真・仮面ライダー-----終章-----『仮面ライダーワールド序章(プロローグ)』 作:狼と踊る男
グレース「プリキュア!! ヒーリング!! フラワァァーー!!」
ドラス「ぎゃあぁぁっぁっぁぁっ~~!?」
シン「……」
ネオ生命体「ヒッ……ヒーリン……グッバイ……」
グレース「お大事に……」
白い光の中で、ネオ生命体は浄化された。
風祭真と新は救われた。
だが、その戦いを少し離れた場所から見ていた者がいた。
ダルイゼンである。
ダルイゼン「あ~あ……大口叩いておいて、あの程度か? 何がネオ生命体なんだか……」
彼は冷めた目で、ネオ生命体の最期を見届けていた。
それから、何気なく近くに横たわる巨大な戦艦へ手を触れる。
フォッグ・マザーの戦艦。
その時だった。
ダルイゼンの耳に、声が聞こえた。
いや、耳ではない。
もっと奥。
体の内側へ染み込むような、低く濁った声。
それは恐らく、フォッグ・マザー本体の残留思念と呼ぶべきものだった。
まだ完全には死んでいない。
まだ、何かを求めている。
ダルイゼンは口元を歪めた。
ダルイゼン「……面白いじゃん」
彼は手をかざす。
ダルイゼン「進化しろ……ナノビョウゲン」
具現化したナノビョウゲンが、フォッグ・マザーの戦艦へ取りついた。
巨大な船体に、黒い病の力が染み込んでいく。
そして、あっという間にメガビョウゲンの顔が成形された。
ネオ生命体を倒したことに安堵していた一同の前で、最悪の巨体が再び動き出す。
スパークル「ちょちょっ!? 何あれ!?」
ニャトラン「でか過ぎだろ!?」
J「まさか、フォグまでもが復活したのか!?」
巨大な戦艦が、ゆっくりと身を起こす。
しかし、グレースはすぐに違和感を覚えた。
グレース「あれ?」
フォンテーヌ「グレース? どうかした?」
グレース「あれ!! 顔の所、見て!!」
グレースが指差す先。
フォッグ・マザーの顔に当たる部分を、一同は凝視した。
Jの知るフォッグ・マザーの顔ではない。
そこに浮かんでいたのは、ヒーリングっど♡プリキュアの三人には見覚えのある顔だった。
メガビョウゲンの顔。
フォンテーヌ「メガビョウゲン……?」
スパークル「じゃあ、あれがメガビョウゲン化したってこと!?」
ラテ「くしゅんっ!」
その直後、ラテの顔色が悪くなる。
グレース、フォンテーヌ、スパークルの三人は、すぐに聴診器を当てた。
ラテの心の声が聞こえてくる。
ラテ「病気の元さんが苦しんでいるラテ……」
三人「病気の元さん?」
エコー「どういう意味なの?」
グレース「私達にもさっぱり……」
その時、ベリーが叫んだ。
ベリー「皆!! フォグの様子がおかしい!!」
一同が視線を戻す。
フォッグ・マザーは、苦しむようにその巨体を震わせていた。
メガビョウゲンの顔も歪み、動きが鈍っている。
巨大な戦艦がメガビョウゲンになったとしても、明らかに様子がおかしい。
グレース「キュアスキャン!!」
フォンテーヌ「キュアスキャン!!」
スパークル「キュアスキャン!!」
ヒーリングっど♡プリキュアの三人は、同時にキュアスキャンを行った。
JやZOの時とは比べものにならないほど巨大な対象。
一人では時間がかかる。
三人で一気に調べるしかない。
最初に異変を見つけたのは、グレースとラビリンだった。
グレース「これって……!?」
スパークル「どどどういう事!?」
フォンテーヌ「まさか……」
三人が見た映像は、なぜかその場の全員にも共有されていた。
そこに映っていたのは、ナノビョウゲンだった。
だが、そのナノビョウゲンが、何かに噛み千切られている。
食われている。
フォッグ・マザーの残留思念とも呼ぶべき何かが、病気の元であるナノビョウゲンを捕食していた。
ナノビョウゲン「――ッ!!」
声にならない断末魔。
それが途切れた時、メガビョウゲンの顔は消えた。
