真・仮面ライダー-----終章-----『仮面ライダーワールド序章(プロローグ)』   作:狼と踊る男

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新訳版3話『復活のフォッグ・マザー』

 

 

グレース「プリキュア!! ヒーリング!! フラワァァーー!!」

 

ドラス「ぎゃあぁぁっぁっぁぁっ~~!?」

 

シン「……」

 

ネオ生命体「ヒッ……ヒーリン……グッバイ……」

 

グレース「お大事に……」

 

白い光の中で、ネオ生命体は浄化された。

 

風祭真と新は救われた。

 

だが、その戦いを少し離れた場所から見ていた者がいた。

 

ダルイゼンである。

 

ダルイゼン「あ~あ……大口叩いておいて、あの程度か? 何がネオ生命体なんだか……」

 

彼は冷めた目で、ネオ生命体の最期を見届けていた。

 

それから、何気なく近くに横たわる巨大な戦艦へ手を触れる。

 

フォッグ・マザーの戦艦。

 

その時だった。

 

ダルイゼンの耳に、声が聞こえた。

 

いや、耳ではない。

 

もっと奥。

 

体の内側へ染み込むような、低く濁った声。

 

それは恐らく、フォッグ・マザー本体の残留思念と呼ぶべきものだった。

 

まだ完全には死んでいない。

 

まだ、何かを求めている。

 

ダルイゼンは口元を歪めた。

 

ダルイゼン「……面白いじゃん」

 

彼は手をかざす。

 

ダルイゼン「進化しろ……ナノビョウゲン」

 

具現化したナノビョウゲンが、フォッグ・マザーの戦艦へ取りついた。

 

巨大な船体に、黒い病の力が染み込んでいく。

 

そして、あっという間にメガビョウゲンの顔が成形された。

 

ネオ生命体を倒したことに安堵していた一同の前で、最悪の巨体が再び動き出す。

 

スパークル「ちょちょっ!? 何あれ!?」

 

ニャトラン「でか過ぎだろ!?」

 

J「まさか、フォグまでもが復活したのか!?」

 

巨大な戦艦が、ゆっくりと身を起こす。

 

しかし、グレースはすぐに違和感を覚えた。

 

グレース「あれ?」

 

フォンテーヌ「グレース? どうかした?」

 

グレース「あれ!! 顔の所、見て!!」

 

グレースが指差す先。

 

フォッグ・マザーの顔に当たる部分を、一同は凝視した。

 

Jの知るフォッグ・マザーの顔ではない。

 

そこに浮かんでいたのは、ヒーリングっど♡プリキュアの三人には見覚えのある顔だった。

 

メガビョウゲンの顔。

 

フォンテーヌ「メガビョウゲン……?」

 

スパークル「じゃあ、あれがメガビョウゲン化したってこと!?」

 

ラテ「くしゅんっ!」

 

その直後、ラテの顔色が悪くなる。

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの三人は、すぐに聴診器を当てた。

 

ラテの心の声が聞こえてくる。

 

ラテ「病気の元さんが苦しんでいるラテ……」

 

三人「病気の元さん?」

 

エコー「どういう意味なの?」

 

グレース「私達にもさっぱり……」

 

その時、ベリーが叫んだ。

 

ベリー「皆!! フォグの様子がおかしい!!」

 

一同が視線を戻す。

 

フォッグ・マザーは、苦しむようにその巨体を震わせていた。

 

メガビョウゲンの顔も歪み、動きが鈍っている。

 

巨大な戦艦がメガビョウゲンになったとしても、明らかに様子がおかしい。

 

グレース「キュアスキャン!!」

 

フォンテーヌ「キュアスキャン!!」

 

スパークル「キュアスキャン!!」

 

ヒーリングっど♡プリキュアの三人は、同時にキュアスキャンを行った。

 

JやZOの時とは比べものにならないほど巨大な対象。

 

一人では時間がかかる。

 

三人で一気に調べるしかない。

 

最初に異変を見つけたのは、グレースとラビリンだった。

 

グレース「これって……!?」

 

スパークル「どどどういう事!?」

 

フォンテーヌ「まさか……」

 

三人が見た映像は、なぜかその場の全員にも共有されていた。

 

そこに映っていたのは、ナノビョウゲンだった。

 

だが、そのナノビョウゲンが、何かに噛み千切られている。

 

食われている。

 

フォッグ・マザーの残留思念とも呼ぶべき何かが、病気の元であるナノビョウゲンを捕食していた。

 

ナノビョウゲン「――ッ!!」

 

声にならない断末魔。

 

