荒野の少女と1つのセカイ   作:kasyopa

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第3話「屋台は何を回る?」

そんなこともあったけれど、盛況のままお化け屋敷は終わりの時間を迎える。

日が傾き始めた頃に、私達の休憩時間になり友人と共に神高祭をめぐっていた。

 

「ところで実行委員としてのお仕事はいいの?」

「あはは、実は今からがその時間なんだよね。だから巡回がてら散策をーっと」

 

それは大丈夫なのかな、と思いながらも以前よりも騒がしい文化祭になりそうだ。

 

当然様々な教室で色々な出し物をしているのだが、

立て看板を見る限り確かに1年A組はカフェを、2年A組は演劇をしていた。

東雲君の直感、おそるべし。

 

「『ロミオ ~ザ・バトルロイヤル~』だって! どんな演劇だろ」

 

タイトルからして嫌な予感しかしないが、面白そうなものならどんどん突っ込んでいく彼女。

手を引かれて2年の教室へと駆けこめば、ちょうど始まるところだった。

驚いたのはそのお客さんの量。

自分のクラスよりもずっと多く、席が足りない分は後ろで立ってしてまでみている。

 

進行役の人が出てきて注意事項を述べれば、ついに物語の幕が開いた。

 

 

 

「あははは! わけわからなかったけど面白かったねー!」

「なんていうか……凄かったね」

 

友人がお腹を抱えながら教室を出る。他の人もみんな笑顔だ。

主演・脚本・演出全てが天馬先輩とのことだったけれど、

なにやら用事があったらしく彼の雄姿を拝むことはできなかった。

 

「天馬先輩居なかったねー。お礼言いたかったんだけど」

「この前のチケット、天馬先輩から貰ったんだっけ」

「そうそう。結構楽しめたし、もしかしたら持ち上げてもう一回貰えるかも!」

 

そのあたりはちゃっかりしているな、と思いながら露店を眺めつつ外を歩いていた。

もうそろそろ一般公開の時間は終わりなので、お土産の目星は付けておかないといけない。

 

「そういえばさ。ほら、あの子の持ってる綿あめ」

 

彼女の視線の先にあるのは色んな動物の顔の形をした綿あめ。

元々もこもこしたお菓子に動物の要素が加わってさらにファンシーさが際立っていた。

 

「どこが出してるんだろ、委員長も気にならない?」

「少し気になる、かな。妹のお土産にもいいかも」

「お、珍しく乗り気だねー。えーっと、綿あめ屋さん綿あめ屋さん……あ、あれじゃない!」

 

わざとらしく手を額に当てて辺りを見渡せば、すぐに賑わっている一つの屋台を指さした。

店員と思わしき少女が両手に綿あめを持ちお客さんの誘導をしている。

 

「あのクラスTシャツなら確か1年B組の人達かな」

「お隣さんじゃん! じゃあ張り切って突撃!」

 

再び手を引かれて屋台の列へ並ぶと、独特な甘い香りが漂ってくる。

時間もちょうどおやつ時なこともあり、人も続々と集まってきていた。

 

「ほらほら、動物だけじゃなくて虹色の綿あめもあるんだってさ。何食べよっか」

「私はいいかな。とりあえず妹の分があったらそれで」

「もーつれないなー。文化祭なんだから楽しまないと。店員さーん! おすすめなーに?」

 

まだ自分達が注文する番ではないというのに、列の整理をしていた子に話しかける。

 

「あ、えっと……この熊の綿あめが、人気で」

「すっごく可愛く出来てるよね。それって貴女が作ったの?」

「わたしも作ってるけど、今は呼び込み中だから」

「へー! じゃあわたしが注文する時作ってみてよ!」

「えっ? ……えっ!?」

「冗談はそれくらいにしておいた方がいいよ」

 

流石にこれ以上はこの人にも迷惑だと思い仲裁に入った。

 

「あはは、ごめんごめん。でも冗談でも何でもないよ。割とマジだったんだから」

「そうでもお願いする時はもう少し静かな方がいいよ。ごめんなさい、ご迷惑をおかけして」

「あんまり気にしてないから大丈夫。……それより、わたしに作ってほしいって、本当?」

 

そんな問いかけに対して興味津々な目線を送ることで答える友人。

こういうことに関して感情表現が豊かな彼女は得していると言える。

 

「解った。クラスの人と相談してみるけど、無理なら、その、ごめんなさい」

「やったー! ありがとう!」

 

思いっきり両手を上げて抱きつこうとしたところに何とかして制止をかけて事なきを得る。

本当にこういうお祭りごとは人を変えてしまう力があるみたいだ。

 

ふと前に誘われた音楽イベントの会場のことを思い出しながら、辺りを見渡す。

そういえばあの時出ていた人も1年B組だったような。

 

「そういえば、青柳さんって1年B組ですよね?」

「青柳……? ああ、あの図書委員の。休憩時間だから居ないけど、用事でもあった?」

「単に知り合い、かな。挨拶くらいはしておこうかなって」

「青柳君イケメンだからねー。何? 委員長惚れちゃった?」

「それはない」

 

話題の対象が私に移ったことによりB組の子はその場を離れる。

そこから終始青柳君とどこで知り合ったのかとか、

どこが好きになったとかの質問攻めを受けたが、全てお得意の正論で切り捨てた。

 

「そういえば、どうしてあの子にお願いしたの?」

 

今綿あめを作っているのは別の人ではあるが、

態々指名するということは何か理由があると思い話題を変える為にこちらから切り込む。

 

「んー? どうしてって、まあ直感かなー。私が委員長にビビッと来たのと同じで」

「直感って。そんな曖昧な……」

「直感舐めちゃだめだよー。楽しいとか面白そうとか、全部直感みたいなもんだし」

 

その発言そのものは的を射ていると思うが、私としては根拠が欲しい所ではある。

そういう意味では彼女は感性が優れていると言える。

 

そしてこの後、私は彼女の直感が馬鹿に出来ない事を思い知らされることになる。

この世には、エスパーとも呼べる感性の鋭い人が存在しているのだと。

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