吾輩は提督である。名前は
名前から漂うネタ臭
代々海軍将校を排出してきた軍閥の名家。提家
そんな家の3男として生まれた俺は特に期待されることもなく放任気味に幼少を過ごして来た
しかしそんな生活が急転したのは14歳の頃
後に深海棲艦と命名される。いわばバケモノ共が海に現れた
やつらに既存の兵器は効きにくく、人類は海の覇権を徐々に奪われいった
そんな絶望の折、人類の逆転の一手となる兵器が発表された
その名は"かんむす"
歴戦の船の魂を刻み込むことでバケモノ共に唯一対抗できる兵器だと
そしてそれは先天的な才能を持った人間にしか扱えないと
ここまで言えばわかるだろう
俺はその才能を持っていた
それから"かんむす"を扱うために設立された軍学校に入学させられ
3年間みっちりと鍛えあげられた
卒業後渡されたのは少佐という官位と"かんむす"が設備された鎮守府の全権
8つ上の兄貴が大尉で、地方で小隊長をやっていることを考えれば破格の待遇である
今まで日の目を見られなかった3男坊のまさかの出世劇
正直調子に乗った
選ばれたエリートだという矜持。自尊心。傲慢
それらすべて打ち砕かれたのは鎮守府に着任した時
俺を出迎えたのは年端もいかない少女たち
そこで俺は知った。兵器”かんむす”は”艦娘”だということを
別に俺は聖人でもなんでもない
あと軍閥の家庭で育ったってのもあるが女、子供もいざとなったら戦場に立たせなくちゃいけないってのを理解も納得もしてる
だが俺が狼狽えたのはそこじゃない
鎮守府に俺以外の男がいないってことだ
自慢じゃないが筋金入りの童貞だ
年齢=彼女いない歴の童貞だ
散々たれてきた独白を読み返せばわかるが今までの俺の人生に女という生物は母親ぐらいしかいなかった
軍学校はもちろんのこと初等、中等教育期間も名家のボンボンなだけあって格の高い学校に通っていたせいか男女別の校舎でほぼ接点がなかった
そんな男が女子率99.8%のところにぶち込まれたらなにが起こるのか
ハーレムか?職場恋愛か?軍隊ラブコメか?
いや、違う。俺ガイルだ
しかも平塚先生も奉仕部もない。ただのぼっちの物語ができあがる
指揮や命令など事務的なことは話せても雑談となると“今日は天気がいいな”“そうですね”程度で終わる
というか俺が終わってる
遠目で艦娘たちが普通に騒いでるのを見て察した
やだ、俺のコミュ力低すぎ
なんやかんやあって本営から推奨されて秘書艦制度も廃止し、働き方改革と名の逃げで鎮守府に電子掲示板やタブレットなどを導入し、執務室に来なくとも運営できる体制を築いた
これにより艦娘との接する時間は廊下ですれ違う以外まったくなくなり、時間にしても月1時間あるかどうかという結果になった
はたして、俺の運命は如何に。
妖精さんから聞いた噂だと裏ではぐれメタルとか呼ばれてるらしい(泣)