フォッグ・マザーの顔が、元の姿へ戻っていく。
フォンテーヌ「ナノビョウゲンを……取り込んだ……?」
グレース「そんな……」
スパークル「気持ち悪……」
フォッグ・マザーは、メガビョウゲンになったのではない。
メガビョウゲンを食い、力だけを奪ったのだ。
巨大な戦艦の下部からキャタピラが現れる。
フォッグ・マザーは、地面をえぐりながら動き出した。
しばらく進むと、高速道路のような車の行き来がある場所に出る。
そこで巨体を止め、腹部から砲台を突き出した。
砲台に光が集まる。
次の瞬間、レーザーが発射された。
射線上にあった山へ直撃する。
山が爆発した。
炎が上がり、黒煙が空へ伸びる。
真「山が……吹き飛んだ……?」
エコー「これが、フォッグ・マザーの力……」
一同は、その破壊力に言葉を失った。
だが、グレースだけは前へ出る。
グレース「……ラビリン、行くよ!!」
ラビリン「えっ!?」
フォンテーヌ「グレース!?」
スパークル「ちょっと!?」
グレース「フォッグ・マザー!! これ以上はやらせない!!」
グレースは単身、フォッグ・マザーへ向かって跳んだ。
ヒーリングステッキを構える。
グレース「プリキュア!! ヒーリング!! フラワァァーー!!」
花の光が巨大な船体を包もうとする。
だが、まるで効いていない。
蚊に刺された程度の反応もない。
グレース「そんな……」
一瞬の動揺。
その隙を、フォッグ・マザーは見逃さなかった。
巨体がグレースへ向き直る。
船体のいたるところから銃口が現れ、一斉に火を吹いた。
巨大な弾丸の雨。
グレース「うっ!?」
プニシールドを張る暇もなく、弾幕が地面を爆発させる。
グレースだけではない。
離れていた一同まで巻き込まれた。
プニシールドは展開されてもすぐに破られ、爆風が全員を地面へ転がす。
エコー「真さん……新君は!?」
エコーは、真と新の安否を確認する。
変身していない風祭親子は、エコー、そして咄嗟にプニシールドを張ったフォンテーヌとスパークルに守られていた。
怪我はない。
だが、他の者達のダメージは大きかった。
変身は解けていない。
しかし、起き上がるだけでも時間がかかる。
ベリー「皆!! 大丈夫か!?」
スパークル「何とか……」
ZO「俺もまだ戦える」
フォンテーヌ「ここで倒れる訳にはいかないもの……」
グレース「それにしても強い……J。あんなの、一体どうやって倒したんですか?」
J「あぁ……前に戦った時、俺は巨人になったんだ」
グレース「巨人?」
真「どういうことだ?」
Jは、かつてフォッグ・マザーと戦った時のことを簡単に説明した。
Jパワーが体に凝縮され、巨大化したこと。
巨人となって、フォッグ・マザーと戦ったこと。
スパークル「だったらもう一度!!」
だが、ベリーは首を横に振った。
ベリー「Jは自分の意思で巨大化できる訳じゃない。それに、さっきスマイルパクトを具現化させ、真を助けるために大量のJパワーを使ってしまった。今はJパワーが足りない!!」
一同は言葉を失う。
その沈黙を待つことなく、フォッグ・マザーが再び銃弾の雨を放った。
爆発が連続する。
地面が砕け、土煙が舞い、全員が吹き飛ばされた。
転がる中、グレース、フォンテーヌ、スパークルの手から三つのボトルが落ちた。
ZOのボトル。
Jのボトル。
そして、いつの間にか存在していた真のボトル。
三つのボトルが地面を転がる。
爆発が収まった後、ラテがグレース達へ駆け寄った。
ラテ「アン! アン!」
グレース「ラテ……大丈夫だよ……」
そう答えようとするが、グレースは上体を起こすだけでも苦しそうだった。
その時、ラテが何かに気づいた。
グレースのもとを離れ、落ちていたボトルの方へ走っていく。
ラテ「アン! アンアン!」
ベリーがそのそばへ降り立つ。
そして、ボトルから発せられる力に気づいた。
