(志狼サイド)
「で、どう思う?」
「「罠」」
「だよな」
エブの擬人化術を見た翌朝。弦ちゃんから報告を受け、イッセーと共に即答する。
何でも、架空の学生服を着た下級堕天使と思しき女に告白されたらしい。
「バラキエルのおやっさんも、堕天使には人間蔑視が根強いって言ってたしなぁ」
バラキエル殿曰く、大抵の堕天使は人間を蔑んでいるか、そうで無くとも下級存在として認識しているらしい。まぁ自分達が当然に出来る事を出来ない種族を、そう見てしまうのは仕方無いだろう。しかし、そうやって容認出来るのは此方への不干渉が前提だ。
「で、次の土曜日にデートがしたいと申し出られた」
「よし。ではそれに乗れ。俺達がそれに張り付き、怪しい動きをすれば取り押さえる」
「バラキエルのおっさんも、ちょっと声掛けようぜ。朱乃ちゃん経由で根回ししとく」
「頼むぞイッセー。俺は部長殿に報告を入れる。それと、天猫殿にもな」
やる事は決まった。決行の土曜日までに、根を回しておかねば。
(NOサイド)
「ごめんなさい、お待たせしちゃいました?」
「いや、俺も今さっき来た所だ。気にする事は無い」
土曜日。弦一郎と女堕天使、天野夕麻との
弦一郎の服装は、黒っぽいジーンズに暗い紺色のロングジャケット。髪はポニーテールに括ってあり、小量抄き込んだ香油がふんわりと香る。
天野はというと、長い黒髪に良く映える白のワンピース。ふっくらとした健康的な唇には薄らと紅が乗っており、然り気無いナチュラルメイクも完璧。自分美しさに妥協はしないタイプなのだろう。
「それは良かっ・・・ッッ!!!?」
安堵したような仕草が一変、明らかに動揺し硬直する夕麻。その視線は、弦一郎のジャケットの襟に突き刺さっていた。
「ん?どうかしたか?」
「あ、えーっとその・・・その、羽根飾り、素敵だなーって・・・」
「あぁ、これか。良くして貰っている知り合いからの頂き物だ」
そう言って弦一郎は襟に付けていた黒い羽根飾り・・・
(フム。やはりバラキエル殿の言う通り、堕天使には羽だけで分かるモノなのだな)
堕天使同士は羽を見るだけで、顔を見るのと同じ程度に相手を識別出来る、とはバラキエルの談である。故に、下級堕天使相手にはこれ以上無い牽制効果があるのだ。
(こ、これは堕天使の羽!それも最上位堕天使の!?しかも知り合いですって!?な、何で人間が!?)
(と、考えているのが手に取るように分かるな)
どうやら天野の方は、バラキエルとは面識は無かったらしい。しかし、物の見事に精神を掻き回されていた。
651:多弁な狼
さて、弦ちゃんと堕天使のデートが始まった。
652:ヴィジランテ・ベリアル
何事も無く終わる・・・とは、思えんな。
653:名無しの不死者
あのレイナーレが真面な選択をするとは思えないんだよなぁ
654:名無しの不死者
そう言や剣士ネキいねぇな。こう言うのはいの一番に首突っ込みそうなのに。
655:多弁な狼
オリヴィエ少女とマリア様その他大勢の生存ルート開拓すると新周回を回しているらしい
656:名無しの不死者
オリヴィエ?ブラボにそんなキャラ居たっけ?
657:多弁な狼
>>656 ガスコイン神父の娘だ。因みに俺の世界線では生存ルートだ。ゲームの選択肢に囚われないやり方で、朝を迎えさせる事が出来た。
658:名無しの不死者
ファッ!?
659:名無しの不死者
下水豚内臓攻撃説が真しやかに囁かれるあの少女か!?
660:多弁な狼
あぁ。狩人の夢で保護して寝かせていた。だが、夜明けを迎えたら居なくなっていたのだ。
恐らく、悪夢から醒めたのだろうが・・・イギリスでも、ほんの少しだが探しはしたのだがな。心配だ。
661:月光と獣の剣士
ワタシハヤッタンダァァァァァァ!!ヒャアハハハハハハハハハァ!!
662:名無しの不死者
ファッ!?剣士ネキ!?
663:名無しの不死者
アルフレート君になっとるやんけ
664:多弁な狼
成し遂げたか
665:月光と獣の剣士
【寝ているオリヴィエを膝枕して撫でながら花壇に座り、人形と談笑しているマリア】
666:名無しの不死者
ヌッ
667:名無しの不死者
ミ°ッ
668:名無しの不死者
尊っっっ!!!?
