インフィニット・ストラトス 蒼炎の炎   作:クロスボーンズ

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第26話 リベンジ!VS福音戦! 後編

 

 

その頃、福音とジョーカーは攻防を繰り返していた。彼がファストナイフを取り出す。福音が一気に接近してきたが、超反射により、背後をとった。

 

だが、福音はアステカの祭壇で強化されたユーゴの反射神経にすら難なく追いついてきた。

 

【maximum!】

 

「これでぇ!!」

 

会心の一撃として、ワイルド・ジョーカーの持つファストナイフがエネルギーを、蒼炎を纏う。光の翼と同じ高エネルギーの塊、それを福音目掛けて突き刺した。

 

【カキン!】

 

だがその一撃は脆く砕け散った。蒼炎は光の翼とぶつかり合い、やがて力負けし、圧し折られた。

 

「ファストナイフが!?」

 

福音の追撃がユーゴに襲い掛かろうとした時、福音に体当たりをしてバランスを崩させる者がいた。一夏だ。

 

「ユーゴ、待たせたな」

 

「一夏か。すまない・・・って、そのISは」

 

一夏のIS、白式はその姿を変えていた。ISの持つ第二形態の雪羅に。

 

「白式の第二形態だ。これなら、行ける!雪羅!シールドモードに切り替え!」

 

雪羅のシールドモードに切り替えた武装で、一夏は福音の攻撃を防いでゆく。

 

「あれは白式の第二形態、雪羅!?」

 

司令部に送られてくる白式のデータ。これによると零落白夜のシールドを強化した装備だ。それらは福音の弾幕を完全に防いでいた。

 

今の状態では雪羅に敵わないと判断したのか、福音の攻撃対象は赤椿へと変更された。即座に光の翼からのビーム弾幕が、再び飛び上がった箒に襲いかかる。

 

「箒!?」

 

「私は大丈夫だ!構うな!」

 

弾幕をひたすらに避けてゆく。その間に一夏達は陣形を立て直していた。

 

「一夏よ。箒が敵を引きつけてる間に」

 

「ええ。反撃のお時間ですわよ」

 

「ラウラ。セシリア」

 

雪羅の左側に並び立つ、シュヴァルツェア・レーガンとブルー・ティアーズ。

 

「一夏。さっさと片付けちゃおうよ」

 

「エネルギーは十分。僕達の心配はいらないよ」

 

「鈴。シャル」

 

反対の右側に並び立つ、甲龍、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅱ。

 

「一夏。短期決戦で終わらせようぜ」

 

「ユーゴ」

 

そして真下に待機しているワイルド・ジョーカー。

 

「・・・行くぞ!みんな!」

 

「「「「「応!!!!!」」」」」

 

そんな中、箒は福音の攻撃を一通り凌ぎきった。

 

(一夏よ。私は共に戦いたい。その背中を護りたい)

 

その時、突然赤椿が金色に光輝いた。モニターには絢爛舞踏と記されていた。そして次の瞬間、赤椿の減っていたエネルギーが全回復した。単一能力が発動したのだ。

 

「エネルギーが、回復した。これが赤椿の単一能力!」

 

「・・・よし!行くぞ。赤椿!!」

 

その頃、司令部ではある事が懸念されていた。

 

「白式のエネルギー残量。10%を切りました!このままでは」

 

司令部のモニターに表示される各ISのエネルギー量。白式は他のISより遥かにエネルギー消費が速く、既に二桁前半にまで落ち込んでいた。

 

何とかユーゴ達で福音の移動先を誘導し、タイミングよく零落白夜を決めようとするも、全て直前で回避されている。

 

この事に一番焦っているのは一夏であった。

 

(くそっ!このままじゃ・・・)

 

「一夏!これを!」

 

駆け付けた赤椿の絢爛舞踏の能力により、白式のエネルギーは満タンにまで回復しようとしていた。だがエネルギーを回復している最中、この2機は無防備である。

 

