インフィニット・ストラトス 蒼炎の炎   作:クロスボーンズ

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第11話 トーナメント一回戦 開始!

 

遂に試合時間となった。アリーナの中央フィールド。ここに四人のIS乗りが集う。

 

「一戦目で当たるとはな、待つ手間が省けたと言うものだ」

 

「そりゃあ何よりだ。こっちも同じ気持ちだぜ

 

「織斑一夏。それにシャルル・デュノア。この様な対戦カードとなった事は、俺としては遺憾だ。だがこれが闘いである以上、そこに一切の手は抜かん」

 

「うん。僕も全力で闘う。いいバトルにしようか」

 

人々が見守る中で、戦いの火蓋は切って落とされようとしていた。

 

「「・・・叩きのめす!!」」

 

スタートの合図と同時に一夏が先手で突っ込んできた。ラウラがAICを展開し、一夏の動きを封じる。

 

「開幕直後の先制攻撃。貴様の行動は分かり易いな」

 

「そりゃあどうも。以心伝心で何よりだ」

 

「直ぐに勝負をつけてやろう」

 

大型レールカノンが一夏へと向かられた。AICの拘束状態の一夏に当てるなど、造作もない行為である。

 

しかし一夏に焦りの表情はない。

 

「目の前の俺に集中しすぎだぜ」

 

一夏の背後からシャルルが登場。その手に握ったライフルを発砲する。流石に直撃する訳にもいかず、ラウラは回避する。それによりAICも解除され、一夏は再び自由の身となる。

 

距離を取ろうとするラウラに、逃がすまいとシャルルが銃弾を放つが、それをユーゴのジョーカーのマントで銃弾などを受け止め、一気にシャルルに接近戦を仕掛ける。

 

「こちらの間合いに持ち込めば!」

 

「シャルル!」

 

間に割り込む形で、雪平弐型とファストナイフが鍔迫り合う。互いに全力でぶつかり合う為に、どちらにも押されず膠着状態となる。

 

背後に待機しているシャルルが、両手にアサルトライフル構える。ユーゴも即座に空いてる手でビームシールドを展開し、来るであろう一斉射撃に備えた。

 

するとジョーカーの足首にワイヤーが絡まり、宙に放り出される。

 

「お前!何のつもりだ!!」

 

次の瞬間、ラウラはユーゴを一夏達目掛けて放り投げた。二人がジャンプした事で回避され、ユーゴは地面に叩きつけられる。

 

「言ったはずだ。邪魔をするなと」

 

「この野郎・・・」

 

「一夏さんとデュノアさんは、個人の力ではあの二人には及んでいません。ですが、お互いに相手補い合う様に闘っています」

 

「その一方で、ユーゴとボーデヴィッヒの二人は、個の力だけを信じて動いてる。チームワークもなくて、まるで互いを敵視してるみたい」

 

「一夏とシャルロットは二人で一人と闘っている事になる。そうなれば当然、手数の利点で一夏達が有利となる」

 

観客席で観戦しているセシリアと鈴。そして女子更衣室から観戦している箒。それぞれがこの戦いを分析している。それはアリーナのコントロール室でも行われており、この戦闘を解析する山田先生と、織斑先生がいた。

 

「ち、ちょっと!白銀君とボーデヴィッヒさんの二人の闘い方。ちょっと滅茶苦茶で乱暴すぎじゃないですかね?」

 

「あぁ。チームワークも何も無い。ただ互いを都合よく利用し合っているだけの関係。ラウラは元々、チームプレーなど、そういうのが苦手な奴だ」

 

「そしてユーゴはラウラとの例の一件のトラブルがあった。その時の関係悪化をこの闘いでも意識してしまっている。だからこそ、互いにパートナーの力に頼ろうとしない」

 

「つまり白銀君とボーデヴィッヒさんにとって、この戦いは実質2対1対1。この様な盤面になってるんですね」

 

「それだけではない。二人はAICの致命的な弱点に気づいたのだ」

 

「致命的な弱点?」

 

「AICは対象の物体の慣性を停止させる。それ故、対象の物体に全神経を注ぎ込まねばならない。本来一対一ならそれも可能では有るが、今はチーム戦だ。しかも連携はボロボロ。だからこそ効力は薄いんだ」

 

「二人がそこに気づくとは、流石ですね」

 

「まぁ、これくらい気づいて当然だろうがな」

 

その後ラウラは、ワイヤーブレードを使い一夏を集中的に追い詰めようとするも、なかなか試合の流れが掴めずにいた。そしてユーゴはシャルルとの戦闘、一夏への援護をさせないようにしていた。

 

「君の戦いたかった相手じゃなくてごめんね」

 

「あぁ。だから憂さ晴らしに付き合ってもらう!」

 

互いに相手への精神攻撃を欠かさない。銃弾などを受け止めるが、遂にマントの一部に穴が開かれた。マントはもう使用限界だ。これまでの様に受け止めながら有利な間合いに持ち込む闘いが出来なくなる。

 

「こうなったら、こい!」

 

パッケージから量子化した弓矢を取り出した。エネルギーの矢を装填し、構えを取る。

 

「何!?弓矢だと!?」

 

これまでユーゴの使って無かった兵装の登場に、一夏とシャルルが警戒し、身構える。すると突然弓を一夏達にではなく天へと向けた。

 

「降り注げ!矢の雨!!!」

 