669:名無しの不死者
(尊過ぎて)逝きますよー逝きますよー
670:月光と獣の剣士
やったぜ(完全勝利)
因みに私の全上位者パワーを注ぎ込んで、あのヤ〇チンクソ上位者の干渉を遮断する御守りを作った。オリヴィエちゃん、アリアンナちゃんと同じくカインの末裔だからね。アイツに目を付けられたら妊娠させられちゃう。
671:多弁な狼
自分の娘たるエーブリエタースを見棄てて去り、更にアリアンナの赤子を自分の神秘で塗り潰したオドンを俺は赦さない。
672:ヴィジランテ・ベリアル
うぐっ・・・
673:名無しの不死者
止めろイッチ、後者は兎も角前者はベリアルニキに効く。
674:ヴィジランテ・ベリアル
いや、えーっとその・・・うん・・・
675:名無しの月光と獣の剣士
ん?どうかしたのかな?ベリアルニキ
676:ヴィジランテ・ベリアル
いやぁ、その・・・前に潰したマフィア共がな、個性増強剤の材料に使ってたのが、共振増幅の個性を持った小娘だったんだが・・・
677:名無しの不死者
アッ(察し)
678:名無しの不死者
ウルトラマンベリアル、共振増幅、小娘・・・あぁ、リリちゃんか。
678:名無しの不死者
リリちゃんですね
679:月光と獣の剣士
完全にリリちゃんです本当にありがとうございます。
680:ヴィジランテ・ベリアル
あぁそうだよ!名前ももろにリリ・アーカイヴだったよ!しかも何か確実に俺の事意識しちまってるっぽいんだよ!どうすりゃ良いんだよこんちきしょう!!
681:月光と獣の剣士
年の差はお幾つ?
682:ヴィジランテ・ベリアル
向こうが今年で16、こっちが27。11歳差。
683:名無しの不死者
そんな致命的でも無い絶妙な年の差で草
684:名無しの不死者
やったねりっくん!ママ(同い年)が出来るよ!あ、この時空ではりっちゃんか。
685:ヴィジランテ・ベリアル
ウガァァァァァァァァァァァ!!!
686:月光と獣の剣士
年の差てぇてぇだ!年の差てぇてぇだろう!なぁ、年の差てぇてぇだろうそれ!てぇてぇだ!てぇてぇ置いてけよ!
687:名無しの不死者
うわぁ妖怪てぇてぇ置いてけだ!
678:多弁な狼
済まない。今更だが、リリ・アーカイヴとは誰だ?
689:名無しの不死者
あぁ、イッチは未履修だったか。
690:名無しの不死者
ウルトラマンベリアルを主人公とし、更にダークザギ、ジャグラスジャグラー、イーヴィルティガ、カミーラの4人とチームアップしたウルトラマンシリーズ初のミュージカル作品《
可愛い上にガッツも結構あって、闇の存在であるベリアルに助けられた恩義から関わっていくことになるが・・・って感じやな。
闇の巨人らの結構コミカルな遣り取り、迫真の戦闘シーン、葛藤に揺れる心理描写、どれを取っても文句無しや。
因みに作者の趣味で毎週色んな怪獣やら宇宙人とリリちゃんが戦わされるリリファイトっちゅうのもあったな。
691:多弁な狼
実に興味深い・・・
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──
─
「フム、何事も無かったか」
夕この一日。暮れ時。公園にいる弦一郎と天野夕麻を寄鷹筒で覗きながら、志狼はボソリと呟く。
2人を監視してはいたものの、おかしな動きは特に無かった。強いて言うなら、相手側がほんの僅かにギクシャクしていた事だろう。
「今の所、精神的な細工の気配もあらへんな」
「あ、天猫さん!?いつ来たんだよ!」
「今さっき。漸く仕組みが終わってな」
「今日は楽しかったわ。ありがとう、弦一郎君」
「それは何より。大して秀でた所も無い計画だと思っていたが、楽しんでくれていたのならば幸いだ」
「ふふ・・・じゃあ、また今度ね」
「あぁ、また」
小さく手を振って立ち去ろうとする天野を、弦一郎も微笑みながら手を振って見送る。内心では肩透かしを喰らったような気分でこそあったものの、何事も無いに越した事は無いのだ。
『オイオイ、なァに日和ってんだよォ?』
「「!?」」
しかし、そうは問屋が卸さない。
空間から闇が滲み出し、歪な穴を形成する。その中から切り取られるように、真っ黒なローブを羽織った暗黒の無貌・・・
「ヴァルツァー!」
『ったくレイナーレちゃんよォ?折角ボクがお膳立てしてやったってのに、尻尾巻いて逃げちゃう訳?』
「し、仕方無いでしょう!最上位堕天使との繋がりがあるかも知れない相手を、後先考えず殺せる訳無いじゃない!」
