今回辺りから、オリジナル要素が絡んできます。その為、原作と異なる点がある事を、改めてここでお知らせしておきます。
なお、今回の話に、アニメ本編の1話、2話、3話の簡単な補足説明が本編中にあります。
屋上で昼食を食べているユーゴ達。すると一夏が鈴の弁当に興味を示した。
「おぉ!酢豚だ!」
「そうよ。今朝作ったのよ。以前食べたいって言ってたでしょ?」
「コホン。一夏さん。わたくしも今朝は偶々、偶然、早く目が覚めましたので、こういうものを用意してみましたの」
そう言いながら、持ってきたバスケットの中をこちらに見せた。覗き込むとそこには色々な種類のサンドイッチが綺麗に揃えられた状態で、詰められていた。
「一夏さん。よかったらどうぞ。お二人もご遠慮なくどうぞ」
「ありがとう。じゃあおひとつ頂くよ」
「そうか。ありがとうな」
そう言い男達三人がサンドイッチを手に取り、口の中に放り込む。
「いただきます・・・!?」
「!?」
口に入れた直後、一夏とシャルルの顔が青ざめる。冷や汗の様なものが滴るのが自分で感じ取れる。こんな恐ろしいサンドイッチがこの世に存在するだなんて、ある意味すごい。本能がこの存在の危険性を訴えてきた。
温めたド◯ターペッパーの方がまだ美味しい。
「どうです?美味しいでしょう」
満面の笑みで聞いてくるセシリア。間違いなく自分の腕に気づいてないタイプ。あぁ駄目だ。ここで不味いと正直に答えてはいけない。
「あっ、あぁ。そ、そうだな・・・シャルル?お前はどうだ!?」
「ええっ!?そうだね。すごく・・・その・・・」
「美味いと思うよ」
「「!!?ユ、ユーゴ!?」」
しかしユーゴだけはセシリアのサンドイッチを顔色一つ変えずに食べていた。しかも特に苦しまず素の状態で美味い。彼の味覚はどうなってんだ?
その後も食事なのに色々とあった。一夏が箒に「はい、あーん」をしたり、セシリアと鈴に「はい、あーん」をされたりなど、様々だ。
ユーゴの内心曰く、「自分の食べる食事くらい自分の手で取れ」らしい。こいつ乙女心ってのが分かってねぇな。
「ところで質問いいか?三人とも一夏と結構仲が良さそうだが、幼馴染か何かか?」
やがて食事が一段落した為、ユーゴが聞きたい事を聞き始めた。
「なんだ、その様な事か。私は当然だ。何しろ私は、一夏のファースト幼馴染だからな」
「何がファースト幼馴染よ。一夏との幼馴染歴は私とほぼ僅差じゃない」
「なんだと!?」
「何よ」
箒と鈴の間で、再び火花が散り出した。
「二人には俺から説明するよ。まず俺が一番初めに出会ったのが箒だ。箒とは小学校4年生の時に、箒が引っ越すまで幼馴染だったんだ」
「そして箒が引っ越して俺が5年生の時に、鈴と出会ったんだ。鈴とは中学2年生まで一緒だったな」
「そうそう。私達は一夏と幼馴染なのだ」
「そうよ。アタシと一夏は、切っても切れない関係なのよ」
二人が得意げな笑みを浮かべている。幼馴染とはいいものだ。
「あら。お二人とも幼馴染と言いますが、実質はここで再開したのでしょう?でしたら、その関係的なものはリセット。つまり私と同じ期間ということですね?」
いや、その考えはおかしい。
「ははっ。確かにセシリアとはIS学園で、つまりほんの数ヶ月前に初めて出会ったんだ。正直、出会った当初は、こうして一緒に食事をするなんて思わなかったよ」
「うむ。そうだな。あの時の一夏からも、こうなる事は私でも想像出来なかったぞ」
箒によると、最初セシリアは一夏に噛み付いたらしい。いや、無論物理的にではない。どうやらクラス代表を決める際、一夏が推薦されたが、セシリアがそれを不服としたらしい。その際の口論がどんどんヒートアップし、最終的にISを使って決着を付けようと決めたらしい。
結果は一夏のISの白式のエネルギー切れによるセシリアの勝利。だがなんと、セシリアはクラス代表を辞退。スライド式で一夏がクラス代表となったわけだ。
そしてそれからである。セシリアが一夏にフレンドリーに接するようになったのは。
「あの時の私は愚かでした。でも、一夏さんと出会って戦った事で、その過ちに気づけたのです」
「じゃあ、僕からも一つ質問していいかな?」
一通りの話が終わり、次はシャルルが口を開いた。
「何?なんでも聞きなさい」