それが途切れた時、メガビョウゲンの顔は消えた。

 

フォッグ・マザーの顔が、元の姿へ戻っていく。

 

フォンテーヌ「ナノビョウゲンを……取り込んだ……?」

 

グレース「そんな……」

 

スパークル「気持ち悪……」

 

フォッグ・マザーは、メガビョウゲンになったのではない。

 

メガビョウゲンを食い、力だけを奪ったのだ。

 

巨大な戦艦の下部からキャタピラが現れる。

 

フォッグ・マザーは、地面をえぐりながら動き出した。

 

しばらく進むと、高速道路のような車の行き来がある場所に出る。

 

そこで巨体を止め、腹部から砲台を突き出した。

 

砲台に光が集まる。

 

次の瞬間、レーザーが発射された。

 

射線上にあった山へ直撃する。

 

山が爆発した。

 

炎が上がり、黒煙が空へ伸びる。

 

真「山が……吹き飛んだ……?」

 

エコー「これが、フォッグ・マザーの力……」

 

一同は、その破壊力に言葉を失った。

 

だが、グレースだけは前へ出る。

 

グレース「……ラビリン、行くよ!!」

 

ラビリン「えっ!?」

 

フォンテーヌ「グレース!?」

 

スパークル「ちょっと!?」

 

グレース「フォッグ・マザー!! これ以上はやらせない!!」

 

グレースは単身、フォッグ・マザーへ向かって跳んだ。

 

ヒーリングステッキを構える。

 

グレース「プリキュア!! ヒーリング!! フラワァァーー!!」

 

花の光が巨大な船体を包もうとする。

 

だが、まるで効いていない。

 

蚊に刺された程度の反応もない。

 

グレース「そんな……」

 

一瞬の動揺。

 

その隙を、フォッグ・マザーは見逃さなかった。

 

巨体がグレースへ向き直る。

 

船体のいたるところから銃口が現れ、一斉に火を吹いた。

 

巨大な弾丸の雨。

 

グレース「うっ!?」

 

プニシールドを張る暇もなく、弾幕が地面を爆発させる。

 

グレースだけではない。

 

離れていた一同まで巻き込まれた。

 

プニシールドは展開されてもすぐに破られ、爆風が全員を地面へ転がす。

 

エコー「真さん……新君は!?」

 

エコーは、真と新の安否を確認する。

 

変身していない風祭親子は、エコー、そして咄嗟にプニシールドを張ったフォンテーヌとスパークルに守られていた。

 

怪我はない。

 

だが、他の者達のダメージは大きかった。

 

変身は解けていない。

 

しかし、起き上がるだけでも時間がかかる。

 

ベリー「皆!! 大丈夫か!?」

 

スパークル「何とか……」

 

ZO「俺もまだ戦える」

 

フォンテーヌ「ここで倒れる訳にはいかないもの……」

 

グレース「それにしても強い……J。あんなの、一体どうやって倒したんですか?」

 

J「あぁ……前に戦った時、俺は巨人になったんだ」

 

グレース「巨人?」

 

真「どういうことだ?」

 

Jは、かつてフォッグ・マザーと戦った時のことを簡単に説明した。

 

Jパワーが体に凝縮され、巨大化したこと。

 

巨人となって、フォッグ・マザーと戦ったこと。

 

スパークル「だったらもう一度!!」

 

だが、ベリーは首を横に振った。

 

ベリー「Jは自分の意思で巨大化できる訳じゃない。それに、さっきスマイルパクトを具現化させ、真を助けるために大量のJパワーを使ってしまった。今はJパワーが足りない!!」

 

一同は言葉を失う。

 

その沈黙を待つことなく、フォッグ・マザーが再び銃弾の雨を放った。

 

爆発が連続する。

 

地面が砕け、土煙が舞い、全員が吹き飛ばされた。

 

転がる中、グレース、フォンテーヌ、スパークルの手から三つのボトルが落ちた。

 

ZOのボトル。

 

Jのボトル。

 

そして、いつの間にか存在していた真のボトル。

 

三つのボトルが地面を転がる。

 

爆発が収まった後、ラテがグレース達へ駆け寄った。

 

ラテ「アン! アン!」

 

グレース「ラテ……大丈夫だよ……」

 

そう答えようとするが、グレースは上体を起こすだけでも苦しそうだった。

 

その時、ラテが何かに気づいた。

 

グレースのもとを離れ、落ちていたボトルの方へ走っていく。

 

ラテ「アン! アンアン!」

 

ベリーがそのそばへ降り立つ。

 

