仮面ライダーホープ   作:フクロー兄貴

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どうも皆さん。お気に入り登録してくれた方々、どうもありがとうございます。とても励みになります。お陰で第2話、投稿出来ました。最近忙しいので、投稿は遅くなるかもしれませんが、完結は絶対にさせたいと思うので、応援よろしくお願いいたします!
それでは第2話、どうぞ。


第2話 思いやりの打撃

最初の戦いを終え、桜の住むマンションの部屋に戻ってきた勇希。

 

「ただいまー」

 

ドアを閉め、靴を脱ぐと廊下を真っ直ぐ行きリビングに出る。桜は昼飯の用意をしていた。

 

「早かったねー帰ってくるの。またダメだった?」

 

そう聞く桜に、ドヤ顔をしながら椅子に腰掛ける勇希。

 

「1発採用」

 

少し困惑した表情を見せる桜だが、勇希は得意気に話す。

 

「俺…戦いの才能有るかもしんねえ」

 

かっこつけて言う勇希。

 

「はぁ?どうしたの急に、何か変な物でも食べてきちゃったの?」

 

真面目に心配する桜を鼻で笑い、唐突に立ち上がる勇希。まるで最初から変身する予定だったかのように、上着を脱ぎ捨てた勇希の腰にはチェインドライバーが巻かれていた。

 

「変身!」

 

またもやかっこつけてそう叫ぶ勇希。おもむろに懐からガーベラチェインを取り出す勇希。ベルトの中央にセットすると、横の鎖の模様が入ったプレートを内側へずらす。

 

『ガーベラチェイン!騎士道!常に前進!』

 

空からガーベラが降ってきて混乱する桜。

 

「え!ちょっと、は?なにこれ勇希!早く消してよその花!」

 

止める桜の言葉も聞かず、鎧を装着する勇希。体がグレーのスーツに包まれると、頭に咲いているガーベラが鎧のように展開した。黄色の鎧は中世の騎士のような姿を模している。桜は混乱しきっている。

 

「夢かしら…きっと夢だわ!そうそう夢なのよ!」

 

頭を抱えてしゃがみ込む桜。ホープに変身した勇希は、そっと手を肩に伸ばす。

 

「夢じゃない。俺は仮面ライダーホープに変身したんだ」

 

頭を少し押さえながら立ち上がると、桜はホープに変身した勇希を見上げるような形で、勇希を煽るように言った。

 

「仮面ライダーホープ?直訳で仮面ライダー希望…少しダサいわね。名前をつけた人はネーミングセンスの欠片も無いわね」

 

そう言われ、沈黙する勇希。少し気まずくなったのか、少し間を空けて話し始めた。

 

「これは、俺のバイト先の花生始って人がつけた名前で、俺に言われても…」

 

呆れたように溜め息を吐きながら、勇希を見つめる桜。

 

「もっと気の利いた返しとか、せめて人のせいにするのはやめないさいね。感じ悪いよ〜?ま、勇希なら大丈夫だとは思うけどね〜」

 

少しにやけながら、勇希の腹を小突く桜。勇希は少し困惑する。

 

「鎧だけは立派ね。ま、仕事頑張りなさい。そうそう、もう少しでカレー出来るから、早く着替えてねー」

 

そう言うと、桜は笑顔のままキッチンへ向かうと、昼飯の準備を始めた。勇希は変身を解くと、ベルトを外し、ガーベラチェインと一緒にバッグの中へ入れる。すぐ隣にある自分の部屋に入ると、ベッドに転がった。勇希は、今朝起きた出来事について考えてみる。

 

(あの世界は、本当に始まりの世界なのかな?もしそうだとしたら、凄いことだけど。でも、何であの世界にあんな怪物がいるんだ?それに攻撃的だったし…そして俺が変身した時に使ったやつ。どうやって作ったんだ?)

 

天井を見ながら、今の自分の気持ちを考える勇希。もしかして自分は足を踏み入れては行けない場所に踏み入れたのではないか、何かを解き放ってしまったのではないか…そう、不安になってきた。

 

「そもそも、あんなの研究して、何になるんだ?」

 

そう疑問を抱く勇希。しかし、今の自分に出来ることは研究を助けることだけ。もしかしたらいずれ、これが何かの役に立つのかもしれない。そう、希望を持って、勇希は前に進むことにした。

 

 

 

 

「先輩、例のバイト、どうでした?」

 

初めて変身した日の翌日、恋にバイクを返しに行った勇希。恋の住む大豪邸に目を奪われながら質問に答える。

 

「凄い非日常だった。なんか、解き放っては行けないものを解き放った感じ?」

 

大袈裟に言う勇希に、恋は苦笑しながら言う。

 

「ライオンの入った檻を開けるみたいな?それも凶暴な!」

 

そう冗談を言いながら笑顔を向ける恋だが、勇希は顔を曇らせている。

 

「なんか最近の恋、凄い白々しいような」

 

素直に意見を述べる勇希。恋の顔が少し歪む。

 

「いつも通りですって!それより、もっとそのバイトの話、聞かせてくださいよ!」

 