それはAIに取っては隙であり、一夏達目掛けて襲い掛かろうとする。

 

「くそっ!させるかよ!」

 

「・・・!?ユーゴ!?」

 

ジョーカーで真横からタックルし、福音を羽交い締めにした。振り解こうと暴れる福音。ビームの弾幕などは、ジョーカーのシールドバリアで防いでいる。しかし、このままでは振り解かれる。

 

しかし、今の彼女達はある事に驚いていた。

 

ユーゴの腕は確かに福音の両脇を羽交い締めにしていた。それとは別、福音の腹部の方にも、ユーゴはそこを腕でロックをかけている。

 

その出どころはユーゴの脇腹。白銀ユーゴの腕が、何故か4本あるという訳だ。

 

「ユーゴ。あんた、腕が4本・・・」

 

(使ったのか、隠し腕を)

 

唯一、彼の記憶を垣間見た為に、事情を知っているラウラだけは落ち着いていたが、それ以外の皆は動揺してきた。それは司令部でも同じである。

 

「白銀。お前は・・・」

 

しかし白銀は後悔もなく、至って冷静であった。

 

「これについては後で話す!こいつを抑えるのにも手間がかかる!だからエネルギー補給は早く済ませとけ!」

 

白式のエネルギーは全回復した。これでまた全力で戦える。再び零落白夜を起動させる。

 

「ユーゴ!離れろ!!」

 

一夏が福音に斬りかかる直前、ユーゴは福音から離脱した。斬撃は福音に直撃する。福音の右側の破壊が確認された。

 

「よし!手応えはある!このまま押し切るぞ!」

 

空中を飛び交う雪羅と福音。一夏目掛けて、再びビームの弾幕が降り注いできた。

 

一夏の背後からの来たレーザーの雨が、福音の弾幕を撃ち落としてゆく。

 

「攻撃を撃ち落とすのは得意なのでな」

 

「私がここにいる事をお忘れで?」

 

「この弓矢も、散弾銃みたいな使い方が出来る」

 

セシリアのブルーティアーズとラウラの連射式レールガン。そしてユーゴの弓矢を使う事で、これらを撃ち落とす。

 

「一夏!もう一回よ!」

 

一夏目掛けて撃った弾幕は全て堕とされた。再び福音に接近するも、福音はそれらを避け、その先にいた甲龍に目をつける。

 

「危ない!」

 

咄嗟にシャルロットがシールドで甲龍を庇う。エネルギーを回復していない彼女達の機体は、もう限界であった。

 

「一夏急いで!もう持たない!」

 

今の福音は甲龍に狙いを絞っていた。こうしてうまれた隙を一夏が逃す事はなかった。

 

「あぁ!!今度は逃がさねぇッ!!!

 

一夏は渾身の力で福音に、格闘用に展開した零落白夜の爪を突き刺し、地面へと叩きつける。エネルギーの余波が、砂浜の砂を巻き上げる。

 

ウォォォォォッッ!!!

 

抵抗する福音であったが、最早そのボディはボロボロであった。一夏に反撃をする前に、白式の零落白夜が、福音の身体を深く貫いた。

 

【ザクッ!】

 

その音と共に、福音のフェイスに表示されたエネルギー残量は0と記されている。糸の切れた人形の様に、福音は力なく砂浜に倒れ伏した。

 

勝ったのだ。自分達は福音に。一夏の元に専用機持ちが集結する。

 

「終わったな、一夏」

 

「あぁ。やっとな・・・」

 

「お前達、全員旅館の前の入り口で待機していろ」

 

織斑先生の指示の元、皆はその場から飛び立った。

 

 

 

そして島の司令部。ここでは福音撃破の報告に皆が喜んでいた。そんな中で、織斑先生がある人物と向かい合った。

 

「山鳩総理。一連の戦闘はご覧になられたでしょう?」

 

「彼等は、彼等なりに最適な答えを出しました。これでもまだ、彼等は専用気持ちとして、相応しくない存在だと仰りますか!?」

 

