ハイスクールSEKIRO   作:エターナルドーパント

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第8話 地獄の工房

(志狼サイド)

 

「うむ、これで良かろう」

俺の視界に満ちる、純白の糸。それがスルスルと動き、身体に巻き付き始める。

そして見る間に精密に編み込まれ、真っ白い羽織として完成した。

左右を見れば、イッセー、黒歌、弦ちゃんも同じく白い羽織を羽織っている。

「おっ、色が···!」

声を上げるイッセー。その羽織が左の袖口から順に、鮮血のような濃い緋色の地と、椿の葉のような光沢のある緑の鱗模様に染まる。

俺の羽織も同じように色が変わり、此方は下に行く程暗くなる橙色だ。

弦ちゃんは黒地に金の稲妻模様、黒歌は黒の無地。同じ黒地ではあるものの、弦ちゃんの羽織には光沢があり、逆に黒歌のものは表面が艶消しになっている。

「まぁ!とっても立派で、良くお似合いですよ!」

御子はそう言って、喜ばしそうに微笑んだ。確かにこの羽織、とても軽くて着心地が良い。

「有り難う御座います、蚕神殿」

そう言って、俺は目の前に立つ長身の女性に頭を下げる。

相手は白い着物を纏い、背中と額にそれぞれ蚕の羽と触覚を持ち、眼は緑の複眼。紛う事無く、蚕の女神である。

「うむ。変若の君に頼まれた故に、特別じゃぞ?」

「「「ありがとうございます!」」にゃ!」

そう。此は御子が頼んでくれた、特別の羽織。神の世界に行く際に、切符代わりになる物なのだと言う。この為に、態々蚕神殿に仙峯寺(この場所)までご足労願ったのだ。

「概ねの形は創ってやった。後は各々、動き易いよう高天原(たかまがはら)で仕立て直して貰うと良い。そんじょそこらの鎧兜より、余程丈夫じゃ。因みに洗濯しても大丈夫じゃぞ。

それにしても、人の子を高天原に招くなど、いつ振りじゃろうかのう···安倍晴明以来か」

「とんでもないビッグネームが出て来たにゃ···!」

思わず口元を引き攣らせる黒歌。と言うか高天原に人間が行った前例があったのか。

「では、沙羅(さら)さん、更紗(さらさ)さん。お願いします」

「はい!さぁ行きますわよ更紗さん」

「分かっていますわ、沙羅姉さま」

今度は空間を暖簾のように切り開き、2人の美女が現れる。

彼女達は道祖神。土地を災いから護り、次元や境界線を司る神だ。

「では、日本神話の期待の新人の皆さんと記念撮影しちゃいましょうか!」

「あら、それは名案ですわね、おつむの緩い沙羅姉さまにしては」

「あ゛?」

さらっと姉を罵倒する更紗殿に、俺達は一瞬呆ける。当の沙羅殿は、犬歯を剥き出して怒りを隠そうともしていない。

恐らく、日常茶飯事なのだろう。姉妹仲はかなり悪いと見える。

「はいはい笑って下さーい?ハイ、チーズ!」

「ちょっと更紗さん!」

沙羅殿をほったらかし、勝手にパシャリと自撮り式で撮影を済ませる更紗殿。何と言うか、イイ性格をしているようだ。

「更紗さん、いい加減にして下さい。仕事をこなさねば、上司に怒られるのは貴女達ですよ?」

「あ、ハイ···」

御子の一声で、更紗殿が冷や汗をかく。当たり前だ。戦国時代から現人神をやっていて、貫禄が付かない訳が無い。

「···ゴホンッ。では気を取り直して、高天原にご案内ですわ」

「そうしましょう。ごめんなさい沙羅姉さま、少し悪乗りが過ぎましたわ」

「良いのよ更紗さん。さ、早く致しましょう」

頭を切り替え、仕事を全うする沙羅殿。先程と同じように切り開かれた空間に、俺達は足を踏み入れた。

 

―――

――

 