無理矢理話を変えようとする恋に不信感を抱きながらも、勇希はバイトの詳しい話をする。説明が下手で、長々と話す勇希の説明を、嫌な顔1つせず聞いてくれる恋。勇希は、ただの自分の思い過ごしだと納得した。世界で1番長い10分間が終わるが、恋は顔色ひとつかえず、勇希が気持ち良くなるような、気分の良い口調で言う。

 

「へぇ〜面白い!まさかそんな世界があるなんて」

 

身振り手振りを付けながら、まるで営業マンの様に話し出す恋。勇希はやはりいつもと様子が違う恋に、少し違和感を覚えながらも話を聞いている。

 

「ちょっとその現場、見てみたいかも!もし次の出勤があったら、僕も連れてって下さいよ!」

 

無邪気な子供のように、そうねだる恋。勇希は溜め息を吐きながら説得した。

 

「これは、恋の思うほど単純なものじゃないんだよ。実際命懸けの戦いも経験してるし、恋をそんな戦いに巻き込みたくない」

 

真剣に語る勇希。いつもは怠惰で、頼りなくて、でも底無しに明るい勇希。真面目な場面ではちゃんと空気を読んで真っ当な意見を出すし、人を思いやれる優しい人。恋は、今まさにそんな勇希を体感した。しかし、恋も自分の好奇心には正直だ。気になったものにはとことん付きまとう。それがどんなに苦しいものでも。恋はトーンを落とし、脳に直接囁くようなに話した。

 

「先輩が僕を危険に晒したくないのは分かってます。でも僕はこの目で確かめたいんです。それに、そんな戦いがあるなら、何かトラブルに巻き込まれるかも。僕のお父さんは酔藤グループの社長だし、何かあったら助けてくれる。それに…」

 

大きく息を吸い込み、間を大きく取る恋。少しためて言い放つ。

 

「僕、先輩の助けになりたいんです!」

 

流石に恋の必死さに折れたのか、勇希も恋の同行を許可する。

 

「あ、でも花生さんに許可取らないと」

 

懐から携帯を取り出し、花生にメッセージを送る勇希。メッセージが届いた瞬間に既読が着くと、メッセージ欄には「OK!」の文字。勇希は恋に目で知らせると、恋は無邪気な笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

1人廊下を歩く恋。廊下も壁も天井も透き通るように白い高価な素材で出来ており、壁には淡い黄色い光を発する照明が付けられている。不敵な笑みを浮かべ、右腕を支えるように左腕を出しながら、右手で自分の顎を撫でる恋。不敵な笑みを浮かべながら、普段より声のトーンを低くし、廊下に響く声で独り言を喋る。

 

「これで例の研究所を細かく物色できる…。必要なデータを集めて父さんに提供すれば…」

 

急に立ち止まると、恋は空を仰ぎ、悪魔の様な邪悪な笑い声で笑った。廊下には高らかに笑い声が響き渡る。残響が響いている中、恋は再び歩き出した。

 

 

 

 

初変身の報酬として多額の給料を貰った勇希は、普段は立ち寄らない超高級スイーツ専門店へ入店した。店内はいつも通り、多くの人で賑わっている。子供を連れてケーキを楽しそうに選んでいるセレブな奥様。大きなホールのケーキを買って重そうに持っていく優しそうなお父さん位の男性。他にも多くの人が、自分の愛する人の為や、家族の為、真心の籠ったケーキを選んでいる。

 

「いらっしゃいませー!」

 

愛想のいい、店内に響き渡る声の店員さん。店内はとても暖かい雰囲気が漂っている。ケーキが並んでいるショーケースを屈みながら覗く勇希。姉の桜が好きないちごのケーキと、自分の好きなモンブラン、後は定番のショートケーキと、少し贅沢をして抹茶ケーキ、フルーツの沢山乗ったタルト、ショコラケーキを注文した。誰もが笑顔になるような接待をする店員さんに癒されながら、注文したケーキを待つ勇希。広い店内を見渡すと、多くの人がテーブルでケーキを美味しそうに頬張っている。みんな幸せそうに満面に笑みを浮かべながら、ケーキをスプーンで上品に口ヘ滑らせる。勇希も自然と笑顔になる。そして空腹に。

 

「お待たせしましたー、ストロベリープリンス、モンブラン、ショートケーキ、濃厚抹茶ケーキ、フルーツバスケットタルト、ホワイト&ブラックショコラ、以上6点で、1万160円となります」

 

財布から1万円と五百円玉を取り出し、トレイへと差し出す勇希。予め用意されていた白い箱へケーキが円を描くように配置されると、箱を閉じ、勇希へと差し出された。

 

「お買い上げありがとうございました!」

 

最後まで気分が良い店員さんだと感心しながら、勇希は外へ出ると、家路へ歩き出した。マンションはそう遠くない。10分も歩けば部屋に着く。勇希はケーキを大事そうに運びながら部屋へと向かう。道中、自転車がぶつかりそうになったり、子供がぶつかりそうになったりしながらも、勇希は部屋の前に着いた。ケーキの入った箱を下に置き、懐から鍵を探す勇希。中々見つからず、身体中を探すが見付からない。

