる。

 

直撃。

 

エコーは反転しながら後方へ吹き飛び、崖へぶつかる。

 

そのまま下り坂を転がった。

 

エコー「ぅぅっ……」

 

それでも、エコーは立ち上がる。

 

息は荒い。

 

体も重い。

 

だが、まだ目は折れていなかった。

 

エコー「はぁ……はぁ……ふっ!! ……バイタルチャージ!!」

 

両拳を強く握る。

 

胸の宝石が光り出し、力が体内へ巡る。

 

エコー「キングストォォッーン!! フラァァッーシュ!!」

 

両拳を腹部の前で合わせ、胸の宝石から強烈な光を放つ。

 

ドラス「ヴゥッ!?」

 

ドラスの視界が、数秒間奪われる。

 

その隙に、シンがエコーのそばへ駆け寄った。

 

二人は同時に跳ぶ。

 

エコー「ライダァァーキィィック!!」

 

シン「!!」

 

エコーはBLACKのキック。

 

シンは左脚を突き出す。

 

ダブルキックが、ドラスの胸部へ命中した。

 

ドラスは後方へ吹き飛び、背中から地面へ倒れる。

 

二人は着地し、構え直した。

 

ドラスはゆっくりと起き上がる。

 

ダメージは入っている。

 

だが、表情も態度も変わらない。

 

そこへ、空中から光線が降り注いだ。

 

グレース「実りのエレメント!! はあぁー!!」

 

ドラス「ヴァ!?」

 

光線がドラスへ命中し、数歩後退させる。

 

グレースがシンとエコーの後ろへ着地した。

 

エコー「グレース!!」

 

グレース「二人共、大丈夫!?」

 

続いて、左右からフォンテーヌとスパークルが飛び込んでくる。

 

ペギタン・ニャトラン「プニシールド!!」

 

二人はプニシールドを展開したまま、ドラスへ突進した。

 

ドラス「ヴッ!?」

 

ドラスは左右の腕を突き出し、盾を受け止める。

 

すぐにZOとJが参戦した。

 

ZOはフォンテーヌの後ろへ。

 

Jはスパークルの後ろへ回り、二人の体を支えながら押し込む。

 

ドラスは左右から挟まれ、動きを止められた。

 

スパークル「グレース!!」

 

フォンテーヌ「今のうちに浄化を!!」

 

グレース「分かった!! エレメントチャァァ――」

 

ベリー「待ってくれ!!」

 

グレース「えぇっ!?」

 

溜めかけた力が、光の粒子となって散っていく。

 

ラビリン「何で止めちゃうラビ!? 今がチャンスなのに!?」

 

ベリー「グレース!! 今回はJを浄化した時とは状況が違う!!」

 

グレース「Jの時と違う?」

 

エコー「どういうこと、ベリー!?」

 

ベリー「精神体だったネオ生命体は、ビョウゲンズが作り出すナノビョウゲンに近い。グレースやフォンテーヌ、スパークルの技は十分効果があるだろう」

 

グレース「それなら、止める理由なんて……」

 

ベリー「ネオ生命体が寄生したのがJやZOならよかった。だが、新君に憑りついたのなら話は別だ!!」

 

グレース「え……?」

 

ベリー「JとZOには、地空人から与えられたJパワーが体内に宿っている。だからビョウゲンズに蝕まれても、プリキュアの技を受けて無事だった」

 

グレース「じゃあ、新君にはそのJパワーが宿っていないから……どうなっちゃうの?」

 

ベリーの声が重くなる。

 

ベリー「もし、このままグレース達の技を放てば、ネオ生命体と一緒に新君も消滅してしまうかもしれない」

 

エコー「そんな!?」

 

グレース「どうして……どうして新君の時だけ、そんなことになっちゃうの? 何で!?」

 

ベリー「新君の体にはJパワーが宿っていない。プリキュアの必殺技は怪人にも有効打になってしまう。敵ではないから都合よく助けられるとは思わない方がいい」

 

グレース「そんな……」

 

ラビリン「じゃあ、どうすればいいラビ!?」

 