「ぬぅっ···」

真っ暗な、それでいて各々の姿は明瞭に見える不思議な空間を歩く事数分。沙羅殿達が空間を切り開き、溢れてくる光に思わず眼を覆った。

「···おぉ」

「これは···!」

やがて眼が慣れると、その光景に思わず感嘆の声が漏れる。

幻想的な黄金色の太陽に、桃の木の繁る森。その中を貫く道の先には、大きな街が(そび)えている。

「···高天原、か」

「綺麗だにゃ···」

文字通りこの世成らざる絶景に少々見惚れつつ、俺達は歩き出そうとした。

「あ、その羽織があれば、高天原では空を飛べるんですよ」

「何だと···」

更紗殿に言われ、身体に意識を集中してみる。すると身体が軽くなり、ふわりと僅かに浮き上がった。

「では参りましょう。天照様の所まで」

熟れた様子でフワリフワリと空を舞い、沙羅殿はそう言って笑った。

 

―――

――

 

「道祖神、沙羅」

「同じく、更紗」

「よし、通れ」

門番の許しを得て、立派な社の門を潜る。

此処に来るまで空から見渡した高天原は絶景の一言で、神々しく神秘的。心が洗われた気分だ。

あと、古風な建物の中に普通に電化製品が普及していたのは地味に驚きだった。

「いよいよ、天照様との謁見ですわ」

「余り必要では無いので、緊張し過ぎないように。では、私達はこれで」

障子の前まで来ると、沙羅殿達は下がって行った。どうやら管轄は送迎までらしい。

『ようこそ、次世代の戦士達。歓迎しよう』

襖の奥から響く声。若く、凛々しく、美しく、そして言い表せぬ覇気を持った声だ。

そして、襖が開く。その奥にあったのは···小綺麗だが、意外と普通な和室だった。

『まさか、この俺が神に歓迎される時が来るとはな』

「おっ、起きたかドライグ」

イッセーの左腕が赤龍帝の籠手となり、手の甲の緑の宝玉が明滅して声を発した。ドライグは普段眠っているらしく、また気紛れに起きるのだそうだ。

「まぁ、一先ずだ。歓迎されているなら、遠慮せず入る事こそ礼儀だろう。丁度、長机と座布団もある。座らせて頂こう」

「そうだな」

弦ちゃんに同意し、俺達は部屋の中に敷かれた座布団に座る。

それにしても、天照大神の姿が見えないが···

『済まないが、もう少しばかり待ってくれないか。急に野暮用が舞い込んで来てね』

と、頭上から先程の声。見上げれば、天井にスピーカーが埋め込まれていた。

「成る程。お気になさらずとも、大事ありませぬ」

『そう言っていただけると有り難い。直ぐに片付けるから···』

『あぁそこ触っちゃ――――』

 

――バギャンッ!ドゴンッ!――

 

「ごぅえっ!?」

突如として響く、とんでもない金属音。そして、向かって右側、入り口の正面に向き合う形に付いていた障子を突き破って、何か···否、誰かが吹き飛んで来た。

「あ゛···うぅっ···ゥおう゛ッ···」

「だ、大丈夫ですか!?」

飛んで来たのは、絶世の美女。骨格に寸分の歪みも無く、顔も端整。首もとで切り揃えられた金髪も、まるで上質な絹糸のよう。美しい身体が描く緩やかな曲線は、まさに女性の理想形。