 

「あれぇ〜どこやったっけ」

 

若干焦りながら鍵を探す勇希。最悪の事態を想定し、一旦気を落ち着かせる勇希。

 

(姉ちゃんが帰ってくるの待とう…そうしよう…)

 

そう選択をした時だった。

 

「鍵落ちてたよ〜?」

 

声のする方を向くと、そこには売れないビジュアル系バンドのギターをしていそうなチャラい茶髪のメガネをかけた男が立っていた。ボーダー柄の服に黄土色のズボン、腰には茶色のベルトを巻いた男は、壁に寄りかかりながら鍵を振り回している。

 

「あ!ありがとうございます!」

 

そんな男の態度にイラつきながらも感謝の言葉を述べる勇希。鍵を貰おうと男に手を伸ばした時だった。

 

「おっと」

 

まるで奴隷を嘲笑うように勇希の伸ばした手を避ける男。勇希をバカにするように鼻で笑うと、まるで初対面の人間同士とは思えない支離滅裂な発言を繰り返した。

 

「鍵を拾ってやったんだ、もっと言うことないの?」

 

勇希の怒りパラメータ、30%。

 

「折角だし、そのシャルフォーのケーキ、1個くれない?」

 

勇希の怒りパラメータ、90%。

 

「いい加減にしてくれません?」

 

ジリジリと男に詰め寄る勇希。その拳は既に固く握られている。勇希は既に男を殴る準備は出来ていた。

 

「早くちょうだいよ〜ケーキ」

 

勇希の怒りパラメータ、100%。殴る準備完了。拳を大きく振り上げ、男の右頬に狙いを定める勇希。風を切る音と共に、拳が男に吸い寄せられる。勇希の拳が男の顔を廃車にする0.1秒前。勇希の右太ももに何かが震える感触。こぶしを既で止めると、勇希はポケットから携帯を取り出す。男はほっとすると、またもイキり散らかす。内心とても恐れていたのだが、勇希が電話に出たので、調子に乗り出す。目の前で男がペチャクチャ何か変な事を話しているが、お構い無し。勇希は電話相手の花生の話を聞く。

 

(実は、私の護衛君だけじゃ足りないから、もうちょい欲しいのよね。恋君を入れるとしたら…あと3人は欲しいかな。協力してバイト仲間見つけてくれ。あと、今すぐ恋君と一緒に来てもらいたいんだ。重要な物を渡したくてね。それじゃ)

 

相槌を打ちつつ話を終えると、携帯をポケットにしまう。今すぐ目の前にいる男をぶっ飛ばしたいぐらいだが、勇希は我慢する…代わりに男の耳を引っ張って男が立っている階段側とは反対の方へ投げ飛ばす。耳を痛そうに押さえる男は、下から勇希を睨みつける。弱者の睨み付けほど怖くないものは無い。勇希は鍵を取り返し、部屋のドアを開けると、ケーキの箱を玄関へ置くと、1つ言い放った。

 

「今から俺に着いてきてくれ」

 

はっきり言って勇希は男と一緒は嫌だったが、この際良いように利用するしかない。男は耳を押さえながら、訳が分からないという表情を浮かべながら言った。

 

「はぁ?いきなり何言って!」

 

男に近づくと、勇希はゆっくり男を立ち上がらせ、目を見て言った。

 

「楽に稼げる」

 

男は途端にふっと笑うと、メガネをクイッと上にあげた。

 

「そんな罠には引っかからないよ?大体、この僕が金なんかに釣られるわけ…」

 

偉そうに語る男。勇希はおもむろにカバンからチェインドライバーとガーベラチェインを取り出す。男は見た事ない物に驚愕。しかし、すぐ様平静を装うと。

 

「どうせ何か変なおもちゃなんでしょ?」

 

と余裕を見せる。勇希は黙ったままチェインドライバーを装着すると、ガーベラチェインのスイッチを押す。

 

『ガーベラ』

 

電子音がなると、鎖を繋げる状態に展開する。チェインドライバーの真ん中にセットすると、鎖を元の様に戻し、チェインドライバーの横に着いている鎖の模様が入ったプレートを内側にスライドする。

 

『ガーベラ』

 

再び電子音がなると、空からガーベラの花が降ってくる。男はその様子を唖然とした表情で見ている。こんな光景を普通の人間が見たら、こうなるのも当然だろう。ガーベラの花が勇希の頭を隠すと、勇希はグレーのすーに身を包まれた。両腕両足には鎖のような装飾が着いている。ガーベラの花が展開し、グレーのスーツには黄色に輝く鎧が装着された。中世の騎士の様な見た目の仮面ライダーホープ。男はまるで幽霊でも見たかのように気絶していた。ホープに変身した勇希はそっと気絶した男に近寄ると、顔のそばでしゃがみ、ペシペシと頬を叩く。男が目覚めると、ホープと目が合う。

 

「うわあああ!」

 