その迷いを、ドラスは見逃さなかった。

 

ドラス「ゥゥゥッ……!」

 

全身から、三百六十度にビームを放つ。

 

左右から押さえ込んでいたフォンテーヌとスパークルのプニシールドが軋む。

 

次の瞬間、盾は破られた。

 

ZOとJは咄嗟にフォンテーヌとスパークルの盾になる。

 

ビームが直撃し、さらに足元で爆発が起こった。

 

四人は爆風に吹き飛ばされ、受け身も取れず地面へ転がる。

 

グレース「皆!?」

 

ドラスは、グレースとエコーの方へ歩き出した。

 

その前へ、シンが飛び込む。

 

シン「!!」

 

シンはドラスにしがみついた。

 

ドラス「ヴッ!? ヴ!! ヴ!!」

 

ドラスは拳を何発も叩き込み、シンを引きはがそうとする。

 

シンは耐えた。

 

グレースとエコーの元へ進ませないために。

 

だが、防御もできない状態で攻撃を受け続ければ、シンの方が先に倒れてしまう。

 

グレース「どうしよう……このままヒーリングフラワーを撃ったら、新君も真さんも巻き込んじゃう……」

 

エコー「シン……」

 

エコーとシンの目が合う。

 

シンはドラスを食い止めながら、何かを訴えるように見つめていた。

 

大きく頷く。

 

エコーの心に、かすかな意思が届く。

 

――ヤレ。

 

違っててほしい……

 

他に方法はないのか。

 

最後まで諦めたくない。

 

そう思った瞬間、今度ははっきりと声が届いた。

 

――ヤレッーー!!

 

改造兵士の力を持たないエコーに、届くはずのないテレパシー。

 

それでも、その声は確かに聞こえた。

 

さらに、その奥に真の覚悟が流れ込む。

 

――新。お前を一人にしない。最後まで一緒だ。

 

エコーは、攻撃を受け続けるシンを見つめた。

 

父親として、真は覚悟を決めている。

 

けれど、エコーはまだ諦めたくなかった。

 

その時、フォグ戦艦の中で真を救った瞬間が、脳裏に蘇る。

 

あの時、ハートフルエコーは真とネオ生命体を分離した。

 

ならば。

 

エコーはエコーデコルを取り出し、グレースへ差し出した。

 

グレース「エコー……?」

 

エコー「グレース。これを使って浄化してみて」

 

グレース「えぇっ!? でも私の技じゃ、新君も真さんも一緒に消滅しちゃうんだよ!?」

 

エコー「それはシンも分かってる。でも、せめて新君と一緒に逝くのが、シンの覚悟で、願いでもあるの……」

 

グレース「そんな……」

 

ラビリン「待つラビ!! エコーはそれでいいラビ!?」

 

グレル「おいおい!? エコー、諦めんのかよ!?」

 

エンエン「きっと二人を助ける方法はあるはずだよ!?」

 

エコー「私だって諦めたくない!!」

 

エコーはグレースを見つめた。

 

エコー「だから……グレース。私を信じて。シンと新君を助けて!!」

 

グレースはエコーデコルを握りしめる。

 

怖くないはずがない。

 

失敗すれば、真も新も失うかもしれない。

 

それでも、エコーは信じて託した。

 

ならば、自分も信じるしかない。

 

グレース「……分かった。やってみる!!」

 

エコー「ありがとう!!」

 

グレースは数歩駆け出し、ドラスとシンの前に立つ。

 

ドラス「ウゥッ!?」

 

グレース「真さん、新君。今、お手当します!!」

 

ドラスはグレースへ攻撃しようと動く。

 

しかし、シンがしがみついて離さない。

 

グレースはヒーリングステッキを構え、エコーデコルをセットした。

 

グレース「エコーデコル!! エレメントチャァァージ!!」

 

ラビリン「キュンキュンキュン!!」

 

ドラス「お姉ちゃん、正気!? その技は僕だけじゃない。おじちゃんと新君も殺しちゃうよ?」

 

グレースは唇を噛む

 

