荒野の少女と1つのセカイ   作:kasyopa

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第2話「友達との交流」

授業を何事もなく終えて、放課後。

普段なら家に帰って宿題をし、夕飯まで楽器の練習に打ち込むのだが、

ここ最近は宿題と勉強、読書だけで暇を潰す日々。

妹の勉強を見ることもあったが、

あまり付きっきりが過ぎると、勉強そのものが嫌になりそうなのでほどほどにしていた。

 

「(近くの図書館にでも行って面白そうな本でも借りてこようかな)」

 

そんな事を考えるほど暇な少女の元に、理那が現れる。

 

「委員長ー、もし良かったら遊びにいかない?」

 

誘う彼女の後ろでは仲の良い他の友達2人が、教室の出口に待機している。

委員長は真面目だから来ないでしょー、などと冗談混じりに声をかけているが、

理那は一切気にすることなく話しかけていた。

 

「今から? 別に良いけど……」

「お、珍しい! もしかして良いことあった?」

「良いことというより、やることもないからね。晩御飯の時間までなら大丈夫だよ」

「おっけおっけー。なら皆でシブヤの街へレッツゴー!」

 

同行する他のクラスメイトも珍しさに目を丸くしながら、先頭を歩く理那に続く。

 

「それで理那、どこいくのさー」

「んー、今日は委員長一緒だしアミューズメント施設で遊び放題のとこ行こう!」

「なにそれ、シブヤの街に~とか言いながら屋内じゃーん!」

 

大して気にもならない会話に耳を傾けながらもあくまで外側から見守る言葉。

ハイテンションな人物が苦手な彼女であっても、半年以上付き合っている彼女は別だった。

 

「委員長はどこか行きたいところとかないの?」

「私は……ごめん、どこでもいいかな。皆と行くのって本当に久しぶりだから」

「理那にお任せって事? 結構疲れるよー」

「それでもいいよ。運動はあんまり得意じゃないけど」

「ほら理那ー、委員長運動は嫌いって言ってるじゃん」

「そこはあえていくんだよ! もしかしたらバリバリ運動得意かもしれないし!」

 

普段は話さないクラスメイトも物珍しさから話題を振ってくれる。

それを当たり障りのない返答で返せば、それは理那へと標的を変える。

彼女からしても付き合いが長いため、運動が苦手なことは知っていた。

それでもあえて行く、ということは何か理由があるのだろう。

 

 

 

「そおい!」

 

そんな間抜けな掛け声と共に放られた玉は床を滑っていき、並び立つピンを全てなぎ倒す。

4人は手始めにとボウリングを楽しんでいた。

 

「げ、4回連続ストライクじゃん。理那ってば容赦ないなー」

「あはは、私に敵う者は誰一人いないのだー!」

 

他のクラスメイトが言うように、この時点で大きくスコアの差をつけている。

満足げに席へ戻る理那に代わり、次は言葉の番。

 

「……えい!」

 

勢いよく転がるボールは右の溝に逸れ、奥へと消えていく。ガターである。

 

「あらら、こっちは4回連続ガターだね」

「アハハハハ!! 委員長それギャグでやってんの!?」

「理那ー、笑いすぎると委員長でも怒るよー」

「はあ、思ったようにいかないね……」

 

頭でどれだけボールの軌道を思い描いても、その通りに転がる技量を持ち合わせているわけがなく。

むしろ投げたボールがガターになる方が、思考にかける時間よりも早かった。

 

「でも委員長ってなんでもできるイメージあったけど、苦手なことあるんだね」

「だよねー。あんな綺麗にフルートとか弾いてるし、文武両道かなって思ってた」

「私も苦手なことはあるよ。勉強だって暁山さんに比べたらまだまだだし」

「え、暁山さん勉強出来るの!? そっちの方が意外なんだけど!」

 

クラスメイトの2人は予想外の名前に驚き食いついてくる。

瑞希は主に直感に頼ることが多いものの、成績だけはかなり良い。

言葉も一度教わろうとしたが、何故解るかは瑞希自身も解らないため、参考にすらならなかった。

 

そういったことも含めて、未だに付き合いが続いている事を口にする。

 

「へー、すごい組み合わせだなーって思ったけど、案外暁山さんってまともなのかも」

「いや、委員長が寛大なんだって! だって暁山さんいっつもあんな格好で──」

「ほーら、早く次行かなきゃ私がガターにしちゃうよー」

「あっ、ちょ、理那それはひどくない!?」

 

会話を遮るようにボールを振りかぶる理那。

冗談と笑いながら席に戻る彼女に、そっと言葉が耳打ちする。

 

「ありがとう、暁山さんのこと」

「なんのことかなー。私だって暁山さんの事知らないしー」

 

とぼけ顔を振り撒きながら、今から投てきしようとする友人を応援する。

 

「理那、これ終わったらどこ行く?」

「んー、ロデオとか卓球とか色々あるけど、委員長どこ行きたい?」

「この後もあるの? 結構疲れそう……」

「あーじゃあカラオケとか?」

「あ、私委員長の歌聞いてみたいなー」

「それなら大丈夫かな。お願いできる?」

「オッケー!」

「やったーストライク出たー! って2人とも見てないじゃん!」

 

喜ぶクラスメイトを尻目に次の予定を立てる2人。

その瞬間を目の当たりにしたのは言葉だけであった。

 

「おめでとう。綺麗に決まったね」

「ありがとう委員長ー! ほら委員長ならちゃんと見てくれてるー」

「あ、ほんとだおめでとー」

「それより次、カラオケ行くって」

「え、マジ? 委員長も歌うの?」

 

不満そうに訴えるも、別の話題に乗っかる辺りそこに執着はないようで。

 

「一応、かな。バーチャルシンガーの曲ばっかりになるかもだけど」

「へー、バーチャルシンガー聞くんだ。やっぱりミク?」

「えっと、KAITOかな」

「カイトって……誰だっけ?」

「さあ?」

 

その2人はそこまでバーチャルシンガーに詳しくないようで、仕方ないかと諦める言葉。

4人の道草は、まだ始まったばかりであった。

 

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