よっ!と冗談っぽくしてみるが、男はホープを恐れ、後ろへ後ずさる。やれやれと手振りをして、変身を解除する勇希。勇希の周りにはガーベラの花弁が舞う。勇希の姿を見た男は、すぐ様先程の余裕たっぷりの表情に戻った。

 

「切り替えは早いんだな。で、歳は?」

 

そう男と目を合わせながら聞く勇希。男は地面に身体をつけたままカッコつけて言う。

 

羽幌田迅(はぼたじん)、23歳。職業は無職。だが働く意欲はあるよ?」

 

そうカッコつけて言う羽幌田に、とうとう呆れた勇希。羽幌田に背を向け、マンションの階段を降りていく勇希。

 

「ちょ、ちょっとまてよー!」

 

焦って勇希を止めようとする羽幌田。勇希も、一番最初の踊り場で立ち止まると、階段を駆け下りてくる羽幌田を待つ。

 

「分かったよ…着いていくさ…」

 

やはり楽に稼げるという言葉が引っかかっていた羽幌田は、勇希に着いていくことにした。羽幌田は、詳しい話を求める。

 

「俺は今、ざっくりに言うとこれ」

 

そう言ってチェインドライバーを取り出す勇希。

 

「これで変身して、『始まりの世界』について研究してるって訳」

 

あんなにバカにされたにも関わらず、丁寧に羽幌田に事情を説明する勇希に、少し心を開いたのか、羽幌田も少し柔らかくなって応える。

 

「その場所、結構遠いんだね?なら、車で一緒に行こう。すぐ近くの駐車場に止めてあるから」

 

そう言って自分の車まで案内する羽幌田。勇希もそれについて行く。マンションの敷地内から出た所の道を左に曲がり、そのまま真っ直ぐ行くと無料の駐車場に白い普通車が止まっていた。

 

「結構普通の車までなんだな」

 

そう言ってチラッと羽幌田を見る勇希。

 

「まあね。こう見えてもボンボンだからさ。まあ、親に呆れられて無職になっちゃったんだけどね」

 

親に呆れられて無職になる理由が分からない勇希は、その理由を羽幌田に聞く。

 

「色々あるのさ。ざっくり言うとね」

 

少し話しずらそうにする羽幌田。取り敢えず車に乗り込むよう誘導する勇希。羽幌田が車の鍵を開け、風景が反射するドアをゆっくりと開ける。勇希は助手席、羽幌田は運転席に乗り込む。お互いシートベルトを付けると、羽幌田は話し出した。

 

「うちの両親、とある大企業に就職してるんだけどさ。俺もコネで入ったわけよ。そりゃ俺みたいなのが仕事できる訳もなくてね。それに私生活も遊びだらけの俺は親から見放されて1年も経たずにクビ。酷い話だよねぇ」

 

勇希は何を言っていいのかわからず困惑する。

 

「そうそう!今日はごめんね。あんな変なことばっかり言っちゃって」

 

そう謝罪するが、反省の色は見られない。

 

「すっごいお腹減っててさ。お金もないし、ボランティアでもして色々恵んでもらおうと思ったわけよ」

 

チャラ男みたいな口調で言う羽幌田。勇希は呆れつつも、少し笑って流す。その時、恋に連絡していないことを思い出した勇希。急いで恋に連絡する。

 

「あ、恋?」

 

(どうしたんですか先輩?)

 

「今日早速出動。因みに新人さんもいる。今その新人さんの車に載ってるから、出来ればいつも待ち合わせる駅で待ち合わせを」

 

(了解です先輩)

 

そう伝えると、携帯をポケットにしまう勇希。

 

「で、その駅ってどこよ」

 

待ち合わせの駅を伝えると、羽幌田が運転する車はその方向へ向かって走った。少し変な空気の車内。勇希は本格的に動き出した運命に、まだ気づくことは無い。

 

 

 

 

駅で待ち合わせをしている恋。恋は今日の計画でアタマがいっぱいだった。

 

(恐らく僕にもドライバーは貰える。あとチェインフラワーも。でも今日変身するのはあれだな。タイミングを見図らわないと。まずは花生との交渉だな。酔藤グループと組まないか…って内容と、条件と…)

 

「おーい恋!」

 

聞きなれた勇希の声。顔を上げると白い車の傍に勇希と羽幌田が立っている。恋はまだ羽幌田の事を知らない。取り敢えず勇希の元へ行くと、軽く羽幌田に会釈をした。

 

「どうも」

 

「君、結構可愛いね。男っぽい名前だけど…」

 

