インフィニット・ストラトス 蒼炎の炎   作:クロスボーンズ

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第2話 臨時の協力戦線

 

IS学園、アリーナ場。現在ここで一夏と鈴。そしてユーゴの三人が、謎のISと対峙していた。

 

「君。名前は?」

 

「・・・ユーゴ。白銀(しろがね)ユーゴ」

 

「俺は一夏。織斑一夏だ。この場を乗り切る為に、こちらと協力してもらえないか?」

 

「言ったはずだ。奴は俺の獲物だ。邪魔さえしなければ、好きなようにしていろ」

 

「何、こっちは三人いるんだ。きっとうまくいく。ほら鈴も、せめて名前くらい教えてやれよ」

 

「・・・凰鈴音よ。とりあえずよろしく頼むわ。まず確認するけど、そのISに武器はあるの?」

 

その質問には答えず、黙って短剣を手に取り、突っ込んでいった。その一撃は、敵のISの腕部分で防がれた。それでも尚、ナイフを巧みに扱う事で、連撃を続けてゆく。

 

「あれは、コンバットナイフか?」

 

「これまで見た事がない武器ね。あれも第三世代の試作機と試作武器って事かしら」

 

「っていけねぇ!俺達も参加しないと!」

 

「そうだったわね。観察してる場合じゃなくて、あの乱入したISを止めないと!」

 

三人の戦闘のスキルは結構なお手前である。だが、それでもまだ相手の方が上手である。

 

仮にも一夏と鈴の乗るISは第三世代。まだ試作機の域こそ出ないが、それでも第二世代よりは機体の数値的には遥かに高い。なのに相手は三人を手玉に取っている。

 

「くっ!そろそろエネルギーがヤバくなってきた」

 

一夏と鈴の二人は対抗戦をしていた直後にこの戦闘に参加。その為エネルギーなどもに比べて減っている。このままではISが機能停止になる。

 

そして司令室では、アリーナ内に閉じ込められた生徒達の避難をさせようとしていた。だが、遮断シールドがレベル4に設定されており、しかも全てのドアにロックがかかっている。これもあの謎のISの仕業なのだろうか。

 

今は何も出来ず、ただこの戦闘を見守る事しか出来ない。

 

「先生!私にISの使用許可を!私のISなら!」

 

「そうしたいのは山々だが、どの道ここから出られなければ意味が・・・」

 

【カチッ!】

 

その時、突然司令室の扉が解除された。

 

「なんだ!?一体どうした!?」

 

「これは!遮断シールドが、次々と解除されています。それもすごい速さで!内部からの操作を受け付けないこの状態で、何者かがこのIS学園にハッキングを仕掛けているんです!」

 

「ハッキングだと!?」

 

すると箒が突然駆け出し、その場を後にした。

 

丁度その頃、外で戦っていた三人のうち、一夏がある疑問を呈した。

 

「なぁ、ひょっとしてあのIS。人が乗ってないんじゃないか?」

 

「はぁっ?何言ってんのよ。人が乗らなきゃISは動かない。当たり前でしょ。そんな事あり得るわけないじゃない!」

 

「・・・いや、ありえない話ではない。俺はここに来る前にあいつと少し戦った。その際もあいつはこちらに何のコンタクトを取ろうとしなかった。普通、何かしらの文句でも付けるべき筈なのに。あいつからは人間の味がしない」

 

あのISと一早く戦闘しているユーゴも同じ結論に辿り着いたらしい。

 

「・・・過程の話だ。もし、もしあいつが無人機だとしたら、全力が出せる」

 

「何よ、全力って?」

 

「零落白夜。雪片弐型の全力攻撃だ。威力が高すぎて危険だが、人が乗ってないなら問題はない」

 

但しこれには欠点がある。エネルギー消費が激しいのだ。これについては、どうしようもない。ISのバリアを無効化する攻撃もあるが、エネルギー残量ではあと一撃しか残されていない。

 

「ユーゴ。俺と一緒にあいつの注意を引いてくれないか?その間に鈴が衝撃砲のチャージ。合図したら、最大出力で放ってくれ」

 

「しょうがない。じゃああり得ないと思うけど、あれが無人機と仮定して、その案でいきましょうか!」

 

二人が前に一歩踏み出す。

 

「・・・邪魔だけはするなよ」

 

「言ったな。やってやろうじゃないか!」

 

白式&ワイルド・ジョーカーと謎のISは盛大な殴り合いと斬り合いを繰り広げている。あれではお互い、目の前の対象以外に注意を払うのは難しいだろう。その間に鈴のIS、甲龍は衝撃砲のチャージを続けている。

 

「よし、いいぞ。この調子で・・・」

 

「いちかぁぁぁぁ!!!」

 

急な怒声に皆が驚く。その声の方を向くと、多少高い位置に、一人の少女がいた。篠ノ之箒だ。

 

「男なら、男ならそのくらいの障害を乗り越えずしてなんとする!!」

 

「箒!?」

 