そして、ボトルから発せられる力に気づいた。

 

ベリー「これは……三つのヒーリングボトルから、相当な量のJパワーを感じる!!」

 

J「何っ!?」

 

ベリー「このボトルを使えば、もう一度Jを巨人に変身させることができるはずだ!!」

 

グレース「でも、いつの間に真さんの力のボトルが? それに、どうしてJパワーまで宿ってるの?」

 

ベリー「恐らく、ネオ生命体を浄化した時に生成されたんだ。新君を救った時、エコーの力を借りて浄化した。スマイルパクトにはJパワーも込められていたし、真がネオ生命体に取り込まれた時、体にJパワーが注がれている。それがボトルに宿ったのだろう」

 

ベリーは言葉を急がせる。

 

ベリー「とにかく、このボトルを使えば……グレース!! 皆!!」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルは、エコー、ZO、Jの肩を借りながら立ち上がった。

 

三つのボトルを拾い、Jを中心に囲む。

 

三人だけで描く三角形。

 

グレース「シンのエレメント!!」

 

フォンテーヌ「ZOのエレメント!!」

 

スパークル「Jのエレメント!!」

 

三人はそれぞれのボトルをセットした。

 

ヒーリングステッキを、Jの頭上へかざす。

 

グレース・フォンテーヌ・スパークル「プリキュア!! ヒーリングシンドロォォーム!!」

 

光がJへ集まっていく。

 

数秒後。

 

Jの体は、三角形の中心から光の球体となって飛び出した。

 

一同がその光を目で追う。

 

光球は空中十メートル以上の高さで止まった。

 

そして、弾ける。

 

巨大化した仮面ライダーJが、その姿を現した。

 

スパークル「でっっかぁぁ~~!?」

 

フォンテーヌ「圧巻だわ……」

 

グレース「うわぁ~……かっこいい!! ウルトラマンみたい!!」

 

エコー「……グレースって、割と昭和的なノリが好きなの?」

 

巨大なJは、無言のままフォッグ・マザーへ向かって歩き出す。

 

一歩ごとに地面が震える。

 

フォッグ・マザーとの距離が、巨人の歩幅で五歩ほどになる。

 

Jは立ち止まり、構えた。

 

フォッグ・マザーも、すぐには動かない。

 

小さな姿の一同が見守る中、先に動いたのはJだった。

 

J「!!」

 

右拳。

 

左拳。

 

そして、ジャンプしての右空手チョップ。

 

巨体同士の攻撃が、重い音を響かせる。

 

フォッグ・マザーの巨体では回避できず、すべての攻撃を受けた。

 

Jが右手を引く。

 

その瞬間、フォッグ・マザーの目が光った。

 

J「!?」

 

腹部からレーザーが発射される。

 

Jはまともに受け、背後の建物へ吹き飛ばされた。

 

巨大な体が倒れ込み、建物が崩れる。

 

それでもJは立ち上がった。

 

再び駆け出す。

 

J「……!!」

 

必殺のライダーパンチ。

 

だが、拳は届かなかった。

 

フォッグ・マザーは、鎌と一体化した触手状の腕を何本も重ねて、Jのパンチを受け止めた。

 

残りの腕がJの体を掴み、拘束する。

 

船体のあちこちから銃やのこぎりが出現し、集中攻撃を始めた。

 

J「……!!」

 

いくら巨大化したJでも、このままでは長くもたない。

 

グレース「J!?」

 

スパークル「マジやばくない!?」

 

フォンテーヌ「流石に、メガビョウゲンに打ち勝っただけのことはあるわね……」

 

スパークル「って、感心してる場合じゃないっしょ!?」

 

ZO「今は彼に賭けるしかない……悔しいが……」

 

グレースは拳を握った。

 

グレース「皆!! もう一度行こう!!」

 

ラビリン「えぇっ!?」

 

スパークル「えぇっ!? マジ!?」

 

フォンテーヌ「無理よ!? 相手が大き過ぎるわ!! さっきもグレースの技が効かなかったじゃない!!」

 

グレース「確かに、私一人の力じゃ歯が立たない……でも、私達三人の力なら何とかなるかも」

 

フォンテーヌは一瞬だけ黙り、それから頷いた。

 

フォンテーヌ「分かった。やりましょう!!」

 

スパークル「もうこうなったら、やるっきゃないっしょ!!」

 

三人はステッキを構える。

 

グレース・フォンテーヌ・スパークル「エレメントチャージ!!」

 

グレース「プリキュア!! ヒーリング!! フラワァァーー!!」

 

