インフィニット・ストラトス 蒼炎の炎   作:クロスボーンズ

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第17話 臨海学校での再会

 

 

【ガラッ!】

 

扉が壊れてもおかしくない勢いで開け放たれる。学園などでなければ間違いなく扉を蹴飛ばしていただろう。

 

「来たか」

 

「・・・ちっ!」

 

いる。目の前にはスーツを着込んだ嫌な奴がいる。嫌がらせの様に聞こえる舌打ちをした後、椅子に腰掛ける。その背後には織斑先生達が、扉の向こう側では一夏達が聞き耳を立てている。

 

「・・・何しにきた。宇宙人総理」

 

「山鳩総理だ。知ってる人から怒られるぞ」

 

「何でもいい。何しに来たかって聞いてんだよ」

 

ユーゴは総理に一切目もくれずに、座っていた。その手は腰周りへと少し伸ばしている。

 

「では簡潔に話しましょう。白銀ユーゴ。お前に傷害の容疑がかけられている。その件に関して、任意で事情を聞かせてもらおう」

 

「失礼ですが、この学園の生徒に対してその様な干渉は、アラスカ条約で禁止されているはずですが?」

 

「・・・確かにIS学園にはその様な規定が定められている。だがそれはIS学園内での問題に対してであって、彼がIS学園の外で問題を起こしたのなら話は別だ」

 

「まず白銀君。初めに聞きたいことがある。君は、蒼炎の狩人という犯罪者を知っているかな?」

 

一瞬ユーゴの身体が硬直する。直ぐにそれを元に戻す。

 

「・・・聞いたことはあります」

 

ユーゴは一切表情も声色も変える事なく、当たり前の会話のように答える。その心中は決して穏やかなものではない中で。

 

「巷で噂されるテロリストだが、最近の活動などが音沙汰が突然なくなってね。最後にこちらで確認されたのが、以前この学園が謎のISに襲撃された時なんだ」

 

「犯罪が無くなるのは良い事じゃないですか」

 

「そういえば君のISは、多少の違いこそ見られるが、蒼炎の狩人の使っていたISによく似ているね。マントがある点以外はそっくりだ。そういえば君がこの学校に来たのは、その事件があったすぐ後だったよね?」

 

「・・・・・・・・偶然です」

 

「便利だよね。偶然って。その一言でこの世の全てが片付けられたらいいのに」

 

「・・・次にだ。最近、一つのISパーツの密売組織が壊滅した。そして彼等の所持品などを検閲した際に、この様な写真が出たのだよ。話を聞くにこの写真は、以前蒼炎の狩人によって襲撃された際、偶然撮った一枚と言っていたよ」

 

「百聞は一見にしかず。これを見てほしい」

 

そこに置かれた写真。それはフードを被った人物が、ボスと思われる人物を締め上げている際の写真であった。顔こそ隠れて見えないが、頬などの下部分は何とか見れる状態である。

 

横目で見たそれには、頬にある黄色いラインがよく写っていた。

 

(これは、俺が以前潰した裏の売人達か)

 

わからない人は第一話を読み返してみよう!この写真のアングルから見るに、近くに倒れていた部下の一人が偶然撮ったのだろう。

 

「この頬にある刺青の様な痕。黄色で特徴的ですね。そう言えば、君にも良く似た痕がよく似た場所に刻印されてますね。その服、フードもついていらっしゃる。よければつけてみなさい。似合うと思いますよ。写真の人物みたいに」

 

「・・・・・・・・・」

 

「今度は偶然と言わないのかい?」

 

「つまり刑事さん達は俺が、蒼炎の狩人って言いたい訳?」

 

「よくわかっているじゃないか。一体お前の身体、どれ程の錆や埃が出てくるか。是非、詳しく調べたいものだな」

 

警官がユーゴの手を掴む。しかしその手はあっさり払い除けられた。

 

「待てよ。さっきの話で証明されたのは、あくまで俺と蒼炎の狩人がよく似ているという内容だけだ。それじゃあ俺が蒼炎の狩人である決定的な証拠にはならない筈だ」

 

「それを確かめる為に貴様を拘束すると言っているのだ」

 

「ち、ちょっと警官さん!そこまでしなくても!」

 

「無駄ですよ。山田先生」

 