その叱咤激励の怒声により、謎のISの注意がこちらではなく箒へと向けられた。遂に狙っていたチャンスが生まれたのだ。

 

「今だ鈴!俺を撃て!」

 

「はぁ!?一夏あんた何言って・・・」

 

「いいから撃つんだ!」

 

「あぁもう!どうなっても知らないわよ!!」

 

一夏に言われるがままに鈴は龍咆を撃ち放つ。当然、その攻撃は射線上の一夏に当たり、一夏は苦悶の表情を浮かべた。鈴の方はやっぱりという表情を浮かべる。しかし、一夏の瞳には成功を確信する光が浮かんでいる。

 

その瞬間、白夜の機体エネルギー値が振り切れた。ISの前身に、炎の様なオーラを纏う。雪片弐型の刀身も、出力の上昇に伴い、強化された。

 

「俺は千冬姉を、箒を、鈴を・・・関わる人全てを、護る!!!」

 

渾身の一撃として振り下された太刀は、敵のISの腕を斬り落とした。だが腕は二本ある。もう片方の腕が、一夏と白式が吹き飛ばされる。レオンはなんとか回避したが、敵のISとかなりの距離ができてしまった。そして一夏は落下した時の衝撃で空いたクレーターの側面へと叩きつけられた。

 

「一夏!」

 

だが一夏の表情は先程の様な苦悶ではない。むしろ、勝利を確信した余裕であった。

 

「狙いは?」

 

「バッチリですわ」

 

その瞬間、敵のISの背後から煙が吹き上がった。見ると向かい側にはイギリスのIS代表候補生のセシリア・オルコットがいた。

 

「セシリア!決めろ!」

 

「了解ですわ!」

 

ライフルから、エネルギー弾が放たれた。直撃を喰らった敵のISは、黒煙を噴き上げならクレーター部分に倒れ伏した。

 

「ギリギリのタイミングでしたわ」

 

「セシリアならやれると思ってたさ」

 

一夏に褒められて嬉しい様だ。

 

「よし。これで・・・」

 

「手を抜くな。奴はまだ動いているぞ」

 

ユーゴのその言葉にその場の皆が驚く。よく見ると身体の殆どが爆散しかけているのに、そのISはまだ動いていた。最後の足掻きとしてか、ビームの放射を行おうとするも、最早先程までの脅威は無くなっていた。

 

【maximum】

 

「こいつで終いだ」

 

その機械音声と共に短剣がエネルギーを纏った。そしてその短剣で、壊れかけのISを真一文字に切り裂いた。ガソリンの塊にマッチを投げ入れるに等しい行為により、そのISは大爆発を引き起こす。

 

「なっ!ユーゴ!大丈夫か!?」

 

煙が引いてきた頃、ユーゴの無事な姿が確認できた。彼は切り裂かれたISのボディ残骸から、何かを取り出していた。

 

「これがそうか。この地球に存在する467のISのコア。そのどれにも属さない謎のコア。俺の持つワイルド・ジョーカーと同じ、FS-E(Four hundred Sixty-Eight)タイプのコア」

 

【パリン!】

 

先程、ナイフで敵のISを掻っ切った際、謎のISは最後の抵抗として、ジョーカーに殴りかかった。その際の衝撃で、マスクとゴーグルが外れ、素顔が顕となった。

 

「壊れたか。また新たに造らなければ・・・さて。もう一つの問題が残されていたな」

 

一夏の白式と、ユーゴのワイルド・ジョーカーが対峙する。周囲にいるISもいつでも戦えるように警戒だけは怠らない。

 

「・・・とりあえず、あのISを止める手助けをしてくれて、ありがとう。でもユーゴ。お前は一体何者なんだ?」

 

「・・・ていうかあんた、男じゃない!なんで一夏じゃないのに、男がIS操縦出来てんの!?」

 

ここに来て彼女達も、彼の異常性にようやく気が付いたらしい。もう少し早く気づかなかったのかと突っ込んではいけない。

 

しかし、そんなざわめきもユーゴには何の効力もない。

 

「言ったはずだ。俺に関わるな。邪魔だどけ。どかないなら・・・」

 

その一言で場は完全に戦闘状態に移行する。短剣に手をかける者、刀を手にする者。そして引き金を引こうとする者。完全にどんぱち起こる直前で、それを静止する通信が送られてきた。

 

「全員そこまでだ。織斑、その人を談話室に連れてこい。そいつに客が来ている」

 

「千冬姉?」

 

「織斑先生だ。とにかく、その人を連れてこい」

 

「わかりました。君に談話室にお客が来てるって。今映像をそっちに送るから」

 

ISの電子モノクルに映像が送られてくる。そこには見知った顔ぶれがいた。

 

「随分、派手な宣伝をしたみたいだな」

 

「如月さん!まさかお客って!?」

 

「あぁ、俺の事だ。とりあえず早く来い。今後の事について話し合うぞ」

 

それだけ言うと、如月さんの通信は途絶えてしまった。

 




次回、ちょっと早めに、あの人が登場?
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