ハイスクールSEKIRO   作:エターナルドーパント

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第4話 鬼仏

(志狼サイド)

 

「うん···あぁ、じゃあ···」

通話を終え、俺は電話を切った。

「母さん達には、葦名の寺で一晩世話になると伝えた」

「便利なものだな。携帯電話だったか」

「子供用だがな」

子供ケータイをポーチにしまい、弦ちゃんに向き直る。

「そう言う弦ちゃんは、親には連絡しないのか?」

「あぁ。俺は元々、2泊3日の予定だったからな。昨日来て、今日楽しんで、明日帰る」

泊まり旅···俺も最初からそうすれば良かったか。いや、あの未だ子離れ出来ていない母さんは、あと1年は許してくれないだろう。なら良いか。

「して、弦ちゃんの神器は何だ?」

「あぁ、これだ」

そう言って、弦ちゃんは両手の甲を見せる。すると手の甲に花の形をした手甲が現れ、其処から袖の中まで黄色い蔦が巻き付いた。

「名前は分からんが、中々に便利でな。この蔦は俺の思い通りに動いてくれるし、何より···」

 

―バチッ バチチッ―

 

指の間に、火花が飛ぶ。紛う事無く、それは放電だ。

「こういった具合に、電気を放てるのだ。発電能力と言うのか?」

「成る程。雷返しを良く使っていた、弦ちゃんらしい神器だ」

「いや、それを言うならお前など、差し詰め雷返し返しじゃないか」

「猿真似は得意でな」

「狼なのにか?」

「狼なのにな」

「可笑しな話だ」

そう言って、弦ちゃんはフッと笑う。いやはや、鎬を削る戦いを交わした相手と、こうやって笑い合えるとはな。

「時に黒歌殿。俺の神器の名前を知ってはおられぬか?」

「ん~?あぁ···雷鞭(らいべん)夕顔(ゆうがお)、サンダーカリスティージャだと思うにゃ。割とありふれた神器だにゃ」

「夕顔か。別名カミナリバナ、道理で···」

夕顔は下し薬になるし、何より瓢箪の事だ。傷薬瓢箪を初めとする薬水瓢箪も、特殊な夕顔なのだ。

「持ってきましたよ、狼」

「あぁ、ありがとう」

戸を開け、御子が布に包んだ何かを持ってくる。それを受け取り開けてみれば、木彫りの鬼仏だった。

「狼、それをどうするのだ?」

「昔、俺は葦名の地の至る所に置かれた鬼仏を利用していた。これを使えば、様々な事が出来る。

その1つが、仏渡りと言う、鬼仏から鬼仏へのワープだ」

「「!?」」

「···木彫りで出来るかは分からんが」

取り敢えず、目の前に木彫り鬼仏を置いて座禅を組む。すると、青い鬼火が集まり、鬼仏に灯った。

 

――鬼仏見出――

――SCULPTURE'S IDOL FOUND――

 

「おっ」

「にゃっ!?」

「まぁ!」

どうやら、木彫りでも問題無いらしい。にしても、黒歌の尻尾がブワッと膨らんだな。やはり反射的に警戒するか。

「御子よ。この部屋の入り口近くにあった鬼仏、まだ置いているか?」

「えぇ、しっかり置いていますよ?」

「よし」

俺は腰を上げ、部屋を出る。少し歩くと、やはり鬼仏があった。

 

――鬼仏見出――

――SCULPTURE'S IDOL FOUND――

 

同じく座禅を組んで解放し、今先程見出だした木彫り仏を思い浮かべる。

そして一瞬で空気が変わり、目蓋越しに光が届いた。

「ま、マジでワープしたにゃ···」

「道理でああも迅速に葦名を駆け回れた訳だ」

「鍵縄が便利だったと言うのもあるがな」

しかし、形代は買えないみたいだな。まぁ良いだろう。

 

―――――

――――

―――

――

 

―――そなたなど、まだまだ子犬よ―――

 