ベリー「これは……三つのヒーリングボトルから、相当な量のJパワーを感じる!!」
J「何っ!?」
ベリー「このボトルを使えば、もう一度Jを巨人に変身させることができるはずだ!!」
グレース「でも、いつの間に真さんの力のボトルが? それに、どうしてJパワーまで宿ってるの?」
ベリー「恐らく、ネオ生命体を浄化した時に生成されたんだ。新君を救った時、エコーの力を借りて浄化した。スマイルパクトにはJパワーも込められていたし、真がネオ生命体に取り込まれた時、体にJパワーが注がれている。それがボトルに宿ったのだろう」
ベリーは言葉を急がせる。
ベリー「とにかく、このボトルを使えば……グレース!! 皆!!」
グレース、フォンテーヌ、スパークルは、エコー、ZO、Jの肩を借りながら立ち上がった。
三つのボトルを拾い、Jを中心に囲む。
三人だけで描く三角形。
グレース「シンのエレメント!!」
フォンテーヌ「ZOのエレメント!!」
スパークル「Jのエレメント!!」
三人はそれぞれのボトルをセットした。
ヒーリングステッキを、Jの頭上へかざす。
グレース・フォンテーヌ・スパークル「プリキュア!! ヒーリングシンドロォォーム!!」
光がJへ集まっていく。
数秒後。
Jの体は、三角形の中心から光の球体となって飛び出した。
一同がその光を目で追う。
光球は空中十メートル以上の高さで止まった。
そして、弾ける。
巨大化した仮面ライダーJが、その姿を現した。
スパークル「でっっかぁぁ~~!?」
フォンテーヌ「圧巻だわ……」
グレース「うわぁ~……かっこいい!! ウルトラマンみたい!!」
エコー「……グレースって、割と昭和的なノリが好きなの?」
巨大なJは、無言のままフォッグ・マザーへ向かって歩き出す。
一歩ごとに地面が震える。
フォッグ・マザーとの距離が、巨人の歩幅で五歩ほどになる。
Jは立ち止まり、構えた。
フォッグ・マザーも、すぐには動かない。
小さな姿の一同が見守る中、先に動いたのはJだった。
J「!!」
右拳。
左拳。
そして、ジャンプしての右空手チョップ。
巨体同士の攻撃が、重い音を響かせる。
フォッグ・マザーの巨体では回避できず、すべての攻撃を受けた。
Jが右手を引く。
その瞬間、フォッグ・マザーの目が光った。
J「!?」
腹部からレーザーが発射される。
Jはまともに受け、背後の建物へ吹き飛ばされた。
巨大な体が倒れ込み、建物が崩れる。
それでもJは立ち上がった。
再び駆け出す。
J「……!!」
必殺のライダーパンチ。
だが、拳は届かなかった。
フォッグ・マザーは、鎌と一体化した触手状の腕を何本も重ねて、Jのパンチを受け止めた。
残りの腕がJの体を掴み、拘束する。
船体のあちこちから銃やのこぎりが出現し、集中攻撃を始めた。
J「……!!」
いくら巨大化したJでも、このままでは長くもたない。
グレース「J!?」
スパークル「マジやばくない!?」
フォンテーヌ「流石に、メガビョウゲンに打ち勝っただけのことはあるわね……」
スパークル「って、感心してる場合じゃないっしょ!?」
ZO「今は彼に賭けるしかない……悔しいが……」
グレースは拳を握った。
グレース「皆!! もう一度行こう!!」
ラビリン「えぇっ!?」
スパークル「えぇっ!? マジ!?」
フォンテーヌ「無理よ!? 相手が大き過ぎるわ!! さっきもグレースの技が効かなかったじゃない!!」
グレース「確かに、私一人の力じゃ歯が立たない……でも、私達三人の力なら何とかなるかも」
フォンテーヌは一瞬だけ黙り、それから頷いた。
フォンテーヌ「分かった。やりましょう!!」
スパークル「もうこうなったら、やるっきゃないっしょ!!」
三人はステッキを構える。
グレース・フォンテーヌ・スパークル「エレメントチャージ!!」
グレース「プリキュア!! ヒーリング!! フラワァァーー!!」
