インフィニット・ストラトス 蒼炎の炎   作:クロスボーンズ

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第15話 久しぶりの街へ

 

日曜日である。昨日ようやく1年1組のクラスの修復が完了。特にユーゴと一夏に至っては、貴重な男手という事もあり、かなりの労働をさせられた。その為に眠れたのもかなり夜遅くであった。

 

そしてユーゴは現在、ベットの上で絶賛爆睡中だ。

 

シャルル、いやシャルロットが女の子だと皆に発覚し、当然の如く三人部屋は解消され、今は一夏とユーゴの二人部屋となっている。そう、シャルルの使っていたベットが空いたのだ。

 

寮のベット、それは彼がこれまで寝てきた寝袋や硬いマットレスとはまるで違う。弾力のあるふわふわとした暖かさに、掛け布団。全てがユーゴにとっては初めての感触であり、極楽であった。

 

(マジで柔らけぇんだな。布団って・・・)

 

僅かに目覚めた意識で、ぼーっとしながら寝返りをうとうとした時、身体に何かがぶつかり、動きづらい。

 

(あれ?身体、何かにぶつかってんな。あんまり動けねぇ・・・ん?)

 

ふと、身体に妙な温かみがある事に気がつく。背骨あたりに硬くて丸い何かが。腰には手のような感触が・・というか誰かの身体が自分の身体に密着している。第六感が何かを伝えている。

 

何とか寝返りを打ち寝ぼけ眼を全開にして確認する。何とそこには、ほぼ産まれたての姿をしたラウラが、ユーゴ抱き枕の様にして寝ていた。太陽の光など浴びなくとも、脳が活性化された。

 

「うおっ!!」

 

余りの驚きに強引にホールドから抜けて飛び起き、ナイフを取り出す体勢を取る。すると強引に離れた際の振動か、ラウラの方も目覚めた。

 

「なんだ。もう朝か?」

 

「ラウラ!一体何してんだ!?てか、どうやって入った!?あと、何で裸!?」

 

「何を言っている?夫婦とは包み隠さぬものだと聞いたが?何よりお前は私の嫁だ。当然だろう?」

 

「寝ぼけてるのか!?それとも誰かに何かされたのか!?」

 

「心配するな。私は正常だ。私の意思でやっている」

 

「・・・なら、この際はっきり聞くけど、その嫁ってのは一体何だ?」

 

「知らないのか?日本では、気に入った相手を嫁として認める。これは日本文化の中でも、深く根付いているらしい。私はそう聞いたぞ?」

 

こうして日本は世界から誤解されてゆくのだ。

 

「成る程。とりあえずその間違った知識を教えた奴は見つけたら粛清してやるか」

 

ここで閲覧者の皆さんに断っておくが、決してユーゴは女より男の方が良いとか、そういうわけではない。そこら辺の持つ感性は、世にいる大多数の人間と差異はない。

 

では何故か。それは彼自身がこういう事に不慣れなのだ。元々対人関係に難があった性格の為、人ともあまり関わろうとしなかった。その為、ここまで突然ぐいぐい来る様な事態に関わった事がない。

 

故に対処の仕方もわからずにとても困惑している。え?慣れてる方がおかしいって?細けぇ事はいいんだよ!

 

「よし。では朝のストレッチを始めるぞ」

 

次の瞬間、ベットから放り出され、寝技を決め込まれた。痛みにより必死にもがき、何とか一瞬の隙を見つけ、自分の体制を立て直す。

 

「流石は私が嫁と見込んだだけの事はある。私のドイツ仕込みの寝技をから抜け出し、立ち上がるとはな」

 

「まぁな。身体を使う事には俺自身、結構慣れている。てか、結構痛えな」

 

「よし。ならばここは一つ模擬戦をしようではないか。目覚めには丁度良いだろう」

 

「・・・分かったよ。受ける」

 

こうなっては間違いなく堂々巡りだ。ならいっそ相手をして、満足してもらって帰ってもらうに越したことは無い。それからはお互いにプロレス試合へと流れ込んだ。

 

数分間取っ組み合った後、勝負は決した。ユーゴの勝利だ。

 

「はあっ。はあっ。マウントを取った!俺の勝ちだな!」

 

「くっ!私の負けだ。さぁ私を好きな様にするが良い」

 

「・・・は?何言ってんの?」

 

流石に予想外の言葉に、どう反応すれば良いか困っている。

 

「どうした?お前は戦いに勝ったのだ。勝者は敗者を好きなようにする権利があるのだぞ?」

 

「どこで習ったそんな知識!?」

 

何でそうなった。勝者が敗者を好きにできるとは・・・良くあるカードゲームの販売促進アニメの見過ぎだろうか?

