インフィニット・ストラトス 蒼炎の炎   作:クロスボーンズ

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プロローグ

 

今から10年前、男女平等の社会は崩壊した。

 

IS。インフィニット・ストラトス。ISの名称。10年前に篠ノ之束という人物によって発表された、宇宙開発を目的としたマルチフォーム・スーツ。現在はアラスカ条約に基づき、ISの軍事的利用は禁止。だが、宇宙開発に関しても、今は停滞中。専ら、競技などで使用されるパワードスーツが、一番真っ当な評価だろう。

 

だが、この画期的な存在であるISには重大な欠点が存在した。それは何と、女性にしか動かせないという事だ。この事実により、男女の社会的な立場が完全に一変、女尊男卑が当たり前になってしまった。

 

とはいえ、一応の建前として世間的には、これまで通りの男女平等ではある。下手な波風を立てる事を人間は毛嫌う。精々心中でバカにする程度に留まっていた。

 

だが、その流れに敢えて逆らう者。つまりは過激な差別主義者は、どの時代にも存在するものだ。彼女達は自分達が正しいと酔いしれ、暴力を振りかざす。

 

この世に、正しい事など、あるのだろうか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいお前達!!動くな!!!」

 

真昼間のショッピングモールの中。本来お客さんで賑わうべきこの場所で、今まさに、恐怖の時間が訪れていた。

 

この場に三人のテロリストが現れ、ショッピングモールを占拠し、人質を取り立て籠った。これが普通のテロリストならまだ警察だけでなんとか出来る代物かもしれない。

 

問題は彼女達の中の三人がISを持っている事なのだ。これにより、自衛隊が派遣された。

 

ISの扱いはアラスカ条約に則り、この様な事は本来ならあり得ない。ISの総数はある事情で467が絶対数と決められている。本来、テロリスト風情が持てるような代物ではないのだ。

 

「いいか!日本政府に告げる!私達はここにいる人質全員の命と引き換えに、現在伊豆等に収監されている、極東赤軍の幹部達全員の解放を要求するのだ!!」

 

人質を一階の一箇所に纏め、その番にISが三機。下手な手向かいは人質を即痛めつける。最悪殺すという雰囲気を醸し出している。すると一人のこどもが恐怖のあまり泣き出した。

 

「ママー!怖いよーー!!」

 

「うるせぇ!その小僧を黙らせろ!!」

 

母親にしがみつく子供に、ISの銃を突きつけ泣き止む様に脅しかける。

 

「やめてください!こどもに手出しだけは!!」

 

「来るな!来るな!!」

 

「いてっ!」

 

買い物袋の中にあった物を出鱈目に投げつける。それがテロリストの顔に命中する。角にぶつかったのか、空いてる手で押さえている。

 

「どんでもねぇガキだ!ぶっ殺してやる!!

 

【シュ!】

 

「痛っ!」

 

すると突然、銃を握ったその手に、ナイフが投げられ手の甲へと突き刺さる。刺さったナイフは結ばれた糸が引っ張られ、手の甲から引き抜かれた。

 

「だっ!誰だ!」

 

真ん中に開いた穴から、壁が崩れ落ちてきた。開かれた穴からは、打鉄でもリヴァイヴでもない。目の前にいるのは見た事の無いISであった。その操縦者も、ゴーグルとマスクで顔を覆っており、表情は一切読み取れない。

 

「なっ!なんだお前!!」

 

「・・・・・・」

 

「そのIS、まさか日本の第三世代か!?」

 

そのISは白色を基調としていた。唯一と言えるべき違う色は、両腕にある青色だけだ。両手の青色はまるで、蒼炎の様に焼き付いていた。

 

「・・・いや違う!日本の第三世代はつい先月辺りに発見された特異例の機体の筈だ!代表候補生の機体だって、そいつのせいで開発が止まってるはず」

 

そのISは再びナイフを投げつけようと構えた。

 

「う、動くなよ。人質の息の根を止められてほしくなけりゃなぁ」

 

その言葉に一瞬動きが硬直する。やがて静かにナイフを腰の部分に収める。リヴァイヴの銃口は人質達へと向けられていたが、ナイフが納められた後に、こちらへと向けられた。

 

「へへっ!死ねぇ!!」

 

その言葉と共に、謎のISに対しての集中砲火が行われた。鉛玉の雨霰はISに降り注ぎ、煙ですぐに見えなくなっていった。

 

「へへっ!やった!ザマァみやがれ!」

 

「・・・!!?」

「・・・!!?」

「・・・!!?」

 

煙が晴れてきた。そこには先程のISが、まるで何事もなかったかの様に、当たり前に立っていた。

 

「言われた通り、動かなかったぞ」

 

【maximum】

 

謎のISの乗り手の言葉が先か、直ぐに取り出したナイフがビームで蒼い炎を纏うが先か、次の瞬間には三機のISは簡単に吹き飛ばされていた。そして勢い良く壁へと叩きつけられる。