『ハッ、そんなのどーでも良いじゃんねぇ?至高の堕天使になっちゃえば、その最上位堕天使とやらも雑魚と蹴散らせるだろう?』
「それでも・・・!」
「やはり、目的は俺の抹殺だったか」
─ビリッ─
ジャケットの内ポケットから取り出した札・・・封装符を破り、封入していた戦装束を纏う弦一郎。志狼と一誠は近くに隠れ、様子を窺う。
『へぇ、やる気満々?じゃあこっちも受けて立とうじゃない』
そう言って破滅が取り出したのは、黒く縁取られた2枚のメダル。それを背後にいた信者2人の身体に、1枚ずつ埋め込んだ。
「うぅっ!?ぐあああああ!?」「あがぁぁぁぁぁあッ!?」
赤黒い光を発して、信者の身体はバキバキと悍ましく変形していく。それを尻目に、破滅はレイナーレの手を引き闇の門を開いた。
『じゃあ、楽しんでね。そこで隠れてるお3方も』
「「「ッ!」」」
そう言い残し、破滅とレイナーレは消える。バレているならば気負いも無しと、志狼と一誠は飛び出した。
「シロー!何だコイツら!」
「碌なモノでは無いと言う事しか分からん」
「変若の
志狼と一誠も隠していた封装符を破り、それぞれの戦装束に身を包む。そして竜胤の業で葦名の弓刀とパイルハンマーを取り出し、それぞれを渡した。
「ギュギリリリリリリィ!!」
「ギシャアァァァァオッ!!」
「あ、あれって・・・!」
「何だと!?」
「まさか・・・!」
肉体の変質が終わった信者の成れの果て達は、各々が特徴的な雄叫びを上げる。その姿に、志狼達は見覚えがあった。
片方は、筋肉質な茶色い身体に、側頭部から生えた水牛のような角、そして鼻先にも角を備え、太い尻尾を生やした竜のような異形。
もう一方は、眼が退化したデンキウナギのような黄色い見てくれに、先端が三日月状になった2本の回転する角が側頭部に付いた異形。
「ゴモラに、エレキング!?」
「ウルトラ怪獣が、何故この世界に!?」
そう。ウルトラマンに登場した怪獣、ゴモラとエレキング・・・正確に言うなれば、その2体の怪獣の形質を持つ、怪人であった。
723:ヴィジランテ・ベリアル
あれは・・・ゴモラにエレキング。それも人体に後天的に怪獣の遺伝子を無理矢理組み込んだ即席のキメラだな。
しかもあのメダル、Zの怪獣メダルか。ウチのセレブロもあれでソシャゲ中毒者になってるぜ。
724:月光と獣の剣士
あの真っ黒野郎、間違い無く黒い上位者の化身だね。全く碌な事をしない。
725:名無の不死者
>>724
そもそも神が碌な事をした例しが無い定期
「天猫殿!」
「任しとき!」
志狼の呼びかけに是と応え、黒澤は懐から取り出した札を四方に放つ。その札はそれぞれが公園の四隅に張り付き、強力な結界を形成した。
「壁は作ったで!」
「忝い!」
「助かる」
「ありがとな!」
天猫が張った結界によって、公園は周囲から隔絶されている。故に、遠慮は要らない。志狼は朱雀の紅蓮傘を左手のガントレットに装着し、チラリと目配せ。一誠と弦一郎はそれぞれ頷き、2人でエレキングに対峙した。
「参る・・・!」
そして志狼は楔丸を抜刀し、ゴモラを睨んだ。
(志狼サイド)
「ギシャアァァァァオッ!!」
「!」
ゴモラの頭部、三日月状の角が光り始めた。来る技は読めているので、前ステップで距離を潰してその瞬間を待ち構える。
「ガァァァァァァアッ!!」
絶叫と共に、角に凝縮されたエネルギーが放たれた。ゴモラの花形、超振動波だ。
だが、俺はそれを待っていた。紅蓮傘を開き、超振動波を受け止める。思った通り、鉄扇の傘はビリビリと震えて振動を吸収してくれた。
─ブシュゥゥッ─
「返すぞ」
熱を持って煙を立ち上らす鉄扇を畳み、放ち斬りを繰り出す。溜め込まれた熱が真空波を生み、ゴモラの鱗を深く削った。
「ギシャオゥッ!?」
真正面からモロに喰らい、大きく蹌踉めき怯むゴモラ。これが効かねばと、次は尻尾を薙ぎ払ってくる。
下段。
高く飛び越え、逆に奴の頭を踏み付けて宙返り。更に着地と同時に楔丸を持った右手を引き絞り、切っ先を突き出しながら突貫。鱗を貫く事は叶わなかったが、その勢いのままに上空に跳躍。大忍び落としを決める。
言い手応えだ。体幹をかなり削れただろう。
「ギャァァオッ!!」
「ぐおっ!?」
カウンター気味の掴み攻撃。上手く躱せず、ガッチリとホールドされてしまった。
「ボシュゥゥゥ!」
「ぐぉあッ!?」
更に、至近距離から毒を吹き付けられてしまった。しかもこの毒、かなり強い・・・!