問題なのは、そんな美女が腹を押さえて踞り、顔面蒼白になってえずいている事だ。流石に見惚れよりも心配が勝つ。

「すみません天照様!」

彼女を追って部屋に飛び込んで来た青年が叫び、その手を取って引き起こす。彼の額には小振りな2本角が生えており、恐らく鬼なのであろう事が分かる。

「いやいや、今回悪かったのは私さ。不用意に触った私が悪い···と、済まないね訪問者諸君。見苦しい所を見せてしまった」

何とか立ち直った美女···天照大神は、腹を擦りながら俺達の向かい側に座った。

「いえ、お気になさらず···」

「流石にビックリしちゃったけど、まぁ大丈夫ですにゃ」

「えっと、アマテラス様、ホントに大丈夫ですか?」

「うむ、心配してくれて有難う赤龍帝君。大丈夫さ、神様を傷付けられる呪紋(じゅもん)は刻んでなかったから。

私達は魂に依存してるからね、それを攻撃する特別な施術をした武器じゃないと傷付かないのさ。痛いのは痛いけど・・・

あと、それ良いね。威力も申し分無いし、本格製造の許可出すよ」

「···ッ!それは···」

特別な武器でなければ傷付かないと言われ、不死斬りでしか傷付かぬ九郎様を思い出す。そしてふと、鬼の青年が持ち上げた武器を見て、思わず眼を見開いた。

「ん、興味あるかい?見るぐらいなら良いよ」

そう言って、彼はそれを俺に渡して来た。

手で握る引き金付きの握り(グリップ)に、前腕部と()()を固定する革ベルト。それが付いた土台の上に、まず武骨なシリンダーが乗っている。そしてその先端部には、鋼鉄製の巨大な黒光りする矢尻が付いたピストンが差し込まれ、固定されていた。

「俺ら、地獄の工房で働いてるんだ。亡者に使う武器が、石臼とかノコギリとか棍棒とか、そんなのばっかりでさ。折角なら、新しい武器も開発してみようってなったんだ。その試作品の1つだよ」

「おー!カッケェ!」

イッセーの言う通り、これは男の浪漫を盛大に擽る武器である。だがそれを抜きに、俺はかなり驚いていた。

何故なら、この武器に見覚えがあるからだ。

「···パイルハンマー、か」

そう。まだ若干簡素ではあるものの、俺が前々世でプレイしたフロムゲー、《Bloodborne》に登場するパイルハンマーと言う武器そのものなのだ。

「おっ、正解!良く分かったねぇ」

「···これは、イッセー向きだな。少なくとも、俺や弦ちゃん、黒歌には合わん」

俺達は恐らく、どちらかと言うと技量タイプだからな。だが、イッセーなら筋力タイプ···いや、そう言えば神器の応用でまぼろしを使うな。あれは神秘か?うむ、神器もある意味、寄生虫のようなものだ。間違いではないだろう。

「うーん、これに興味あるなら、見学してみる?ぶっちゃけ、今日来て貰った理由は顔合わせだけだからね。

それに、今後君達の武器を作ってくれるのも地獄の工房だ。交流には丁度良いんじゃないかな」

「行こうぜシロー!面白そうだし!」

「武具職人との交流は大切だからな」

「よし、行くとしよう」

「か、顔合わせだけって言っても···良いんですかにゃ?」

「良いよ良いよ。そもそも今日は最初から工房を見学して貰う予定だったからね」

もう其処まで手配済みだったとは。いやはや恐れ入る。

「じゃあ唐竹(からたけ)君、案内は頼んだ」

「分かりました」

天照様の以来を、快く承諾する鬼の青年。どうやら彼の名前は唐竹と言うらしい。

「失礼します。じゃ、行こうか」

襖を開け、外に出る唐竹殿。彼に先導され、俺達も部屋の外へ踏み出した。

 

―――

――

 

大きく、重そうな扉。唐竹殿がそれを開けると、奥は人通りの多い大きな通路だった。

「ようこそ、此処は閻魔庁。君達のよく知っている閻魔大王が、死後の裁判を行う所だよ」

そう説明する唐竹殿。確かに、忙しなく動く人(鬼)員の手には、資料であろう巻物等が抱えられている。裁判に使うのだろうか。

「おー!って事は、あのでっかいオジサンがエンマ様?」

「どれ···ッ!?」

イッセーが指差した先にあったのは、3mはあろう巨大な机と、其処に座る()()···巨大な骸骨の集合体だった。

しかし、これもまた強烈に見覚えがある。

(ダークソウルの《最初の死者ニト》!?いや、確かにモデルの1つに閻魔大王があって、子殺しを犯した大王グウィンをロイド裁判で裁いた裁判長だったらしいが···)

まさか、俺と言う存在を概してこの世界にフロムゲーが侵食しているのか?《彼方》や《先触れ》の事もあるしな···ん?でっかいオジサン?