鈴は二人が来るまでは、俗に言う新入り状態であった。クラスこそ違えど、IS学園で自分の後輩?的ポジションが来た事が嬉しいらしい。三人がお茶を飲み始める。
「今月行われる学年別トーナメント。その大会で優勝したら一夏と付き合えるって、どういう事?」
【ブーーーッ!!】
女子達三人が盛大に飲んでいたお茶を吹いた。あまりに予想外の一撃に男達三人が驚く。
「あぁ。そう言えば箒に言われたな。優勝したら付き合ってくれって」
「なっ!何をこんな所で言っている!!」
「別にいいだろ。クラスのみんなが知ってるみたいだし。別に優勝しなくても、言ってくれれば付き合うつもりだぜ」
「・・・つまり、お前は誰でも良いという事か?」
「フッ!ウフフフフフッ!?イチカサーン!?」
「一夏ァ!!アンタは!アンタって男は!!!」
「えっ!なっ、何を三人とも怒ってんだよ!」
絶対この人、付き合っての意味を間違って捉えてる。二人がその確信を得た。だがこれは一夏の問題だ。二人は口出しする事をやめた。丁度その時、チャイムが鳴った為、幸か不幸かこの話が今後これ以上発展することなく、一旦打ち切られた。
その後、授業も終了し一夏達は寮の自室へと戻っていた。
IS学園に通う生徒は、基本的に全員寮に住む事になっている。尚、これまで一夏は箒と部屋を共にしていたが、昨日部屋の調整がついた為に、部屋移動。本来二人部屋だが、一夏達は特例として、シャルルとユーゴの三人部屋となっている。
ユーゴは寝袋を持参している為に、二つのベットは一夏とシャルルの物だ。
「ふぅ。男同士ってのはいいもんだな」
「このお茶、紅茶とは随分違うんだね。不思議な感じだ。でもとても美味しい!」
現在この部屋には一夏とシャルルがいる。ユーゴは戻るなり何処かぶらぶらしに行ったらしい。一夏の淹れた緑茶を二人で飲んでいる。
「ところで一夏。一夏は放課後、ISの特訓をしてるんだよね?」
「あぁ。俺は他のみんなよりIS関係が遅れてるからな。ISに触れたのも、高校生になってからだ」
「僕も加わっていいかな?専用機持ち出し、何かしらの手伝いは出来ると思うんだ」
「あぁ。ぜひ頼む!そうだ!ユーゴも誘ってみるか!」
【プルルルル。プルルルル】
「あっ、ごめん。ちょっと電話が来ちゃって。失礼するね」
バックの中に入っていた携帯電話を片手に、シャルルは部屋を後にした。
その数分程前。屋上にて。そこではユーゴが電話で外部の人間と話をしていた。
「如月さん。聞こえますか?」
「ああ聞こえるぜユーゴ。どうだ?学校を通ってみての感想は」
「話には聞いていましたが、個性的な面子が多すぎます」
「まぁそうだろ。お前が入るでは織斑一夏って男以外、ほぼ女子だった訳なんだし。男のお前が物珍しいんだろ」
「男と言えば、俺と一夏の他ににもう一人男が居たな。確かシャルル・デュノアとか言ったな」
「シャルル・デュノア?デュノアってあのISのフランス大手企業のデュノアか?」
「あぁ。彼はその社長の息子らしい」
「デュノア社の社長の息子?・・・ちょっとそのまま待ってろ。調べたいことが出来た。今からデュノア社のコンピュータにハッキングを仕掛ける」
電話の奥から心地良いほどのキーボードを叩く音が聞こえて来る。パチパチ叩くその音は、余裕のハッキング状態を窺わせる。彼にかかれば、インターネットなど手足だけでなく、脳の様なものである。
「待たせたな。結論から言おう。そいつの存在はありえない。デュノア社の社長の御子息を片っ端から調べたが、妾の子含めて、シャルル・デュノアなんて人間は存在しない」
「存在しない!?でも、こうしてシャルル・デュノアと言う人物がこの学園に転入してきたぞ。デュノア社の社長の息子も、あいつが自分で言っていた」
「だが存在しないんだ。仮にそいつ個人のデータを消したとしたら、そんな存在をIS学園に送り込む事が不自然だ。フランスの代表候補生なら、フランス政府が送り出したに等しい。この事に気づかない訳がない」
すると如月さんの表情が再び変化した。何かに気づいたらしい。
「・・・待て!今その学園から、特殊な電波が放出されている。これは・・・電話に見せかけた暗号による秘密の回線だな。ってこれ!送信されている場所はデュノア社じゃないか!!」
「何!?本当か!?」