「ゴクッ・・・不味い」
毒消し粉を飲んで直ぐさま解毒し、体勢を立て直した。そして形代流しで首筋を削り、丸薬を飲んで治癒させる。
「まだまだ・・・」
この程度ならば、恐るるに足らず。
(NOサイド)
「ギュギリリリィ!!」
「甘いッ!」「効かねぇよ!」
エレキングが放った放散電撃はしかし、弦一郎と一誠の雷返しによってそっくりそのまま跳ね返される。
「ギュアッ!?」
「フッハッ!タァッ!!」
更に畳み掛けるように繰り出される、弦一郎の完璧な桜舞い。エレキングの体表は斬撃への耐性に乏しく、ドス黒い血が噴き出す。
【
「フッ!ウリャッ!」
其所を追い討つように、一誠が赤龍帝の雷光槍で突いた。更に志狼の仕込み槍のように瞬時に縮めて引き寄せ、パイルの変形攻撃で斬り付ける。
そして間髪入れず、溜めきらずに杭を撃ち出して追撃。血飛沫を散らして吹き飛ぶエレキングだったが、尻尾で衝撃を回転に変換し受け身を取った。どうやら経験に関係無く、身体を使い熟せるようだ。
「チッ、思ったよりも刃の通りが悪い・・・デンキウナギのように、筋肉の上に脂肪の装甲が付いているタイプか。
ならば!」
弓刀を弓に変形し、形代から生成した銀矢を矢筒から引き抜く。そして雷鞭の夕顔から雷を生み、銀矢に乗せて放った。
「ギュリバガッ!?」
霹靂と化した一矢は、エレキングの胸に命中。防電装甲である脂肪層を貫き、無防備な内臓へと雷撃を届ける。
流石の電撃怪獣も、内臓に直接通電されては堪らない。大きく痙攣し、口からスパークと共に大量の血反吐と煙を吹き出した。
「今だイッセー!」
「任せろ!3回分を喰らえッ!」
【Boost!Explosion!!】
─ドバギャァァァンッッッ!!!─
身体の内側を雷撃で焼かれて硬直したエレキングに、一誠がパイルの最大溜め攻撃を撃ち込む。その地獄鋼の鏃に彫り込まれた呪紋が発した神秘は、エレキングと化した男の歪に変質した魂に文字通りの大打撃を喰らわせた。
「ギャギュッ・・・ギョパッ・・・」
血と共にドス黒い肉片を吐き出して、エレキングは力尽きる。白い肌は瞬く間に赤黒く変色し、肉体は加速度的に液状化し崩壊。蓄積していた電気エネルギーが空中放電を起こし発散された。
「ぬぅ、危ないな」
「こりゃ、下手に倒したらまる焦げだぜ」
雷鞭の夕顔と赤龍帝の雷光槍でそれぞれ飛んでくる放電を弾き、顔を顰める弦一郎と一誠。しかし、その身体には真面なダメージなど入っていない。踏んで来た場数の賜物だろう。
「ごはぁ!?」
「シロー!?」「狼ッ!」
そんな2人の後ろから、志狼が弾き飛ばされて来る。口からは血が零れ、見るからに重傷だ。
「大丈夫か!?」
「ぐっ・・・防ぎ損ねた」
傷薬瓢箪を呷り、ゴモラを睨む。傷は塞がったが、一方のゴモラは殆ど出血もしていない。傷と言えば、鱗が多少削れている程度か。
「くっ、まるで甲冑武者・・・相性が悪い・・・」
刃が通じない相手に、苦虫を噛み潰す志狼。すると突如、後ろから真っ赤な光が溢れ出した。
(志狼サイド)
「ごめんなさい、待たせてしまって」
背後に出現した、真っ赤な魔方陣。その奥から、部長殿率いるオカルト研究部が現れる。
「ええてええて。そもそも吹っ掛けられたんはこっちやでな。それに、ウチの結界や。入って来るのにも苦労しはったやろ。時間取ってもうて、堪忍な」
「えぇ。日本製は高性能なモノが多いけど、神話勢力のエージェントも同じようね」
「ほぉ、随分と褒めてくれはるやん」
天猫殿と軽口を交わし、ゴモラを睨め付ける部長殿。その右手に赤黒いオーラを纏い、空いた左手で眷属に指示を飛ばしている。木場と塔城はそれぞれ左右に展開して警戒。成る程、普段から確りと連携訓練をしていると見える。
