「それでは、文ちゃん体験入学お疲れ様でしたという事で!」
「「「かんぱーい!」」」
体験入学が終わり何事もなく冬休みを謳歌していた文であったが、
今は打ち上げパーティと称してファミレスに来ていた。
「というわけで、本日の主役である鶴音文ちゃんから一言お願いします!」
「えーっと先輩の皆さん、わたしの為にこんな華やかな会を催していただき……
難しいのは無し!! 皆さんありがとうございまーす!」
流石に声を張り上げ過ぎては周りのお客さんに迷惑になるということで、
テンションは高いものの声は落ち着かせていた。
主役の文以外にも、主催の咲希、友人のみのり、2人の付き添いとして一歌と遥の姿もあった。
ただし遥は変装の関係で伊達眼鏡をかけている。
「お姉ちゃんも来れたらよかったんだけど、今日バイトなんだって。
みのりちゃんと遥さん紹介したかったのに」
「あの時一緒にいた人だよね? すごく落ち着いてて優しそうな人だったなー」
「うん、わたしの自慢のお姉ちゃんなんだー。ただ怒ると怖いんだよー?」
脅かす為に目の端を指で釣り上げて鬼の顔の表現をするも、
実際に言葉に会ったことのある2人ですら起こった様子は想像できなかった。
「鶴音さんって、どういう時に怒ったりするの?」
「うーん、唐揚げにレモン勝手にかけたりしたらかな」
「えっ!? 唐揚げレモンで怒るの!?」
「うん。この前間違えちゃったんだけど、1日口利いてくれなかったの」
「なんていうか、不思議な人なんだね……」
相当沸点が低いのかそれともそれだけは譲れないのかは分からない。
その光景が見当もつかないのか、遥ですら少しばかり引いてしまう。
そんな会話に花を咲かせていれば、店員が注文した料理を持ってきた。
テーブルに料理が並べられていくが……
「カルボナーラ大盛のお客様」
「あ、わたしでーす」
「ハンバーグステーキのお客様」
「あ、それもわたしです」
「ミックスピザのお客様」
「それもわたしですー」
「「「「………」」」」
1人1~2品、それも主食と付け合わせが一般的な所、
文の回りには主食並みのメニューが次々置かれていく。
注文の際その品数には驚かされてはいたが、こうして物となって出てくると威圧感が凄かった。
食前の挨拶と共に各自が箸を進めていくものの、唯一知らない遥が疑問を口にした。
「鶴音さん、それ、本当に1人で食べられる?」
「お気遣いなく! 遥さんこそサラダだけですけどお腹空きませんか?」
「私はそこまで気にしてないかな。それに今は食事制限中だから」
「すっごーい……わたしが食事制限なんかしたら倒れちゃうかも……」
以前お昼を抜かざるを得ない状況に陥った文は、文字通り放課後にはダウンしていた。
ある意味燃費が悪いのかもしれない。
「それだけの量よく食べられるよね……わたしだったら見てるだけで胸やけしちゃいそー……」
「趣味でダンスをしてるって聞いたけど、正直それだけじゃ消費追いつかないよね……」
「もしかして、秘密のダイエット法があるとか!?」
各々が思い思いのことを口にするも、当の本人は食べるペースを落とさなかった。
最後の咲希の言葉を質問と捉え手を止めた。
「ダイエットはしてないですねー。ただダンスの為にトレーニングしたり、
出来る限り歩いたりとかはしてます」
「食べたら食べた分運動してるんだね」
「はい。むしろ動くために食べるのと、何より食べることは大好きですので!」
量こそ尋常ではないものの、幸せそうに食べるその様子は周囲を和ませる。
そんな中で誰よりも早く完食した文はデザートを追加注文していた。
「ふと思ったんですけど、わたし遥さんと一緒にご飯してることになるんですよね」
「そうだけど……もしかして、イメージと違った?」
「いえいえ。やっぱり遥さんも普通の女の子なんだなーって。
わたしも動画投稿してたから、人の印象とかに左右されるのは苦手で」
「あ、そっか……文ちゃんも動画投稿してたんだよね……」
「あっ、あっ、でもでも終わったことだからそんなに気にしないで!
ほらほら、デザートも来ましたから!」
その一連の騒動を知っている2人は黙ってしまう。
それはみのり達にとって無縁ではない話でもあった。
重い空気を瞬時に感じ取ったところで振り払うように声を張り上げ、
店員の持ってきたデザートを受け取る。
一歌と咲希は一切知らぬものの、2人の反応から踏み入ることはしなかった。
「むしろこちらこそごめんなさい。わたし達のクラスの子が押し掛けちゃって……」
「あれはなんていうか、仕方ないことだったから」
「それに文ちゃん全然関係ないよ!」
「でもあの時は凄かったよね。空港で待ってるファンみたいで!」
「ただ、教室から出られなくてその日は教室で食べたよね」
「ううー、一歌先輩や咲希先輩にもご迷惑をおかけして……」
体験入学初日の昼休みでは大半の生徒が教室になだれ込み、
教師陣が来るまで出入りすら難しい状態であった。
結果として遥達は屋上に行けずみのりだけが屋上で練習することになり、
文と出会えたわけなのだが。
「まあこれも済んだことだし、お互い様ってことでどうかな」
「そうですね!」
そんな堂々巡りの反省会など誰も得をしない。遥の鶴の一声によって再び食事が再開する。
元とはいえ国民的アイドルだった少女を気にもせず、自分のペースを貫き通す少女。
その理由が垣間見えたことで、遥の心はまた少しだけ軽くなる。
せっかくの機会にと咲希の提案で記念撮影をして、打ち上げは幕を閉じるのであった。
※長文注意
ご無沙汰しております。kasyopaです。
今回も例のごとく、
『☆1~☆3における鶴音文のサイドストーリー』
という想定で前後編を2つずつ、計6話執筆させて頂きました。
おさらいにはなりますが、☆1はメイン前、☆2はメイン後、
☆3前編はメイン途中、☆3後編はメイン後の話になります。
本編のシナリオを読んでいただくと解るのですが、
結構サイドであった出来事がエリア会話やイベントで出てくるんですよね。
といっても小ネタ程度ですが。
また、UA5000記念話アンケートへのご参加ありがとうございます。
達成したのを確認し次第アンケートは終了し、
なるべく早くに執筆させていただきます。
(その日の本編とは別に投稿、キャラによっては挿入箇所が変わります)
もしも同票の場合は、ダイスロールなどして1人に絞らせていただきます。
あらかじめご了承ください。
さて、長くなりましたが次回予告をば。
次回からはちょっとしたシャッフルイベントです。
その後で、1ヶ月ほど前にアンケートで投票して頂いた、
ユニット絡みのシナリオをお出しします。
次回「感謝の気持ちをプレゼント・フォー・ユー」
季節外れのバレンタインイベントになります! お楽しみに!