コミュ障ロリ魔王様のVtuber生活 in地球   作:波土よるり

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9配信目 【雑談】新しい家族じゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

 

「新しい家族を紹介しようと思う」

 

:どういうことだってばよ…

:か、彼氏……?!?!?!?

:お、おちけけけけつ

:おいおいもちつけよ

:餅つくな。おちけよつ

:Vtuberになって10日で彼氏いる発言マ?

:彼氏じゃなくて俺の子だろ?

:俺の子のことだよ。びっくりさせんなよw

 

 

「いやいやなんで彼氏とか赤子の話になっとるんじゃ。新しくペットを飼ったのじゃ。

 ほれ、この画像を見よ。2匹とも女の子じゃ」

 

:ぬこだー!

:猫きゃわわ

:はぇー、2匹とも美人さんですねー

:かわいい

:二匹とも真っ白美人

:かわいい

:ママとパパに飼う許可もらった?

 

 

「許可もらうも何も、我がこの家の家主じゃからな。それに両親はすでに他界しておる」

 

:そうなんか…

:すまん、悪いこと聞いた。

:無神経やったなすまん

:そっか…一人暮らしか

 

 

「よいよい、人間はいつか死ぬものじゃ。それに何年も前の話じゃしの。きっとあの二人も天界で笑ってこの配信を見ておるじゃろ。

 で、今日はこの子らの名前を皆で決めようと思うぞ。

 ああ、もちろん変な名前はなしじゃからな? 分かっておるじゃろうな? 女の子に下品な名前をつけようとする輩は漏れなくリモートで呪いかけるからの」

 

:ヒエッ

:声こえーw

:ごめんなさい。

:低い声助かる

:ゆるして

:真面目に考えるお!

 

 

「あと、そうじゃな。1週間くらい前にやった手元配信の反省をして、今回は猫飼うことを事前にマネージャーさんに相談済みじゃ。名前を臣下の皆と一緒に決めることも言ってあるから安心してくれて大丈夫じゃ」

 

:マネに怒られたやつかw

:ちゃんと反省しててえらい

:おてて配信のおかげで生きる意味が見つかったからありがとうやで

:おてて見れて嬉しかった。

:まあ別にお手々で炎上してないしええやろ

:むしろファン増えたまであるな

:またお手々配信してほしい。

:猫ちゃん達はペットショップで買ってきたの?

 

 

「ん?あぁ、いや、この子らは保護猫じゃ。

 猫を保護しているNPO団体から譲り受けたわけじゃな。

 毎年多くの猫達が行政で殺処分されていると知ってのぅ…… 少しでも助けになればと思うてな」

 

:保護猫なんか

:さすが魔王様お優しい

:猫捨てるとかマジ人間サイテー

:やっぱ人類は滅ぼすべきや

:捨て猫もまだまだ有るしな

:猫は家から勝手に出て繁殖して地域で増える

:うちの近所も猫多くて困ってるわ

 

 

 猫を飼うと決めてから、すぐにマネージャーの真根さんにメッセージで相談した。猫を飼うこと自体はさほど問題ないじゃろうが、猫に絡めた配信をしたいと思っておったからの。

 ある意味“現実”のことを配信で出して良いかの確認じゃな。

 真根さんからは『一応確認します』のメッセージのあと、すぐにOKの返信が来た。

 

 真根さんからの了承を得たあとすぐに『猫』についてインターネットで情報を集め始めた。

 最初はペットショップで買おうかと思っていたが、調べていくうちにその考えを改めた。もちろんペットショップが悪というわけでは断じてないが、保護猫という、様々な理由で保護される猫がたくさんいることを知ったので、せっかくなら保護猫にしようと思った。

 日本では年間3万匹も猫が殺処分されると聞いたときは正気か疑ったぞ。あんなクソカワイイ生き物を殺すなどとんでもない。

 

 ただ、『保護猫』というのは少々、というかかなり厄介じゃった。

 保護猫団体に「猫がほしいです!」と言ってすぐに貰えるものではないのじゃ。

 