「ぐぬぬぬぬぬ・・・」

 

今、彼が何を言おうとそれは負け犬の遠吠えでしかない。一夏や箒。IS学園の専用機持ちは確かに結果を出した。その過程はどうであれ、結局何もしなかったプロメテウスとは遥かに違う。

 

傍観者に何も語る資格はないのだ。

 

「ISを操るのも、AIを制御するのも、無人機を造るのも、全ては人間です。その事を今一度、よく考えてみてください」

 

二人が部屋の出口を目指す際、山鳩が言った。

 

「分かっていると思うが、プロメテウスの事は極秘だ。漏らせば・・・」

 

「査問委員会による裁判。そして監視。その点については、重々承知しています・・・では、我々はこれで失礼します」

 

そう言い残し、織斑先生と山田先生はその島を後にした。IS学園のメンバーが撤収した島。そこにはまだ山鳩達が残っていた。

 

この男の瞳には、何かが写っていた。

 

「・・・おい。連中との連絡は?」

 

「いつでも出来ます」

 

「【計画書は送ったはずだ。後はそれに従って行動する様に】と連絡させろ」

 

「分かりました」

 

「・・・IS学園。想像以上に目障りな奴等だ。一つここらでこちらも手を打つか」

 

電源が落とされたモニター。黒い画面に反射して写る山鳩総理の顔は、不気味に笑っていた。

 

(直接彼等に手を下す気はありません。ですが、白銀ユーゴにはいい加減、消えてもらいましょうか)

 

 

 

時を同じくして、旅館に戻る為にISで飛んでいる一夏達。

 

「それにしてもユーゴ。お前はあの島で、一体何をしていたんだ?」

 

「は?何って・・・あれ?何してたんだっけ」

 

「おいおいユーゴ。その歳でもうボケたか?しっかりしてくれよ?」

 

「はは。そうだな。しっかりするか」

 

(マジで俺、あの島で何してたんだっけ。絶対に忘れられない様な事があったと思うのに、なんで・・・)

 

彼の中あった忘れられない筈の体験。今の彼にはそれが抜け落ちていた。

 

 

 

 

そして場面は変わり、イスラエルのIS研究所にて。

 

研究所内では、剥き出しの電気コードが辺り一帯に散乱していた。その先からはバタバタ火花が散らされている。そして床には赤い水溜りと、骸が散乱していた。

 

「キング。研究者は全員の始末が完了。並びに研究データは全て破壊しました。これで福音の開発情報などはこの世界から完全に消えました」

 

研究所の社員を皆殺しにしたクイーンが、キングの元に現れた。彼女は髪を含めた全身が返り血に塗れており、研究所内の凄惨さが窺い知れる。

 

「すまなかったなクイーン。お前に仕事を押し付ける様な事をして」

 

「お気になさらず。そしてこれにて当分の予定は終了しました。これから一週間は、予定などは入っていません。とりあえずこの場を後にしましょう。既にジャックにも、戻る様に連絡したので、後数分で来るでしょう」

 

「いや、ジャックはもう上空にいる」

 

二人の元に一機の戦闘機が垂直降下して来た。それは最初の福音戦の際に、一夏と箒を妨害した戦闘機と同じである。

 

その中から、一人の男が出てきた。

 

「ジャックか。シルバリオ・ゴスペルはどうなった?」

 

「はっ!シルバリオ・ゴスペルはISの学園の専用機持ち達の活躍により大破。そしてコアはここに・・・」

 

あの後、破壊された福音の残骸からジャックが回収したコア。それをキングが受け取る。

 

「そうか。コアだけなのは残念だが、まぁいいだろう。模擬戦のデータ取りには使えるな・・・よし、直ぐに基地に戻るぞ!データの抽出を行う!」

 

「はっ!」

 

三人を乗せた戦闘機は、レーダーに移らない様に光学迷彩を施して飛んでいった。

 

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