フォンテーヌ「プリキュア!! ヒーリング!! ストリィィ~~ム!!」

 

スパークル「プリキュア!! ヒーリング!! フラァァッ~シュ!!」

 

三つの浄化技が、同じ一点へ放たれた。

 

だが、フォッグ・マザーの装甲は貫けない。

 

グレース「そんな……」

 

三人の合わせ技でさえ、効いていない。

 

その時、背後から声がした。

 

ダルイゼン「無駄だよ」

 

グレース「ダルイゼン!?」

 

ダルイゼン「今のお前達程度じゃ、あれは浄化できやしないさ」

 

エコー「あなた達ビョウゲンズは、この星を、地球を蝕むことが目的でしょ!? これじゃあただの破壊だよ!? すぐに止めさせて!!」

 

ダルイゼン「無理。あれ、もうメガビョウゲンじゃないし」

 

エコー「そんな……勝手すぎるわ!!」

 

ラビリン「そうラビ!! そもそもあなたがあんなのをメガビョウゲンにしなければ、こんなことにならなかったラビ!!」

 

グレース「二人共、落ち着いて!!」

 

ダルイゼンは、軽く肩をすくめた。

 

ダルイゼン「確かに、このままじゃ俺にとっても面倒なことになるな。……それじゃあ、もう一度ZOとシンをメガビョウゲンにでもして、あいつと戦わせてみる?」

 

ダルイゼンの手が、ZOと真へ向けられる。

 

フォンテーヌ「……」

 

スパークル「させないし!!」

 

二人が前へ出て、ダルイゼンを睨みつける。

 

ダルイゼンは面倒くさそうに手を引いた。

 

だが、そのやり取りをしている間にも、フォッグ・マザーは照準を合わせていた。

 

砲口が、一同へ向く。

 

レーザーが放たれる。

 

J「!?」

 

巨大なJが素早く動いた。

 

一同の前へ盾のように滑り込む。

 

レーザーがJへ直撃した。

 

Jはグレース達を守ることには成功する。

 

しかし、力尽きたように倒れた。

 

起き上がろうとしても、途中で膝をついてしまう。

 

フォッグ・マザーが、ゆっくりと迫ってくる。

 

傷ついたJは、それでも戦おうとしている。

 

その姿を見て、三人の心が揺れた。

 

スパークルは悲しんだ。

 

こんな強大な敵の前で、何もできない自分を。

 

フォンテーヌは怒った。

 

助けてくれたJのために、何もできない自分のふがいなさを。

 

グレースは、太陽に願った。

 

もう一度、力を貸してほしい。

 

大切な仲間を。

 

そして皆を助けるための力を。

 

『その時、不思議な事が起こった』

 

グレース「ボトルが!?」

 

フォンテーヌ「光っている!?」

 

スパークル「何々!? どうなっちゃうの!?」

 

RX、ロボライダー、バイオライダーのボトルが、三人の前へ浮かび上がる。

 

三つのボトルは光を放ち、空中で一つに混ざっていった。

 

現れたのは、本来ならばこの時間軸ではまだ手に入らないはずのボトル。

 

ミラクルヒーリングボトル。

 

グレース「このボトルは……?」

 

ベリー「そうか!! そういうことか!!」

 

スパークル「ちょっと!! 一人で納得してないで教えてよ!?」

 

ベリー「RX、ロボライダー、バイオライダーのボトルは、元は一人の仮面ライダーの力が三つに分かれたものだ。それがグレース達の思いに反応して融合し、ミラクルヒーリングボトルへ姿を変えたんだ!!」

 

グレース「ミラクルヒーリングボトル……皆、行こう!!」

 

フォンテーヌ・スパークル「うん!!」

 

三人はミラクルヒーリングボトルをセットした。

 

グレース・フォンテーヌ・スパークル「トリプルハートチャージ!!」

 

三人のステッキに、膨大な癒しの力が集まっていく。

 

グレース・フォンテーヌ・スパークル「届け!! 癒しの!! パワー!!」

 

フォッグ・マザーの内部で、本体が苦しげに声を上げた。

 

フォッグ「何だこれは!? 精霊エネルギーと似た力を感じる!?」

 

三人の声が重なる。

 

グレース・フォンテーヌ・スパークル「プリキュア!! ヒーリングゥゥッ~~……オアシス!!」

 

巨大な癒しの光が、フォッグ・マザーを包み込んだ。

 

フォッグ「アアァァァッッァァッーーー!?」

 

内部で取り込まれていたナノビョウゲンが、三つの光の手に包まれる。

 

ナノビョウゲン「ヒーリングッバイ……」

 

