インフィニット・ストラトス 蒼炎の炎   作:クロスボーンズ

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第25話 リベンジ!VS福音戦! 前編

 

 

箒達が戦闘をしている事。それは島の司令部にも届いていた。山鳩が慌てて司令部に駆け込んできた。

 

「福音が発見されただと!?」

 

「えぇ。現在、動ける専用機持ちが対処に当たっています」

 

「ふざけるな!命令違反だぞ!直ぐに戻させろ!プロメテウスを向かわせれば済む話だ!」

 

「いいえ、このまま戦闘を続けさせます」

 

「言ったはずだ!これは我々が対処するべき問題であり、専用機持ちの力は借りんと!!」

 

「我々は上層部から作戦中止の命令を受けていない!よってまだ、我々の作戦は継続しています!」

 

織斑先生と山鳩総理の睨み合い。両方ともに一歩も引き下がろうとはしていなかったが、やがて山鳩が根負けし、視線を逸らした。

 

「もしまた失敗してみろ!この事をIS学園の上層部に報告させてもらうぞ!!」

 

「ご自由に」

 

「フン!プロメテウスはいつでも出せるようにしておけ!では見せてもらおうではないか。専用気持ちの強さとやらを・・・」

 

司令部にいる全員が、5人の戦いに注目した。

 

 

 

戦場にて。福音にレールガンは命中したが、それだけでは倒せない。

 

爆炎が引いた時、その場に福音は何事もなかったかの様に佇んでいた。砲撃された側にセンサーを向け、こちらに攻撃姿勢を見せる5機のISを敵だと判断し、急接近してきた。

 

「くっ!続けて砲撃を行う!」

 

しかし先程の不意打ちとは違い、今度は真正面から警戒をされている。放たれたレールガンの砲撃を、福音は容易く回避する。

 

そのままの速度で、福音は一気に加速してきた。

 

「今朝に渡されたデータより遥かに速い!」

 

ラウラの援護として放った、セシリアのブルー・ティアーズとレーザーライフルすら、福音は余裕で避けてゆく。

 

「くっ!」

 

遂に福音との距離がかなり詰められた。この距離で銃では隙が大きすぎる。

 

そこに鈴の甲龍の持つ双天牙月が斬りかかる。数のアドバンテージはこちらにある。AI制御の福音とて警戒は常に怠らないが、全方位に神経を研ぎ澄ます事は出来ない。

 

バランスを崩した福音が落下してゆく。そこに追撃としてシャルロットのISが仕掛ける。アサルトライフルによる銃撃が福音に襲いかかる。

 

「もらったよ!」

 

ラピッドスイッチによる武器の高速切り替え。多数の銃火器による手数の多さで、福音を圧倒してゆく。

 

移動の際の反撃、福音の弾幕がシャルロット目掛けて降り注いで来た。

 

「このぐらいじゃ、シールドは破れないよ!」

 

咄嗟に福音の反撃を、シールドで防いでゆく。しかしその際、攻撃は途切れた。福音はシャルロットから距離を取り、セシリアとの戦闘を開始した。

 

「福音を誘い込む!行くわよラウラ!」

 

「任せろ!」

 

ラウラのレールガンと鈴の龍砲の連続砲撃。しかし福音は、まるで先読みをしてるかの様に避けてゆく。

 

とはいえ、これで福音の道は絞られた。福音の移動ルートに先回りし、箒が赤椿の持つ二刀で斬りかかる。

 

「貰った!」

 

初撃はクリーンヒットし、福音のボディに傷をつけた。このまま連撃をくりだそうとしたが、今度は福音が二本の刀を容易く受け止めた。

 

「なっ!?」

 

両方の刀を握られた事で、箒の動きに制限がかかる。福音は片方の翼部分からビーム砲をチャージし始めた。この近距離で放つつもりなのだろう。

 

「箒!武器を捨てるんだ!!」

 

「くっ!なら!」

 

脚部に展開装甲を展開した。そして、踵落としの様な一撃が福音へと決まる。その一撃は、福音の左側の翼を破壊した。

 

翼を壊れてバランスを崩した福音は、海面目掛けて降下していった。

 

「無事か!?箒!」

 

「私は大丈夫だ。それより福音は・・・」

 

福音は海面に衝突したまま、浮上してこない。

 

「・・・浮かんで、こないね」

 

「ではやりましたの?」

 

「・・・!いいえ!まだよ!」

 

福音は海中から再び這い上がってきた。破損した翼の箇所は、光の翼の様な物が形成されており、修復されていた。

 

「不味い!アレはセカンドシフトだ!!」

 

福音の両翼が、光の翼で構成される。今の福音は全身が膨大なエネルギーの塊である。福音の所持する全ビーム兵器の出力は上昇し、先ほど以上にを焼く存在である。

 

光の翼が生えた福音は、その獰猛な力をぶつけてきた。

 

「くっ!さっきまでの福音とは、桁違いの強さだ!」

 

「リミッターが外れたとでも言うのですか!?」

 

「ぐうっ!」

 

赤椿がビーム砲の直撃を受けた。シールドで軽減こそできたが、ISと一緒に箒の身体は、真下に叩きつけられ、近くの岩場に落下する。

 

「箒さん!」

 

セシリアの声に反応したのか、福音は今度はセシリアをターゲットにした。距離を取ろうとするセシリアに一瞬で追いつき、近距離のビーム砲で始末する。

 

「セシリア!くっ!こいつ!!」

 

甲龍にラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ。シュヴァルツェア・レーゲン。どのISも、今の福音の前には、等しく無力であった。

 

しかし、誰も逃げようなどとは考えていない。必ず隙が生まれる。逆転のチャンスがある。そう信じているから。

 

 

 

 

 

その頃、医療室にいた一夏は。

 