 

「おいユーゴ!!おっ、おっ、おっ!お前何してんだ!」

 

見ると一夏が先程の騒動で起きていた。ここでユーゴがラウラの状況を思い出す。慌ててラウラの方を見る。目の前に裸の女子がいる。その上に跨る自分。何も知らない人間が見たら、絵面的に完全にアウトだ。

 

するとラウラはマウントから抜け出し、一夏に対して先程と同じ寝技を決め込んできた。

 

「痛ててて!ラウラ!ギブギブ!!ロープ!!」

 

「織斑一夏!この裸は貴様に見せるためではない!!その目を潰せ!」

 

潰せって言ったぞこいつ!つむれじゃなくて潰せって言ったぞ!てかそもそも!高校生という麗しの乙女の癖に、裸なんて見せんじゃねぇよ!

 

【コンコン】

 

「おい一夏よ!起きているのか?日曜だからといい、怠けては腕が鈍るぞ!朝稽古を始め・・・」

 

おや?不安な流れだ。躊躇いなく箒が部屋の中に入って来た。当然の如く、箒の目に今の現状が映り込んだ。

 

今の一夏の状況。これは誤解されますわぁ。

 

「一夏ァ!なにを・・・何をしている!」

 

「私の裸を見たので、記憶から消させようとしているのだ」.

 

「なっ!?なん・・・だと!?」

 

あまりの驚きのあまり、手にした竹刀が床へと落ちる。

 

「ちっ、違うぞ箒!!これは違う!・・・そうだ!ユーゴ!お前から箒に説明してやってくれ!なっ!ユーゴ!」

 

既にユーゴはその場から逃げていた。さっきの箒の迫力の前には、抵抗の気すら起きない。

 

「ラウラよ。少し、部屋を後にもらえないか?この愚か者には、私から裁きを与えよう」

 

「うむ。そうか。では頼んだぞ」

 

ラウラが部屋を後にする。これでこの部屋には箒を止める者は誰もいない。鬼神の如き威圧感。今この瞬間だけなら、完全に向かう所敵無しである。

 

「待て落ち着け箒!話せば分かる!話せば分かる!」

 

「天誅!!!」

 

無慈悲に振り下ろされる竹刀。日曜の朝。まだ寝ている人も多くいる寮の中で、とびきりの一夏の悲鳴が響き渡ったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、日曜日ということで今日は学校はお休み。生徒達は思い思いの自由を楽しんでいた。ユーゴは今度行われる臨海学校の際、水着を持ってこいと言われた為、それの調達の為に街へと繰り出していた。

 

(久しぶりにIS学園の外に出たな・・・)

 

「ユーゴよ。奇遇だな」

 

ふと名前が呼ばれたので顔を前に向ける。すると目の前にはラウラがいた。

 

「ラウラ。お前も街に用事か?」

 

「あぁ。教官から今度の臨海学校までに水着を持ってこいと命令された。その為、水着の補給を行う為に街へと繰り出すのだ」

 

その後、目星をつけていた店も同じである為、とりあえず一緒に行動する事になったらしい。

 

モノレールが駅に止まり、二人が降車する。するとホームの自動販売機の影に、知ってる二人の背中があった。セシリアと鈴だ。

 

「セシリア。それに鈴。お前達なにやってんだ・・・って、うぉっ!」

 

振り返ってきた二人の目には、これっぽっちの生気もこもっていない、まるで死んだ魚の様な目をしているではないか。すると鈴が言ってきた。

 

「・・・ねぇあんた。あれ、見てよ」

 

何かと思い、物陰から顔を覗かせ様子を伺う。すると一夏とシャルルの背中が見えた。二人は楽しそうに話しているではないか。

 

「一夏とシャルルだな。楽しそうに話してるじゃねぇか」

 

「問題はその下です。あれ、手、繋いでますわよね?」

 

よく見ると一夏とシャルルは手を握っている。一夏は何とも思ってないが、シャルルは満更でもない、というか結構満足気である。

 

「繋いでるな。まぁ、確かに」

 

「そっか。ユーゴにも見えるって事は、やっぱりあれ、握ってるのか。見間違いでも、白昼夢でもなく・・・やっぱりそっか・・・

 

「よし殺そう!!!」

 

鈴が甲龍の右腕だけを展開する。やりすぎだ。

 