グレース・フォンテーヌ・スパークル「お大事に……」

 

メガビョウゲンの力が剥がれ落ちる。

 

その力を失ったことで、フォッグ・マザーの動きが大きく鈍った。

 

ラビリン「今ラビィ!!」

 

グレース「Jィィーー!!」

 

その叫びに応えるように、巨大Jが頷いた。

 

右手をJの形にする。

 

そして、数歩駆け出し、両足を揃えて空高く跳んだ。

 

巨大な体が、空を高く高く舞う。

 

右足が突き出される。

 

その重量と落下速度で、右足には熱が宿った。

 

まるで流星。

 

フォッグ・マザーは迎撃しようと、のこぎりを飛ばす。

 

だが、すべて弾かれる。

 

J「!!」

 

巨大なキックが、フォッグ・マザーへ突き刺さった。

 

轟音。

 

閃光。

 

そして爆発。

 

フォッグ・マザーの巨体が炎に包まれる。

 

Jは無事に着地し、再び光の球体となった。

 

光は崖の上へ降り、元の大きさの仮面ライダーJへ戻る。

 

一同はJのもとへ駆け寄った。

 

ZO「やったな、J!!」

 

J「あぁ……グレース達もありがとう」

 

グレース「いいえ、そんな!? 私達の方こそありがとうございます。助けてくれて……んっ?」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルのヒーリングステッキにセットされていたミラクルヒーリングボトルが輝き出す。

 

次の瞬間、それぞれのボトルへ戻っていった。

 

グレースの手にはRXボトル。

 

フォンテーヌにはバイオライダーボトル。

 

スパークルにはロボライダーボトル。

 

ミラクルヒーリングボトルは消えていた。

 

フォンテーヌ「きっと、役目を果たしたから戻ったのでしょうね」

 

スパークル「なんかもったいない気もするけど、まいっか」

 

ラテ「……ぅっ!? アン!! アンアン!!」

 

グレース「ラテ?」

 

真「どうしたんだ?」

 

その瞬間。

 

ZO「うおっ!?」

 

J「ZO!?」

 

突然、ZOの足にツタが絡みついた。

 

ものすごい力で地面へ引きずり込まれる。

 

ZOは抵抗する間もなく、姿を消した。

 

ZOが落とされた先は、フォッグ・マザーの体内だった。

 

ジャンボライダーキックで倒されたはずのその内部で、フォッグ・マザーの本体とも呼ぶべき怪物が、最後のあがきを見せていた。

 

ZO「貴様は!?」

 

フォッグ「精霊エネルギーの戦士よ!! お前も道連れだ!!」

 

どうやらフォッグは、ZOをJと間違えたらしい。

 

どちらもJパワーを体に宿し、姿もよく似ている。

 

無理もない。

 

だが、たとえ間違いであっても、一人でも道連れにして死のうとする悪意に変わりはなかった。

 

ツタがZOの体を締め上げる。

 

ZO「ぅぅっ……ぅぅぅっ~~……!」

 

それでも、ZOは右拳に力を込めた。

 

ZO「とおぉっーー!!」

 

強烈なライダーパンチが、フォッグ本体へ叩き込まれる。

 

フォッグ「アアァァッァッァァ~~!?」

 

拳が命中した瞬間、ツタの力が緩んだ。

 

ZOは爆炎と爆風の中から飛び出す。

 

そして、一同のいる場所へ着地した。

 

だが、受けたダメージは大きい。

 

立ち上がった直後、ZOは膝をついた。

 

勝「ぐっ……」

 

J「ZO!!」

 

背後で、フォッグ・マザーが爆発する。

 

先ほどのジャンボライダーキックを上回る大爆発だった。

 

巨大な戦艦は跡形もなく消え去っていく。

 

今度こそ、フォッグ・マザーは完全に消滅した。

 

その戦いを、崖の上から見ていた者がいた。

 

銀色の体。

 

エメラルドグリーンの眼。

 

シャドームーン。

 

エコーの前に一度姿を見せていたその男は、仮面ライダーJとフォッグ・マザーの戦いの行く末を、静かに鑑賞していた。

 

今回の事件の黒幕である彼は、ZOが爆炎の中から飛び出したところまでを見届ける。

 

そして、誰にも気づかれることなく背を向けた。

 

ガチャン。

 

ガチャン。

 

固有の足音を響かせながら、シャドームーンは戦場を後にする。

 

その姿が、森の影へ消えていった。

 

終章『仮面ライダーワールド序章』

 

次回『さようなら。仮面ライダーシン』へ続く

 

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