途端に腹に肘を入れる勇希。中性的な見た目をしている恋は、よく女性と間違えられる。それは日によって異なり、女に見える日と男に見える日があるのだ。今日はたまたま女に見える日だったのだ。そんないざこざがありながらも、3人は車へ乗り込むと花生研究所へ向かった。1時間ほど車を走らせると、勇希には見慣れた…と言っても1回見ただけなのだが、寂しげな森の中に寂れた花生研究所が立っていた。相変わらず今日も晴天で、日差しは強い。3人は花生研究所の入口へ向かった。勇希が呼び鈴を鳴らすと、扉から花生始が出てくる。花生始は初めて見る恋や羽幌田にも愛想良く接し、部屋へと案内する。勇希がこの前通された応接室は壁に大きな穴が空いているという理由で、地下にある研究室の1個前にある研究準備室に入れられた。研究準備室には、沢山の資料や、誰に報告するものでもない実験の報告書、が机の上に乱雑に散らばっていた。床は石でできていて、地上よりヒンヤリしている。予め3人が来ることを分かっていたかのように準備してある机の前に置かれた椅子に3人を座らせると、花生は何処かに行ってしまった。準備室が放つ異様な空気に、完全に飲み込まれてしまった3人。その時、恋は窓から見える研究室にある大きな扉を不思議に思った。その窓は恋だけが見れる場所に位置している。何か危険な実験を行う際などに使う部屋の扉なのだろうか?そんな簡単な思考をし、取り敢えず花生が来るのを待った。三分ほど待つと、花生はチェインドライバー2つ、チェインフラワーを3つ、そしてカメラをひとつ持ってきた。

 

「これから君達には、『始まりの世界』で花を採取してきて欲しい。きっとそこでは大きな危険に逢うことだろう。だから君と君にはこれを」

 

そう言って、羽幌田と恋にチェインドライバーとチェインフラワーをそれぞれ2つずつ渡す。それぞれのチェインフラワーには、恋に渡されたものには紫の花が、羽幌田に渡されたものには白に紫が縁どってある花が咲いていた。そして勇希にはチューリップのような花が咲いているチェインフラワーが渡された。すると、更に花生は3人に別のチェインフラワーを渡す。花のような物は咲いておらず、鎖の模様が入っただけのチェインフラワーだ。

 

「それのスイッチを押してみろ」

 

勇希がスイッチを押すと、チェインフラワーはバイクのような形に変形した。バイクの全体はツタのようで、機械なのに何処か植物の様に感じられる。

 

「そいつのブレーキの間にスイッチがあるだろ?押してみてくれ」

 

そう言われ、ブレーキの間にある赤いスイッチを押す。すると、目の前には『始まりの世界』が鎖のような音と共に現れた。

 

「望月くん。変身してそのバイクでさっそく向かってくれ」

 

勇希が仮面ライダーホープに変身すると、バイクに跨る。思いっきりエンジンを吹かせると、ホープはとてつもない速さで行ってしまった。続いて羽幌田も変身しようとするが、花生がそれを止めた。

 

「道はもう開けてる。何かあったら変身してくれ。あと、このカメラを」

 

そう言われ、若干残念がりながらも『始まりの世界』へカメラを持って入る羽幌田。恋も、続いて『始まりの世界』へ入っていく。入口が鎖の音と共に消えると、花生はニヤリと笑った。

 

「何で世界の閉じ方が分かるのかな?恋君…」

 

そう呟くと、花生は研究室の奥へと入っていった。

 

 

 

 

ブーーーーーーン

 

バイクで『始まりの世界』を駆け回る勇希。

 

「先輩、危ないんでやめてください!」

 

若干恋が怒りながら言う。ホープはバイクを止めると、すまんすまんとジェスチャーしてバイクを降りた。ブレーキの間にある赤いボタンの隣りのきいろいボタンを押すと、バイクは元の形に折りたたまれる。元に戻ったバイクはホープの手元に戻ると、ホープはそれをドライバーの横に着いているチェインフラワーをホルダーにセットする。こうする事で効率よく使用することが出来るのだ。因みにチューリップチェインもホルダーにセットしてある。

 

「じゃ、頑張ってお花摘みしますかぁ」

 

そう言うと、ひとり黙々と地面に生えている明らかに現実のものでは無い植物を摘むホープ。恋も一緒に摘み始める。一生懸命花を摘む仮面ライダーはとてもシュールだ。少し吹き出しそうになりながらも、カメラで撮影を続ける羽幌田。その時、後ろで明らかに人間のものでは無い呻き声が聞こえた。羽幌田は恐る恐る振り返る…しかし何もいない。ほっとして前を向いた時、地面に違和感を覚える。

 

「なんか揺れてない?」

 

そう不安そうに聞く羽幌田だが、誰も耳を傾けない。

 

「なあほんと揺れてないか?もしかしたら地面に…」

 

言いかけた瞬間、地面が一瞬盛り上がったかと思うと、凄まじい音と砂煙を立てながら羽幌田を吹き飛ばしながら出てきたもの、それはミミズグラベスだった。体全体がミミズのようになっていて、首には赤いリングがある。正に人型をしたミミズだ。余りの気持ち悪さに羽幌田は気絶してしまう。ミミズグラベスは気絶して何も出来ない羽幌田を狙う。ホープは金色に輝くガーベラソードで斬撃を与える。確かに切った感覚はあるが、柔らかい…。そう、ミミズグラベスは衝撃を吸収していたのだ。ミミズグラベスはターゲットをホープに移すと、右腕を大きく振りかぶる。ホープは遅い攻撃を簡単に避けたが、ミミズグラベスの攻撃を喰らった木は粉々に砕け散ってしまった。ホープの方を向くミミズグラベス。ホープがミミズグラベスに突きを喰らわせようとした時だった。ミミズグラベスは一瞬で消えてしまった。