「さて、此所は私が日本から借り受け、管理を任されている大事な土地なの。貴方のような勝手を、赦す訳には行かないわ。最も、大遅刻の末じゃ格好も付かないけれど・・・貴族として、義務は果たす。
滅びなさい!」
部長殿が魔力球を生成し、ゴモラに放つ。赤黒く禍々しいそれは、目の前の目標目掛けて猛スピードで襲い掛かり・・・
「なっ!?私の滅びの魔力が!?」
──テキタイシャ、《コントンのオとしゴ》にシンニュウされました──
脳内に直接響く、焦燥感と危機感を掻き立てる警告。そして眼前の空間が歪み、闇が滲んで染み出すようにそれは現れた。
それは、脈動する闇。ドス黒く濁った汚水の上に使い古した機械油を流したような、名状し難い流動するマーブル模様を浮かべた人間大の丸い塊。
ぐるぐると忙しなく動き回る模様は、何故かその全てが瞳のようで・・・その幾つかと眼が合った気がした。
「視るなッ!!」
「ひっ!?」「なっ!?」「ぐぉっ!?」「うげっ!?」
咄嗟に立ち上がって楔丸を横に掲げ、仲間があの闇を注視しないようにする。そして自分は紫瓢箪を呷り、何とか怖気を堪えた。
「あの黒い男の、置き土産か・・・ッ」
───イキなハカラいだろう?セイゼイ タノしんでくれ♪───
脳裏に奴の声が響く。酷く愉快そうで、嘲るような、冒涜的な声だ。
「成る程・・・協力者が参入すると、同時にあの侵入者も現れるか」
共鳴鐘に惹かれる鐘女が鳴らす、不吉な鐘の音のようなモノだろう。
「くっ、滅びの魔力が効かないなんて・・・!」
「刃も、通じている気がしない!」
部長殿の魔力弾や木場の剣戟にも、あの侵入者・・・混沌の落とし子はとんと堪えた様子を見せない。寧ろ動きは活発化し、表面からウゾウゾと無数の触手を展開してやたらめったらに振り回してくる。
「ぬぅ、厄介な・・・」
「ギシャァァァ!!?」
「ッ!?」
無差別に振るわれた触手は、何とゴモラにも命中。そのまま侵蝕し、いとも容易く呑み込んでしまった。
「捕まれば即死と思った方が良いな・・・弦ちゃん!イッセー!神ふぶきを!」
「分かった!」「アレだな!」
懐から神ふぶきを掴み出し、周囲に蒔く。葦名の水で漉かれた紙吹雪は無数の無垢な魂を宿し、それを蒔く事で怨霊の類いへの特効を付与するのだ。
明るい紫のエフェクトが発生し、俺達の得物が瑠璃の浄火にも似た炎に包まれる。
「部長殿、此所はお任せを」
「っ・・・いいえ!此所を護る領主として、手を借りなくとも!」
ムキになった部長殿が放った特大の魔力球はしかし、落とし子には通じない。だが刺激はしてしまったらしく、落とし子は無数の触手を部長殿にけしかけた。
「拙いッ!」
横を抜けようとする触手は切り払えたが、それでも他の触手が周囲から弧を描くように部長殿へと殺到する。不死斬りは今は使えず、月光聖剣も振り抜くに遅い。
「ひっ!?」
鋭い触手の先端が、部長殿に届く・・・その刹那。
───キョウリョクシャ《ギゼンのじゃぐらすじゃぐらー》がアラワれました───
「ハァァァァッ!」「おらよッ!」
黄金雷光の一閃と、青白いオーラの剣戟。2本の残像がそれぞれの得物を追い、触手の群れを悉く迎撃した。
その斬撃の主は2人。片方は我々もよく知る人物だが、もう片方は覚えが無い。
「大丈夫ですか?リアス」
「朱乃!・・・と、どちら様かしら?」
蒼い地獄鋼のステッキを持った朱乃殿と、蒼白い靄を纏った人型の影。紅い眼が爛々と輝き、その手には日本刀に酷似した刀剣を握っている。
『ん、俺か?ンな事ァどうでも良いだろ。まぁ、敵では無ぇさ。攻撃してくれるなよ?』
「それを信用できるとでも?もしかして、朱乃のお知り合い?」