周囲の警官が立ち上がり、ユーゴの周囲を包囲した。その手には拳銃が握られており、銃口はユーゴへと向けられている。山田先生が止めようとするも、ユーゴがそれを静止させた。

 

「やってみろよ。でもやったら最後、ここから無傷で帰れると思うなよ」

 

「馬鹿者共め。両方共に落ち着け」

 

すると織斑先生が話に入ってきた。的確なアシストである。これ以上続いていれば最悪血が流れた可能性だってある。

 

「警官の方々。申し訳ありませんが、本日はお引き取りください。そちらの要件に関しては理解しました。こちらでも彼にこの件を聞いてみます。ここはお引き取りを」

 

「教員などに用はない!我々は白銀ユーゴ容疑者に・・・」

 

「これ以上確かな証拠もない中で、私の生徒を疑うのでしたら、アラスカ条約違反という事もあり、この件を上層部で取り扱わねばなりません。その事は、当然ご存知ですね」

 

「・・・くっ!」

 

流石に国際問題になれば、自身の立場や信頼などにも影響が出る。

 

「分かりました。本日はお引き取りしましょう。ですが白銀君。これだけは言っておきます。君の事を不審に思う存在は、数多くいるんですよ。精々気をつけるんですね」

 

一応あくまで任意の事情聴取である為、本人が断ってる以上踏み込む事が許されなくなってしまった。

 

「では我々はこれで。また会いましょうか。白銀ユーゴ君」

 

「・・・てめえまで来る必要があったのかよ。お偉い総理大臣さまがよ」

 

「・・・何。久しぶりに君の元気な姿が見たくなったのだよ。ずいぶん大きく元気になって・・・健やかな育ちに安心したよ」

 

一見相手を気遣うその言葉。僅かながら緩んだユーゴの警戒心。だが次の言葉が、ユーゴの中の怒りのマグマを一気に噴火させた。

 

「ところで、ご家族やお友達の方々は元気かな?たまには顔を出してみたらどうかな?」

 

【ガバッ!】

 

「やめろユーゴ!!」

 

織斑先生がユーゴの腕を強く掴む。彼の腕は腰に備えたナイフへと伸びており、今にも取り出そうとしていた。その力は織斑先生が全力で掴まなければ、すぐに振り解ける程であった。

 

ユーゴが憎々しげに相手を睨みつける。相手は全く意に介してないらしいが。

 

「では本日はこれで。また会う機会がありましたら、その時までさようなら」

 

「その汚いツラを二度と俺の前に出すな。もし出したら・・・ぶち殺す・・・」

 

総理の背中を憎々しげに睨みつける。そして一夏達が慌てて近くの室内に隠れる。少しして、総理大臣と警官達は帰っていった。ユーゴは総理達が部屋から出るなり、走ってその場を後にした。その日、彼が部屋へと戻る事はなかった。

 

 

 

それから時間は流れ、遂に念願のあの日がやって来た。

 

「青い海!」

 

「白い砂浜!」

 

「輝く太陽!」

 

「「「海だぁ!!!」」」

 

臨海学校当日、初日は自由行動であり、生徒達は思い思いに海めがけて駆け出していた。

 

「今は11時です。夕方までは自由行動、夕食までには旅館に戻ること!良いですね!?」

 

「「「はーーーい」」」

 

山田先生の返事に二つ返事で答える生徒達。楽しみを前にお預けにされては堪らない。

 

「ねぇおりむー。私達と一緒に遊ぼ~?」

 

「ビーチバレーしようよ」

 

クラスメイトからのお誘い。

 

「いいぜ。何処でや・・・」

 

「おおーっ!高い高ーい!遠くまでよ〜く見えるわよ!」

 

鈴が一夏に飛びかかり、おんぶするような形となった。一夏が振り解こうとするも、しがみついて離れようとしない。

 

「なっ!何をしていらっしゃいますの!?」

 

するとそこへセシリアがやって来た。手にはビーチパラソルとバックを抱えている。

 

「見れば分かるでしょう?移動監視塔ごっこよ」

 

「一夏さん!ここに来る前に約束したことをお忘れですか!?」

 

そう言うとセシリアはビーチパラソルを砂浜に差し込み、マットを敷いて横たわる。その隣には、何かしらの容器を置いて。

 

