書きたいことを書くだけの短編集   作:如月風牙

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今日は12月25日。ただの平日です。

今日や昨日は多くの学校の終業式となりましたね。多分2学期だったかな?

いやぁ、なんか町中では“くりすます”の話を聞きますが全くわかりません。
今日も今日とて小説投稿。


九校戦編 九話 参戦、二科生

「……すいません、聞こえなかったようなのでもう一度行ってもらっても構いませんか?」

「ですから、達也くんと颯くんには九校戦に参加してほしいと思ってるの。エンジニアとして」

 

 生徒会室で何時ものメンツで昼食を食べていると真由美がそう言い出した。何を言っているんだという顔で真由美を見るのはもちろん達也と颯であった。

 

「いやあの、深雪さんのCADを調製している達也がエンジニアとして参加するのはわかるんですよ?」

「おい颯。地味に俺を肉壁にしようとしてないか?」

「そんなわけないじゃないか。でもなんで俺たちがエンジニアとして参加させる、という話に至ったんでしょうか」

 

 本当に謎だと思いながら真由美に問いかける。一科生かつ学年一位の深雪のCADを調整している達也ならまだしもなんで自分が? という疑問が浮かんだからだ。

 

「それは簡単よ、とある生徒から情報がリークされたのよ。『柊颯のCAD調節力は一科生にも負けない』っていうね。誰かは言えないけれど、一科生の生徒なので信ぴょう性はあると判断しました」

「……え、誰?」

 

 予想をはるかに超える意見に一瞬思考停止してしまう。誰かの前でCADを使ったか? いや確かにあったけどそれだけで……? あっとぉ? まさか。

 

 颯の脳裏に一人の少女の顔が映し出される。CADに詳しく、二科生相手にも推薦ができるような権力のある生徒……候補はもう一人いるがこちらの方が確立が高いだろうということで生徒会室にいるひときわ身長の低い生徒を見つめる。

 

「……あずさ、先輩ですか?」

「ふぇ!? いえいえ、わ、わたしじゃありませんよー?」

「……」

 

 明らかに怪しい挙動、顔が少し赤くなっていて目が泳いでいる、嘘をついているのは明らかだろう。

 

「……まぁ、構いませんよ。もうなんかどうにでもなれって感じです。はい。エンジニアであれば自分から言うことはありませんので」

「そう? それは良かったわ!」

 

 とても、とてもイイ笑顔をこちらにむける真由美をみてため息をつくしかない。颯があずさに何となく逆らえないのを分かっていたのだろうか。

 そして今までの経験上、逃げれないのはなんとなく察してしまっているのだ。達也はどのように立ち回るのか、参考にしようかと考え始めてすらいる颯であった。

 

「CADエンジニアが一年生だった例はなかったはずですが?」

「前例は覆すためにあるものだよ」

「なんでも初めてはあるわ」

 

 達也の意見に間髪入れずに入れる摩利と真由美、思わず達也に向けて合掌してしまった。なむなむ。

 

「進歩的なお二人はそう考えるでしょうが、二科生に一科生がCADを預けることに嫌悪感を示すのではありませんか? しかも一年生の、しかも二科生。俺も颯もいろいろ悪目立ちしていますし」

 

 達也のまっとうな意見に顔を見合わせる二人。しかし魂胆は見えているようだ(面倒だから参加したくない)そのため新たな策を目を合わせながら講じていると意外な方向からの援護射撃が来た。

 

「私はお兄様にCADを調節していただきたいのですが……駄目でしょうか?」

 

 圧倒的なシスコンである達也にとって、妹というのは猛毒になりかねない。現に達也の表情は珍しく凍り付いてしまっている。

 

「なむあみだぶつ。達也」

「勝手に殺さないでくれ……そして中条先輩と仲良く菓子をつまむのもやめてくれ。和やかすぎてこちらとの対比が凄い」

 

 颯はというといつの間にかあずさの隣に座って一緒にお菓子を手に持ちながら様子を見つめている。颯はもう諦めているのでゆっくりとしている。

 

「そうよね! やっぱり信頼できるエンジニアがいると安心してCADを預けれるわよね!」

「ええ、兄がエンジニアチームに入れば光井さんや北山さんも安心して試合に臨むことができると思います」

「あ、市原先輩も食べますか?」

「……頂いておきます」

「……」

 

 追い打ちが達也を襲う! 達也のライフはもうゼロよ! ってこのネタ分かる人この時代にいるのだろうか?