「いえ、敵意や殺気を感じなかったので左側は任せたのですが・・・」
『ま、お前達にゃ信用なんざ無理だろうなァ・・・だが、お前は判るだろ?狼君』
肩を竦め、飄々とした態度で返す影。その態度に、部長殿は顔を顰める。胡散臭さに表彰があれば、銀賞以上は堅いだろう。
しかし、名指しで言われた通り、俺は知っている。あの蒼白い靄は、小さな共鳴鐘の協力者の証だ。信用はしても良い筈だ。
「部長殿、この男は協力者のようだ。協力者同士は、自爆技を除いて有りと有らゆる友撃ちが効かぬ。此所は有り難く、協力を受けるべきだろう」
『クククッ・・・流石はヤーナム経験者、協力の仕様には明るいな。
それと、俺からアドバイスだ。アイツは混沌。生も死も内部に混在しているから、普通にやっても殺せねぇ。此所まで言えば、狼君なら分かるだろう?』
「・・・成る程。天猫殿、不死斬りを」
「ま、情報ソースも怪しいけど他に手もあらへんか。シロのボン、弦ちゃん、不死斬り承認や!」
「御意。弦ちゃん」
「おう」
天猫殿の承認を受け、俺達は懐から赤墨で書かれた特別の札を取り出した。それを空中でヒラリと翳せば、目の前の空間が裂ける。
「暫し時間を」
『おう、稼いでやるよ。遅れるなよ、雷光の』
「ご心配なさらずとも、不覚は取りませんわ」
協力者と朱乃殿は目配せし、それぞれの得物を構えた。更に朱乃殿は手に持ったステッキ・・・仕込み杖の仕掛けを起動。鋼鉄の杖身を振るうと、細長い鉄柱は展開。鋸刃を並べた伸縮鞭となった。更に自分の雷光をエンチャントし、大きく振るって伸びてくる触手をバリバリと空気を焦がしなら斬り捨てる。
「出でよ、《拝涙》!」「出でよ、《開門》!」
それぞれが貸し与えられた不死斬りを取り出し、背中に背負って抜き払う。朱い瘴気と
『ッ~!』
その瞬間、混沌の落とし子は明らかにギクリと震え、俺達へと意識を向けてくる。どうやらこの不死斬りが怖いらしい。
『□□□□□□□~ッッッ!!!』
名状し難い絶叫と共に、触手の槍衾を嗾けてくる落とし子。それを2人で薙ぎ払い、協力者や朱乃殿と並んだ。
「待たせたな」
「時間稼ぎ、感謝する」
「お気になさらないで下さい」
『役者は揃ったな。うっし、そんじゃまアイツを斬りますかァ!』
協力者が先行し、朱乃殿も続く。正面の触手は刀が斬り捨て、側面から回り込んでくるものは仕込み杖の鋸鞭が纏めて絡め薙ぐ。即興ながら見事な連携である。
「ハァッ!」「デェアッ!」
そうして出来た正面の隙に斬り込み、2人で秘伝・不死斬りを放った。二振りの不死斬りは不定形の落とし子にバツの字を刻み、どっちつかずの性質を蝕む。
「やはり、蟲憑きと同じような状態だったか・・・」
蟲憑きの場合、人の死体に仏の浄火が変質した蟲が憑く事で魂を縛っていた。故に生と死、両方の性質が1つの身体に混在していたのだ。ここから生み出された忍殺忍術が、傀儡の術である。
一方、この落とし子も生死双方の属性を体内に併せ持っている。故にこそ、不死斬りが有効なのだ。
『□□□□□□□□□~ッッッ!!!』
「ぬぅ・・・守りを固めたか」
痛手を被った落とし子は、触手を幾重にも身体に巻き付け防壁とする。しかも表面には、先程取り込まれたゴモラのものであろう鱗が浮き出ている。
「ふむ、硬いか」
「あぁ、矢も刃も通らん」
「効かぬ」
槍のように突き出された触手を踏み付け、楔丸で斬り付けてみる。しかし、ギャギリッと言う耳障りな音と火花が散るだけ。真面に傷も入らない。
『だとしても、コイツは只の《ガード》だ。何時かは崩れる』
「でしたら、崩して見せましょう」
「ああ。手数は巴流の得意分野だ!」
「よし、やるぞ」
俺の合図で、それぞれが散開。協力者は中国の