「イッセー、お前にはあの閻魔大王が人に見えているのか?」

「え?まぁ、スッゲェでかいけど、それ以外は割と普通のオジサンだぜ?」

「···五行界眼の本質を見抜く力か?それとも、神秘に触れて精霊に寄生され、啓蒙が溜まったか?」

「あー、志狼君だっけ。君には見えてるっぽいね。

実は彼、閻魔大王の概念から分化した派生概念なんだよね。死後の裁判は閻魔大王ら十王が行うけど、人手が足りないからああやって手分けしてるのさ」

「成る程。差し詰め、最初の死者の概念と言う事か」

「よく知ってるねぇ」

しかし、そうか。神とは哲学や概念が擬人化した存在。神仏習合によって概念が統合し一体化した神格がいるならば、逆もまた然りと言う訳だ。

「さ、工房は此方だよ」

手招きする唐竹殿に従い、俺達は脇道に入る。暫く進むと、金属を削る音や叩く音、そしてやいのやいのと騒ぐ声が聞こえて来た。壁に並ぶ扉の1つに付いた、《工房》と書かれた看板が見えた。

「ちょっと煩いけど、悪いとこじゃないから。さ、どうぞ」

唐竹殿が扉を開ける。其処は大きな部屋で、壁には所狭しと武器が並んでいた。その部屋の左右端には作業台があり、職人と思わしき鬼達が金属に加工を施している。

部屋の中央には高めの長机があり、設計者であろう鬼達があぁでもないこうでもないと言い合っている。

「す、すっごい音に声にゃ···」

「鉄を加工するには音が出る。声が小さければそれに負けて聞き取れないからな」

それにしても、随分と議論が白熱している。何を話しているのだろうか。

「だから!今その新しい武器について頭捻ってんだろうが!」

「だったらとっとと新しい案出してみろってんだ!」

うむ、設計と製作の擦れ違いみたいなものか。

「難しいんだよ!何だパワフル且つ柔軟に対応出来るって!」

何がどうしてこうなったのやら···しかし、パワフル且つ柔軟に、か···もしかしたら、役立てられるかも知れんな。

「あー、皆!注目!以前から話にあった、見学者の子達が来たよ!」

唐竹殿の一声で、工房内の視線が俺達に集中する。

「あー、天照様が言ってた···そうか、今日だったか」

「わりぃな坊主に嬢ちゃん。今忙しいんだ」

どうやら、間が悪かったらしい。まぁ、新しい物を作るとはそれだけ難しいと言う事だ。

「あ、パイルハンマー通ったぞ。良かったな(かぶら)