 里親になるには各々の団体が定める『審査』がある。

 我が行ったところはコーディネーターの人と面談をして、猫の住む間取りや部屋の写真等の必要書類の準備、アンケートの記入。それらをクリアして、初めて猫を迎え入れることができる。

 

 つまり、端的に言って、コミュ障の我にはむちゃくちゃハードルが高い。

 

 いや面談て……

 面談は無理やて……

 

 もういっそペットショップへ逃げてしまおうかと思ったが、我は挫けなかった。年間3万匹ものかわゆい生き物の命が殺処分されている現状を打開する一助になればと、我は茨の道を選んだのじゃ。いやマジで茨の道じゃった。面談のときとか、我は終始『(@ん@;)』みたいにぐるぐるの目じゃっただろう……

 

 

「いやぁ…… 里親になるために面談とか有るのじゃが、マジで死ぬかと思ったのぅ。もう何話していたか動転しすぎて全く記憶にないな…… 『家族』のためとはいえ、我、頑張った。うん、頑張った。我は偉い子じゃ…! 我はまっこと凄いのぅ!

 で、やっと審査に合格して今日この2匹が我が家に来たというわけじゃな」

 

:まじか、魔王様すげぇ…

:えらい

:えろい

:ノゾミちゃんとのコラボ断るぐらいコミュ障なのに頑張った

:頑張って魔王様偉い!!

:やるじゃん

:俺も魔王様見習わないとな…

:保護猫ってこの子が良いって指定するの? 向こうが指定?

 

 

「いや、こちらでどの子が良いか選べるぞ。

 我もいろんな子を見せてもらったが、この姉妹が一番輝いていたから此奴らにしたのじゃ」

 

:どゆこと?

:白色だから輝いてた?

:魂の価値を覗いたんだろ察しろ

:魔法力を見たんだよ

 

 

「この姉妹な。我が近くを通ったときに必死に訴えかけてきたんじゃ。姉の方は妹のことを。妹は姉を。それぞれが自分じゃなくて姉妹を優先しておった。

 姉のために、妹のために、貴方がいいご主人さまになってあげてください! ってな」

 

:よく分かるな。うちの猫何考えてるか分からん

:はぇー、魔王様感受性豊かなんすねー

:文学的な表現ですてき

 

「ん? あ、違うぞ。我は動物が何を考えているのか分かるんじゃ。

 まあ分かると言っても人間同士みたいな高度な会話ができるわけじゃなくて、うーん…… なんて言ったらよいか… イメージ映像を伝え合う、みたいな感じかのぅ? 嬉しいとか怒ってるとか、そういった感情も分かるぞ」

 

:ふぁっ?!

:魔王様動物と話せるんか…

:すげえロリだ

:昔テレビで動物と話せる外国人とかいたな

:動物と意思疎通出来たら楽しいだろうなぁ

:メルヘン魔王

:そんなファンタジーやメルヘンじゃあないんですから

:ファンタジーだしメルヘンやぞ(魔族の王)

:メル…ヘン……?

 

 

「よしほれ、前置きはこのくらいじゃ。名前を決めるぞ。

 一応2匹の情報を伝えておくと、やんちゃでお転婆なのが姉で、クールで物静かなのが妹じゃ。2匹とも真っ白な毛色じゃな」

 

:白だからシロ!

:ホワイト!

:キュアホワイト

:ふたりはぷいきゅあ

:白色だから…… 雲ちゃんとか

:雲ならク○ウドとか

:↑やめなよ

:↑興味ないね

:クラスファーストさんの名前だすなよ

 

 

「これ、真面目に決めんか。まあホワイトはシンプルじゃがありじゃな」

 

叱咤(しった)魔王たすかる

:ごめん

:クリスタルちゃん

:宝石の名前はどう? サファイアちゃんとか

:ブラン(フランス語で白)

:雹(ひょう)とか霰(あられ)は?

:氷ちゃんは?