「勝てぬ···」

朝。妙にリアルな夢から覚め、布団から起きる。

枕元には、朧気に光る鬼仏。もしや、今のが類い稀なる強者との再戦、か···

しかし、何故俺はこの子供の姿だったのか。義手忍具も使えぬし、体幹も弱い。オマケに、相手は思い出補正で強化されていると来た。

幸いと言うべきか鍵縄や道具系、楔丸は使えた。それを使って鬼刑部(おにぎょうぶ)には何とか勝てたが、お蝶殿···いや無理だ。勝てるかあんなモン。こちとらアイテムは傷薬瓢箪と丸薬と種鳴らししか使えないんだぞ。あ、でも飴系と、形代流しを使えば御霊卸しも出来るか。

「ん···んぁあ···あぁ、起きていたのか、狼」

と、隣で弦ちゃんが目を覚ます。

「あぁ、おはよう弦ちゃん。良く眠れたようだな」

「おはよう狼。やはり、故郷の空気を吸えば、寝心地が良い」

「全くだ」

時間を確認すると、8時25分。おっとまずい。

「もうすぐ仮面ライダー鎧武の時間だ」

「お前も好きか」

などと言いながら、俺達は奥の院に増設された居間に向かった。

 

―――

――

 

「いやぁ、にしても···ドロッドロだったな」

「まぁ、脚本がまどマギと同じだからな」

「あぁ···道理で」

「中々えげつないストーリーだにゃあ···」

朝食を食いながら鎧武を見終え、弦ちゃんのボヤきに答える。見た事の無い黒歌には、俺達がその都度説明しながら一緒に見た。

因みに、1回目の人生ではゼロワンの最終回まで見た。正直脚本は庇いようが無い、下の下な出来だったと思う。それぞれのライダーは充分以上に格好良かったけど。

「狼は主任が好きそうだな」

「まぁな。そう言う弦ちゃんは···バロンと重なる所があるな。理想の為に外道に踏み込んだり」

「それはもう言うな」

なんて事を喋りながら、俺達は苦笑いを向かい合わせる。いやはや、やはりえげつないな。

「···そう言えば弦ちゃん。雷鞭の夕顔を使えば、俺のように飛び回れるんじゃないか?蔦の強度は?」

「えっ、いやまぁ、ぶら下がったり振り子運動程度なら余裕だが···」

「よし練習だ」

「えっ?」

思い立ったが吉日。俺は居間に置いていたポーチから鍵縄を出し、弦ちゃんの手を引いて廊下に出た。そして窓を開ければ、手摺はあれど断崖絶壁。しかし、そこかしこに丁度良い出っ張りや木の根はある。

「えっ、志狼君?何してるにゃ?流石に危なく「とうっ」無いかにゃァァァァ落ちたァァァァッ!?」

手摺を乗り越え、躊躇無くジャンプ。そこから左手に持った鍵縄を投げ、木の根に引っ掛けて身体を引き上げる。そして木の根の上に着地し、今度は寺の屋根に鍵縄を引っ掛け窓に戻った。

「とまぁ、こんな具合に便利だぞ。さ、やってみろ」

「無茶言うなッ!断崖だぞッ!?落ちたらどうするッ!?」

「だから落ちたくなければ、この世にしがみつく気で蔦を飛ばせ。俺もお蝶殿からそうやって鍛えられた」

あぁ、俺の中にある()()()()が引き出される。

彼方此方と修行場を転々と連れ回され、今で言うなら超スパルタ式な、それでいて限界寸前まで力を出し切れば何とかこなせるような、そんな意地の悪い修行をさせられたものだ。中でも印象深いのが、15の時にさせられた薄井の森での修行。

霧とまぼろしが満ちるその森で、霧鴉を捕まえろと言われたのだ。数日分の最低限の水と食料、苦無(クナイ)を持たされ、森に放り込まれた。

霧の中で方向を見失いながらも駆け回り、何度も何度も追い駆けては逃げられ、何とか捕まえたと思ったら数枚の羽を残して跡形も無く姿を眩まされた時は流石に心が折れた。年甲斐もプライドも何もかもかなぐり捨てて森の真ん中で泣き伏せたものだ。