フォンテーヌ「プリキュア!! ヒーリング!! ストリィィ~~ム!!」
スパークル「プリキュア!! ヒーリング!! フラァァッ~シュ!!」
三つの浄化技が、同じ一点へ放たれた。
だが、フォッグ・マザーの装甲は貫けない。
グレース「そんな……」
三人の合わせ技でさえ、効いていない。
その時、背後から声がした。
ダルイゼン「無駄だよ」
グレース「ダルイゼン!?」
ダルイゼン「今のお前達程度じゃ、あれは浄化できやしないさ」
エコー「あなた達ビョウゲンズは、この星を、地球を蝕むことが目的でしょ!? これじゃあただの破壊だよ!? すぐに止めさせて!!」
ダルイゼン「無理。あれ、もうメガビョウゲンじゃないし」
エコー「そんな……勝手すぎるわ!!」
ラビリン「そうラビ!! そもそもあなたがあんなのをメガビョウゲンにしなければ、こんなことにならなかったラビ!!」
グレース「二人共、落ち着いて!!」
ダルイゼンは、軽く肩をすくめた。
ダルイゼン「確かに、このままじゃ俺にとっても面倒なことになるな。……それじゃあ、もう一度ZOとシンをメガビョウゲンにでもして、あいつと戦わせてみる?」
ダルイゼンの手が、ZOと真へ向けられる。
フォンテーヌ「……」
スパークル「させないし!!」
二人が前へ出て、ダルイゼンを睨みつける。
ダルイゼンは面倒くさそうに手を引いた。
だが、そのやり取りをしている間にも、フォッグ・マザーは照準を合わせていた。
砲口が、一同へ向く。
レーザーが放たれる。
J「!?」
巨大なJが素早く動いた。
一同の前へ盾のように滑り込む。
レーザーがJへ直撃した。
Jはグレース達を守ることには成功する。
しかし、力尽きたように倒れた。
起き上がろうとしても、途中で膝をついてしまう。
フォッグ・マザーが、ゆっくりと迫ってくる。
傷ついたJは、それでも戦おうとしている。
その姿を見て、三人の心が揺れた。
スパークルは悲しんだ。
こんな強大な敵の前で、何もできない自分を。
フォンテーヌは怒った。
助けてくれたJのために、何もできない自分のふがいなさを。
グレースは、太陽に願った。
もう一度、力を貸してほしい。
大切な仲間を。
そして皆を助けるための力を。
『その時、不思議な事が起こった』
グレース「ボトルが!?」
フォンテーヌ「光っている!?」
スパークル「何々!? どうなっちゃうの!?」
RX、ロボライダー、バイオライダーのボトルが、三人の前へ浮かび上がる。
三つのボトルは光を放ち、空中で一つに混ざっていった。
現れたのは、本来ならばこの時間軸ではまだ手に入らないはずのボトル。
ミラクルヒーリングボトル。
グレース「このボトルは……?」
ベリー「そうか!! そういうことか!!」
スパークル「ちょっと!! 一人で納得してないで教えてよ!?」
ベリー「RX、ロボライダー、バイオライダーのボトルは、元は一人の仮面ライダーの力が三つに分かれたものだ。それがグレース達の思いに反応して融合し、ミラクルヒーリングボトルへ姿を変えたんだ!!」
グレース「ミラクルヒーリングボトル……皆、行こう!!」
フォンテーヌ・スパークル「うん!!」
三人はミラクルヒーリングボトルをセットした。
グレース・フォンテーヌ・スパークル「トリプルハートチャージ!!」
三人のステッキに、膨大な癒しの力が集まっていく。
グレース・フォンテーヌ・スパークル「届け!! 癒しの!! パワー!!」
フォッグ・マザーの内部で、本体が苦しげに声を上げた。
フォッグ「何だこれは!? 精霊エネルギーと似た力を感じる!?」
三人の声が重なる。
グレース・フォンテーヌ・スパークル「プリキュア!! ヒーリングゥゥッ~~……オアシス!!」
巨大な癒しの光が、フォッグ・マザーを包み込んだ。
フォッグ「アアァァァッッァァッーーー!?」
内部で取り込まれていたナノビョウゲンが、三つの光の手に包まれる。