:六花(りっか)と天花(てんか)

:白(はく)

 

 

「よしよし、皆真面目になってきたな。えらいぞー。

 フランス語か。なかなか良いチョイスじゃな、フランス語は音がおしゃれな気がするしのぅ。

 して六花(りっか)天花(てんか)か。『花』が入っててカワイイが、どんな意味なのじゃ…?

 あー、ちょっと待っておれ。今グーグル先生に聞いて調べておるから…

 ……

 ほぅー… 六花も天花も雪の別名なのか。

 六花は雪の結晶を花に例えた呼び名で、天花は天から降ってくる雪を花に見立てたのか…… うーむ、日本語はやはり趣があるというか美しい言葉が多くて良いのぅ!」

 

:はえ~、雪に別名あるんすね~

:日本語って綺麗だな

:『和』な日本語綺麗だよな

:美しいな

:また今日も一つ賢くなった

 

 

「我、この六花と天花けっこう好きなのじゃが、皆はどうじゃ?」

 

:いい希ガス

:綺麗でかわいい!

:ええやん

:勝手にカタカナで考えてたけどええやん

:和でええやん

:毛色雪みたいだし良いと思う

 

 

「よし、じゃあ此奴らの名前は六花と天花じゃ。

 姉が六花で、妹が天花じゃ。

 ほら、どうじゃ? お主らの名前じゃぞ? …そうじゃそうじゃ。お主が六花で、お主が天花じゃ。ん……? 違う違う、姉のお主が六花じゃ。天花はお主の妹のことじゃ。よしそうじゃ、それでOKじゃ」

 

 

 配信の画面から少し目を離し、近くでじゃれあっている姉妹に話しかける。

 姉の方はやはりやんちゃで、名前がついて嬉しいのか我に飛びついてきて、妹はクールにちょこんと座ってこちらを見ている。

 

 名前をつける、という行為には魔術的にも意味のある行為だ。

 

 名前がつけば、存在が確固たるものになる。

 ただの動物から、もう1段階上の存在へとシフトする。

 

 ……とはいっても、六花と天花はまだ良くわかっていないらしい。2匹とも疑問符を浮かべておるわ。

 まあまだ1歳にも満たない子猫じゃ。

 子どもに難しいことを言っても通じないじゃろう。

 

 ふっ、カワイイ奴らめ。

 

 そんなふうに微笑ましく見ていると、ふいに姉の六花が配信をしている画面の方へジャンプして行ってしまった。

 

 

「これ六花、今配信中なのじゃからその机に乗るでない。あ~、ほらトラッキングソフトが我のきゅーとな顔を認識できておらぬじゃないか。ほれ、こっち来い。

 まったく、猫なで声で甘えてきおって……

 

 あぁーもう、カワイイのぅ! 顔をうずめるとこの世の天国じゃな~! うへぁ… 天花もこっちへ来てよいぞ? そう寂しそうにするでない。姉妹まとめて相手してやるからのぅ!  うふふぇ、カワイイのぅ…

 考えてみればお主ら人間なら小学生くらいか。子を持つ母はこんな気持なのかのぅ」

 

:ママー!!

:ママ!

:魔王様ぜったいだらけた顔してるやろwww

:来世は魔王様の子宮にやどりたいな

:声がトロけてるwwwwww

:なんかほんとに会話できてそう

:魔王様かわいいw

:少なくとも相思相愛だな

:猫を吸って蕩けてるww

:ちょいちょいトラッキングされる顔がめっちゃニヤついてるwww

 

 

「よし、それじゃあとはいつもどおりゲーム実況でもするかの。

 六花も天花も我の実況が見たいか? そうじゃろうそうじゃろう。よしほれ、特別に机の上に乗る許可をやろう。あまり画面の前を通っちゃダメじゃぞ?」

 

 

 

 ――今日は少しだけ騒がしいゲーム実況になりそうじゃな。

 

 

 




やっと投稿できた……
年始が忙しすぎて草超えて森超えてモーリーファンタジー状態じゃ…(瀕死



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