 

***

 

 生徒会だけでは確定はできない為、部活連の準備会議でこの話を持っていくことにしたのだが、正直二人は既に諦めていた。

 

 もちろん多くの生徒から反対の意見が出た。力不足の二科生を九校戦に選出するとは何事かともいわれたりもしたのだが、克人は落ち着いた声音で、

 

「つまり。司波と柊の実力が分からないことが問題となっているのならば、実際にそれを見たほうが良いだろう」

「しかし会頭。CADの調整となると実験台が必要ですが」

「誰もやらなければ俺が実験台になるが」

 

 克人の前向きな意見に少しばかり顔を顰める先輩がいる生徒がいることもしっかりと確認できた颯は、小さくため息をついた。この学校に来てからため息ばかりついているような気がする。

 

「その必要はありません。俺が実験台になります」

「じゃあ俺も。一回こいつらの実力は見てみたいと思っていたんだ」

 

 そう声を上げたのは意外にも服部と桐原であった。実力を目の前で見た服部と、自らを打倒した下級生とその友人の実力が気になっている。ということだろうか。

 

「では、司波が桐原の、柊が服部のCADを調整するということにする。異論はないな」

 

 克人のその宣言に異論を申し立てる生徒は一人もいなかった。

 

「では課題としてこの競技用CADに二人のCADをコピーして、即時使用可能な状態にする。ただし起動式そのものに改変は行わない、ということで構いませんか?」

 

 しかし、達也は手を止め、考える素振りを見せる。颯が疑問に思い、達也の作業現場を見ると、なるほどと頷き、そのまま元の位置に戻る。他の生徒はその動きを不審に思ったが、何もしていないようなのですぐさま達也に視線を戻した。

 

「なるほど。本来ならスペックの違うCADのコピーはお勧めできないのですが……安全第一で行かせていただきます」

 

 そういって達也は作業に取り組み始めた。達也のその言葉に疑問を浮かべる生徒が多かったが、エンジニア陣の生徒は成程という表情をしていた。

 

 

これから行う本来のCADのコピー作業は大まかに分けると、

 

 

 ①コピー元のCADの設定情報を抜き出してコピー先にコピーする。

 ②使用者のサイオン波特性の計測。人によってサイオン波の波長が違っており、各CADは書く個人用の設定になっているというわけだ。

 ③設定を行うCADをセットして自動的に調節された結果に細かな微調整する。

 

 

 という風になっているのだが、達也はコピーした設定情報を競技用デバイスではなく作業領域を作りそこにコピーした。そうなると③の自動調節ができないではないか。と多くの生徒が思ったようだが達也は落ち着いて行動していた。

 

 ここからは見えないだろうが、恐らく達也はあの膨大なデータを自力で解読している。つまり完全なマニュアル調整。達也の方法は……

 

 

 ①コピー元のCADの設定情報を抜き出して記録領域にコピーする。

 ②使用者のサイオン波特性の計測

 ③サイオン波の原データを解読し(文字の羅列で、難易度が高い)、記録領域に保存した設定情報を書き換え、それをコピーする。

 

 

 というものだ。これならばはるかに効率よく、ユーザーの負担も少なくなる事が出来る。難易度は爆上がりだが。

 

 早速動作テストが行われた。桐原の表情はわずかにこわばっている。魔法はどんな事故が起きるのかわからあないため、それは「ご愛敬」だろう。魔法と言うのはどこでどんな事件が起きるか分からないからだ。

 

「桐原、感触はどうだ?」

「……問題ありませんね。自分のCADと感触は変わりません」

 

 それを聞いて多くの生徒は平凡に魔法が作動した。しかもスペック差があるにも関わらずにという事実を見ずに魔法が普通に発動した。という物以上のことを見れない。

 