「さぁ一夏さん。お願いしますわ」

 

「アンタこそ!一夏に何させる気よ!」

 

「見ての通り、サンオイルを塗って頂くのですわ」

 

「なっ!なんだってぇ!!」

 

サンオイルを塗る。コレは合法的にJKの生肌に触れる事が出来る。一夏自身も、バスの中で約束してた以上、断るわけにもいかない。

 

「わかったよ・・・」

 

観念したらしく、サンオイルのボトルを手に取る。一夏が手にサンオイルを塗って、セシリアの腰に恐る恐る触れる。するとセシリアの身体が突然跳ねた。

 

「きゃ!?」

 

「うおっ!どうした!?」

 

「一夏さん。せめて手で温めてから塗って下さいな!」

 

「わっ、悪い。こういうことするの初めてなもんで・・・これくらいでいいか?」

 

手の中でこねくり回したジェルを付着させる。今度は跳ねずにゆったりと寛いでいるあたり、丁度良い温度らしい。時々セシリアから喘ぎ声のような息遣いが聞こえてくる。

 

「うわぁ・・・気持ち良さそう」

 

「こっちまでドキドキしちゃう」

 

この作品は健全です。やがて一夏は一通り背中にオイルを塗り終えた。

 

「さてと。背中だけでいいんだよな」

 

「あの。その・・・せっかくですし、足とお尻も、お願いしたいのですが」

 

「・・・ええっ!?」

 

「そういう事なら!アタシがやってあげるよ!!」

 

そう言うと鈴がくすぐりを開始した。マットの上を転がるセシリアだが、その最中なんと水着の上部分が取れてしまった。

 

「キャァァァッ!!!」

 

腕だけISを展開したセシリアが反射的に殴りかかる。咄嗟に一夏が避けたその拳は背後の鈴に命中し、ブイのある沖合へと吹き飛ばされた。

 

「ちょ!鈴!!」

 

慌てて一夏が海に飛び込み、鈴を回収しに泳ぎに行く。鈴を抱えると、陸地へと戻ってきた。

 

「鈴!大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫よ。問題ない」

 

事故とはいえ碌に準備運動せずに海の中へと突っ込んだのだ。身体の一部が攣ってもおかしくはない。

 

「すいません鈴さん!ここは私が責任を持って!ホテルまでお連れしますわ!!鷹月さんもお手伝いください!」

 

「ええっ!わかったわ!」

 

そう言い両側からがっちりと腕を掴む。鈴はジタバタ抵抗しているが効果は薄い。

 

「ちょっと!アタシは本当に大丈夫だってちょっと!腕離して!ちょっ!助けて一夏!一夏ァ!!」

 

こうして鈴はセシリアと鷹月さんの二人によって強制連行されて行った。それを一夏は呆気に取られながら見ていた。

 

「・・・まぁ、あれだけ元気なら大丈夫だな」

 

「あぁ一夏!ここにいたんだ」

 

「おっ、シャル・・・っ!?」

 

声のした方にシャルルはいた。試着室で着ていた水着を身につけている。だが一夏が驚いた原因はその隣だ。シャルルの隣にミイラのお化けが立っているではないか

 

「なんだ!そのバスタオルお化けは!?」

 

「・・・ねぇ一夏。それよりユーゴは?一緒じゃないの?」

 

「いや、ユーゴならここについて直ぐにどっか消えたぜ。旅行鞄を宿にも入れずに背負ってさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ユーゴは海の家で時計を見ながら何かを待っていた。やがてその長針と短針が12時に重なり合った。

 

すると近くの砂浜にアイスクリームの販売車両が訪れた。それを見たユーゴはバックを背負い直して駆け出し、カウンターに乗り込んで一言。

 

「すいません!バニラとチョコのダブル下さい!」

 

「・・・ふっ!」

 

すると店員は失笑したかと思うと元気よく返事をした。

 

「分かりました!バニラとチョコのダブルですね!・・・なーんてな。久しぶりだな。ユーゴ」

 

「こうして会うのは久しぶりですね。如月さん」

 

その日、ユーゴはあの出来事以来久しぶりに笑った。心の底から信用できるこの人に出会えた事で。

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