その後、まさか泣くとは思わなんだと詫びながら現れた養父上とお蝶殿曰く、俺の嗚咽からまぼろしの群れが生まれ襲い掛かって来たらしい。

そしてその後、薄井の猛禽は丁寧に手懐けるしかないと知った時、俺は拗ねた。3日は口を利かなかった。

「さぁ、猿になって来い」

「そこは鳥じゃウワァァァァァァァァ!?」

ウダウダ言っている弦ちゃんを、俺は窓から突き飛ばす。弦ちゃんは落っこちる途中で何とか蔦を飛ばし、木の根に引っ掛けたようだ。

「ホォォォォォォォォォ!?」

奇声を上げながら猛烈なスピードでスイングしていく弦ちゃん。その声を聞き、俺の脳裏には寄鷹衆が過る。あの凧から滑空してくる奴らだ。

「うっわ、志狼君えげつないにゃ···」

「これが忍式だ。死が目前にあれば、人間の心身は嫌が応にも目覚める」

「ぬぉぉぉアァァァァァッ!!」

「おぉ、帰って来た」

途中で何とか方向転換したらしく、弦ちゃんは見事戻って来た。だが手摺を越えられず、どうにか掴まって宙ぶらりんになる。

「良く出来たな。最初でこれなら上出来だ」

「黙れぇ!こんな場所から突き落とすなど正気の沙汰じゃないッ!抜けたか竦んだかで足腰立たぬわッ!!しまいにゃ泣くぞッ!!」

「と言うかもう泣いてるにゃ」

足腰を生まれたての子鹿のようにプルプルさせながら、震えた声で絶叫する弦ちゃん。涙で目元を潤ませながら抗議してくるが、まぁ結果良ければ全て良しだ。

「狼、流石に酷いのでは?」

「大丈夫だ。現に大丈夫だった」

「結果論だろうがッ!!」

「弦ちゃん、はいお茶」

「あぁ黒歌殿、かたじけない」

黒歌から震える手で湯呑みを受け取り、茶を飲む弦ちゃん。一杯飲む頃には、幾らかマシになっていた。

「フゥ···」

「えっと、弦一郎君?どうかしたのですか?」

御子の問いに答えず、窓から外を見下ろす弦ちゃん。そしておもむろに神器を出し、再び外に飛び出した。

「えっ、自分から行くにゃ!?」

黒歌の驚愕余所に、外では弦ちゃんが楽しそうに飛び回っている。

先程のスイングよりかは、幾らか俺の立体機動に近い動きが既に出来ていた。

「ホォォォォォォォォォウッ!!」

あぁ、実に楽しそうだ。

「···弦ちゃん、ヤバいクスリでもキメた?」

「少なくとも、脳内麻薬は確実に」

「才能があった···のでしょうかね···」

何はともあれ、弦ちゃんが立体機動を習得出来たようで良かった。

 

―――

――

 

「世話になった」

「昼飯も旨かった。それに土産の柿まで···すまんな」

昼下がり。俺達は仙峯寺の門前で、御子と黒猫に化けた黒歌からの見送りを受けていた。

手には、土産として御子に渡された丸々と熟れた柿が幾つか入った紙袋を持っている。

「いえいえ。その柿、葦名の特産品の太郎柿です。親御さんと、食べてください。

また、いらしてくださいね。狼、弦一郎」

「にゃー♪」

「あぁ、また来よう」

「俺は兎も角、狼は仏渡りもあるしな」

「中学に入ったら、親にスマホでもねだってみるか」

「じゃあ、その時はLINE交換しましょうね!」

「御子スマホ持ってるのか」

「便利ですからね♪」

袖の中からスマホを取り出す御子。ストラップの鈴がチャリリッと鳴り、白い御守りが揺れる。

「ハハハ、なら、俺も使い方を覚えねばな」

そう言って手を振る弦ちゃんと共に、俺は仙峯寺を後にした。そしてもう少し土産物を買うため、城下町を目指す。

城下町までは、時間短縮の為に人目のつかぬ場所に限り鍵縄を使った。

「狼は何を買う?」

「団子やおはぎと、地酒だな」

「ならば、俺も竜泉とどぶろくを買っていこう」

「俺は竜泉と猿酒だな」

「やはり、竜泉は外せぬ」

2人して酒屋に入り、酒とツマミを買う。その後も土産物を買い、1時頃に電車に乗った。

 

