荒野の少女と1つのセカイ   作:kasyopa

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エイプリルフール回だけの投稿予定でしたが、
21時台で更新をお待ちの方もいるかと思い、
爆速で生産させていただきました。

(ちなみに今回の桜イベント未読なのでもしネタが被っていたらすみません)

文の誕生日記念回になります!


ウソのようなほんとのような

 

ファミレスの一角に集まっていたのは、文・咲希・みのり・こはねの4人。

 

エイプリルフールで各種界隈が盛り上がるのも昨今はSNSやソーシャルゲームの世界だけ。

現実でも1日だけとはいえ、嘘をまかり通してしまっては必要な情報が届かなくなってしまう。

 

そして何より、文にとっては年度始まりやエイプリルフールよりも重要な日である。

 

「今日はなななんと! わたしの誕生日なのです!」

「「「おめでとー!!!」」」

 

一斉に祝福を受けて照れ臭そうに頬をかく。

これまで友人達や家族に祝われたことはあれど、先輩達から祝われるのははじめてであった。

 

「えへへ。皆急に呼び出しちゃってごめんね」

「ううん気にしないで! でもびっくりしちゃった。

 急に通知が来たって思ったら『今日は文ちゃんの誕生日です!』って出てたから……」

「私もびっくりしちゃったな。4月1日ってやっぱり始まりって感じがするから」

「いっちゃんから聞いたんだけど、誕生花もサクラだもんね! すごいなー」

 

ある意味特別な日とも言える誕生日。

響きとしては2月29日の誕生日に近しいものはあるかもしれない。

 

「でも、皆本当にありがとう。こういう機会じゃないと揃って会えないかなって思って」

 

ここに3人を呼び出したのは他でもない。

和気あいあいとただ談笑を楽しみたかっただけである。

いくら連絡先を交換していようとこうして会う機会を設けるのは難しい。

現に絵名は夢心地であり、招集に応じられなかった。

 

「でももう少し早く言ってくれたら贈り物とか準備したのに」

「バレンタインのお返しもまだできてないし……」

「それは気にしないで。ここで皆に会えることがわたしにとっての誕生日プレゼントだから」

 

みのりとこはねが口を揃えるも、文の言葉に偽りはない。

しかし、彼女達の中でもそこそこに大きな存在となりつつある文に対し、

なにもしてあげられないのは腑に落ちなかった。

 

「あ、そうだ! それなら皆で歌をプレゼントするのはどう?」

 

そんな中で考え込んでいた咲希が名案を思い付いたように、ポンと手を叩く。

 

「そうだね! 咲希ちゃんは確かバンドでキーボードやってるし……わたしとこはねちゃんでダンスもできるし!」

「えっと、じゃあ2人の曲の方がいい? それとも3人?」

「あはは、アタシは踊れないからキーボードだけかな。歌うのもいっちゃんが多いし」

「なら2人曲だね……あ、じゃあわたしからリクエストしてもいい?」

 

話の流れだけ聞いていた文が、おずおずとスマホを差し出す。

そこに写し出されていたのは、初音ミクを主題にした家庭用ゲームの書き下ろし曲。

歌っているのもちょうどミクとリンの2人であり、BPMは高いもののノリのいいものだった。

 

「ほんとに文ちゃんいろんな曲知ってるね……はじめて聞いたけどすごくいい曲」

「えへへ、好きとか片想いとか、恋愛ソングっぽいね」

「でもすっごく楽しそう! アタシやってみたい!」

 

思いの外好感触だったようで、3人はその場で解散しそれぞれ練習に励むのであった。

 

 

 

そして夕方。ショッピングモールの一角に設置されたピアノの回りに4人の少女が集まっていた。

誰でも利用していいグランドピアノ。

プロ・アマ問わずミュージシャンや演奏家が時おり利用している場所である。

 

「ほ、ほんとにここで歌ってくれるの……?」

「うん! でもごめんね。もっと落ち着いた場所の方がよかったかな……」

「ううん! むしろわたしの為ってだけでもすっごく嬉しいよ!」

「そこは気にしないで。お祝いとお返しの2倍返しなのだー!」

「ふふ、そうだね。私も人前には慣れて来たし、全然大丈夫だよ」

「それじゃあ文ちゃんは見ててね」

 

文が少し離れると、咲希は椅子に腰掛け鍵盤に手を乗せる。

みのりとこはねがピアノの前に立ち、合図を飛ばした。

 

「「──♪ ───♪ ──♪」」

 

明るいメロディと共に簡単ながらもノリノリの振り付けがその場を彩っていく。

やがて興味を示した人々が次々に足を止め、その音に耳を傾けては躍りに引き込まれていた。

 

曲の終わりにはミニライブ規模の観衆に囲まれており、淀みない拍手が巻き起こった。

そしてその拍手はやがてアンコールの声援へと変わっていく。

 

「ちょっと目立ちすぎたかな……?」

「あはは、大盛況だね」

 

観衆の外では警備服に身を包んだ面々が集結し始めている。

目的は観衆の整理と騒ぎの原因である4人であろう。

 

「とりあえず、また移動しよっか?」

「じゃあわたしがよく使ってる公園にいきましょう! お礼にダンスをお見せしますね!」

「ええっ!? それじゃあいつまで経っても終わらないよー!?」

 

お礼にお礼を重ねては、どちらかが譲るまで終わらない。

そんな嬉しい関係が続いていくことを願いつつ、

4人はその場から早々と退散するのであった。




カラフル×メロディ/ちーむMORE
(作詞:流星P 作曲:doriko 編曲:OSTAR project ギター:19-iku-)
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