ナノビョウゲン「ヒーリングッバイ……」
グレース・フォンテーヌ・スパークル「お大事に……」
メガビョウゲンの力が剥がれ落ちる。
その力を失ったことで、フォッグ・マザーの動きが大きく鈍った。
ラビリン「今ラビィ!!」
グレース「Jィィーー!!」
その叫びに応えるように、巨大Jが頷いた。
右手をJの形にする。
そして、数歩駆け出し、両足を揃えて空高く跳んだ。
巨大な体が、空を高く高く舞う。
右足が突き出される。
その重量と落下速度で、右足には熱が宿った。
まるで流星。
フォッグ・マザーは迎撃しようと、のこぎりを飛ばす。
だが、すべて弾かれる。
J「!!」
巨大なキックが、フォッグ・マザーへ突き刺さった。
轟音。
閃光。
そして爆発。
フォッグ・マザーの巨体が炎に包まれる。
Jは無事に着地し、再び光の球体となった。
光は崖の上へ降り、元の大きさの仮面ライダーJへ戻る。
一同はJのもとへ駆け寄った。
ZO「やったな、J!!」
J「あぁ……グレース達もありがとう」
グレース「いいえ、そんな!? 私達の方こそありがとうございます。助けてくれて……んっ?」
グレース、フォンテーヌ、スパークルのヒーリングステッキにセットされていたミラクルヒーリングボトルが輝き出す。
次の瞬間、それぞれのボトルへ戻っていった。
グレースの手にはRXボトル。
フォンテーヌにはバイオライダーボトル。
スパークルにはロボライダーボトル。
ミラクルヒーリングボトルは消えていた。
フォンテーヌ「きっと、役目を果たしたから戻ったのでしょうね」
スパークル「なんかもったいない気もするけど、まいっか」
ラテ「……ぅっ!? アン!! アンアン!!」
グレース「ラテ?」
真「どうしたんだ?」
その瞬間。
ZO「うおっ!?」
J「ZO!?」
突然、ZOの足にツタが絡みついた。
ものすごい力で地面へ引きずり込まれる。
ZOは抵抗する間もなく、姿を消した。
ZOが落とされた先は、フォッグ・マザーの体内だった。
ジャンボライダーキックで倒されたはずのその内部で、フォッグ・マザーの本体とも呼ぶべき怪物が、最後のあがきを見せていた。
ZO「貴様は!?」
フォッグ「精霊エネルギーの戦士よ!! お前も道連れだ!!」
どうやらフォッグは、ZOをJと間違えたらしい。
どちらもJパワーを体に宿し、姿もよく似ている。
無理もない。
だが、たとえ間違いであっても、一人でも道連れにして死のうとする悪意に変わりはなかった。
ツタがZOの体を締め上げる。
ZO「ぅぅっ……ぅぅぅっ~~……!」
それでも、ZOは右拳に力を込めた。
ZO「とおぉっーー!!」
強烈なライダーパンチが、フォッグ本体へ叩き込まれる。
フォッグ「アアァァッァッァァ~~!?」
拳が命中した瞬間、ツタの力が緩んだ。
ZOは爆炎と爆風の中から飛び出す。
そして、一同のいる場所へ着地した。
だが、受けたダメージは大きい。
立ち上がった直後、ZOは膝をついた。
勝「ぐっ……」
J「ZO!!」
背後で、フォッグ・マザーが爆発する。
先ほどのジャンボライダーキックを上回る大爆発だった。
巨大な戦艦は跡形もなく消え去っていく。
今度こそ、フォッグ・マザーは完全に消滅した。
その戦いを、崖の上から見ていた者がいた。
銀色の体。
エメラルドグリーンの眼。
シャドームーン。
エコーの前に一度姿を見せていたその男は、仮面ライダーJとフォッグ・マザーの戦いの行く末を、静かに鑑賞していた。
今回の事件の黒幕である彼は、ZOが爆炎の中から飛び出したところまでを見届ける。
そして、誰にも気づかれることなく背を向けた。
ガチャン。
ガチャン。
固有の足音を響かせながら、シャドームーンは戦場を後にする。
その姿が、森の影へ消えていった。
終章『仮面ライダーワールド序章』
次回『さようなら。仮面ライダーシン』へ続く