 

「ん?どこ行ったんだ?」

 

辺りを見渡すホープ。恋が大声で叫ぶ。

 

「地面です!地面に潜ったんです!」

 

状況を理解したホープは地面を警戒する。いつ出てくるか分からない。地面をガーベラソードで突き刺してみたりするが、反応はない。

 

「先輩!僕の下です!」

 

恋の立っている地面が地震の様に揺れている。恋は身の危険を感じ、チェインドライバーを装着し、チェインフラワーのスイッチを押すが反応は無い。焦る恋は、何度もスイッチを押すがチェインフラワーは動かない。変身は間に合わず、下から飛び出て来たミミズグラベスに吹き飛ばされてしまう。地面を転がった恋は、頭を打ったのか痛そうに押さえながら苦しんでいる。地面にはチェインフラワーが転がる。地面から出てきたミミズグラベスは、ゆっくりと歩きながらチェインフラワーを手に取る。

 

「お前!何する気だ!」

 

ミミズグラベスに突っ込むが、1歩間に合わず。ミミズグラベスはチェインフラワーを吸収してしまった。ミミズグラベスの突然変異が始まり、立ち止まってしまうホープ。ミミズグラベスには、紫の日本の武者の様な鎧に似た甲殻と、刃が黒く輝く、柄が紫の鎌が両腕に持たれていた。鎧は禍々しく尖っており、頭の兜部分は鬼のような形状になっていた。突然変異に呆然とするホープ。ミミズグラベスに吹き飛ばされると、やっとやるべき事を思い出した。

 

「そうだ、俺は皆を守らなくちゃいけないんだ」

 

そう立ち上がるホープ。ガーベラソードを高貴に振り掲げ、ミミズグラベスに突撃する。ガーベラソードの斬撃を鎧に当てるが、その鎧部分は異様に硬く、有効な攻撃手段とは呼べない。ミミズグラベスはホープなどお構い無しに恋を狙い続ける。恋は痛む体と頭を押さえながら、ミミズグラベスを見上げるような体勢で後ずさる。ミミズグラベスが黒く光る鎌で恋を八つ裂きにしようとした時、ホープがガーベラソードでそれを防いだ。

 

「先…輩…」

 

恋はホープに救われた。

 

「今まで色々助けて貰っただろ?それがどれも小さなものであっても、積み重なることで大きなものになるんだ。その積み重なった借金を、今返す時が来たんだ!」

 

力強く叫ぶと、大きな雄叫びを上げながらミミズグラベスを弾き返す。大きく仰け反ったミミズグラベスは、ホープに変身の隙を与えてしまった。ホープは右の腰にかかったホルダーから、赤いチェインフラワーを取り出すと、スイッチを押した。

 

『チューリップ』

 

押した瞬間、ガーベラチェインの鎧が消滅した。ホープはベルトのプレートを外側にずらすと、ガーベラチェインをホルダーにセットした。そろそろミミズグラベスもホープに攻撃を仕掛けてくる。モタモタしてられない。チューリップチェインを真ん中にセットすると、空からチューリップが降ってくる。

 

「変身!」

 

そう叫ぶと、グレーのアンダースーツのみのホープは、プレートを内側にずらした。チューリップの鎧がホープの頭に被ると同時に、ミミズグラベスがホープを攻撃しようとする。咄嗟の判断でホープは頭をミミズグラベスに向けると、チューリップにミミズグラベスが吹き飛ばされる。体勢を戻すと、チューリップが展開されていく。チューリップの赤い鎧はかなり大きく、展開されるととても重厚感がある。前面は中世の重装騎士の様な鎧、両肩は肩幅をとても大きく見せる、これまた重装騎士の様な鎧、背面は少し薄く、ガーベラチェインより少し厚い程度であった。鎧は赤く輝き、縁は緑色に縁取られている。複眼は赤く輝いており、チューリップの花のような模様がうっすら見える。兜はチューリップの花を逆さにしたような感じで、緑のがくの部分が兜の頂点になっている。右腕には完全にチューリップのハンマーが握られており、それを両手で持ち、構える。仮面ライダーホープ チューリップチェインアームズが誕生した。

 

『騎士道!思いやりは必須!』

 