グレース「そうだね。あなたの言う通りかもしれない」

 

それでも、グレースはステッキを下ろさなかった。

 

グレース「それでも、私を信じて力を託してくれたエコーのことを、私は信じる!!」

 

ドラス「人間ってやっぱり愚かだね。やっぱり僕が神にならないと、この星は滅んじゃうよ?」

 

グレース「あなたみたいなのが神様だったら、私達は全力であなたに立ち向かう!!」

 

ドラス「このぉぉ~~!!」

 

グレース「凄く辛くて苦しくても、全力であがいて、全力で生き抜くんだ!!」

 

シン「!!」

 

グレース「プリキュア!! ヒーリング!! フラワァァーー!!」

 

放たれたヒーリングフラワーは、いつものピンクではなかった。

 

エコーの力が加わったからか、光は白く輝いていた。

 

白い花の光が、ドラスとシンを容赦なく包み込む。

 

ドラス「ぎゃあぁぁっぁっぁぁっ~~!?」

 

シン「……」

 

光の中から、精神体のネオ生命体が引きずり出される。

 

まるでメガビョウゲンからエレメントが解放される時のように。

 

ネオ生命体「ヒッ……ヒーリン……グッバイ……」

 

ネオ生命体は苦しみながら、白い光の中で浄化されていく。

 

グレース「お大事に……」

 

その声は、いつもより低く、静かだった。

 

ラビリンは何も言わなかった。

 

光が晴れる。

 

そこには、風祭真が倒れていた。

 

腕の中には、新が抱かれている。

 

エコー「真さん!! 新君!!」

 

グレースとエコーが駆け寄る。

 

真はゆっくりと目を開けた。

 

新も、小さく息をしている。

 

二人とも無事だった。

 

エコー「よかった……」

 

グレース「本当に……よかった……」

 

ドラスの攻撃で吹き飛ばされていたフォンテーヌ、スパークル、ZO、Jも戻ってくる。

 

全員が、真と新の無事を確認して安堵した。

 

ZO「ベリー。ネオ生命体はこれで消滅したのか?」

 

ベリー「恐らく大丈夫だ。奴の気配はもう感じない。グレースが完全に浄化したようだ」

 

ZO「そうか……」

 

スパークル「はぁ~疲れたぁ~……」

 

フォンテーヌ「そうね。ネオ生命体も、あの怪人軍団も手強かったしね」

 

ラビリン「でも、どうして二人が無事だったラビ?」

 

エコー「フォグの戦艦の中で、私が真さんをネオ生命体から助けたでしょ? その時、真さんとネオ生命体が分かれたから、私の力を加えたら、今度も分離できるんじゃないかと思って」

 

グレース「それで、エコーのデコルを渡してくれたんだ?」

 

エコー「えぇ。一か八かの賭けだったけど、上手くいって良かった」

 

ようやく、ネオ生命体の脅威は去った。

 

皆が変身を解こうとした、その時だった。

 

地面が大きく揺れた。

 

グレース「何!?」

 

フォンテーヌ「地震!? それもかなり大きい!?」

 

スパークル「のわぁっととと!?」

 

立っていられないほどの揺れ。

 

地面が唸り、周囲の岩が崩れる。

 

一同は次々に倒れ込んだ。

 

その中で、ZOが何かを見つける。

 

ZO「あれは!?」

 

ZOが指差した先。

 

全員が、見上げた。

 

スパークル「うえぇぇっ!? 嘘嘘!?」

 

フォンテーヌ「動いてる……!?」

 

グレース「何て大きいの……」

 

J「バカな……あれは……!?」

 

そこにあったのは、ネオ生命体が根城にしていた巨大な機械母艦。

 

フォッグ・マザー。

 

死んだはずのそれが、再び動き出していた。

 

巨大な影が、空を塞ぐ。

 

機械の咆哮が、山全体を震わせる。

 

ネオ生命体との戦いは終わった。

 

だが、真の危機も、新の危機も、まだ終わってはいなかった。

 

3話『復活のフォッグ・マザー』へ続く

 

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