「ふん。つまらない事で悩んでいるな。そもそも、そんなに不安なら、二人の間に混ざれば良いではないか」

 

「それが出来たら苦労しないわよ!!」

 

そんな話をしていると、セシリアがポカンとした表情でこちらを見ていた。

 

「何だセシリア?俺の顔になんかついてるか?」

 

「いえ、ただあなた方、随分雰囲気が変わりましたわね」

 

「それは思ったわ。以前のあんた達は、何かこことは別世界の存在な風で。何処かとっつきにくい印象だったけど、随分と丸くなったわね・・・って!いけない!」

 

そう言っている間に、二人の姿は人混みに紛れ、見失いそうになっていた。

 

「見失ってたまるもんですか!とにかく!ここであったのも何かの縁よ!あんた達もあいつらの尾行についてきなさい!」

 

「いやいや。そもそも後をつけて、何すんだよ」

 

「決まってるのじゃない!いい所で邪魔するのよ!」

 

「そうですわ!早く手を打たないと、シャルロットさんに先を超されてしまいますわ!お二人もご一緒に来てください!」

 

こうして鈴とセシリアに強引に押し切られる形で、ユーゴとラウラは行動を共にする事となった。だが運が良い事に、二人が入った店は、丁度目星をつけていた店であった。

 

「いいユーゴ!あんた達は向こうを探しなさい!アタシ達はこっちを探すから」

 

そう言うと二人は店内の奥にどんどん進んでいった。

 

「まぁ、後はあの二人が解決するだろ。こっちはこっちの用事を済ませちまおうぜ」

 

「賛同だな。水着ごとき、とっとと選んでしまおう」

 

水着そのものが男性者と女性者用に分かれている為、ラウラとも一旦、分かれた。ラウラ側は、次回覗いてみる事にして、今回はユーゴ側を覗いてみよう。

 

(水着ねぇ。俺にはどれもこれも、似た様なもんだと思うけどなぁ)

 

セール中と貼られたワゴンの中から色々と物色するユーゴ。ふと、前を見ると、ここでも知っている人間の背中が見えた。しかも外であってそこまで嬉しくない人だ。

 

「あれ?織斑先生に山田先生。二人とも、何してるんです?」

 

「あぁ、白銀君。私達も水着を選びに来たんですよ」

 

「私は、山田先生の付き添いだ」

 

「付き添いって・・・そもそもここ」

 

「何も言うな白銀。言いたい事は分かっている」

 

最初はいい歳して何をと思ったが、直ぐにそれは訂正された。今自分のいる場所は男の水着売場である。本来山田先生達が来るスペースではない。

 

織斑先生の顔を覗くと、やれやれと言った顔をしている。どうやら山田先生は、水着などは店にある全部を実際に見てから決めたい人らしい。だからって女性が男物の水着を物色するのは、如何なものか。

 

「まぁその、いい水着が見つかるといいですね。すいません。これとこれでいいや。試着室お借りします」

 

「どうぞー」

 

【シャッ】

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

つい最近、これと似たような事をした記憶がある。確か大浴場でだ。デジャブとはこの事か。一つの試着室の中で、一夏とシャルルが一緒にいた。しかもシャルルは水着を試着ている。

 

狭い試着室の中に男女が入っている。その姿は、背後に偶然いた織斑先生と山田先生にもばっちりと見られていた。山田先生の顔が赤く染まる。

 

「・・・・・・失礼」

 

ユーゴがそう言うとカーテンを何事もなかったかの様に閉める。勿論、直ぐに織斑先生が全開に開け放ったのだが。

 

「何をしている・・・?」

 

 

 

 

 

 

そして現在、一夏とシャルルはIS学園の制服で店の床に正座をして、山田先生のお説教を受けていた。店にとっても迷惑である。

 

「いいですか二人とも!いくらクラスメイトとはいえ、ケジメはつけなければいけません!試着室に男女が一緒に入るなんて、駄目です!!」

 

「ちょっとユーゴ。あれ何よ?」

 

鈴とセシリアがこちらの騒ぎに気づき、合流してきた。物陰から先生方二人を指さすと、セシリア達は納得した。

 

「そういえば、ラウラは?」

 

「あぁ。ラウラなら見かけたけど、なんか緊急事態発生とか言って店の外に出たわよ」

 

「緊急事態・・・ねぇ」

 

こうしてユーゴは、山田先生のお説教が聞こえる試着室の中で、水着の試着を開始した。

 

なお、結果は無難なメ●ズの海パンに決定したらしい。

 

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