電子音とともに、ホープはミミズグラベスにチューリップハンマーでの重い打撃を食らわせる。鎧がないままならまた受け流されていただろうが、鎧を着ていることで打撃が十分通る。ホープはハンマーを横に薙る。重い打撃音と共に横に吹き飛ばされたミミズグラベスは、木に激突する。両腕の鎌でホープを攻撃しようとするが、ホープのチューリップハンマーでその鎌を弾き飛ばす。武器を無くしたミミズグラベスは地面に潜り逃走を図った。迅速に行動する為なのか、浅く潜ったミミズグラベスの動きは丸分かりのホープ。プレートを外側に1回、内側に1回ずらすと、鎖がちぎれる音と共に、両腕のパワーが漲ってくる。チューリップハンマーを腰に下げ、地面にいつでも打ち込める体勢を作ったホープ。体勢が整うと、一気にミミズグラベスを追う。凄まじい速度で駆けるホープ。赤い鎧が擦れ合い、金属音を奏でる。チューリップハンマーには赤いエネルギーのようなものがどんどんと集まっていき、それが最大まで溜まると、ハンマー自身が赤く輝き出した。ミミズグラベス迄残り50m。その時、ミミズグラベスは急速旋回、ホープの元へ向かってきた。

 

(逃げようと思えば逃げれたはず…最初からこれが目的だったんだ)

 

冷静に分析し、ミミズグラベスを撃破する思考を巡らす赤い鎧を着たホープ。

 

(必ず俺とミミズが接敵する瞬間はある。そこで地面にドシンだ!)

 

そのまま駆け出すホープと、地面を突き進むミミズグラベス。接敵まであと5m。ホープは、突然宙へ舞う。鎧も少し浮く。金属音を奏でながら、地面へと近づくホープ。その時、チューリップハンマーを大きく振り上げた。ミミズグラベスの真上に来た時、既にハンマーは振り下ろされ、地面を既に叩いていた。とてつもない衝撃波と共に、ミミズグラベスが地面から飛び出てくる。飛び出てくると言うよりは、衝撃波に叩き出された方が正しいだろう。ホープはハンマーの衝撃を利用し、宙へたかく舞い上がる。地面を見ると、衝撃波がチューリップの花の形に咲いている。宙へ舞い上がったホープは、鎧が浮き、動きにくい中、器用にドライバーに手を伸ばすと、プレートを2回ずらした。鎖がちぎれる音と共に、今度は右脚にエネルギーが漲ってくる。赤いチューリップのような色のエネルギーが右脚に溜まると共に、ホープは同じく宙を舞っているミミズグラベスに蹴りを加えるため落下を利用しながらミミズグラベスに近付いた。左足でミミズグラベスを捉えるようにし、右足で半円を描くように蹴り下げる。約地上から10m程の場所で、ミミズグラベスは赤いエネルギーと共に、チューリップの様な爆炎と共に爆発四散した。半円を描くように蹴ったホープは、空中で少し足をクロスさせた状態で、ミミズグラベスの爆発を背に戦いを終えた。赤い鎧が炎に良く似合う。一生空とは関わることではないであろうミミズが空で死を遂げた。そんなしょうもないことを考えながら、ホープは地面へ着地した。早速恋が無事か確認しに行くと、恋は自力で立っていた。しかし、まだ痛むのだろう。木に寄りかかっている。ホープは恋の肩を持ち、次に羽幌田の元へ向かう。顔の元でしゃがむと、マンションでした時のようにぺちぺちと頬を叩く。はっと目が覚めた羽幌田は、カメラを確認する。どうやら壊れてはいないようだ。安心する羽幌田。ホープはバイクの事を思い出し、ホルダーからバイクに変形するチェインフラワーを取り出す。バイクに変形させると、ブレーキの間にある赤いボタンを押す。バイクに乗り込むと、現実世界へ戻る。どうやら『始まりの世界』とリンクする現実世界は場所が違うらしい。ホープは何処かの廃工場に出てきてしまった。続いて羽幌田と恋が現実世界に戻ってくる。ホープガーベラバイクを元の形状に戻し、変身を解除する。勇希の姿に戻った勇希は、2人に『始まりの世界』の閉じ方を説明した。

 

「ベルトを外した状態でチェインフラワーを付けると世界が開くんだけど、外すことで閉じることができるんだ」

 

そう言って『始まりの世界』を閉じる勇希。2人とも疲れ切っているのか、それどころではないようだ。しかし気絶してた羽幌田、お前は違うだろ。廃工場を出た勇希と羽幌田と恋。辺りは花生研究室がある山によく似た山で、同じ山なのではないかと、道に沿って山を下る3人。10分ほど下ると、そこには3人が乗ってきた車があった。ここだと確信した3人は、その近くの見覚えのある階段を登ると、花生研究所へ辿り着いた。本日中二回目の呼び鈴を鳴らすと、花生が出てくる。

 

「お疲れ様。中に入って入って!美味しい料理準備してるから」

 

中に入ると、よく焼けた肉の匂いが3人の鼻をつく。

 

(((ぐぅぅ〜)))

 

3人の腹が、同時になる。

 

「2人とも、お腹なんか鳴らして」

 

そう煽るように言う羽幌田。お前もじゃいと突っ込みたいところだが、今はそんな事より肉が食いたい勇希と恋。靴を脱ぎ、ドタドタと走りながら2人は研究準備室に入っていった。置いていかれた羽幌田歯、そこで食うのかよと思いつつ、急いで2人の後を追う。部屋に入ると、既に2人と花生は肉を食べ出していた。

 