「合わせろよ狼ッ!」
「遅れは取らぬ!」
「「ハァッ!」」
そして俺と弦ちゃんは、それぞれの不死斬りで巴流奥義・浮舟渡りを叩き込んだ。数の暴力には流石に手も足も出ないらしく、落とし子の触手がどんどんと削られてゆく。
『□□□□□□□□□~ッッッ!!!!!』
その触手のスキマから、真っ赤な光が漏れ出し始めた。コレは、ゴモラの超振動波か。
「させるか!ラスト頂き、7乗分喰らえッ!」【Explosion!】
─バッギャァンッ!!─
『□□□□□□□□□□□~ッッッッッッ!!!!?』
しかし、放つ事叶わず。月隠の飴で潜伏していたイッセーが完全に虚を突く形で、落とし子の背後からパイルの変形後最大溜め攻撃を直撃させた。強烈なバックスタブによって決定的に体幹が崩壊した落とし子の中央に、赤い急所が浮かぶ。
「決める!」
その急所を、赤の不死斬りで貫いた。落とし子はビクリと痙攣し、その身体を崩壊させる。
「ッ・・・」
落とし子が崩れ落ち、赤黒い粒子と消えると同時。俺の脳の中に、何かが流れ込むような感覚があった。
これは、啓蒙・・・脳内の精霊が、卵から孵化して齎されるもの。
「ぬおっ!?」「ぐあっ!?」
イッセーと弦ちゃんも、頭を抱えて呻く。どうやら、向こうにも啓蒙が入ったらしい。輸血液は使っていないのだが・・・もしや、漁村の洞窟で既に感染していたのか?
「何だ、今のは・・・」
「弦ちゃんもか?頭の中で、何かがじんわりと・・・」
『ほぉ、運が良いね。お前らも啓蒙を得たか。
それと、ちっとばかしプレゼントだ』
そう言って、協力者は白の不死斬りに触れる。するとその面が黒く染まり、嘗ての黒の不死斬りとなった。
「なっ!?これは!」
『白黒のリバーシブルさ。何時か黒も必要になるかもだしな』
楽しげに説明した所で、協力者の身体が薄れ始める。
『おっと、今日は此処までらしい。機会があれば、また会おうぜ。じゃあな』
「ちょ、ちょっとまって!」
部長殿の呼び止めも虚しく、協力者は完全に消えてしまった。狩りを終えれば、協力者は消える。ヤーナムと同じと言う訳だ。
取り敢えず、事件そのものはこれにて終幕。残りは事後処理だな。
(ベリアルサイド)
あの仕草に剣術・・・それに眼の形は・・・もしかしなくても、アイツだよなぁ。ま、アイツならゲスな事ァしねぇだろ。
「ベリアルー!リクちゃんのバトル始まるよー!」
『決めるよッ、覚悟ッ!ジィィィードッ!!』
「おう、今行く」
怪獣メダルが出て来る時系列なら、心配も無さそうだしな。
to be continued・・・
~キャラクター紹介~
葦原志狼
かなり活躍した戦国忍者。
大振りな動きの多い怪獣相手なら、負ける事はそうそう無い。しかし大技の類いに若干乏しく、装甲の厚い相手には決め手に欠ける。これはロバートパパこと甲冑武者の時から変わらない。
赤の不死斬りの保有者として、異次元保管庫の鍵を持つ事が許されている。
ゲームと違い、不死斬りを普通の剣として振るう事も出来る。この際形代は消費しない。
<●>36
葦斑弦一郎
今回原作イッセーが嵌まるはずだった罠を敢えて踏んだ弦ちゃん。
正直天野は好みでは無かったが、一応楽しんではいた。
白の不死斬りの保有者として、異次元保管庫の鍵を持つ事が許されている。不死斬りを振るう際は、弓モードの弓刀を背中に背負う。
<●>2
兵藤一誠
ナイスバクスタを決めた原作主人公。
敵の隙を窺い、此処ぞと言う時に完璧に当てた。因みにパワーは倍加7回分、つまり128倍である。
<●>2
黒澤天猫
今回一枚噛んだ現代陰陽師。
結界スペシャリストであり、道祖神沙羅更紗の加護もあって本気になれば空間を隔絶するレベルの結界を作れる。また、その応用で封装符を発明した術者。