エネルギーの矢が上空へと放たれた。少し上昇した後、矢は細かく分裂。無数の矢となり、地上へと勢いよく降り注いだ。

 

「なっ!なんて数だ!」

 

これにより三人のISのシールドエネルギーを一気に抉りとってゆく。ユーゴはビームシールドや矢の雨の降り注がない箇所に退避する事で、損傷なく動いている。

 

ラウラとて例外ではなく、矢の雨の餌食となる。

 

「くっ!貴様・・・」

 

「言ったはずだ。デカいだけのデブリが何をしようと、どうなろうと、俺の闘いには関係ない!」

 

「二人とも、闘い中に仲間割れなんかしてる暇はないよ!」

 

先程の攻撃から一夏達は既に立ち直っていた。白式は零落白夜を発動しており、上空へと飛び立ち、ラウラ目掛けて振り下ろした。咄嗟にラウラはそれを避ける。

 

一夏は再び飛び上がり距離を取ろうとするも、そのカウンターの一撃として、プラズマ手刀が、命中した事より、地へと落下してゆく。

 

「立ち直りの手間がかかるはず!貰っ・・・!?」

 

一夏への追撃をかけようとするユーゴを、シャルルが物凄い勢いで機体を加速させてタックルする。それによりジョーカーは壁際へと吹き飛ばされた。そのままアサルトライフルでラウラへの銃撃を開始する。銃弾に鉛玉の雨霰がラウラに降り注ぐ。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)!?そんなデータは!」

 

「ないだろうね。だって今はじめて使ったんだから!」

 

「だが!所詮は実弾兵器!ならば停止結界で・・・!?」

 

背後から銃撃された。本来なら予想できない攻撃。こちらもデータにはない攻撃。データに無い、一夏の白式がシャルルの銃を持っている。

 

「あれは、シャルルのアサルトライフル!」

 

「一夏さんが使える様に、解除して、渡してらしたのですね!」

 

「このっ、死に損ないがぁ!!」

 

「何処を見てるの?この距離なら外さない!!」

 

一夏をワイヤーブレードで突き飛ばすのには成功するも、それに集中しすぎた為に完全に意識外から現れたシャルルへの対応が遅れた。

 

「シールドピアース!!?」

 

左腕のパイルバンカーの様に撃ち込まれた一撃により、ラウラは勢いよく壁際へと吹き飛ばされる。

 

そしてユーゴと一夏の方は、再び雪平弐型とファストナイフが鍔迫り合っている。

 

今度は零落白夜とエネルギーを纏ったファストナイフのぶつかり合いから、先程よりも激しい衝突となっている。この膠着状態から一向に動かない。

 

つまり、今のラウラを援護する事も出来ない訳だ。

 

何度も撃ち込まれるシールドピアースにより、シュヴァルツェア・レーゲンのシールドエネルギーはどんどん削られてゆく。ユーゴが援護する事ができない為、観客達の誰もがラウラの敗北を確信していた。

 

(負けるだと!?この私が!!・・・負けられないんだ!!私は!負ける訳には!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遺伝子強化体C-0037。今から、君の新たな識別記号はラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

(その呼ばれ方が、私が私であると自覚した時だった。私はただ戦いの為に造られた。産まれ、育てられ、鍛えられた)

 

(私は優秀だった。あらゆる面で誰よりも、最高レベルを維持し続けた・・・しかしそれは、世界最強の兵器、ISの出現までだった)

 

(直ちに私にも適合性向上の為に、肉眼へのナノマシンの移植手術が行われた)

 

(・・・しかし私の身体は適応しきれなかった。その結果、出来損ないの烙印を押された)

 

周囲からの言葉や視線も、目に見える程に冷たくなった。

 

(おい聞いたか?あいつ、ISの適合率上げる為の越界の瞳の移植手術。適合できなかったらしいぜ)

 

(マジでか?確かAA(ダブルエー)の移植手術は、そもそも受ける事すら出来なかっただろ?それなのにそっちの手術もダメだなんて、あいつ、もう終わりだな)

 

(結局のところ、出来損ないの失敗作って事じゃないの?)

 

私は自分自身に絶望していた。

 

そんな時立った。あの人に出会ったのだ。彼女は極めて有能な教官だった。私はIS専門の部隊で、再び最強の座に君臨した。

 

そしてある日、私はあの人に聞いた。

 

「どうしてそこまで強いのですか?どうすれば強くなれますか?」

 

「私には弟がいる」

 

微笑みながら彼女は答える。

 

・・・違う。違う。違う!

 

(どうして、そんな優しい顔をするのですか!?私が憧れるあなたは、強く、凛々しく、堂々としているのに・・・!)

 

(・・・だから、許せない。教官をそんなに風に変える男を!そして私の汚点とも言えるAA。これの適合手術に成功した、あの男が!!)

 

力が欲しい。誰にも負けない、最強の力が。

 

【願うか?汝、より強い力を欲するか?】

 

その声は、地の底深くから発せられる、憎しみを囁く悪魔の声であった。

 

「寄越せ・・・力を!比類なき最強を!!」

 

眼帯がポロリと外れる。その金色をした左目に色々な英語が羅列された。そして最後に、この単語が映し出された。

 

Valkyrie Trace System(ヴァルキュリー・トレース・システム)

 

「ウウウウッ・・・アアアアアアアアアアアアッ!!!!!

 

ラウラの悲鳴にも似た叫びが、アリーナ中に木霊した。

 

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