「あぁ。ハッキング中に電波受信してんだ。間違うはずがない。くそっ!複雑にネットを経由している。これじゃ盗聴は出来ないか」
しかしこれで、二人の中でシャルルに対する疑惑が深まる。存在しないはずの存在。デュノア社に発信された不自然な電波。二人の中である結論が出た。
「おそらくだがそのシャルルって奴は、俺たちと同じで、普通の学生って線ではない。間違いなく腹の中に色んなものを溜め込んでるだろうな」
「どうする?ここは自白剤を使って、裏について締め上げるか?」
「いや。学園にいる以上、下手な手出しは此方に不利益だ。それにまだ明らかな確定していない。あくまで今分かったのは、シャルル・デュノアなる本来存在しない存在。それがIS学園にいると言う事だ」
「理想としては、奴が直接的な行動を起こしたその瞬間、拘束し情報を引き摺り出す事だ」
「気をつけろ。奴がネクロノミコンだとしたら、既にお前の事は組織に知らされているかも知れないぞ」
「・・・上等だ」
「ふっ。その言葉が聞けてこっちは安心したぜ。また何か分かったら連絡する。それとユーゴ。これはあまり関係ないんだが、今日裏サイトのニュースに、ISの研究所が襲われるって内容のニュースが書き込まれた」
「裏サイトに書き込まれるくらいだ。どうせ裏で黒い事を色々やって、何処かから恨み買って私刑に処されたんじゃないか?」
「あぁ。俺も半分以上はそう思っているが、果たして本当にそうなのか、疑ってる面もある。こちらでも色々探ってみる。これだけだ。じゃあなユーゴ。体調に気をつけろよ」
その言葉と共に、電話は切られた。その後暫く、ユーゴは黙って暗くなった画面を見続けていた。複雑な表情で。
(存在しない存在か・・・)
少し考えた後、ユーゴは屋上を後にした。
そして次の日、SHRにて山田先生が教壇に立っていた。その隣には、一人の少女が立っていた。
「えー・・・本日も嬉しいお知らせがあります。またこのクラスに、お友達が増えました。ドイツから来た、ラウラ・ボーデヴィッヒさんです」
教壇の隣に立っている少女は、何処か軍人らしい雰囲気を醸し出していた。猛者のオーラが滲み出ている。何より目を引くのが、左眼の眼帯だ。
「また?これで2日連続よね」
「ちょっと変じゃない?」
「みっ、皆さん。静かにしてください」
流石にこの流れ自体に違和感を覚えたのか、クラス内が多少ざわついた。山田先生が嗜めるも、彼女自身も変だと思っているのか、口調に表れている。
「ラウラ。自己紹介をしろ」
「はい。教官」
(教官?)
ユーゴ達には何が何だか分からない。だが、一夏にはその言葉に心当たりがあるのか、考え事をしている顔をしていた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「・・・以上ですか?」
「以上だ。さて。貴様が織斑一夏か・・・!!」
するとラウラと一夏の方に目をやった瞬間、後ろの席のにユーゴと目が合った。するとラウラが突然、一夏ではなくユーゴを睨み始めた。いや、ユーゴの頬にあるマーカーを睨んでいるのが、正しい言い方だ。
「・・・おい貴様。その頬。まさかアス」
【シャッ!!!】
言い終わる前にラウラの頬を何かが掠った。それはナイフであり、ホワイトボードに深く突き刺さっていた。外した。いや、ユーゴがワザと外したと言うべきか。ラウラの頬からは多少の血が滴り落ちた。
「二度と俺の前でそれを口にしようとするな・・・今のうちに皆んなに言っておく。この頬にあるマーカー。これは俺の住んでいた土地の仕来たりの様なものだ。これについて触れるのを俺は良しとしない。もし触れるなら、俺のいない箇所で触れてくれ。以上だ」
それだけ言うとユーゴはナイフを回収し、フードを被って席に座り直した。
「・・・よかろう。では私もこの場で言っておこう。織斑一夏。私は貴様を認めない。あの人の弟であるなど、認めるものか!!」
「・・・えっ?なっ、なんでだよ」
一夏のその質問に答えずにラウラは自分の席へとついた。クラスの皆は、ナイフの件から唖然としていた。
「で、では!今日も授業の始まりです!」
気まずい中で、山田先生が何とかして場を持ち直した。それに釣られる形で、皆も場を戻そうとした。
(先生である彼女も大変だな)