今回は完全に裏方だが、結界のお陰で周囲の被害はゼロ。縁の下の力持ちである。
因みにリアス達に連絡を入れたのも彼女だったりする。
<●>5
リアス・グレモリー
責任感があるっぽい駒王領主。
天猫からの連絡で急行したが、それが逆に侵入者の呼び水となった不憫な子。
まだプライドとか色々凝り固まってる所がある。反省。
レイナーレ
バラキエルの羽根を見てへっぴり腰になった女堕天使。
だけど絶対勝てる筈の無い奴が背後にいるであろう相手に対し、手を出さず撤退まで大人しくしようとしていたので、原作よりはまだオツムはマシ。
破滅/ヴァルツァー
引っ掻き回すトリックスター。
怪獣メダルの精製とか色々とこの次元じゃ有り得ない事をやってたりする。
ヴァルツァーと言う偽名は、黒のシュバルツから捩った安直な名前。正直呼び名に拘りは無い個体らしい。
破滅の信者
破滅に連れて来られた信者。その眼は皆一様に虚ろであり、生気の無い顔と餓死した表情筋を貼り付けている。
コレは最早、信者とすら呼べないのでは無かろうか・・・
ギゼンのじゃぐらすじゃぐらー
協力者として現れた謎の男。卓越した剣術を持つが、性格は飄々と掴み所が無い。
消える間際、弦一郎の白の不死斬りに嘗ての黒の側面を復活させた。真逆の2つを混在させる、コレは如何なる権能か・・・
コントンのオとしゴ
ニャルラトホテプがウみダしたゾウヒョウたるシンワセイブツ。ゾウヒョウであれどもコントンのケシン。フシギりイガイではコロせない。クらったモノをトりコんで、ジブンにサイゲンするノウリョクをモつ。
ヴィジランテ・ベリアル
協力者の正体に気付いたっぽいスレ民。だが心配は無さそうだとノータッチを決め込む。
因みに現在雄英体育祭の時系列である。
最近部下達が勝手に自分サイズのタキシードとか注文してる。怖い。
~アイテム・用語紹介~
・バラキエルの黒羽根
最上位堕天使が1人、バラキエル。その翼から抜き取った羽の1枚を加工し、羽根飾りとしたもの。
堕天使とって、羽は顔にも等しく見分けは容易である。なればこそ、堕天使に対する牽制にもなるだろうか。
その羽根には人を愛した堕天使故の、仲間を想う気持ちが籠められており、打雷のダメージを大幅カットする効果がある。
・神ふぶき
葦名で作られる、祓い道具。
葦名の水は、神を宿す。紙を漉くと言うが、葦名の水で行うそれは神を掬うと言う事でもある。
怨霊やこの世為らざるものに対し、高い攻撃力を与える。或いはそれは、水に溶けた魂達の、故郷を愛する護国の心なのだろうか。
変若の澱
変若水が深く、濃く澱んだもの。飲んだものは生半に死ねず、超人の怪力を得る。
桜竜に名もなき神々は吸い上げられ、代わりに水には竜胤が混じった。
それは非常に薄いものであるが、因果の中心点の力。それが、底無き滝を作っている。
葦名の下層は、因果の因に近い場所。其処に落ちたモノは、上層の世界に再び生み出される。変若の澱はこれを自分で繰り返し、因果と竜胤を濃縮したものである。
それは生死の在り方を歪める。決して触れる事なかれ。
封装符
志狼達に支給される戦装束。それを次元の裏に圧縮し、封じた札。
破れば戦装束が現れ、自動的に身を包む。
不死斬りを封じるものは、赤い字で書かれており、術者の承認無くして開かないようになっている。
白の不死斬り
過去に歪んでいた、黒の不死斬りが転じたもの。赤色金剛書たる赤の不死斬りと対になる、白色白蓮華の一振り。
銘は『法整』。あるべき姿を取り戻す。
しかし、今は裏に黒を持つ。黒は『開門』。黄泉への路を、竜胤の血にて開く、呼び水の剣である。