荒野の少女と1つのセカイ   作:kasyopa

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第8話「その少女、連関につき」

翌日もあいにくの雨。最近秋にしてはあったかかったかもしれないけど。

田舎出身からしたら定期的な雨も嬉しかった。

しかしわたしもすっかり都会っ子になってしまい、

アスファルトや歩道に出来た分かりにくい水たまりで靴が濡れるのが嫌だった。

 

それになによりみのりちゃんに会うことができない上に、わたし自身も動画投稿が遅れていた。

遅れれば遅れるほど投稿を待つ声と、叩く声が大きくなっていく。

『生存報告』のための簡単な動画も、

最近は体験入学という環境の変化で思うようには行かなかった。

 

「雨、止まないかなー」

 

そんなことばっかり考えているだけでも時間は過ぎていき、授業の終わりを告げる鐘が鳴る。

日直の人の号令で起立、礼をしてお昼休みへ。

 

「こんなことならわたしも初日に教室覗いておけばよかったかも」

 

いやいや、それだったらみのりちゃんに会えなかったし結局意味ないんじゃないかな……

自分で何考えてるか分からなくなってる内に、

周りの子達は仲のいい友達と席を固めたり、学食に行ったりで賑わっている。

わたしもお弁当食べよ。

お弁当箱は壊しちゃったから大きめのタッパーで代用してくれた。

結果的に量が多くなったけどわたし的には全然問題ないわけです。寧ろ嬉しいかも。

 

「いただきまー「あ、鶴音さん先輩が呼んでるよ!」……」

 

なんか最近行動キャンセルされること多くない?

あ、でも先輩ってことはもしかしたらみのりちゃんかも?

箸を置いて急いで教室の扉に向かうと、そこで待っていたのは4人の女の人達だった。

 

「ほらほら、出てきたよ」

「ごめんね、食べてる途中に呼び出しちゃって」

「あ、いえ。まだ食べてなかったので大丈夫です。それより、えっと?」

 

そのうちの1人はこの前私に食べ物を恵んでくれたお姉さん。という事は他の3人はお友達かも。

でも呼び出された理由がわからない。もしかして昨日失礼な事しちゃったかな?

理由を求めるようにお姉さんに合わせるも、金髪の髪の子が話しかけてきた。

 

「鶴音文ちゃんだよね。言葉ちゃんの妹さんの!」

「えっと……そうですけど、お姉ちゃんが何か……」

「ほら咲希、ちゃんと説明しないと訳わかんないでしょ。穂波、説明してあげて」

「うん。実はわたし達、言葉さん……お姉さんと知り合いで」

「それで穂波、この子が体験入学の子に同じ苗字がいるって話を聞いて」

「アタシが言葉ちゃんにしっかり確認を取ってからやってきたわけです!」

 

そういって見せてくれたのは連絡アプリの画面では、

確かにお姉ちゃんがこの人と思われるアカウントと連絡しているものだった。

 

「お姉ちゃん、全然教えてくれなかったのに」

「……もしかして、お姉さんと仲が悪かったり?」

「ううん!? そんなことないよ。でもびっくりしちゃった。

 まさか他校の人で知り合いの人が居るだなんて思わなかったから。

 でも、確認だけ取らせて貰っていいですか」

「うん、いいよー」

 

とりあえずお姉ちゃんに電話して……そういえばお昼は楽器の演奏してるとかで忙しいかも。

そんな事も考えてながらも、数回コールするだけで繋がった。

 

『どうしたの文、急に電話だなんて』

「あ、お姉ちゃん。質問なんだけど、宮女の人で知り合いの人っている?」

『ん、居るけど。もしかして何かあった?』

「ううん、これってほどじゃないだけど。名前分かる?」

『天馬咲希さん、っていう人だよ。

 金髪のツインテールで、赤のグラデーションが入ってる癖っ毛の人なんだけど』

 

目の前で興味津々に見つめてくる人と特徴は一致する。

それにさっき咲希って呼ばれてたし、間違いじゃないかも。

 

「そうだ。ビデオ通話にするね」

 

ここまで来て実際に見てもらった方が早いと、

ビデオ通話とスピーカーをONにしてぐるりと4人を写す。

 

『うん、全員知り合い。文、もしかして悪いことした?』

「そんなことしてないよ! ただ「良かったら一緒にお弁当食べようと思って!」」

 

スピーカー機能を切り忘れててこちらの会話が聞こえていたのか、

咲希さんがわたしの言葉を遮った。

 

『ふふ、天馬さんらしいですね。皆さん、文のことよろしくお願いできますか?

 結構やんちゃしちゃう子なので』

「はい、鶴音さんもお昼なのにお邪魔しました」

「また今度会おうね!」

『はい、機会が合えばぜひ。文、先輩達に失礼のないようにね』

「もー、分かってるって! 切るよー」

 

こっちが聞いてたのに結局丸め込まれる感じで通話は終わる。

お姉ちゃんってば心配症だなー。わたしだってやれば出来るのに。

 

「とりあえず、場所移動しない? 妹さんの確認も取れたみたいだし」

「そうだね。お昼休みの時間も少なくなっちゃうし、購買も混むから」

「いっちゃん今日も購買だよね。先行ってても良かったのに」

「いや、私は、その……」

 

そう言いながら、わたしのスマホの方へちらちらと視線を向けていた。

通話が切れた後のわたしの画面には壁紙にしているミクちゃんの絵が大きく映っている。

 

「そういえば鶴音さんの妹さん、ミクちゃんの大ファンだって言ってたね」

「なるほどね、それでさっきからソワソワしてたわけ」

「えへへ、いっちゃんもミクちゃんの大ファンだもんねー!」

「もう、3人ともからかわないでよ」

「そうだったんですね。あ、わたしお弁当取ってきます!」

 

これ以上待たせてはいけないと風の速さで取りに戻る。

 

「おまたせしました! 後、よろしくお願いします!」

 

その声に4人はそれぞれの笑顔で答えてくれた。

お姉ちゃんの知り合いさんがまだどんな人かは分からないけど、

わくわくが止まらないわたしだった。

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