「えっ、マジ!?やったぜ!」

作業台に向かっていた金髪の鬼が跳ね寄り、唐竹殿から試作品のパイルハンマーを受け取る。どうやら企画人物らしい。

「天照様分かってるゥ♪何時でも何処でも火力は正義!火力は爆発だ!」

···彼に持ち掛けて見るか。

「蕪殿、で宜しいか」

「ん、どうした?」

「少々、あなた好みであろう武器を思い付きまして」

「ほう!是非お聞かせ願おう!アイディアは工房の宝だ!」

「少し絵に興します。紙と、鉛筆をお貸し願いたいのですが···」

「おぉ、良いぞ。ホイ」

快く紙と鉛筆を渡してくれる蕪殿。早速作業台の空いているスペースを使い、要点を押さえた省略図を描き上げる。

「···どうでしょうか」

「どれどれ···ほう、面白いじゃないの!」

「問題はこの着火機構だと思います。何を燃やすやら···」

「大丈夫大丈夫。地獄には自然発火する岩とか普通にあるから。

にしても、何処でこれを?」

「···少し、厄介な上位者に絡まれた際、啓蒙されました。

このような武器の案は、かなりあります。俺の仲間に、合いそうな物も」

「なーるほど、アイディア料代わりに作って欲しいって事だな?」

「···はい」

これは、子供がするには、余りにも傲慢な交渉である。何せ、此方は全くの素人なのだから。

「···じゃ、イメージを興しといてくれ。大まかに、どんな機構があるかだけで良い」

「!···感謝の極み」

「良いって事よ!新しいアイディアはあって困るもんじゃねぇしな。

ま、俺はこのパイルちゃんやら新武器の開発と改良があるから、その後になっちまうが···」

「構いません。作っていただけるなら何より」

どうやら、約束は取り付けられたようだ。第一印象が良かったお陰だろうか。

「それと、この工房に木彫りの鬼仏を置かせて頂けませんか?行き来の手間を省けます」

「んー、それはちょっち厳しいかもな。閻魔大王には掛け合ってみるが」

「承知···」

まぁ、そう都合良くは行かない。親睦を深められただけ、良しとしよう。

 

(NOサイド)

 

「よし」

志狼達が日本神話に所属してから、4年。地獄の工房が設計の吟味に吟味を重ね、彼等の為に拵えられた、特別の専用武器と戦装束が仕上がった。

彼等は地獄の訓練場で、装束に身を包み、武器を握っている。

 

―ガッションッ―

「うむ、悪くない」

弦一郎の手に握られているのは、大きな鍔が特徴的な肉厚の刀。そしてその軽合金で出来た刃は、仕掛けによって中央から展開。切っ先から鋼線が張られ、鍔が持ち手となり大弓に転じる。

その反動で、彼の羽織る腰を絞った唐草模様入りの黒いコートがふわりとはためいた。

背中には、細い矢を満杯に詰めた矢筒を背負っている。

 

―カィインッ―

「結構、手に馴染むにゃ」

黒歌が握るのは、日本刀をベースに柄をサーベルの物に変え、柄頭にも小振りな刃の付いた双刃刀。

その小太刀の根元を握り左右に引き分ければ、小気味良い音を響かせて分断。大小の二刀流となる。

彼女の纏う戦装束は、洋風かつ懐古的。その形は何処か中世貴族の礼服めいた意匠があり、胸元のスカーフは白く、それ以外は黒や焦げ茶。左側面に白の羽根をあしらった、海賊帽子にも似た前尖りの中折ハットからは、猫耳が出ている。

ピッチリとしたズボンを履いた左腰には、細長い銃身が特徴的なフリントロック銃を引っ掛けたフックホルスターが着いている。

 

―ガシャンッ―

「やっぱこれだよな、ドライグ!」

『あぁ。男足るもの、ロマンに生きるのは当然だ』

一誠の武器は、彼が気に入っていたパイルハンマー。しかもご丁寧に、ワインレッドとエメラルドグリーンに彩られた専用型である。

そしてその装束は、紅い鱗模様のインバネスコートと黒いズボン。脛には小さなベルトが巻かれ、疲労軽減のツボを刺激する工夫が為されている。

胸元には龍の頭を象った軽合金の胸当てがあり、頭には黒歌のそれと原型デザインを共有する中折ハット。しかしその鍔には荒々しく切り込みが入っており、ドラゴンの刺々しい角や鱗を彷彿とさせるデザインだ。

 

「···やはり、これだな」

そう言う志狼の装束は···前世まんまである。

脚の足袋に、腕の手甲。橙色の上衣に、少し太股にゆとりのある焦げ茶色のズボン。違いを挙げるとするならば、首に巻いていた麻色のマフラーがスカーフに変わっている事ぐらいだろう。

しかし、その左腕の手甲には鍵縄とその巻き取り機が内蔵されており、またかつてのように縦横無尽に空中を飛び交う事が出来るだろう。

「では···やるか」

各々が顔を引き締め、訓練場の向かいを見遣る。その先には、4つの人影が立っていた。この訓練の手合わせ相手である。

 