 それもそのはず、第一高校にはエンジニアが圧倒的に不足している。それは達也たちがエンジニアに選ばれることになっていることからも明らかだろう。

 

「……一応ある程度の実力はあるようだが、当校の代表にするレベルには思えません」

「タイムも一般的、あまり手際がいいとは言えないのでは?」

「方法も変則的ですね。それなりに意味があるのかもしれませんが……」

 

 と、二年生の選手からの不満が聞こえるが、それを遮るように、

 

「CADの調整すら分からない素人は黙ってください。文句をいうならせめて自分の調節が終わってから言ってください。……はんぞー先輩。お願いします」

「俺をはんぞーと呼ぶな! ったく……」

「とにかく、まずは柊の調節をみてから総評は行おう」

 

 克人のその言葉を聞きながら達也とは違う調節器に座る。黙れと言われた一科生は怒り心頭だったが颯はそれを無視する。先程のを見てそういえるのは素人だと判断したため、話を聞く意味も感じられなかった。

 

「では、お願いします」

「ああ」

 

 そういって作業を始める。颯は②までの手順は同じだが、このままではCADのスペック差で動作が遅くなるのでそれを埋めるための調節を行う。完成したCADの起動文に目を通し、微調整を繰り返す。

 颯には達也のようにサイオン波特性をみて理解できるほどの能力はない……訳ではないがそこまで正確性がないため、完成した起動文にスペックに合わせた調整を行う。そのため達也とは数秒遅くなってしまったが、無事に完成した。

 

「できました。はんぞー先輩。お願いします」

「だから俺をはんぞーと……まぁいい」

 

 テストを行うと服部がわずかに目を見開いたのをしっかりと確認した。

 

「どうだ、服部」

「使用感に差はありません……すごいですよこれは。スペック差を感じさせない調節だ。司波も同じような実力の持ち主です。私は二人のエンジニアチーム入りに賛成します」

「速度、正確さで言えば達也の方が俺の数段上をいっています。もはやこの実力はプロでも真似できないかと」

「わたしも二人のチーム入りを強く支持します! こんな実力を持った二人をみすみす手放すなんてできません!」

 

 一年前までは十師族にも否定感を示していたあの服部が二科生の指示をしたことは同級生からすれば信じられないことであった。

 

「服部や中条の言う通り二人はわが校の代表メンバーにふさわしい実力を見せた。俺も二人のチーム入りを支持する」

 

 反対派が沈黙している中、圧倒的リーダーである克人が賛成したことにより大勢は決した。

 

***

 

 九校戦について、少しだけ解説するとしよう。

 

 九校戦。正式名称は「全国魔法科高校親善魔法競技大会」毎年夏に行われる九つの魔法科高校が争う大規模行事となっている。

 ここで力を示せた生徒は一般企業や海外からも大勢の観客やスカウトを集める。まさに祭り。それが九校戦となっている。九校戦は各決められた種目で争うのだ。競技の詳細についてはネットを見てくれ。

 

 

 そんな九校戦のメンバー発足式。異例となる一年生二科生エンジニアの代表入りに、多くの二科生が期待をしていた。そしていよいよ最後の二人となった。徽章授与は新入生総代の深雪が付けることになっており、多くの男子生徒が顔を緩めていた。美人が近くによるということはそれだけで男子からすればうれしいものなのだ。

 

「柊颯さん」

「はい」

 

 真由美から名前を呼ばれ、一礼する。すでに講堂内は主に二科生の歓声によって包まれていた。恐らくこれを企画したのはニ科生でありながら最前列で声を出しているエリカだろうなと、颯は苦笑いしながら考えた。

 

「頑張ってくださいね」

「はい、ありがとうございます」

 

 そして続いての達也の徽章授与はまぁなんというか、ここでも兄妹はいつも通りラブラブな空間を作っていたと、だけ言っておこうか。




感想等ございましたらぜひお願いします。筆者のモチベーションが上がります。

個人的に好みな作品(安寧の天使制作に付き、二回目)

  • SAO 仮題:其の者、ただの愚者につき。
  • 魔法科 仮題:魔法科高校のニ科生
  • 殺戮の天使 仮題:安寧の天使
  • なし
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