―――

――

 

「まさか降りる駅まで同じとはな」

「また会う時に、手間が減るな」

長いこと電車に揺られ、行きしなに最初に乗った駅まで帰って来た。

3つ目の乗り換えが被った辺りから何と無く察していたが、どうやら結構近所に住んでいるらしい。この辺では俺の通っている所ともう1つ小学校があるから、そっちに通ってるんだろう。

「と、俺の親の車があった。じゃあな」

「あぁ、またな弦ちゃん」

そう言って手を振り合い、俺達はそれぞれの帰路に就くのであった。

 

 

 

 

 

 

翌日、イッセーにドラゴンが宿ってて宇宙猫ならぬ宇宙狼になった。

 

to be continued···




~キャラクター紹介~

葦原志狼
WMKN(割りとマジで鬼畜な忍者)な主人公の狼。
話が積もり過ぎて、ついうっかり帰りそびれる。そのまま仙峯寺奥の院にて一泊。弦ちゃんとは完全に打ち解けた。前々世からの趣味で仮面ライダーが好き。
今回で仏渡りと休息が解禁。これまでは瓢箪系は一晩寝ないと補充されなかった。また、戦いの記憶やボスラッシュも解禁された。だが現在の状態が反映されるので、現状は鬼刑部にしか勝てていない。
薄井の森でのエピソードは捏造。でもあの忍の修行なら、こういう無茶苦茶してもおかしくないと思うの。
因みに帰ったらお母さんの説教を喰らいましたとさ。

葦斑弦一郎
オリジナル神器を宿した弦ちゃん。
前世の信条から、ヒーロー系の物語が好き。
オリジナル神器は雷鞭の夕顔(サンダーカリスティージャ)。作中で志狼が言った通り、夕顔は別名カミナリバナ。なので、その名の通り放電能力がある。そして蔦を伸ばす事で、鍵縄と同じ立体機動が出来る。
実は半ば高所恐怖症だった。これは前世からで、葦名城の天守閣は柵と屋根で下が直接見えないから大丈夫だった。しかし、今回志狼に断崖絶壁から投げ飛ばされた事で無理矢理克服する事になった。
因みにこの立体機動にハマり、スパイダーマンの如く飛び回れるようになった。
何気に狼のやった命懸けのぶっつけ本番式訓練は、神器の鍛練に最適だったりする。今回の場合、死への恐怖から蔦が太く、編み込み状の構造に変化している。

黒歌
突っ込みキャラと化しつつある猫魈おねえちゃん。
ともあれ志狼達への印象はかなり良い。
因みに原作通りはぐれ悪魔な彼女だが、SEKIRO要素の中に彼女達転生悪魔を元の種族に戻す方法がある。

変若の御子
お米ちゃん。
狼と弦ちゃんを一晩泊めてあげた。結構料理上手い。
意外と現代に適応しており、テレビやスマホを普通に使っている。Wi-Fiも、業者に頼んで完備している。
因みに最近のマイブームは猫状態の黒歌をモフる事。

~神器紹介~

雷鞭の夕顔
―――サンダーカリスティージャ―――
夕顔の花を象った、左右一対の手甲。念ずれば、放電が飛ぶ。発動中は、雷攻撃によるダメージと、状態異常「打雷」になった時のダメージを軽減する。
名の通り、蔦を鞭として振るう事が出来る。敵を縛り、感電させる事も出来る。
夕顔は、カミナリバナとも呼ばれる。木気たる花の形を成す雷の神器は、五行に合った相性である。

リアス・グレモリーは、王蛇みたく常識人の方が良い?それとも、原作通り無能姫で痛い目見せる?

  • 無難な常識人
  • 無能姫の鼻をへし折れ
  • 救いようはあるけど結局甘ちゃん
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