「倅の友よ···参れィ!」

「お願いします!行くぜドライグ!」

BOOSTED(ブーステッド)·GEAR(ギア)!】

一誠の相手は、髭を蓄え太い三つ編みに後ろ髪を結った、身長2mを優に超える巨躯の大忍(おおしのび)···梟。

 

「さて、私から1本取れるかな?花嫁殿?」

「は、はなッ!?···もう、からかって!」

「ほほ。狼狽えれば負けるぞ?黒猫殿」

黒歌をからかい悪戯っぽく笑うのは、伸ばした()()を後ろで括り両手に針のように細長いクナイを構えた美しいくノ一···まぼろしお蝶。

 

「弦一郎ッ!お主の成長、示して見せよッ!!」

「ふっ···あぁ。息を飲ませて見せるとも、雅孝(まさたか)!!」

弦一郎と対峙するは、愛馬鬼鹿毛(おにかげ)に乗り、片鎌槍を構えた鼻の赤い武士···鬼庭(おにわ)刑部(ぎょうぶ)雅孝(まさたか)

 

「さぁ、久しき手合わせよ···参れ!隻狼ッ!」

「参ります···!」

そして志狼の相手は···右手にダマスカス鋼のような複雑な波打ち模様が入った刀を握り、獰猛な笑みを浮かべる隻眼の老剣士···剣聖、葦名一心。

 

嘗て狼の前に立ち塞がった、類い希なる強者達。彼等との戦いに、一誠達は何を見出だすのだろうか。

 

to be continued・・・




~キャラクター紹介~

葦原志狼
地獄の工房を狩人の工房方面に舵切らせた戦国忍者。現在中学2年生。
戦闘服は結局前世と同じ形に落ち着いた。一心と手合わせする事になったが、未だに使える忍具は1つだけである。
手の凝っていない簡単な秘匿幻術の類いは、本質を見抜く五行界眼の性質で素通りするように看破してしまう。

兵藤一誠
何故か狩人スタイルに行き着いちまった原作主人公。
ドライグの出番少なくなりがち。
男の子だからロマン武器にときめくのは当然なのです。と言う事でパイルハンマー装備。赤龍帝の籠手で事足りているので左手武器は無し。
装備一式のイメージは、赤龍帝カラーの狩人装備&灰狼の帽子+胸当て。

葦斑弦一郎
スタイリッシュ弦ちゃん。
志狼原案の新武器は面白く、かなりお気に入り。
唐草模様入りのコートは腿丈で踏んづける事も無い。
前世で教育係だった刑部に成長を見せようと張り切っている。

黒歌
少なくとも作者は手持ち武器を使ってる作品は見た事が無い猫魈お姉ちゃん。
お蝶殿にからかわれたものの、その内容に関しては満更でも無い模様。
装備はお察し通り、マリア様の色違い。あと緑の宝石のブローチも付いていない。

蚕神
イメージは《真夜中のオカルト公務員》に登場した蚕神。地味に作者の性癖どストライクだったりする。

沙羅&更紗
双子の道祖神姉妹。まんま《貧乏神が!》に出て来たあの人達。

閻魔大王代理
見た目はまんま最初の死者ニト。普段は右手に大剣を持っていない。


狼の師匠であり義父。地獄に落ちこそしたが、現在は獄卒の訓練教官として働いている。

お蝶
狼の師匠であり義母とも言えるくノ一。
若返っているのは、作者がpixivで若いお蝶殿のイラストを見ちまったから。
老齢の技術と若者のシャカリキを両立させている。

鬼庭刑部雅孝
弦ちゃんの教育係だった武士。またの名を音割れ刑部。
弦ちゃんの成長に期待してワクワクしている。

葦名一心
SEKIROのラスボス。中の人がエボルト。
死後も鍛えまくっており、恐ろしい強さになっていると思われる。

リアス・グレモリーは、王蛇みたく常識人の方が良い?それとも、原作通り無能姫で痛い目見せる?

  • 無難な常識人
  • 無能姫の鼻をへし折れ
  • 救いようはあるけど結局甘ちゃん
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