「うんまぁ〜」

 

「これなら痛みも吹き飛びます!」

 

そう花生野料理を絶賛する2人。羽幌田も、急いで椅子に座り、短くいただきますと言うと、肉をご飯と一緒に口へ放り込んだ。

 

「なんか甘くない?」

 

その一言で凍る場の雰囲気。しかし、花生は笑顔のままで羽幌田に言う。

 

「君、味覚音痴だね」

 

満面の笑みで言う花生にプッと吹き出す勇希と恋。

 

「はぁ?味覚音痴なんかじゃねぇよ!」

 

やっぱりチャラさが残る喋り方で怒鳴る羽幌田。しかし全く怖くない。その後も平和な食事タイムは続いた。

 

 

 

 

「これが、今日集めた花です」

 

花集め担当をしていた恋は、20本程の花を花生に見せた。勇希と羽幌田は、少し休養している。1番休養すべきな恋が休養していないのは、花を見せるためともう1つ…。

 

「それと…」

 

「おおすごい!20本しか取ってないのに使える花が4本もある!」

 

話を遮られた恋は、すぐ様表情を笑顔に変える。

 

「それだけしか使えないんですか?」

 

質問する恋に花生は答える。

 

「ああ。ただ、変身にという意味でね。どれも全く使えないわけじゃない」

 

そう言って10本の花を取る花生。

 

「この茶色い地味な色をした花はチェインドライバーを着けた状態だと食用のチェインフラワーになるんだ」

 

そう言ってチェインドライバーを装着するように言う花生。食用というのが理解できない恋だが、ドライバーを装着する。そして花を1本持つと、その花は太陽の様な模様が描かれたチェインフラワーになった。

 

「花に太陽は欲しいだろう?」

 

そう言って、チェインフラワーをベルトにつけるよう促す花生。すると、恋は謎の満腹感を感じた。

 

「それでは栄養補給ができるんだ」

 

続いて6本の透明感のある花を取り出す花生。

 

「水分も欲しいだろう?こいつは水につけることでチェインフラワーになるんだ」

 

そう言ってまた実行しようとするが、話が長引くのが嫌なため話を止める。しかしのこりの変身に使える花を持ち出した花生。恋はもう諦めた。

 

「こいつは少々特殊でね」

 

そう言うとガラス張りの箱に土が入った箱を持ってきた。中に何やら黒いものが入っている。

 

「この黒いのはチェインフラワーの素。これの上にこの花を植えると…」

 

そう言って土の上に花を植える。

 

「あと1日待てば、君が持ってるそれみたいになる」

 

そう言って恋が持っているチェインフラワーを指さす。その時、やっと恋の言いたかったことが言えた。

 

「そうそう…これ起動しなかったんだけど、どういうこと?」

 

そういってチェインフラワーを見せつける恋。花生は驚いた顔を作る。

 

「何か知ってるみたいだね。はっきり言うよ。僕は酔藤グループの社長、酔藤利明の息子だ。僕を危険な目に遭わせたら、どうなるか分かる?そのシステムも何もかも没収だ。僕が死んでみろ?あなたはきっと殺される。正直に言ってくれ」

 

花生も声のトーンを落とし、真面目に答える。

 

「私はグラベスが変異するのを見たかった…君のチェインフラワーのセーフティーが解除されてなかったのはそれが理由だ。後で解除したものを渡すよ。あと、君は怒ってるようだね。他にも用件があるんだろ?言ってごらん」

 

まるで自分の思考を見透かしているように答える花生。少し不審に思いながらも、恋は用件を伝える。

 

「僕達酔藤グループと契約して欲しいんだ。それなら、あんたの計画もより円滑に進むでしょ?」

 

そう言って、1つの資料を花生に見せびらかす恋。流石の花生も恋の頭の良さに驚いたのか、少しイライラしながらも笑って答えた。

 

「ああいいよ!明日あのチェインフラワーも君に渡してやるよ。その代わり、1つ条件がある」

 

 

 

 

「…なるほどね。それじゃあと1つ僕にも。証拠となるカメラ映像を。あの羽幌田とか言うやつに持たせてたでしょ?あれ」

 

「あああれか。あいつも運がいいよなぁ。見たいところだけ映ってるんだもん。良いよ貸してあげるよ」

 

 

 

 

休養も終わり、家の前で羽幌田と勇希と別れた恋は、父親である酔藤利明に電話をかける。辺りはもう暗くなっている。淡く輝く月光が照らすのは、父親と花生研究所について交渉の話をする恋ただ1人であった。




羽幌田の見た目は鎧武の城之内をイメージしていただければいいと思います。恋は男の娘です。はっきり言います。男の娘です。タグに男の娘が追加されたのもそれが理由ですね。
そして物語は早速進展しましたね。酔藤グループと花生研究所の契約は、果たして双方どのような意図があるのでしょう?
さて、第2話も読んでいただき誠にありがとうございます。読者様の応援やお気に入り登録はとても励みになりますので、是非、感想やお気に入り登録していってください!それではまた次回会いましょう!そして良いお年を!
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