「・・・・・・ここは?」

 

気がつくと一夏は、何処かわからぬ場所に立っていた。ここは一夏の夢の中である。目の前には、一つのISが佇んでいる。搭乗者の顔は分からない。

 

しかし一夏には、そのISの正体が何なのか、理解出来ていた。

 

「白・・・騎士?」

 

10年前の白騎士事件。日本に放たれたミサイルを全て迎撃し、そして各国の捕獲部隊を圧倒した伝説のIS、白騎士。それが自分の目の前にいた。

 

「力を欲しますか?」

 

目の前のISに乗る存在が語ってきた。

 

「・・・・・・」

 

言葉はいらない。その質問に無言で頷く一夏。するとISは再び質問をしてきた。

 

「何のために?」

 

「そうだな・・・友達を、仲間を守る為。かな?」

 

「仲間を・・・」

 

「ああ。何て言うか・・・世の中って、結構色々と戦わないといけないだろ?道理の無い暴力って、結構多いぜ?そう言うのから、出来るだけ仲間を助けたいと思う」

 

「この世界で一緒に戦う仲間を・・・」

 

「だったら、行かなきゃね?」

 

ふと、声がする。目の前のISからではない。一人の少女が、一夏の隣にいた。白いワンピースに白い髪。白い帽子を被っている。

 

「・・・あぁ。そうだな」

 

(何故だろう。懐かしい・・・)

 

そんな事を思いながら、差し伸べられた手をしっかりと握る。その瞬間、一夏のいる世界は、光に包まれた。

 

 

 

 

 

時を同じくして、ユーゴの意識が覚醒した。薄暗い室内だが、そこは見覚えがあった。窓のない長方形の室内。自分が寝たあの部屋だ。

 

(この感じ、まさか・・・)

 

自分の身体に触れる。身体の数箇所に電流でも浴びたかの様な焦げ跡が見られた。そして、身体中に感じる異物感。

 

(この感覚。覚えてる。何年も夢で見てきた。確かこの後は・・・)

 

【シュッ】

 

ドアの隙間から、何かが滑り込んで来た。何かと思い拾い上げる。答えは既に出ているが。

 

その札はトランプの一枚、ジョーカーであった。

 

扉越しに、誰かの声が聞こえる。自分はこの声の主を知っている。

 

「君の切り札だ。切り札は常に自分の物になる。そう思っていれば、いずれは本当にそうなる。だから君自身が切り札になるんだ」

 

でも、誰なんだろう。思い出せない。知っている筈なのに、思い出せない。

 

ここから先、どうなるかを彼は知っている。重い身体を引きずり、ドアの方へと這い寄る。すると彼の周りの空間が歪んだ。

 

それはこの夢がここで終わる事を意味していた。

 

(待ってくれ!まだ終わらないでくれ!夢よ!頼む!)

 

だがそんな思いは虚しく、ユーゴの視界は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃現実世界では、福音との戦闘により、箒が岩礁に叩きつけられていた。全身が痛む。彼女には、自分がこのまま死ぬのではないかという錯覚を覚えていた。

 

(私は・・・死ぬのか。しぬというのなら・・・会いたい・・・一夏に会いたい・・・)

 

「・・・箒。待たせたな」

 

(この声・・・懐かしい)

 

その声は、彼女が会いたがっていた人物の声である。朧げな目を開く。彼女のぼやけた視界の中に、白い何か映り込む。

 

「一夏・・・一夏!?」

 

それが一夏だと認識した瞬間、彼女のぼやけた視界は完全に回復した。目の前には確かに一夏がいた。

 

「一夏!!お前、身体は!?傷は!?」

 

「大丈夫だ。戦える。ユーゴには止められたけどな」

 

「ユーゴだと!?」

 

上空を見上げる。そこでは高速で移動する光の翼と、それに負けじと喰らいつく蒼炎がぶつかり合っていた。その人物から通信が送られてきた。

 

「止めるだろ!普通に考えれば!!」

 

その通信相手は、白銀ユーゴであった。

 

「ユーゴ!お前もやっと来たのか!」

 

「大体の経緯は分かる。こいつをぶっ壊せばいいんだろ!?」

 

現在、彼の頬にあるマーカーは赤色に変色している。それはアステカの祭壇を起動させ、反射などの感性を高めている事を意味した。

 

「さて、こっちは一人で押さえ込むのだと数分しか持ちそうにない。一夏!とっととお前の用事を済ませろ!後鈴達は下がってろ!矢の餌食になる!」

 

それだけ言うとユーゴは福音から距離をり、ナイフをしまって弓矢を取り出した。ジョーカーのエネルギーを矢に変換し、上空目掛けて射る。

 

少しした後、矢は空中で無数に分裂し、福音の周囲目掛けて勢いよく降り注いだ。福音の一点を狙うのではなく、福音のいる面を制圧する。その行為に、福音も回避で必死となる。

 

その頃、箒と一夏のいる岩場では。

 

「一夏。良かった。本当に・・・」

 

「なんだ箒。泣いてるのか?」

 

「なっ!泣いてなんかいない!目に、ゴミが入っただけだ!」

 

必死になって照れているのを隠す箒。すると一夏は、何かを思い出したらしい。

 

「箒、これ。いつもの髪型の方が似合ってるぞ?」

 

一夏が手渡した物。それは一夏を看病していた時に、一夏の側に置いていたリボンであった。普段、髪を縛っている箒の私物であった。

 

「今日は、7月7日だろ?」

 

「一夏・・・覚えて、いたのか」

 

「あぁ。突然だろ?誕生日おめでとう」

 

「一夏・・・」

 

「じゃあ箒、行ってくる!」

 

一夏は空に飛び上がった。ユーゴ達が戦う戦場の空に。

 

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