 

「馬鹿な!相手はたかが一人なのに!」

 

すると三人の内の一人が、青ざめた顔で何かを察した。

 

「こっ!こいつまさか、蒼炎の狩人なんじゃ!」

 

「蒼炎の狩人!?なんだそれ!?」

 

「ほら!巷の噂で聞いたことあるだろ!?謎のISを駆り、風のように現れ、風のように消えるISキラー!あの蒼い炎は、目に映る全てを焼き払う」

 

「ヤベェ!ISのエネルギーが切れちまう!」

 

テロリスト達のISのシールドエネルギーはもう枯渇していた。あと一撃加えれば強制解除されるだろう。

 

「ちっ!こうなったら人質を盾にして」

 

次の瞬間、再び蒼炎が三人に襲いかかった。今度はシールドエネルギーも完全になくなり、強制解除となった。敵のISが解除される直前、マスク野郎は三人のISに切りかかり、そこから何かを取り出していた。

 

ISが強制解除され、三人は地面へと倒れ伏す。人質達は先程の戦いをただ、ポカーンと口を開けて見ているだけだった。何が起きたのか、理解ができない。

 

するとマスク野郎は人質を見る事もなく、立ち去ろうとした。

 

「動くな!!」

 

すると謎のISが崩した壁から、何かがわらわらと湧いてきた。それは日本の自衛隊のIS部隊であった。

 

「テロリストを撃退し、人質を救出した手際には素直に称賛を送らせてもらうが、貴様はここまでだ!今ここは精鋭のIS部隊がいる!」

 

謎のISの周囲には第二世代ISの打鉄が包囲していた。しかし謎のISは全くの無反応である。

 

「ISの運用はアラスカ条約に乗っ取り、規定されている!所属不明のISを扱う貴様は規定違反だ!よってここに処罰する!」

 

「・・・国家権力の犬に用はない」

 

次の瞬間、謎のISは打鉄達に構う事なく上空へと飛び立っていった。

 

「待て!逃すな!あいつを捕らえろぉ!!」

 

直後、謎のISが去った方の壁が崩落し、瓦礫の山が形成された。これではISの追跡など出来るわけもない。レーダーで確認もとるが案の定、もう謎のISの姿は影も形もなくなっていた。

 

「くそっ!また逃げられたか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もいないと思わしき林道。謎のISはそこに降り立つ。すると近くにアイスクリームの車の移動販売店があった。そこから一人の男が顔を出す。

 

「ご活躍、お疲れさん。もうネットニュースで情報が上がってるぜ。蒼炎の狩人出現。人質の救出も、テロリストの撃退も、ロクな成果を挙げれなかった日本政府に批判集中ってな」

 

その言葉を聞きながら、ISを解除し操縦者がマスクとゴーグルを取り外す。そこから現れた一つの顔。右頬に目立つ黄色いマーカーの様な跡。

 

何より驚くのが、その人物の性別。そのIS操縦者は男であった。つい先月、男でありながらISを起動させた特異例が一人いる。織斑一夏。第一回モンド・グロッソ優勝者、あの初代ブリュンヒルデ、織斑千冬の弟。

 

男がISを起動させた事は瞬く間に全世界に報道された。女にしか扱えないISを男が起動させたのだ。驚くのが当然だろう。この二人以外は。

 

彼等二人にとって、世間などどうでも良かった。ただ、己の目的の為に生きる二人にとっては。

 

「今回の連中は極東赤軍。唯のテロリストでした。成果はこれだけ」

 

地面に何かが落とされた。それは先程、三人のISから強奪したコアでたる。ISの心臓部分であり、その総数は世界に467個しかない。しかも世間では未だに、このコアのブラックボックスの解明もできていない為、数を増やしてのIS量産もできない。

 

このコアの開発者は、天才の一言に尽きるだろう。

 

「成る程。極東赤軍か。連中は革命家を気取るくせにやってる事は今の女尊男卑の過激思想。まぁ、テロリストに変わらないがな」

 

「・・・で、悪いが、ネット上の俺が仕掛けた闇取引のトラップに引っかかった奴がいる。今夜12時。この埠頭に行ってくれ。そこでISのパーツの闇売買が行われている」

 

「そうか。時間になったら起こしてくれ」

 

そう言うと男は、アイスクリーム車の車内で横になる。仮眠を取ろうと寝始めたのだ。すると寝る直前、協力者の言葉が聞こえてきた。

 

「今度こそ、俺たちの追っている連中かもしれねぇ」

 

「あぁ。そうだな・・・」

 

それだけ言うと男は目を閉じ、眠り始めた。

 





オリ主と協力者、そしてオリジナルISの名称については、次回辺りに明らかになります。

そして次回、遂に一夏達原作キャラの登場です!
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